介護業界には、介護需要の増加、介護職員の不足、国民負担の増加という3大トラブルを抱えています。この問題を解決するための原資として、介護サービス提供の質と生産性を抜本的に向上するために、地域性を生かした効率的な介護サービスの構築と、将来の高齢者の経済的、社会的なマクロ環境に即したアプローチについてお伝えします。

Contents
被介護者の視点からみる、効率的な介護サービス

被介護者にとって効率的なサービスとは、次の方程式が成り立ちます。
被介護者にとっての効率性
= 被介護にとっての効果/ 被介護者にとっての負担
詳細は以下をみていきましょう。
被介護にとっての効果
①介護サービスの質、②介護サービスの量の担保、③居住の確保の総和になります。
介護サービスの質
サービス質を上げるには、介護職員の負担をへらし、適切な給与を与え、介護の仕事にやりがいをもってもらうことが重要になります。必要のない転記作業などを効率化することが重要です。
介護サービスの量の担保
介護サービスを提供するには、提供する場所と、提供する人がいなくてはなりません。高齢者の数に対して、高齢施設は不足している状態です。合わせて、人員の圧倒的な不足。2025年には40万人近くが足りなくなるといわれいます。介護サービスの総量が足りないのは、大きな課題です。
居住の確保
上記でも伝えた通り、住居の数が圧倒的に足りていません、そこで、国は助成金をガンガン流し込み、サービス付き高齢者住宅をはじめ、施設の開設を進めています。
被介護者にとっての負担
①自己負担(保険外)、②自己負担(保険内)、③介護保険料
自己負担(保険外)
大きくなる傾向にあります。今後軽度者は介護保険から切り離され、サービス事業所は、保険外サービスで利用者のニーズに答え、利益をあげていかなくてなりません。そのため、利用者の負担は増加する傾向にあります。
自己負担(保険内)
増加トレンド。これまで1割負担だったのが、2割負担となる人々もでてきおり、3割負担の対象社を協議がすすめられています。
介護保険料
介護保険料自体は安くなる傾向になります。ともすれば、実質の負担額は増えるものの、そこまで大きくならない可能性も。2018年の報酬改正が楽しみですね。
国民の視点からみる、効率的な介護サービス

国民にとっての効率性
=国民にとっての効果/国民にとっての負担
で表すことができます。
国民にとっての効果
介護サービスの質・量の担保、移住の確保、介護離職の低減の総和になります。介護離職の低減についてみてみましょう。
介護離職の低減
介護サービスの総量をあげることで、介護負担を減らし、介護で疲れてしまう人を減らさなくてはなりません。
国民にとっての負担
保険料・税負担の総和です。今後は保険を払う総数が減って行くので一人当たりの負担額は大きくなっていきますね。
事業者の視点からみる、効率的な介護サービス
事業者にとっての効率性
=事業者にとっての効果/ 事業者にとっての負担
事業者にとって効果
事業収入のうち、保険内収入は削減されていくので、保険外収入をいかに獲得するかが肝になってきますね。サービスに対してお金を払ってくれる平均所得者以上をターゲットに多様なニーズに答える必要がでてきています。
事業者にとっての負担
①人材コスト、②コンプライアンスコスト、③設備投資の総和になります。
人材コスト
需要多寡!必要な人材数に対して、現状の人材数の圧倒的な欠如がみられます。そこで、今後も人材コストは増加していくでしょう。この2、3年でも獲得コストは10倍くらいになってきています。
コンプライアンスコスト
介護事業において事故は事業の終焉を告げますね。メッセージさんがいい例です。そこで、コンプライアンスには企業が力をいれて行なっています。案外費用がかかりますね。
投資設備
ハコモノ系サービスとなると、数億円かかってきますね。オリンピックに向けて、建築コストも増えてきているので、設備投資の金額も、今のコストの1.5~2倍まであがってくるでしょう。
介護職員の視点からみる、効果的な介護サービス提供

介護職員にとっての効率性
=介護職員にとっての効果/ 介護職員にとっての負担
で表すことができます。
介護職員にとっての効果
①給与、②やりがいの総和。
介護職の給与は一般業界より低く、給与も、効率よく運営すれば、それなりに提供できます。平均年収400万を超える介護施設もあります。企業努力が足りない介護事業所が多いかもしれません。
介護職員にとっての負担
①労働時間、②労働負担の総和。
現状非効率がたくさんある現場を効率化する必要性がありますね。
最後に
全体をみてみると、①介護職員の負担を減らすこと、②介護職の労働時間を減らすことで、多くの問題が解決できます。この問題に気づき、国も提唱するICT化を真の意味で実現できている法人になることが、生き残る早道となるでしょう。