
准看護師とは
准看護師は都道府県知事が発行する免許で、医師・歯科医師・看護師の指示のもとで診療補助や療養上の世話を行う看護職です。看護師(国家資格)との違い、養成課程、介護施設での役割、看護師への進学ルートまで、根拠データつきで解説します。
この記事のポイント
准看護師とは、都道府県知事が発行する免許を持ち、医師・歯科医師または看護師の指示のもとで「療養上の世話」と「診療の補助」を行う看護職です。看護師(厚生労働大臣免許の国家資格)と業務内容はほぼ重なりますが、自らの判断で看護計画を立てたり他の看護職に指示を出したりはできません。介護施設では医療面のキーパーソンとして根強い需要があります。
目次
准看護師の法的位置づけと歴史
准看護師は保健師助産師看護師法(保助看法)第6条に定められた看護職で、「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と規定されています。看護師(同法第5条)が厚生労働大臣免許の国家資格であるのに対し、准看護師は都道府県知事免許であり、試験も都道府県単位で実施されます。
制度の出発点は戦後の看護職不足にあります。1951年(昭和26年)の保助看法改正で、中学校卒業を入学要件とする2年課程の養成制度として創設されました。少ない学費・短い修業年限で現場に出られるルートとして、地域医療や中小病院、診療所、介護施設の医療体制を長く支えてきた職種です。
近年は看護職の質を統一する観点から、日本看護協会などが「准看護師制度の段階的廃止」を提言しています。一方で、准看護師の有効求人倍率は依然として高く、特に介護施設・診療所・在宅領域では現役就業者が多数活躍しています。厚生労働省「衛生行政報告例」(令和4年)によると、就業准看護師は約25.4万人。看護師約132万人と合わせ、看護人材の約16%を占める存在です。
業務範囲そのものは看護師とほぼ同じで、バイタル測定、与薬、注射、点滴、採血、清拭、排泄・食事介助、創傷処置、医療機器の取り扱いなどを担えます。違いは「指示を受ける必要があるか」と「自ら看護計画を立てられるか」の2点に集約されます。この一線は介護施設や訪問看護でも重要で、勤務先選びの際は就業規則・業務分担表を確認することが推奨されます。
准看護師と看護師の違い(一覧表)
准看護師と看護師の違いを、免許の種類から年収まで主要な観点で整理します。介護施設での待遇差や役職登用の可否は、この表の「業務の独立性」「管理職」が起点になっています。
| 項目 | 准看護師 | 看護師(正看護師) |
|---|---|---|
| 免許発行 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣(国家資格) |
| 受験資格 | 中学校卒業以上 | 高校卒業+指定学校3年以上 |
| 修業年限 | 2年(高校衛生看護科は3年) | 3〜4年 |
| 試験実施 | 都道府県(年1回・2月) | 国家試験(年1回・2月) |
| 業務の独立性 | 医師・歯科医師・看護師の指示が必要 | 自らの判断で業務遂行可 |
| 看護計画の立案 | 不可(看護師の計画に基づいて実施) | 可 |
| 他職種への指示 | 不可 | 准看護師・看護補助者へ指示可 |
| 管理職(看護師長等) | 原則不可 | 可 |
| 平均年収(令和5年) | 約417万円 | 約520万円 |
| 就業者数(令和4年) | 約25.4万人 | 約132万人 |
※年収は厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」きまって支給する現金給与額×12+年間賞与から算出。
※就業者数は厚生労働省「衛生行政報告例(令和4年)」による。
注目すべきは「業務範囲」自体は重なる点です。バイタル測定や注射・採血・点滴は准看護師も実施可能で、現場の即戦力という意味では看護師と同等の役割を担います。一方で、看護過程(アセスメント→計画→実施→評価)の責任主体は看護師に置かれ、准看護師はその計画に沿って動くという建てつけになります。
准看護師になるルートと、看護師への進学ルート
