3分でわかる!訪問介護の特定事業所加算の取り方

Pocket

特定事業所加算は、より質の高いサービスを提供する事業所を評価するための加算です。(※訪問介護における特定事業所加算は、平成27年に改定されました。)訪問介護の運営する経営者と話すことがありますが、”特定事業所加算を取っていなければやっていけない”という声を聞くことが一般的であるほど、重要な加算になります。今回は、特定事業所加算の種類と取り方についてまとめてみました。

訪問介護における特定事業所加算とは?

訪問介護の特定事業所加算とは、次の3つの要件を満たすことで獲得することができます。

  • 体制要件
  • 人材要件
  • 重度対応要件

訪問介護の特定事業所加算には、4種類あります。「特定事業所加算Ⅰ」「特定事業所加算Ⅱ」「特定事業所加算Ⅲ」「特定事業所加算Ⅳ」の4種類です。
それぞれの加算は以下のような内容になっています。

特定事業所加算
  • 特定事業所加算Ⅰ 所定単位数の100分の20に相当する単位
  • 特定事業所加算Ⅱ 所定単位数の100分の10に相当する単位
  • 特定事業所加算Ⅲ 所定単位数の100分の10に相当する単位
  • 特定事業所加算Ⅳ 所定単位数の100分の5に相当する単位

 

STEP1: 体制要件とは?

下記に要件をまとめました。

  1.  訪問介護員及びサービス提供責任者全員に個別研修計画が策定され、研修が実施または予定を行なっていること
  2. 次の基準に従ってサービス提供が行われていること
    利用者情報等の伝達・技術指導のための会議を定期的(概ね月1回以上)に開催すること
    サービス提供責任者からの情報等の伝達、担当の訪問介護員からの適宜報告すること
  3. 訪問介護員全員に健康診断等を定期的に実施すること
  4. 緊急時等の対応方法を利用者に明示すること

※ 2について、情報の伝達は直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等によることも可能。また、訪問介護員等から適宜受けるサービス提供終了後の報告内容について、サービス提供責任者は、文書にて記録を保存しなければなりません。

体制要件における課題

ヘルパーが利用者の家に行く時に、サ責と業務のやりとりが発生します。これは、ヘルパーがサービス提供前後に報告をしなくてはならないためで、サービス内容の確認を紙媒体のファイルで行ない、事業所にいっていることが多いようです。それゆえ、ヘルパーは直行直帰ができずに訪問効率が悪くなっている事業所を目にします。そういった時はICT化をうまく活用し、事前にタブレットで利用者の状況を伝達、サービス提供後もタブレットで共有できる体制をつくることが重要です。そうすることで、特定事業所加算をとる環境を構築できます。詳しくは下記をご参照ください。

STEP2: 人材要件とは?

訪問介護の特定事業所加算の人材要件は以下のようになっています。介護福祉士をあつめるのは大変ですが、それでも30%介護福祉士がいれば評価され、安定した運営ができますね。

  • 訪問介護員のうち、介護福祉士30%以上又は介護福祉士、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修課程修了者及び旧訪問介護員1級課程
    修了者の総数が50%以上
  • すべてのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士又は5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者、旧介護職員
    基礎研修課程修了者、旧訪問介護員1級課程修了者
  • 人員基準に基づき置かなければならない常勤のサービス提供責任者数を上回る数のサービス提供責任者を常勤により配置していること。
    (ただし、前年度の平均利用者数が一定割合以下の事業所に限る。)

人材要件の問題点

スクリーンショット 2017 01 26 20 10 42

介護業界特有である人材獲得難の問題です。特に優秀なサービス提供責任者の採用はご存知の通りハードルが高いです。現場を経験した方ならご存知でしょうが、サ責の方の責務の多さは計り知れません。実際、サービス責任者を敬遠される人も多いです。そういった中で介護福祉士を獲得し、働く方にとって魅力的な事業所であることが必要になります。

STEP3: 重度対応要件とは?

  • 前年度又は前3カ月の利用者総数のうち、要介護4・5、認知症 (日常生活自立度Ⅲ以上)の利用者並びにたんの吸引等の行為が必要な者が20%以上
  • 前年度又は前3カ月の利用者総数のうち、要介護3・4・5、認知症(日常生活自立度Ⅲ以上)の利用者並びにたんの吸引等の行為が必要な者が20%以上

重度対応要件の課題

なかなか、要介護度の高い利用者ばかりを獲得するのも難しい点ですよね。そういった中で、継続的にケアマネから要介護者を紹介いただく状態をつくるのは1つ大きな壁となりそうです。

最後に

サービス責任者の総数は増えていますが、1事業所あたりのサービス提供責任者の数は減っています。なぜなら事業所数の数に、人員の数が追いついていないからです。こういったスキルを持つ介護福祉士の割合が減ってくる中で、事業所が利用者へ適切なサービスを提供するために、国は上記で指定したような介護事業所をよい事業所と認定したのです。実際に10%の加算でも200万の売り上げがあれば、単純計算で20万の売り上げが見込まれ、年間では240万に利益が貢献されます。もしあなたの事業所で、特定事業所加算を取得していないのであれば、すぐに申請をだしましょう。

実際に売り上げを伸ばすことにつながりますが、要件を満たしている事業所は、利用者に適切なサービスを提供できる事業所として、今後の在宅トレンドの中で生き残って行く事業所になるでしょう。

▼参考
・訪問介護の報酬・基準について(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000062102.pdf)

・介護給付費算定に係る体制等に関する届出()http://www.pref.osaka.lg.jp/jigyoshido/shien/kasan-todoke.html#11
・ 特定事業所加算(訪問介護)算定に係る提出書類(https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/326248.pdf)