統計から徹底解剖、介護業界の採用環境!

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保険制度以降の介護人材の推移

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在宅と施設系の採用の困難度

上記の図から分かる通り、介護職員は大幅に増加しています。とくに入所系サービスで、職員数の伸びは大きく、在宅での採用はやはり、箱物サービスに比べて難しい状況です。とりわけ、利益率の高い入所サービス系の方が、給与が高いことや、教育制度が整っており、資格支援を行なっている法人が多いことも理由にあげられます。

介護職員の年齢・性別人口分布

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どの層をターゲットにすればいいの?

あなたが採用担当であれば、採用したいのは、そこそこ経験があって介護スキルのある優秀な管理者、または未経験だが地頭がよく吸収のはやい育てがいのある若者、はたまた結婚を機にパートタイマーで働く30代の女性かもしれません。しかしながら、上記のターゲットは様々な法人の取り合いになっています。なかなか採用の難しいターゲットです。

そこで分布図をみて驚くべきは60歳以降の職員が圧倒的に多いことです。このようなシニア層をどのようにとりこむのかは重要になってくるでしょう。あなたの事業所では60歳を超えた方に向けた採用をおこなっていますか?

サービス種別人材分布図

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入所系での採用はオススメ!

今後も介護人材は増えていくのが、図からも見てとれます。特色としてあるのは、入所系での人材、訪問系での人材に伸びの兆しがあるものの、通所系では伸びが見えない点です。通所系サービスを運営する事業所ではどのように人材を獲得するのか、新たな戦略が必要になるでしょう。

保険外サービス:フィットネスジムが流行り

そこで最近のトレンドとして出てきているのが、地域密着のイベントを開く通所事業所が増えてきたことです。保険外サービスとして、ジムやフィットネスを併設し、地域の住民に利用をすることで、事業所の認知度を増やし、若い従業員の採用も合わせて行なっています。これが有効的に働き、採用だけでなく、利用者の獲得にも繋がっているそうです。

都道府県別の採用環境

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都道府県による差はかなり大きいです。介護職として働く人口は、全ての人口の2−4%に留まっているのが現状。しかし、今後の超高齢化社会を迎える日本では、介護ニーズは高まり続けていきます。その伸びと合わせて、想定される介護人口も全体の労働者の5−8%へと増加しています。つまり、現状の2倍程度まで介護の現場で働く人は増えていくのです。次のグラフでは、需要と共有のバランスから、介護がどういった状況に置かれているのかを再度見ていきます。

介護職員の需要

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介護職員の代わりは誰が果たすのか?

ここまで、いくつかのデータを基に、介護人材が増え続けているとお伝えしてきました。あなたは、介護業界はきつい、汚いと言われる中、労働人口が増えるなら問題ないと思ったでしょうか。しかし実際は、介護労働者の伸びよりはるかに多くの高齢者からの、介護の要請が生まれているのです。

介護ロボットの導入に50億

人が居ない、つまり高齢者は介護をうけることができないのです。この状況をどのようにして乗り切ることができるのでしょうか。国は、ロボットの活用を推奨し50億円を投入しました。

ICT化による業務効率の必要性

あくまで上記の必要人数は、現状の業務量をこなす場合に必要な人材である。そこでより重要になってくるのは業務の効率化でしょう。一人の処理できる業務量、つまり一人当たりの生産性を上げることで、必要な労働人口数を減らす必要があります。もしあなたの職場で、複写式の紙をつかってサービスの提供記録をつけているとしたら、それは大きな無駄です。ICT化が介護業界で生き残る鍵なのです。

他業界と比べた介護の有効求人倍率

介護の有効求人倍率

一般業界の2倍以上の開きが?

全産業における求人倍率は0.5~1.1の間くらいで推移しているのに対して、介護業界は1.1~2.5倍を推移しています。この数字から、圧倒的に採用が難しい業界だということは、理解できるでしょう。
具体的に状況を見ていきます。2.5社で1名の職員を奪い合っているため、1.5社は採用ができない状況です。さて、この採用ができない1.5社はどうしているのだろうか。倒産です。この業界は今統廃合が過熱化し、M&Aが進んでいる業界なのです。(もしくは、赤字垂れ流しでの運営を続けています。いづれにしてもいつか限界は来ます。)

M&Aによる統廃合は今度も進んでいく

M&Aすることで非効率な介護業界にメスをいれている他業界の大手某A社、S社など、続々と参入は続いています。一般業界では当たり前の業務効率化が、ますますTHE非効率の介護業界に取り込まれているのです。

費用対効果を考えた月別採用トレンド

話は戻りますが、失業率は月によって変わってきます。予算をかけるべき月、抑える月を明確に理解し、費用対効果の高い人材採用への投資をするべきです。上記グラフをみると1月から9月までは費用対効果のよい時期、10月〜12月は費用対効果の悪い時期といえます。
あなたの会社では、どのような採用戦略を描いているだろうか。ぜひ、データを武器に採用を推し進めてください。

介護職員の過不足感

採用において大事なのは採用数?

