SOMPOケアネクストの売上を徹底調査してみた!

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M&Aが相次ぐ介護業界。その中でも特に大規模な買収を続けたのSOMPOです。既存事業である保険との相性もよく、ワタミのカイゴ、ジャパンケア等の買収に成功しました。数多くの買収を進めるなかで生まれたSOMPOケアネクストの実態は、どうなっているのでしょうか。実際の売上データを元に、実情に迫りたいと思います。

セグメント別事業概要

介護事業は4つのセグメントに分けて運営を行なっています。

  1. 施設ケア事業
  2. 地域包括ケア事業
  3. 給食事業
  4. その他

の4事業です。それぞれ、詳しく見てみましょう!

施設ケア事業

介護付有料老人ホ ー ム「そんぽの家」「そんぽの家S」等の運営。全体売上の44%を占めています。既存施設の入居率の回復が低調なことにより特定施設における売上減が影響し、当上半期において、営業収入は16,031百万円(前年同期比11.1%減)、セグメント損失は824百万円(前年同期はセグメント利益1,828百万円)となりました。

地域包括ケア事業

サービス付き高齢者向け住宅等の運営および在宅の高齢者に対する介護サービスの提供等。全体売上の51%を占めている。既存施設の入居率の回復が低調なことによりサービス付き高齢者向け住宅における売上減が影響し、当上半期において、営業収入は18,600百万円(前年同期比6.7%減)、セグメント損失は△0百万円(前年同期はセグメント利益1,436百万円)となりました。

給食事業

「そんぽの家」および「そんぽの家 S」等の入居者等への食事サービスの提供。全体売上の4%を占めている。既存施設の入居率の回復が低調なことによりグループ内施設向けの売上減が影響し、当上半期において、営業収入は3,211百万円(前年同期比7.0%減)(外部顧客への売上高1,577百万円)、セグメント利益は518百万円(前年同期比33.8%減)となりました。

その他事業

介護用品販売事業、およびFC事業。全体売上の1%を占めています。

統計データからみる運営のリアル

施設数の推移や、定員数、入居率の推移をもとに、SOMPOの経営状況に迫りたいと思います。

「そんぽの家」・「そんぽの家S」等施設数の推移

2014年、2015年に拡大をして以来、維持が続いていますね。特にそんぽの家Sは拡張傾向にありますが、直営、FCともに”そんぽの家”は横ばい傾向になります。

  • 2013: 259施設
  • 2014: 288施設
  • 2015: 303施設
  • 2016: 306施設
  • 2017: 309施設

「そんぽの家」・「そんぽの家S」の定員数の推移

2016~2017年にかけて定員数の増加の理由としては、大型の施設の展開が数値からもみて取れますね。今後も大型施設で効率良く介護サービスを提供することを念頭においているのでしょうか。有料老人ホームで、410人、そんぽの家Sで7462人、そんぽの家(FC)で1024人,そんぽの家(直営)8252人となっております。

  • 2013: 14,304人
  • 2014: 15,883人
  • 2015: 16,807人
  • 2016: 16,946人
  • 2017: 17,418人

「そんぽの家S」(直営)定員数/入居率の推移

入居者総数としては毎年成長を見せています。9割の維持まではもう少し時間がかかりそうです。

  • 2013: 67.8%
  • 2014: 82.3%
  • 2015: 88.6%
  • 2016: 84.7%
  • 2017: 80.4%

「そんぽの家」  定員数/入居率の推移

2016年から大幅な入居率の低下がみられています。入居者総数が横ばいのまま、拡大していくのがみられます。事故の影響が大きくでています。一度ブランドについたイメージは、すぐには払拭できなかったのが大きいですね。

  • 2013: 96.4%
  • 2014: 96.7%
  • 2015: 96.5%
  • 2016: 88.0%
  • 2017: 85.4%

エリア別の展開

エリア別に展開の状況をまとめました。強いエリア、弱いエリアがはっきりとでています。SOMPOの保有株からみても、足りないエリアでの補完先が見えてきていますね。

北海道エリア

こちらも住まい施設系サービスの展開が少ないので、買収おおいにありえます。

  • サービス付高齢者住宅: 4
  • カイゴ付き有料老人ホーム: 1
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 2
  • 訪問介護: 31
  • 夜間対応型訪問介護: 2
  • その他の事業所: 50

東北エリア

住まいを中心としたサービスがすくないのはなぜでしょうか。収益が大きいので、買収先を探しているかも。チェックが必要です!

  • サービス付高齢者住宅: 2
  • カイゴ付き有料老人ホーム: 2
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 1
  • 訪問介護: 29
  • 夜間対応型訪問介護: 1
  • その他の事業所: 44

関東エリア

いわずもがな。一番の主力エリアですね。

  • サービス付高齢者住宅: 75
  • カイゴ付き有料老人ホーム: 76
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 47
  • 訪問介護: 165
  • 夜間対応型訪問介護: 29
  • その他の事業所: 206

中部エリア

  • サービス付高齢者住宅: 8
  • カイゴ付き有料老人ホーム: 26
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 1
  • 訪問介護: 16
  • 夜間対応型訪問介護: 1
  • その他の事業所: 22

近畿エリア

関東エリアに続く第2の稼ぎポイント!関東にくらべると定期巡回や、夜間対応の訪問介護での遅れがみられています。自社で展開するのでしょうか。

  • サービス付高齢者住宅: 39
  • カイゴ付き有料老人ホーム: 56
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 7
  • 訪問介護: 24
  • 夜間対応型訪問介護: 5
  • その他の事業所: 37

中国・四国エリア

こちらのエリアでの展開も弱いですね。四国といえば、徳島に本社をおくエクセレントケアシステム等がありますが、どういった展開を見せてくれるのでしょうか。

  • サービス付高齢者住宅: 1
  • カイゴ付き有料老人ホーム: 17
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:0
  • 訪問介護: 1
  • 夜間対応型訪問介護: 0
  • その他の事業所: 7

九州エリア

シダー株を保有するのは、福岡があるにもかかわらず展開できていない、九州エリアの補填のためと考えるのがよいでしょう。しかし、シダーの業績はよくないですね。運営体制にテコ入れが必要。早期に買収して、体制を整える必要がありそうです。

  • サービス付高齢者住宅: 1
  • カイゴ付き有料老人ホーム:1
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護: 0
  • 訪問介護: 1
  • 夜間対応型訪問介護: 0
  • その他の事業所: 7

上場停止へ

2017年1月16日づけでSOMPOケアメッセージの上場を停止し、完全に子会社となりました。2016年の夏におきた食中毒事件での死亡事故や、それもあってか85%と入居率の低さから子会社化を促進することでガバナンスの再建に取り組んでいます。2015年には95%あった入居率からの落ち込みよりブランドイメージの悪化が顕著に現れています。

最後に

アミーユは、SOMPOケア そんぽの家、アミーユSは、SOMPOケア そんぽの家Sに名称を変更。ブランドイメージを一新することで、入居率の回復を図っていますね。もともと問題があったアミーユを安値で買い叩いたのですが、まだ当時のイメージを払拭しきていないのが現状のようです。今後のブランドイメージの浸透を軸に、どのように展開していくのか見守ってみましょう。