ベネッセの介護事業を徹底分析してみた

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介護事業で頭角を見せてきたベネッセホールディングス。今回はベネッセの掲げる経営戦略と、売り上げから推測される今後の動向についてまとめます。

売り上げ推移

2015年度の営業利益が25億円、2016年度売り上げ36億円に成長しました。45.2%の成長となり、ベネッセにとって急成長を遂げている。売上増加の要因としてあげられるのは、入居者数の増加です。この背景はまた後半でお伝えします。売上としては、949億から1040億への成長を遂げています。9.5%の売上成長から、営業利益45.2%成長と規模の経済と、運営の効率化により健全な成長を続けていることが推測されます。

介護事業の住宅数

合計13施設が増設。実際の数値は以下の通りである。

  • アリア: 21
  • くらら: 42
  • グラニー&グランダ: 125
  • まどか: 56
  • ボンセジュール: 39
  • ここち: 12
  • リレ: 2

ベネッセの目指す世界観

  • 徹底した顧客志向による商品・サービスの質の向上
  • 企業体質改善によるベネッセブランドの再構築
  • 社内風土の改革による社員意識の向上

事業戦略

事業戦略として、進研ゼミ依存からの脱出を掲げ、今後バランスのとれた収益構造をもつポートフォリオの再構築を描いています。人口構造からみても国内の教育事業だけでは、成長が厳しいのは容易に想像がつきますからね。そこで、ハイエンドマーケット(高級有料老人ホーム)で圧倒的なポジショニングに成功した介護ビジネスを収益の柱に掲げていくことをあげています。

グループ事業戦略

今後、コスト体質の抜本的な改善と、成長分野(介護分野)における継続的な投資とM&Aを掲げています。2015年,2016年は多くの介護事業の統廃合がありましたが、ベネッセも他企業の買収により拡大を続けていくかもしれませんね。コスト体質の改善においては、すでに介護事業の売上と、利益データからも努力の片鱗が見え始めています。今後のベネッセに期待です。

権限移譲

各カンパニーに権限を委譲し、収益管理の徹底を行います。これまで以上にスピード感をもってとりくむことを会社として掲げています。介護・保育事業には取締役の滝山真也氏が抜擢されていますね。どのような成果をだしてくれるか期待しましょう。

介護・保育事業の安定成長

2015年2Qと2016年2Qを比較すると、売上で41億の増収。減益、減収トレンドのベネッセとしては稼ぎ頭になっています。ホームの増設を続けて297ホームへ!入居率は92%を維持しています。(※2016年9月末地点)

年間15ホームの拡大

年間15ホームを拡大することでさらなる増収を続けていきます。団塊の世代が高齢者になる2025年には、150ホーム以上が増設されていることでしょう。スピード感をもった拡大にもかかわらず、”リビングオブザイヤー”を獲得するなど、質を維持した健全な成長を進めているのも、ベネッセという安定した基盤をもつから成し遂げられることでしょう。

介護サービスの質の向上

質の向上を明確に掲げるベネッセは、ベネッセシニア介護研究所を立ち上げ、質の改善に徹底的なテコ入れを始めています。ここでざまざまなホームや、今後の動向に合わせたICT化への対応等を進めています。

参考
2017年3月期 第2四半期決算 [2016年10月31日] 2017年3月期 第2四半期決算短信 [PDF:389.8 KB] 2017年3月期 第2四半期 決算説明会資料 [PDF:3.0 MB] 2017年3月期 第2四半期 決算説明会 補足資料 [PDF:1.2 MB] 2017年3月期 第2四半期決算説明会