介護職員の不足感を抱えている事業所は60%にのぼると言われています。訪問介護職員においては80%とも言われます。ほとんどの訪問介護事業所は従業員不足を感じているのです。

なぜ、これほどにまでに、多くの事業所で人手不足を感じているのでしょう。それは、採用が困難であるという理由が72%。そこで、採用の全体像を正確に理解しましょう。

採用するにあたって考えなくてはならないのは2つ。
1.採用数
2.離職数

長期的に必要な離職率の抑制

ほとんどの事業所では、採用数に関して問題を抱えていると感じています。しかし離職率に関して問題を感じ、本気で向き合っている事業所は少ないのです。採用は目に見やすい形で現れるので、会社としても短期的に取り組みやすい課題です。しかし離職率は長期的に取り組まねば成果が出にくい分野。それゆえ、解決が難しい課題です。
あなたの会社では離職率に対して取り組む部署がありますか?一部の大手会社の採用部門には離職対策の人員が設置されています。これは一流と二流の会社を分ける、1つの変数です。

介護事業所があげる、採用が困難な理由

介護職で働く人の不満

採用困難な理由ランキングTOP8

1位:賃金が低い(60%)
2位:身体的・精神的に仕事がきつい(49%)
3位:社会的表が低い(38%)
4位:休みが取りにくい(23%)
5位:雇用が不安定(18%)
6位:夜勤が多い(10%)
7位:キャリアップの機会が不十分(9%)
8位:労働時間が長い(6%)

介護職員が考える労働上の不満

介護職員が考える労働上の不満

介護職員が働きたく無い理由TOP9

1位:人手が足りていない(48%)
2位:仕事の割に賃金が低い(42%)
3位:有給休暇がとりにくい(35%)
4位:休憩がとりにくい(26%)
5位:労働時間が不規則である(12%)
6位:労働時間が長い10%)
7位:不払い残業が多い(8%)
8位:雇用が不安定である(7%)
9位:正職員にはなれない(4%)

 

介護現場で働く職員の、給与水準を他業界と比較してみた

介護職の賃金について

介護職は死と向き合う尊い仕事

介護職は、看護職同様に人の死と向き合う非常に尊い職業なだけに、給与の水準をみていると悲しくなります。とともに怒りも込み上げてきます。この状況の中で、介護報酬が下がってしまっては、更に賃金を下げざる負えないと思っている経営者も多いはずだ。
しかしその考えは間違い。これが一般的な水準ではありますが、この平均給与より高水準で、事業を運営している素晴らしい事業所もたくさんあります。『報酬がさがるから、一生懸命働く職員の給与を下げます』では、なおさらこの業界はダメになってしまいます。

介護経営者にメッセージ

もしあなたが介護経営者であるならば、まずは経営努力をして業務の効率化を行い、生産を高めることによって経営改革を行なってください。他業界からきた者からすれば、現場をみてみると、同じ内容の転記作業を繰り返す職員、ICT化さえ行なっていればする必要のない事務作業、経理処理が、数え切れぬほど存在していることに驚きを隠せないと思います。

介護老人保健施設における売上と給与の関係

介護老人福祉施設の給与水準.png

利用者一人あたりの収入、職員一人あたりの給与、売り上げに対する給与比率の3つの観点についてあげられています。

利用者一人あたりの収入

規模が小さければ小さいほど、一人から得られる売り上げは大きくなります。小さい事業所は、一人からとれるだけ搾り取らないと、事業を運営できないのです。規模が大きくなるにつれて、その傾向は弱まっていきます。

職員一人あたりの給与

一人あたりの収入とは反比例して、大きい事業所であればあるほど、一人あたりの給与水準は上がっていきます。おおよそ小規模より月額で4万円近い差が生じます。年間に直せば50万近くになるので、バカにならない金額。

売り上げに対する給与比率

利用者の収容定員数によって、大きく変化します。55%~58%の間で推移するのですが、31-50人定員の施設になるにつれて売り上げに対する給与比率は増加傾向にあり、そこを機に比率は下がっていきます。大きくなればなるほど、規模の経済が色々な面で効いてくるのです。規模が大きくなれば、初期投資も大きくなりますが、定員50名以上から始めることをオススメしています。

訪問介護事業所における売上と給与の関係

訪問介護における給与比率

課題のまとめ

今後、介護需要の拡⼤に伴って、2035年に更に約100万⼈超の介護職員が必要となる⾒通しです。

 全就業者数に占める介護職員の割合は2倍近く(3.3%→6.1%)となる⾒通し。都道府県によって は、全就業者数に占める介護職員の割合が10%近くなり、介護職員の確保が困難になるという懸念があります。

 2035年時点の介護職員の需給を推計すると、現状の延⻑線上(成り⾏きケース)において、 介護職員が68万⼈不⾜すると⾒込まれています。

 有効求⼈倍率は全産業の約2倍の⽔準となっており、過半数の事業者が介護職員の不⾜を事業運営上の課題として挙げています。

 介護職員の賃⾦は全産業平均、サービス産業平均と⽐較して低い状況にあります。

 介護⼈材の確保について、介護事業者、介護従事者の双⽅から、「賃⾦が低い」、「仕事がきつい」、 「休暇が取りにくい」といった処遇⾯での課題が指摘されています。