移動用リフトとは

移動用リフトとは

移動用リフトとは、要介護者の体を持ち上げて移乗や移動を助ける福祉用具です。床走行式・据置式・固定式・天井走行式の種類、スリングシート、ノーリフティングケアや腰痛予防の目的、介護保険でのリフト本体の貸与とつり具部分の購入区分をやさしく解説します。

ポイント

移動用リフトの定義(移動用リフトとは)

移動用リフトとは、自力での移乗が難しい要介護者の体を吊り上げて、ベッドから車いすへの移乗やトイレ・浴室への移動を助ける福祉用具です。介護する人が抱え上げずに済むため、腰痛予防や転落事故の防止につながります。介護保険ではリフト本体が福祉用具貸与の対象、体を支えるつり具(スリングシート)は特定福祉用具販売の対象として区分されています。

目次

移動用リフトの概要と仕組み

移動用リフトの概要

移動用リフトは、要介護者の体をスリングシート(つり具)で包み、モーターやアームの力で吊り上げて移動させる機器です。介護の現場では「リフト」「吊り上げ式リフト」とも呼ばれ、自力で立ち上がれない方や全介助が必要な方の移乗・移動に使われます。

従来の介護では、職員が利用者を抱え上げて移乗させる場面が多く、腰痛の大きな原因になっていました。移動用リフトを使えば、人の力で持ち上げる動作を機器が肩代わりするため、介護する側の身体的負担を大きく減らせます。同時に、抱え上げ時に起こりがちな利用者の転落や、皮膚を引っ張ることによる痛みも避けやすくなります。

近年は、抱え上げをなくす「ノーリフティングケア(ノーリフトケア)」の考え方が広がり、その中心的な機器として移動用リフトの導入が進んでいます。介護保険制度でも、移動用リフト(つり具の部分を除く)は福祉用具貸与の対象種目として位置づけられており、要介護者は原則1割(所得に応じて2〜3割)の自己負担でレンタルできます。

移動用リフトの種類とスリングシート

移動用リフトは設置方法によって主に次の4種類に分けられます。住環境や使う場所に合わせて選びます。

  • 床走行式リフト:キャスター付きの台座で床を移動するタイプ。設置工事が不要で、ベッドサイドから浴室まで持ち運んで使えるため、賃貸住宅でも導入しやすいのが特徴です。床にある程度の走行スペースが必要になります。
  • 据置式リフト:ベッドの周囲などに支柱(やぐら)を組み、本体がレールに沿って移動するタイプ。工事を伴わず置くだけで設置でき、決まった範囲内での移乗に向いています。
  • 固定式リフト:壁や床、ベッドなどに本体を取り付けて使うタイプ。設置場所が固定されるため、浴室での入浴介助やベッドからの立ち上がりなど、特定の動作に絞って使われます。
  • 天井走行式リフト:天井にレールを敷設し、そのレール上を本体が走行するタイプ。床にスペースを取らず広い範囲を移動できますが、レール設置の工事が必要です。

いずれのタイプでも、利用者の体を直接支えるのがスリングシート(つり具)です。シート型・脚分離型・トイレ用など形状が複数あり、利用者の体格・残存機能・使う場面に合わせて選びます。スリングシートは消耗品であり、衛生面から再利用になじまないため、介護保険ではリフト本体と区分して取り扱われます。

移動用リフトの介護保険給付の区分(貸与と購入)

介護保険での区分(本体は貸与、つり具は購入)

移動用リフトは、介護保険のなかで本体とつり具で給付の仕組みが分かれています。混同しやすいため、申請前に区分を整理しておきましょう。

項目移動用リフト本体(つり具を除く)つり具(スリングシート)
介護保険の区分福祉用具貸与(レンタル)特定福祉用具販売(購入)
利用の形毎月レンタルし、返却できる購入して自分の物になる
自己負担レンタル料の原則1割(所得に応じ2〜3割)購入費の原則1割(同上)。年間10万円までが支給上限
区分の理由繰り返し使え、消毒して再利用できる本体だから体に直接触れ、衛生上の理由で再利用になじまない消耗品だから

