業務効率の影響が一番大きいのは、訪問介護!しかし業務効率化、サービスの品質の標準化などの改善が進んでいない事業所が多いのが現状です。そこで、本日は訪問介護の実態を徹底分析をし、どのように業務効率化を進めていくことが出来るかをみてみましょう。
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訪問介護の業務内容
大きく①身体介護、②生活援助、③移動に分類することができます。約70%が介護業務、30%が移動業務にあたります。では介護業務の負担内訳もみてみましょう。

身体介護
- サービス準備・記録: 6.5min
- 排泄・食事援助:18min
- 清拭・入浴: 28min
- 体位変換、移動、外出援助: 19min
- 起床・終身援助: 9min
- 服薬援助: 6min
- 自立支援の見守り: 18min
- その他: 20min
生活援助
- サービス準備: 6min
- 掃除: 28min
- 選択: 17min
- ベットメイク: 8min
- 衣類の整理: 11min
- 調理・配膳: 32min
- 買い物、薬の受け取り: 29min
- その他: 11min
訪問介護の業務の内容・流れ
上記のグラフが、訪問介護における一連の業務になります。こちらの赤い点線で囲っている部分が、改善をできる部分になってきます。以下のプロセスで業務を行なっていきます。
- 申し送りの確認・伝達
- 利用者の状況確認
- ケアの提供
- 介護記録
- サ席への報告
- 業務日誌の記入
- 帳票管理
1.サービス提供前の情報共有

▼改善前
登録ヘルパーや職員は、事業所にいって、申し送りを確認。事業所特定加算をとるための条件でもありますね。
▼改善後
ヘルパーは、訪問前にスマートフォンや、タブレットを活用して、自身のスケジュールと、提供サービスのないよう、申し送り事項の確認を行う。利用者のお宅への直行直帰を実現できます。加えて、利用者宅でこれまでの介護サービスの提供内容情報について時系列で確認できます。複数の担当ヘルパーが一人の患者さんをみていても、データは共有されるので、申し送り事項を見落とすことはありません。
2.記録作成時間の省略を可能に

▼改善前
ヘルパーが紙で提供サービス内容を複写式の用紙で記録を行う。(チェック形式で簡単に入力が可能)事業所に戻ってサービス責任者に記録用紙を渡し、サ責がパソコンで記入を行う。
▼改善後
ヘルパーがスマホ、タブレットでサービス内容を入力。記録した内容は、実績とも連動するためサービス提供表に転記が不要になる。サ責はパソコン上でサービスの提供内容を確認する。月末に残業して、ダブルチェックから、記入漏れがあった場合のヘルパーへの確認を削減することができる。
3.リアルタイム情報共有

▼改善前
ケアマネから電話でやりとりを行う、サービス担当者会議を開催。必要があれば、ファックスで情報を共有。欲しい情報をうまく連携できないため、コミュニケーションに時間がかかる。
▼改善後
医師やケアマネは、リアルタイムで、状況をパソコン上で確認できるため、正確に状況を把握することができる。特に医師、ケアマネからは定量的な情報が必要となるため、標準化されたシステムでの記録は情報を吸い上げやすい。
帳票類を紙で管理する必要がなくなる

