デイサービスで、業務効率化を推進する方法についてお伝えします。デイサービスでの業務を分類した上で、負担が大きく、ICT化を含め一般的に業務効率化のインパクトが大きいところについて重点的に内容を深めていきましょう。上記の図の通り、大きく以下の4つの業務に分類されます。
- 直接的な介護業務(4割)
- 介護業務の準備作業(2割)
- 送迎(3割)
- 間接業務(1割)
あなたは、効率化において重要な事はなんだと思いますか?答えは、介護業務以外、いわゆる間接業務をを削減することです。これらの業務の中で、コアな介護業務以外は、早期に効率化しましょう。(オペレーションを構築するのには時間がかかりますからね。)そうすることで、職員の負荷を減らすことができ、職員にとって働きやすい環境になります。
とはいえ事業運営自体が回っていれば、効率化する必要を感じてないかもしれませんが、今後はそうはいきません。なぜなら、2025年には、介護労働人口の減少で40万人ほど職員が足りない状況になるからです。うまく介護業界が回る仕組みを国は考えて、報酬を削減していかなければならないのです。
そこで、前提として今より圧倒的に少ない介護スタッフで事業を運営できる仕組みを、業界全体として作ることを要請されています。これは社会からの要請であり、必要不可欠な事項なのです。実現できなければ、あなたの会社は倒産するしかないところまで来ています。そんな厳しい時代にあるのです。しかし、業界の常識を変えるのは大変ですよね。タブレットや、スマートフォン、ICT化は、なかなか理解されていないのが現状です。そこで、本日は具体的に改善できるポイントについて見ていきましょう。
Contents
デイサーサービスにおける業務負荷の多い業務
デイサービスの業務は、これからあげる4大業務の他にも、入浴手伝い、室内清掃、食器片付け、昼食準備、請求・収支管理作業、口腔ケア、ドライヤー、トイレ誘導、PC入力、洗濯たたみ、お茶準備、送迎車乗降、体操、バイタル測定、食事介助、申し送り、軽作業準備、入浴後掃除、入浴前準備、帰宅時の荷物準備、昼寝準備、下膳、配膳、配薬、ケアマネへの報告書の作成等があります。今回は、一番業務負荷の高い点についてみていきます。
- 送迎:26.8%
- レクリエーション:13.4%
- 記録:8.9%
- 更衣手伝い:6.7%
上記4つが全体業務の負荷の50%をしめ、通所介護(デイサービス)における業務負荷の高い仕事になります。それぞれの内容について、どのように改善を測るべきかお伝えしたいと思います。
送迎業務の改善・効率化
送迎表のうまい運用の仕方と、今の現状についてお伝えします。
送迎マニュアル
送迎業務で決めるべきは、マニュアルシートをちゃんとつくること。例えば、”今日は山田さん、吉田さん、加藤さんの送迎お願いします”といって利用者の住所の書かれた紙だけ渡されても、どの順番でまわったらいいかわかりません。送迎ルートも覚えてねっていわれても、体調不良で、利用者がかわるだけで一大事ですよ。曜日によって来られる利用者も違えば、体調不良によって利用者も変わってしまうので送迎表をつくるのも一苦労。回る順番によって、送迎の時間にも大きく影響してきますよね。この回る順番をつくるのが手間かかるし、時間を使います。
送迎作成の自動化、ICT化の推進
上記のような背景からか、最近では、送迎管理をサポートする会社もでてきています。当日の利用者、担当の職員、ルートまでをwebで作成でき、利用者のおうちまで地図で案内してくれます。それによって一番負担のかかる送迎業務のサポートをすることで、事業運営が楽になったという声が増えています。あなたの事業所では送迎管理のICT化は進んでいますか?この改善をはかるだけで、ガラッとデイサービスびおける事業負荷は変わります。逆に職員の腕のみせどころと思うかもしれませんが、誰でもできるオペレーションを構築することは大事です。
送迎のICT化をすることの利用者へのメリット
ICT化をすることで、一番の恩恵をうけるのは事業所ではありません。介護サービス提供先である利用者です。効率の悪い送迎は、利用者に多大な負担を与えます。車での移動はつかれますから。事業所の業務負荷をなくして業務改善を計るだけでなく、利用者への負担も削減し、事業運営を効率化してみはいかがでしょうか。
リクリエーションの改善・効率化
レクリーションは、デイサービスの顔!といってもおかしくないくらい、重要になってきますね。そこで、レクリエーションの素材の集め方について紹介します。
デイサービスでのメインはレクリエーション
利用者はデイサービスにきて、レクをしている時間が一番長いでしょう。週1〜週5まで利用者さんによって利用回数は様々ですが、毎回同じレクリエーションサービスでは、利用者さんも飽きてしまいますよね。そこでデイサービスのスタッフは、いろんなレク素材を集めていることかと思います。ゲーム系のレクリエーション、クイズ系、体を動かす系、カラオケ系、ギャンブル系いろいろありますよね。
レクリエーションを探すのって結構大変
実際レク素材を探してみると、webで検索したり、レクリエーション専門ショップで購入したり。なんでこの紙が1万円するの?というような高額なレクもあったりします。定期的に利用者に提供するレク素材を準備するのは、職員にとっても案外負荷のかかるものです。そこで、今の時代レクリエーションの準備まで効率化が進んでいる事業所もあるのです。
レクリエーションの効率化
レクリエーションを定期点にあつめるのは大変ということで、レクリエーションを無料で定期便のような形で提供してくれるサービスがあります。そういった、レクを自動で更新してくれるサービスの導入によって、利用者の満足度を上げ、職員のレク素材を集める手間を省くことで業務の改善を行うことが重要で、利用者の満足度を向上させながら、職員の負担を減らしていくこともできるのです。
記録の改善・効率化
無駄な転記作業。実地指導のために生まれるこの悪態。実地指導のために、デイサービスでは、介護記録、業務日誌、連絡帳を残さなくてはいけませんが、ほとんど同じ内容。なぜ同じ内容を違う用紙に記録しなくてはいけないのか。そこで、この同じ内容を転記するだけの無駄を省く方法と、その効用について紹介します。
紙でサービスを記録して、あとで転記していませんか?
