”売らずに売るのが最強の営業だ”。そんな口コミができる状態をつくるのが理想状態ではあるものの、利用者からひっきりなしに連絡がくる、そのような状態が三日三晩でできるほど介護の世界も甘いものではないありません。とはいえ、
- 地域の住民に愛され、利用者に選ばれる事業所になりたい
- ケアマネージャが、頼りたくなる事業所になりたい
- ソーシャルワーカーが、なぜか進める事業所になりたい
- 営業にいったらいい事業所ですねと言われたい
こういった声は多くの事業所様から頂きます。そこで今回は、ケアマネさん等に営業をかけながら、長期的に口コミで利用者を獲得できる事業所の作り方についてまとめました。後半では、訪問介護の事業所と独居老人の営業に成功した事業所の事例も紹介していきます。
Contents
稼働率9割の事業者がやっていること
稼働率9割のデイサービスがやっている利用者獲得方法には共通項がありました。今回は、なぜ9割を維持できるのか、その成功の秘訣に迫ります。そして、手前の営業ターゲットと、今後の法改正を踏まえたターゲットを中心に利用者を獲得していく必要があるのかをお伝えします。
ケアマネからの紹介人数平均約5名
あなたはしっていますか?稼働率9割をキープしている事業所は、一人のケアマネから、平均して5名以上紹介を受けています。実際既存のケアマネさんに営業をかける方が心理的にも、工数的にも楽なのは容易に想像がつくことでしょう。
ところで、あなたは、事業所で1人のケアマネからの何人の紹介を受けているか把握していますか?把握しているとしたら、何名の紹介をうけているでしょうか。5名以上の紹介をうけていないのであれば、原因がどこにあるのかを把握したほうがいいでしょう。
- ケアマネに事業所の魅力が伝わっていない。
- 事業所について伝わっているけど、魅力がない。
のいずれかの可能性があります。課題によって改善方法は異なりますので、しっかりと要因を分析していきましょう。
営業のあたり先はどこ?
営業先のターゲットはどこにしていますか?営業のあたり先は、以下の5つがメインになってきます。基本的には、次回の法改正を念頭におけば、介護度3以上の方を対象にした営業は必須になってきます。(※複数拠点を運営していれば状況は異なってきますが・・・)
- 老健
- 病院
- 地域包括センター
- 居宅
- 利用者直接
既存営業
ケアマネから1人でも利用者の紹介を受けている場合、ケアマネと会う口実は作りやすいのです。紹介人数を増やすことに注力すべき。5名の紹介がなければ、5名以上の紹介をもらう努力が必要になります。一度紹介をうけていることからもアポを作りやすい環境にあるので、アポを取り、所属する居宅の抱えている課題、どんなサービスが必要かを理解し、定期的にあなたの事業所ではケアマネニーズにどのように解決できるのかを伝えていきましょう。
実際、エリアによってニーズは様々です。『要支援を受け入れてほしい』、『暴力を起こしてしまった人を受け入れてほしい』、『セクハラする人を受け入れてほしい』などなど。
新規営業
既存のケアマネがいない場合、新規の営業が必要になります。新規の際は、非効率に突撃訪問アポをするのはやめましょう。理由なく突撃訪問をしていてもケアマネへの印象が悪くなるだけなので、電話でアポを取ってから訪問をするのがうまくいっている事業所には多いですね。実際に、事業の展開エリアには限界があるので、相手の印象が悪くならないようなアポを取ることを心がけましょう。
ここが狙い目、これから獲得する利用者のターゲット
介護保険を利用している高齢者は2割。残りの8割は介護保険を使っていないのです。この8割はケアマネや、ソーシャルワーカーから紹介されてないターゲットになります。介護報酬が削減されていく中では、こういった保険外サービスのターゲットを、早期に獲得する必要があります。しかし、どのようにして、ケアマネを介さず利用者を獲得していくのでしょうか。ここまでで保険外ユーザーを獲得する必要性を理解していただけたと思いますので、後半で具体的な獲得方法についてお伝えします。
独居のエリア
独居の多いエリアでのデイサービスへの勧誘は大変です。基本的に独居の方は部屋にこもっていることが多いので、わざわざデイまでいくのは抵抗があるようです。とある事例では、隣の訪問介護の事業所と仲良くなり、一緒に同行。デイサービスへの営業をそつなくこなし、効率良く利用者を獲得していったそうです。
ケアマネ・ソーシャルワーカーに営業をかける
ケアマネ、ソーシャルワーカーに営業をかける時代は終焉を迎えようとしています。よほど事業所に魅力がない限り、すでにやりとりのある事業所に利用者を流していくほうが、ケアマネも、お互いの段取りもわかっているので楽ですよね。つまり、新規で利用者の獲得を進めていくのは難しいのです。そこで、まずは事業所のコンセプトを決め、他事業所をはかることが大事。その上で、いかにケアマネや、ソーシャルワーカに営業をかけていくかが重要になります。最終的に大事なのは、利用者から欲しいと言われる事業所になること。ケアマネでもなく、ソーシャルワーカーでもなく、利用者に選ばれる事業所になることが一番大事ですよ!