つまり、移動用リフトを使い始めるときは「本体をレンタル」しつつ「つり具を購入」する組み合わせになります。なお、特定福祉用具販売を利用するには、都道府県の指定を受けた事業者から購入する必要があり、利用者の体格に合ったつり具を選ぶことが重要です。導入にあたっては、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しながら進めると安心です。

移動用リフト導入のポイントと注意点

導入のポイントと注意点

移動用リフトを安全に活かすには、機器選びと使い方の両面で押さえるべき点があります。

  • 使う場所と動線から型を選ぶ:持ち運んで複数の部屋で使うなら床走行式、工事なしで一定範囲を使うなら据置式、決まった動作に絞るなら固定式、床にスペースを取りたくないなら天井走行式が向きます。
  • つり具は体格と場面に合わせる:サイズが合わないと体がずれて危険です。入浴用・トイレ用など場面に応じた形状を選びます。
  • ノーリフティングケアの一部として導入する:リフトを置くだけでは定着しません。職員が正しい操作と適切な場面を共有し、抱え上げをなくす方針として運用することで腰痛予防の効果が高まります。
  • 使用前後の点検を習慣にする:ベルトやフックの破損、バッテリー残量を確認してから使います。
  • 利用者へ声かけしながら操作する:吊り上げられる不安を和らげるため、動作の前に声をかけ、ゆっくり操作することが安心と安全につながります。

移動用リフトのよくある質問

よくある質問

移動用リフトは介護保険でレンタルできますか。

はい。移動用リフト本体(つり具の部分を除く)は福祉用具貸与の対象で、要介護者は原則1割(所得に応じて2〜3割)の自己負担でレンタルできます。利用にはケアマネジャーへの相談とケアプランへの位置づけが必要です。

つり具(スリングシート)もレンタルできますか。

つり具はレンタルではなく、特定福祉用具販売の対象として購入します。体に直接触れ、衛生上の理由で再利用になじまないためです。購入費にも介護保険が使え、年間10万円までを上限に原則1割負担で利用できます。

移動用リフトとノーリフティングケアはどう関係しますか。

ノーリフティングケアは、人の力で抱え上げない介護の考え方です。移動用リフトはそれを実現する代表的な機器で、職員の腰痛予防と利用者の安全を両立する手段として導入されます。

どの種類のリフトを選べばよいですか。

使う場所や住環境で異なります。持ち運んで使うなら床走行式、工事なしで一定範囲を使うなら据置式、決まった動作に絞るなら固定式、床を広く使いたいなら天井走行式が向きます。福祉用具専門相談員に相談して選ぶと安心です。

移動用リフトの参考資料

  • [1]
    福祉用具・住宅改修- 厚生労働省

    福祉用具貸与の対象種目に「移動用リフト(つり具の部分を除く)」、特定福祉用具販売の対象種目に「移動用リフトのつり具の部分」が定められていることを示す公的資料。

  • [2]
    介護保険の福祉用具:移動用リフト- 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット

    移動用リフトの定義、床走行式・据置式・天井走行式などの種類、つり具(特殊福祉用具)の購入区分を解説した公的団体の資料。

  • [3]
    福祉用具貸与- WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)

    介護保険の福祉用具貸与サービスの仕組みと対象種目(移動用リフトを含む)を説明する公的情報サイトの解説。

移動用リフトのまとめ

まとめ

移動用リフトは、要介護者の体を吊り上げて移乗・移動を助ける福祉用具で、床走行式・据置式・固定式・天井走行式の種類があります。抱え上げをなくすノーリフティングケアの中心的な機器として、職員の腰痛予防と利用者の転落防止に役立ちます。介護保険では、リフト本体は福祉用具貸与、つり具(スリングシート)は特定福祉用具販売と区分される点を押さえ、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しながら導入を進めましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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