ICT化の事例について日本の介護事業所で既に上手く導入が促進されている事例を紹介しながら、一般なICT化のデメリット、国が推奨するICTの導入の進め方まで紹介していきます。
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ICT化の事例集
実際にICT化の事例をみてみましょう。
事例1: 地域見守り安心ネットワーク
独居高齢者宅に見守り装置と赤外線センサーを設置。電気使用量について異常が見られる場合はコールセンターに自動発信し、高齢者福祉施設、訪問系サービス事業所等へ緊急連絡が入る仕組み。外線センサーによって、睡眠状態の確認や、転倒防止、発見につなげています。遠方に住む家族へも緊急メールや生活リズム情報等を提供し、パソコンやスマートフォンから確認が可能です。
事例2: おもいやりケアシステム
ケアサービスの向上と事務処理の簡素化を実現するための業務効率化に特化したケアシステム。iphoneアプリとwebシステムを連動したクラウドシステムを採用し、介護現場でのリアルタイムの情報共有と事務処理を行い、ケアマネジャーや家族へ情報をweb配信。共有によって他の介護職員が作成した記録が閲覧できることから、記録の精度が向上し、データの蓄積によって過去に遡っての確認及び閲覧が可能。
事例3: 「ニンニン pepper」
ソフトバンクロボティクスが2015年2月に主催した「Pepper App Challenge 2015」で最優秀賞とソーシャルイノベーション賞を受賞した、フューブライト・コミュ ニケーションズ作成のもので、ユーザーに声をかける目覚まし機能や、曜日・時間を認識させるような対話をする機能、スケジュールに沿って服薬を促す等の機能を提供することができます。2015年3月には、神奈川県川崎市のデイケアにおいてフィールドテストが実施されています。
ICT化のデメリット
情報漏洩のリスク
よく挙げられるのが、情報漏洩したらどうするのかという懸念。実際にICT化を進めたことで情報漏洩したという事業所はご存知でしょうか?おそらく99.99%の方がNoと答えるでしょう。実際、ネットで介護における情報漏洩を調べても、そういった情報はほとんどでてきません。初めてインターネットに触れたときの、”なんか怖い、大丈夫なのかな。”といった感覚に近いと思います。いまどきウェブでものを購入するのが怖い人はほとんどいないですよね?
紙で管理する方が、情報漏洩のリスクは高い
ICT化をすすめるよりも、紙で情報を管理して、紙を落としてしまったり、間違った相手にファックスを送ってしまったり、ICT化よりも漏洩リスクは高いのです。FAXを間違えて送ってしまったという事案のがほうが、あなたも耳にしたことがあるのではないでしょうか。ファックスは送る前に上長のチェックをいれている法人さんや、ファックスは全面禁止にし、ケアマネからの要望がない限りはメールでやりとりを行うという法人も多いですね。
推奨されるICT化のステップ
おおきく3つのステップにわけて、ICT化をすすめていきます。現状では、ステップ1にすら達していない法人がほとんどです。
STPE1: 利用者情報の集積とサービスのリンク
各事業所における利用者情報の集積を行い、それに対して行ったサービスの詳細をリンクさせることで、その効果をも含めて管理していくステージ。現状、紙で管理するため情報がバラバラになっており、こちらの情報をクラウド上入力、いつでも、どこでも、誰でもみれるような状況を作る必要があります。あなたの事業所では、どうでしょうか。
STEP2: 集積された情報を地域で活用できる環境
病院、介護施設、地域包括、各市町村にあるNPOやボランティア法人等、利用者の情報の共有ができている状態が2段階目です。そうすることで、各プレイヤーは独自に情報を使い各々の立場から高齢者の適切なサポートが用意になります。自分の蓄積したデータだけでなく、他の事業者のデータも使えるようになることを目指しています。実際できるようになると便利ですよね。
STEP3: 自治体が各データを集積し、活用できる状態
最終段階すべての情報を集約し、1つの有機的な意思決定機関として機能すること。各事業所が部分最適を行なっているだけでは、どうしても全体としてよくなっていきません。そこで最終的に、全ての情報を集約し、全体の同行を決定していくのです。
最後に
ICT化は、まず情報のデータ化に始まり、各医療介護機関がつかえるように環境構築をしたあと、データを集積し、自治体がビッグデータを活用し、アクションプランにおとしこむ順番で進めていく必要がありますが、現状ステップ1を達成できていない法人がほとんど。業務効率化のために、いち早くICT化を目指しましょう。
参考
・市区町村におけるICT化の事例
https://www.nri.com/jp/opinion/r_report/pdf/201502_report_2.pdf
・公益社団法人 全国老人福祉施設協議会ICT(情報通信技術)による新しい介護ビジョンの構築に係るプロジェクトチーム 報告書
http://www.roushikyo.or.jp/contents/pr/proposal/detail/67?attach=true&fld=att1
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