医療介護連携に重要な4つのこと

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ダブル法改正が待ち構えています。医療と介護の2つが一緒に改正されるということで注目もされていますね。厚生労働省の資料を見てもなかなか難しくてわからないので、ポイントをまとめました。

介護医療連携の必要性

そもそも、なぜ必要なのでしょうか?疑問にもたれる方もいらっしゃるかもしれません。介護医療の現場に行ってみたところ、ヒントは現場にありました。

地域包括ケアシステムの構築

地域包括ケアシステムとは、高齢者の”住まい”から30分圏内で生活ができる環境をつくるための仕組みです。介護だけでなく、医療、住まい、生活支援、予防が一体的に共有されることが重要となります。施設のキャパだけでは高齢者をサポートできません。そこで昔の村社会にあったように、”みんなで支えよう、助け合いの精神だ”そんな仕組みが地域包括ケアシステムです。さて、どのように実現できるのでしょうか。

地域包括を実現するために、情報を可視化する

医者、看護師、ケアマネ、薬剤師、リハビリ職、もっと言えば役所の人、美容師さん、宅配のお兄さん、近所のタバコ屋さん、全ての住民が、様々な形で関わることになります。彼らがみなで協力できる体制を作るためには何が必要でしょうか。彼らは、高齢者の状況を知らず助けることができるでしょうか?いや、難しいでしょう。

”病状の知らない近所の高齢者”をそれぞれが、病状の把握からスタートし、情報が何もないような状態で連携したら、サポートする人のフラストレーションも溜まります。うまくいかないですよね。

連携ために、各プレイヤーが提供した情報が最低限、データとして可視化されていることが重要です。

地域の資源を確認する

地域で使える資源は違う!そうなんです。地域で使える人材も、施設も、団体も異なってきます。そのため、自分のエリアにはどんな人材、物資資源があるかを確認することが重要です。そこまで国が一律で管理することはできないため、地域に依存する部分が大きくなります。

医療と介護の連携の4ポイント

大きく高齢者を助けるシーンは決まっています。それが以下の4つになります。それぞれ、どのような点が重要になるか見てみましょう。

1.退院支援

早期退院が迫られます。もともと退院は、20日を目安にされていました。しかし、法改正によって、急性期病棟での早期退院の必要がでてきました。高度急性期で15日程度、一般急性期なら9日程度での退院を強いられます。そこで、病院と在宅復帰への支援が重要になっていきます。

退院の早期化による、オペレーションの変化: 医療と介護のシームレスな連携

想像してください。これまでの半分の期間での退院を、患者と病院は迫られます。要するに、退院する患者の総量数が増加します。患者の回転数が増えるからです。そこで多くの患者を外の機関と連携を取りながら、日常の生活に復帰していただかなくてはなりません。倍の患者を対応するのに、同じオペレーションで回すことができるでしょうか。難しいでしょうね。

介護施設との連携: アウトソースの状況を把握する

基本的に高齢者の入院後、機能は低下する。入院をした高齢者は、体を動かすことができなくなり弱体化していくことが多いです。そのため高齢者は退院後、施設に一時的に入る、ないしは施設暮らしになることになります。その時に、病院側としても、どこの施設で受け入れが可能で、利用者のニーズに合わせて探すのがとても難しいです。スムーズに退院をすることができるための、外的リソースの把握は1つの課題です。

連携の際の情報連携: 情報をデータ化する

連携する施設が決まりました。そこで、次に起きるのは患者の情報の共有です。一般的に紙で管理していることが多いので、データでの共有が難しく、連携のためのコミュニケーションが増加します。患者がどんな状況にあり、どんなケアを受けてきたのかデータ化することが、連携への近道となります。

2.日常の医療・介護支援: 他職種コミュニケーションを支援

日常の暮らしの中でも課題はたくさんあります。様々なサービスを利用者のニーズ(軽度、重度)によって、網羅的にうけることができる体制づくりが重要です。かつ継続的に提供できるものでなくてはなりません。

他職種連携

利用者は自分の生活圏内で様々なサービスを受けることになります。つまり、利用者に関わる人物が複数いるということです。しかし、彼らの中で情報の連携が取れていません。現状を正確に把握できない中で、ケアを提供しなくてはいけないのです。これがどれだけ危険なことかわかりますか?ちょっとしたミスで死に至ってしまうにもかかわらず、こんな当たり前のことができていないのです。

家族への支援

家族支援も重要。ケースによっては、家族は高齢者の方と一緒に住んでいるわけではありません。もし、あなたの家族がケアを受ける状況にあると考えてください。本当に適切なサービスを受けれているか心配になりませんか。私は心配です。一緒に暮らしていればいいですが、独居の老人や、施設に入ってしまえば、家族の側にいることができませんから。

そういったご家族への情報共有は重要ですよね。しかし、紙で患者さんを管理していれば、家族への共有も難しいです。そこで、患者の情報をデータ化し、ウェブ上で共有できるような仕組みが必要になってきます。

重要になってくる機関

ここでは次の機関が関わってくるでしょう。ショートステイ、診療所、訪問系サービス、地域包括センター、介護老人保健施設、在宅医療において役割を果たす医療機関等。

3.急変時の対応

高齢者の体調は変わりやすい。日常の生活を過ごしていても、危険な出来事がいっぱいです。そのため円滑に入院機能のある病院、在宅医療を担うクリニックや訪問看護事業所との連携が重要になります。

緊急往診体制: いつでもどこでも必要な時にデータの活用

病状急変時における連絡先をあらかじめ在宅療養者やその家族に提示すること。また、求めがあった際に24時間対応が可能な体制を確保することが重要です。24時間対応が自院で難しい場合も、近隣の病院や診療所、訪問看護事業所等との連携により24時間対応が可能な体制を確保することを必要とされています。

入院病床の確保

在宅療養支援病院、有床診療所等において、連携している医療機関、特に無床診療所が担当する在宅
療養者の病状が急変した際に、必要に応じて一時受け入れを行うこと。重症で対応できない場合は、他の適切な医療機関と連携する体制を構築することが求められています。

4.看取り

住み慣れた町で最後を迎えることができる体制を整えることです。

患者の不安のない環境づくり

終末期は、患者だけでなく、家族も不安を抱えています。そこで、患者、家族が不安のない体制を作ることが重要です。家族と連絡をとりやすい体制づくりが必要です。

介護施設の看取りの支援

施設によっては看取りを十分に対応できない施設もあるので、看取りを訪問看護に協力してもらうなどの体制づくりが必要です。

まとめ

基本的に行なっていることはシンプルです。情報を見える化して、共有できる仕組みを作りましょう。そして情報を元に、町ぐるみで高齢者を支えましょうということです。そのために、することは連携先が加わるだけで、以下の4STEPになります。

  • ステップ0: 連携先の取り決め
  • ステップ1: 情報のデータ化。
  • ステップ2: 情報の共有の仕組みの構築。
  • ステップ3: データの活用

を進めるにあたって、どこでつまづいているのか、考えてみてもいいですね。