介護職員の社員紹介は機能するの?

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『ハローワークへ求人を出しているのですが、なかなか応募がありません。それ以外にも雑誌に毎月のように求人を出しているのですが、それでも応募すらありません。なんとも虚しい日々が続きます。』

そう声を漏らすのは、都内で老健を運営するKさん。そこでKさんは社員紹介制度が機能するのか、私のもとへ相談にきました。会話をもとに実際のところを思考していきます。

目次===================

1、私とKさんの会話。

2、社員紹介の運用にあたり気をつけるべき点

3、社員紹介のサポートのための制度

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1、私とKさんの会話。

 

K さん
  何をやっても人員がこないので、最後の手段で社員紹介をしてみることにしました。
多くの医療期間や介護施設でも社員紹介を導入する施設は増えてきていますね。
K さん
 そうです。職員がだれも紹介してくれなかったらどうしようかと思うものの、やってみて反響があれば人材紹介よりも圧倒的に安いので挑戦してみようと思います。
具体的にはどのように、運用をされてるのですか?
K さん
 紹介で入職した職員には1万円、紹介者に対しても1万円を支払う形で進めていこうと考えています。
かなり相場より低い金額ですね。私の知っている施設では一人5万円-10万円を支払うところも少なくはありません。その金額だと紹介は、あまり見込めないと思います。紹介業者を使えば年収の30%をとるところもありますので、10万円でもかなり安い金額だと思います。

2、社員紹介の運用にあたり気をつけるべき点

社員紹介は職業安定法にひっかかる可能性があるので注意です。職業安定法40条「労働者の募集を行うものは、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの、また募集受託者に対し、賃金、給与その他これらに準ずるものを支払う場合、36条2項の許可にかかる報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。」となっています。

簡単に説明すると、紹介料の支払いは報酬と判断できるため、違法の可能性があるということです。しかし他の病院や施設でも行なっている中で、違法とされた例を知りません。ただ、看護部長や、施設長が前の施設から、5名も人員をひっぱってきたら、報酬合計はかなりの金額となって、賃金台帳のなかでも目立ってしまいますよね。100%大丈夫と言いきれないので、次の対策をしておくことをお勧めします。

賃金規定に紹介手当と名付けて、記載しておくことで労働の一部とみなすことが可能になります。こうした記載のあるところで、労働基準監署から指導をうけたという話を耳にしないので、いまのところ上記の対策で大丈夫でしょう。

3、社員紹介のサポートのための制度:飲食代の補助

とはいえ、制度は整えたものの人が紹介されなければ意味がありません。そこで、社員制度をうまく活用している都内の法人の例をとりながら、ご紹介したいと思います。

知り合いを自分の施設に招待する時に、いきなり『面接うけてよ。』と言われては引いてしまいますよね。そこで、まず知人とランチをしたりして、相手の要望や、自分の職場の紹介をしていくことが一般的です。そのため、福利厚生の一環として、職員への紹介ランチを負担してあげるのも重要になります。

  1. 社員紹介制度をつくる。
  2. 福利厚生として、勧誘の食事代を負担する。
  3. 社員へ紹介を促す。

を繰り返していくことで、社員が信用する知人が社員になり、より強固な体制、退職しづらい職員さんの採用をすすめていくことができます。