▼改善前
紙で管理、倉庫が必要なくらいに紙を使用。紙料金もばかにならない。月間2000枚は印刷している事業所はざらにある状況。
▼改善後
サーバー上で管理。基本的な帳票類は不要に。紙で管理することなく、web上でアセスメント、サービス計画書、モニタリングを初めとする帳票類の編集から、保管を行うことができる。紙が不要になるため、紙料金だけでも年間数百万円のコスト削減にもつながる。
訪問介護の業務効率化のポイント
ケアマネージャーとのやりとりを効率化する
訪問介護では、わずかな時間の違いでサービス区分が異なってきます。内容の変更がある度にサ責はケアマネージャーに提供票の修正を伝えなくてはなりません。この業務が介護職員の日々業務の中では負担になります。変更は頻繁に起こりますからね。(一発で連絡つながればいいけれど、電話つながらなかったりすると、何回もかけたり面倒です)
特に利用者さんが、サービスの利用日に病院に行く予定がある場合、病院の混雑具合で開始時刻が遅れることも多々あります。電話での報告では、ケアマネージャーに十分に伝わらないこともあります。月末の忙しい時期になって、確認の電話が何度も入ることも経験したことがあるのではないでしょうか。
こうしたお互いの余計な業務負荷を削減するために、「ケアした時間・ケア内容・実績単位数」をその日のうちにケアマネージャーにデータとして共有をすることが重要です。もし、あなたの事業所でそういった介護ソフトを導入していない場合、ファックスを利用することもできるでしょう。こういったとことで、データでやりとりができるとミスなく、ストレスなく、お互いの時間を有効に活用することができます。
事務処理を削減することで、
介護職の本来業務は、介護サービスの提供です。しかし、介護職員には甚大なる量の記録、計画書を始めとする書類の作成、請求のダブルチェック、ケアマネへの連絡事項のまとめ、連絡帳、介護日誌等を行なっていかなくてはなりません。だいたい記入する内容は、同じ内容にも関わらず、何度も繰り返し転記しなくてはならないのです。
こういった無駄な作業を削減してください。転記をタブレットや、スマートフォンを活用した介護ソフトを導入することで、大幅に削減できます。想像してください。例えば、正社員のヘルパーさん。30人の利用者さんを見ている。週に3回づつ入っており。90回の訪問が必要。この90回分の記録に、毎日1-3時間かかっていたとします。月で、30~90時間の業務削減をすることができます。
すると、訪問件数を上げることができ、かつ従業員の時給が1000円とすると、残業代が3万~9万削減できるのです。10名いる事業所であれば、30万~90万のコストの削減になります。
加えてその分、訪問に行くことができるの、10人の職員が、1日1件訪問を増やすだけで、売り上げは、1件×20日×10名=200訪問分の売り上げを計上することができるのです。
これはあくまで理論値ではありますが、同様の状況にするのはイメージすることができると思います。より正確なデータをもとに計算をしてみましょう。
実際に効率化を実行してみた

訪問介護の平均職員数:8名,1日の業務時間8時間,勤務時間のうち介護記録業務12%,電子化による効率度合い40%とすると、1事業所あたり2.25時間の業務の削減ができます。1ヶ月煮直すと、単純計算で67.5時間の削減になります。
費用対効果

上記の時間を削減できるとすると、この規模で4万円近い削減を月間ですることができます。10事業所あれば、40万円の削減にもつながります。年間でならすと500万近いのでコストメリットは大きいですね
生産性の向上

次は生産性についてみてみましょう。1.6%の生産性の向上につながります。それにより、ケアの質の向上、職員の打ち合わせの業務時間の短縮、他職種連携におけるサポート。記録のグラフ化、時系列での参照、報告書の充実など、様々なところで生産性は向上します。
業務を標準化することで、安定した運営を行う
効率化は、オペレーションの確率を進め、だれがやっても一定の品質を保つのに役立ちます。業務の標準化の進め方についてお伝えします。実際に業務の標準化に取り組んでいるのは、全体の60%というデータもでています。まだまだこの業界では浸透が遅れていますね。標準化を進めることで、利用者の状況の違いを前提に、どのような状況の利用者に対しても、全ての介護スタッフが等しく、介護サービスを提供することができます。
作業手順、記録内容の標準化
実際のサービスの作業手順や、利用者に対して行う説明の内容、訪問時に収集する情報について、必要項目を明確化し、人によってバラツキがないようにします。そうすることで、誰がみても記入カテゴリが同じのため、状況把握をスムーズに進めることができます。
人材育成の円滑化
業務の流れを標準化することで、あたらしく入られる方も上司の教え方によらず、一定のサービスを提供することができるようになります。仕組みがあることで教える内容が明確のため、管理者にもなりやすく。事業拡大に必要な、人材育成もスムーズに進めて行くことができるようになります。
証拠に基づく介護の実施
全てのスタッフが、同じ書式で介護記録をのこしていくので、情報の統一化を可能にします。それにより、担当が変わった際の情報の共有や、臨時で業務を代行するときに、正しいデータをもとにサービス提供できるため、適切サービスの提供を可能にします。
業務プロセスの無駄を発見できる
プロセス、方法について標準化を行なっているため、評価項目が同じになります。バラバラの書式では何がいいのか判断できませんでしたが、みなが同じプロセスを経てサービスを提供するので、どこにボトルネックがあるのか、なにを改善することができるのかを明確にすることができます。
最後に
業務プロセスを分解し、品質評価の項目を明確にすること。その上で、改善に改善を重ねていくことで、利用者に対してサービスの提供を続けることができます。あなたの事業売り上げの役にも立ちたいですが、最終的にあなたの大切な人が介護をうけるときに、安心した介護をうけれるような体制をつくりませんか?
▼参考
・厚生労働省「平成26年介護サービス施設・事業所調査」
・「サービス提供責任者業務分析調査報告」
・株式会社EBP「訪問サービスにおける提供体制に関する調査研究事業報告書」