デイサービスでは一般的な利用者の出欠管理から、入浴加算の管理、機能訓練まで記録をして、あとで記録した紙を元に、パソコンにデータ入力を行い、月末に紙と実績データをダブルチェックして国保連に請求を行っています。これはひと昔前の事業所で見られる光景です。いわゆる介護保険原始時代の方法です。では、高品質のサービスを提供する事業所の方法について見てみましょう。
タブレットで実績入力、月末に一覧でエラーチェックするだけ
品質を重視したデイサービスの記録方法についてお伝えします。まず介護サービスの提供、一括で利用者の出欠管理を行い、サービスの提供をタブレットで記録、その記録が実績に連動し国保連請求を一括で行えます。そのデータは、業務日誌、介護記録、連絡帳に同期します。
これによって40%くらいの業務削減ができるのです。定員10人のデイサービスだと時間にして2時間くらいの削減なので、月に換算すれば40時間以上の削減につながります。加えて、タブレットで入力した、バイタル、排泄、水分、食事、おやつ、レクetc…情報については、クラウドで管理できるので、いつでも、どこでも、誰でもみることができるのです。
ICT加算をとるポイントは、実績から請求までを一連で行えること
上記を実現することで、次の法改正からICT加算を取得することができるようになっています。あなたの事業所ではもう体制を整えていますか?仕組みを作るには時間がかかるので、早めに取りかかることが重要です。対応しなければ、職員の給与を下げるしか方法はないかもしれません。もし職員の方がみていたら、ICT化をしている事業所に早期に転職することをおすすめします。
業務効率化の効用
業務効率化によって、いい事がたくさん起こります。
1.介護の記録の標準化ができることで、介護の質があがる
介護の業務効率化をすすめていくと、オペレーションを決める作業になるので、介護の記録も標準化されていきます。それにより属人的なケアの記録や、モニタリング、計画表の作成から、全ての職員が同じように記録をすることができるようになり、適切なケアの改善を回していくことができるようになります。
2.職員の負担が減り、離職率が低くなる
無駄という無駄を全て省いていくことになります。それより職員の負担が減り、離職率が低くなります。業務効率化をしている事業所と、効率化を積極的に取り組んでいない事業所では、離職率が2倍になるというデータもあるくらいです。いかに職員が働きやすい環境をつくっていくか、経営者や管理者の責任ですね。
3.利用者の満足度が上がり、利用者獲得に繋がる
職員がより利用者と向き合う時間を捻出できるため、結果として介護サービスの質があがり、利用者の満足度あがります。長期的にみても、口コミでの利用者の獲得が容易になり、事業の運営を安定させてくれます。
業務効率化の事例
今回は、実施にあった3つの事例をみてみます。
ケース1:利用者がいる間に業務をしなくてよくなった
東京都内、10人規模のデイサービスの事例。あなたが、デイサービスで勤務していれば、利用者のケア中にパソコンで入力をしたり、事務作業をしている職員をみかけることでしょう。しかしこの事業所では、タブレットを用いたサービスの記録を導入しました。そうすることで、利用者がいる間、事務作業をする必要がなくなり、利用者とむきあう時間が増えました。無駄な転記作業もなくなったので、職員の募集をしなくていいというところまできたそうです。
ケース2:定員数の拡大にともなう事例
大阪府の事例。20人規模から、30人の定員に増加。拡大にともなって、確率したオペレーションがなく属人的に運用していたため、てんやわんやになってしまいました。そこで、オペレーションの再構築を行いました。入浴のニーズが高く、入浴にあてるスタッフを強化しました。すると、どうしても高齢者を放置してしまうことになりがちに。そこで、様々なレクを用意して、入浴のサポートをしている間も、高齢者が遊べる環境をつくりました。タブレットでのカラオケアプリなども、高齢者同士でたのしむことができ、助かります。レクリエーションを自動的に用意してくれるソフトは、同時業務の並行で役立ちました。
ケース3:採用の効率化
神奈川県の事例。デイサービス定員30名。業務効率化を進めてからというものの利用者からの評判だけでなく、職員からの評判が格段にあがりました。そのため、ハローワークのみで人員の募集が行えるような状況です。よく面接にきた人員を全て採用するという話をききますが、この事業所では人を選べる状態にあります。いい人材を集めることができれば、長期的に働いてもらい、利用者への満足度もあがるのです。とくに同じ空間にずっといなくてはならないデイサービスにおいて、いい人材が集まることは重要です。
導入した事業所で出た疑問
今ではタブレットや、スマホをフル活用している事業所でも、導入当初は、職員の反対が大きい場合が大半。仕組みになれた今だからこそ、残業もせず、事務作業でなく、本来すべき介護業務に専念できています。そこで当初にあがった疑問についてまとめました。
最後に
業務を効率化することで、スタッフの無駄な時間を削減できれば、スタッフが働きやすく離職率が下がるだけではなく、介護サービスの品質が標準化され、利用者と向き合う時間が増えるために、満足の向上も見込めます。効率化というと、一見介護を軽視しているという声もあがってきますが、その逆で、介護業務に集中していただくための環境整備なのです。ぜひ、あなたの事業所でも効率化を促進してみてはいかがでしょうか。
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