ニチイ学館の中長期戦略を見てみよう!

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介護業界最大手であるニチイ学館の中長期戦略について調べてみました。これまで主力は、医療関連事業、介護・ヘルスケア事業の2事業で行なっていましたが、今後は主力を4事業に増やして経営を行なっていくようです。

ニチイのミッション

  1. 中国での新たなる介護市場の創造と健全な市場育成
  2. ニーズに応えるサービス提供、スタッフの育成と雇用の創出

全体戦略

戦略の前提

国内事業環境として、人口の減少により、労働力の減少は明確になり、人で成り立つ産業にはパラダイムシフトがおこると捉えています。その上でグローバル展開に主眼を置いています。日本の縮小は目に見えているので、いかに外貨を稼ぐことができるかは日本企業にとって大きな命題です。

第1の柱: 医療関連事業

これまで業界シェアNo1で、収益性の堅実さを誇り、継続課金で安定して利益をあげています。今後の戦略としては、利益を重視し、高付加価値化に舵をとる方針です。決算書を見ても、単価の低いビジネスでは赤字、単価の高いビジネスでは高収益をあげているので、ニチイの中で成功パターンが出来たのかもしれません。

第2の柱: 介護・ヘルスケア事業

成長事業として、こちらも業界ではNo1として牽引してきました。今後は、人材育成、生産性の更なる向上に力を入れて、成長させていく方針です。人材育成は、既存の介護事業のサービスの品質向上につながるだけでなく、単価の高い人材ビジネスでの収益も、すでに見込めているのでしょう。

第3の柱: 教育事業

これまでは事業分の人材育成としての立ち位置でありました。しかし、今後は語学事業で業界トップのポジションを狙い、グローバル事業へと展開する方針を打ち出しています。私は、介護教育かと思いましたが、語学教育でNo1を狙っていくという点で注目する事業です。

第4の柱: 保育事業

こちらも業界トップポジションを目指すことを打ち出しています。医療関連のみならず、介護事業スタッフの子育てもサポートしていくようです。こちらは事業としての成功に合わせて、採用が難しい介護事業において、メインの労働力である20代-40代の女性が働きやすい環境を作ることは、事業の基盤作りに大きく貢献します。そうすることで、保育所の空き待ちターゲット層の獲得が促進し、働きやすい職場の実現により、離職率の低下へと繋げることができます。

グローバリゼーション戦略

1st stage: 介護モデルを主軸にした中国展開

2015年にスタートしたこの事業は、2019年までの5カ年で計画が立てられており、粛々と進められているすでに黒字化を実現し、幸先のよいスタートをきっているようです。中国展開のキーワードからみられるように中国でも、No1を目指しているのが伺えます。加えて、事業者連携を謳うことから、M&Aもどんどん促進していくと思われます。

2nd stage: アジア太平洋地域などで更なる展開

こちらに関しては、まだ発表はされていませんが、同じように介護事業での展開は進んでいくでしょう。フィリピンでは看護師の卵が大量にアメリカに留学に行き、良質で格安のグローバル看護師がいるので、もしかすると看護師の人材紹介も、とりかかりとして可能性はあるかもしれないです。

中国での事業展開

  1. 在宅介護: ”ニチイの強み”コアコンピタンスを最大限発揮
  2. 高品質: 事業コンセプトの”三優”の実践、”ターゲット層”の絞り込み
  3. ローカライズ: 地域特性を取り込み、地域最強を目指す
  4. スケール: 全土収容地域の事業会社連携で”大規模グループ”へ

マーケット戦略

3つの方法で介護市場の創造を目指しています。ミッションにある、雇用の創出にも繋がっていますね。

一般ルート

インターネット広告や、従来のマーケティング手法を使って広めていきます。

地方行政ルート

社区(コミュニティ)デイケアモデルを活用していきます。(デイサービスとショートステイ)社区の単位で中国は区切っています。

既存事業活用ルート

世業モデルで促進します。(家政、産後ケア等)

ニチイ方式

教育から終業まで

指導員の養成、スタッフの養成、採用、サービス提供を切れ目なく実践することで、質の高い人材の育成や、顧客満足の向上を実現します。日本流の”Kaizen”らしい発想ですね。そして、この人材養成スキームの強化に加えて、スタッフを、専門家(スペシャリスト)、経営幹部をして登るためのキャリアップ制度まで考えられています。

日医ブランド

ブランド名を”至護”から”日医”へ変更。日本ブランドを打ち出すことで、ハイクオリティーのイメージを担保し、高単価実現のための、プレミアムブランドを目指します。

ローカライズ・スケールアップ戦略

ビジネス基盤構築期

地域事業会社を毎年5支店新たに出店を計画。そこで職業訓練校でのスキルアップサポートしてからの、支店への送り込みによりハイクオリティーの実現を計画。

安定成長期

2021年以降を、安定成長期として定義し、介護事業を本格的に稼働。20~25倍の成長を考えています。要するに400社~500社程度までの成長をすでに見据え、中国での展開を考えています

最後に

ニチイは、この中国展開の人材養成(養老介護2兆3,000億, 家事代行6,000億, 産後ケア1,500億, 保育2兆800億)の5兆1,300億円のマーケットに挑戦をトライしていきます。このマーケットでNo.1をとることができれば、ニチイは頭1つ抜けることになるでしょう。