ケアマネに営業をかける
ケアマネに営業をかける際に重要なことは、何よりもまずケアマネの課題を聞くことです。あなたが訪問した居宅ではどういった事業所や、サービスに対応していればケアマネが業務を遂行しやすくなるのかを聞き出すことがスタートです。その上で、まずは①アポをとる。②事業所のコンセプトの分かるチラシを作る。③担当者の確認。④居宅の課題の確認。⑤自社のサービスを伝えるという作業が必要になってきます。具体的な作り方については、別記事でご紹介させていただきます。
ケアマネにいつ訪問する?
1週目、4週目は、保険請求前の事務作業で忙しいので、2週目、3週目に訪問するのが好ましいでしょう。
電話での対応
ケアマネとの電話でのやりとりで重要なこと。電話での内容を、紙にまとめてファックスしてあげることです。電話でのやりとりでは認識にずれが生じてしまうこともしばしばあります。そこで、ケアマネには電話の内容をファックスしてあげることで、認識にズレをなくすことができます。電話の直後ですので、見ていただける確率も格段にあがります。実際に、電話でしゃべれなかった内容も追記して伝えることができます。
ソーシャルワーカに営業をかける
より重度な患者を獲得するためには、ソーシャルワーカーへの営業が必要になります。医療診療報酬改定に伴い、““退院支援加算”が設定されました。
退院支援加算とは?
連携する医療機関、介護事業者の数は20以上あること。または双方の職員が年に3回以上の頻度で面会し、情報共有を行うことで、加算をすると、下記の価格テーブルが引かれました。
- 退院支援加算1
- 一般病棟連入院: 600点
- 療養病棟入院: 1200点
- 退院支援加算2
- 一般病棟連入院: 190点
- 療養病棟入院: 635点
- 退院支援加算3
- 一般病棟連入院: 1200点
重度の患者を獲得する
ソーシャルワーカーへの営業をすることのメリットは、重度の患者を獲得することができることです。年に3回以上の面談が必要になることからも、ある程度の数をまとまって紹介したほうが、病院側としても効率よく業務が行うことができます。かつ20以上の事業所とやりとりしなくてはならないので、はやくこの20の事業所に入ることが重要になります。制度が変わったいまはチャンスですよ!
SNSを活用して、利用者を直接獲得する
Social Net Service。あなたの会社ではいくつのサービスを利用しているでしょうか?直接利用者を獲得するためのサービスとして4つの方法をお伝えさせていただきます。
HPを活用する
2割。あなたは、なんの数字かわかるでしょうか。介護事業所の中でホームページを所有する事業所の数です。介護事業所ではホームページサイトさえもっていない事業所が多いのです。今の時代基本はウェブで事業所を調べて連絡をします。しかし、そういった他業界の基本がこの業界にはないのです。それゆえ参入者がいないので、チャンスです。こういったウェブページを作るだけでも他者との差別化になり、あなたの会社のPRを進めていくことができます。ホームページがなければ、せっかくwebで検索してもあなたの事業所にたどり着くことはできませんからね。今の介護業界を捕まえればホームページは一番有効的な施策になりますので、あなたの会社でホームページがない場合は、すぐに作成しましょう。月額1万円程度あれば、作成できてしまいます。
Facebookを活用する
若者離れが進んでいるのがFacebookです。しかし介護業界のターゲットには当てはまります。Facebookなら、リアルな人間関係から情報を配信できます。30代~が活発的につかうSNSです。Facebook pageを作成し、ターゲットとなるユーザーに対して御社の魅力を訴求していきます。日々の生活の中で、御社のことを定期的に知ることができるため、訴求力も高くなります。
Twitterを活用する
利用者の直接の獲得は難しいけれど、採用に活用できます。同じ興味分野をもった人をフォローします。介護業界は想いをもって運営されている、働かれている方が多いので、生々しい声は共感を呼び拡散されやすいです。
instagramをつかって20代にアプローチ
利用者文脈からは離れてしまいますが、20代の採用を考えているなら、instagramの活用をお勧めしています。instagramは、写真を友人とシェアし、コメントしあうような SNSです。10代~20代を中心に活用が広まっております。そのため利用者の獲得には影響は少ないかもしれませんが、介護職の採用文脈からいえば、かなり力強い採用ツールになりえます。実際に、一般業界の採用ではinstagramへの広告出稿は、ビズリーチを始めとして、数多く見られていますね。
最後に
利用者のためにサービスを提供すること。そこを突き詰めれば自ずと事業所のコンセプトが明確になり、差別化をすることができると思います。差別化のうえで大切なのは、短期的に営業をかけながらコンセプトの浸透化を図り、長期的には質の高い介護サービスを提供することで、利用者の満足度を上げていくこと。それにより直接の利用者獲得を進めていくことが重要になってきます。ケアマネ、ソーシャルワーカーだけに頼った営業は改善の余地ありです。