准看護師資格を取得するまで
- 受験資格を得る学校に入学(中学校卒業以上で出願可)
- 准看護師養成所(2年・全日制/半日制/定時制)
- 高等学校衛生看護科(3年)
- カリキュラム1,890時間以上を修了(基礎科目・専門基礎科目・専門科目・臨地実習)
- 都道府県の准看護師試験に合格(毎年2月、合格率は概ね96〜99%)
- 都道府県知事へ免許申請→准看護師免許交付
准看護師から看護師になる3ルート
- 全日制2年課程:准看護師資格+実務経験3年以上(中卒の場合)/高卒なら経験不問。看護師養成所で2年学ぶ
- 定時制3年課程:働きながら通学。実務経験要件は全日制と同じ
- 通信制2年課程:准看護師としての実務経験7年以上が必要。自宅学習+スクーリング+臨地実習
いずれも修了後に看護師国家試験を受験し、合格すれば厚生労働大臣免許の看護師となります。介護施設で准看護師として勤めながら通信制2年課程で看護師を目指すルートは、転職せずキャリアアップする方法として広く使われています。
なお、2018年度から通信制の実務経験要件は10年→7年に短縮されており、進学ハードルは以前より下がっています(厚生労働省「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」改正)。
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介護施設で准看護師が活躍するポイント
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービスなどでは、准看護師は「医療と介護の橋渡し役」として中核的な役割を担います。介護施設での働き方を選ぶ際に押さえておきたい4つのポイントを整理します。
- 夜勤の有無で給与が大きく変わる:特養・老健・グループホームの夜勤手当は1回あたり5,000〜10,000円程度が相場。デイサービスや診療所併設の施設は夜勤なしの選択肢が多い。
- 看護配置基準を確認する:特養は入所者100人に対し常勤換算3人以上、老健は100人に対し9人以上の看護職員配置が必要。准看護師もこの定数にカウントされる。
- 医療行為の範囲は施設の方針で差がある:胃ろう・喀痰吸引・インスリン注射などは指示書と手順書が整っているかを必ず確認。看護師不在時間帯のオンコール体制も重要。
- 看護師との役割分担を確認する:看護計画立案や他職種カンファレンス主導は看護師の責務。准看護師は実施・記録・観察を担う前提で募集要件を読むと齟齬が起きにくい。
転職時に「准看護師可」と明記されている求人は、医療面の実務をしっかり任せたい施設のサインでもあります。条件面では看護師より月3〜5万円ほど低めに設定されるケースが多いものの、夜勤・オンコール・処遇改善加算の取り扱いで実質年収を底上げできる施設は少なくありません。
よくある質問(FAQ)
よくある質問(FAQ)
Q1. 准看護師と看護師では、できる医療行為に違いはありますか?
A. 原則として業務範囲は同じです。バイタル測定、注射、点滴、採血、創傷処置、吸引などはどちらも実施可能です。違いは「医師・歯科医師・看護師の指示が必要かどうか」と「看護計画を自ら立案できるか」の2点に限られます。
Q2. 准看護師は看護師長など管理職になれますか?
A. 原則として看護師長・主任看護師などの管理職には就けません。保助看法上、准看護師は他の看護職に指示を出せないためです。役職に就きたい場合は、看護師資格の取得を目指すのが一般的です。
Q3. 准看護師から看護師になるのに最短で何年かかりますか?
A. 高校卒業の准看護師なら全日制2年課程+国家試験で約2年が最短。中学卒業の場合は実務経験3年が必要なため、合計5年が目安です。働きながらなら定時制3年課程または通信制2年課程(実務7年要件)が選択肢になります。
Q4. 准看護師の給与は介護施設と病院でどちらが高いですか?
A. 一般的には病院(特に急性期)が高い傾向ですが、夜勤回数・夜勤手当・処遇改善加算の有無で逆転するケースもあります。介護老人福祉施設や有料老人ホームでは、夜勤専従や常勤夜勤体制を選ぶと年収450万円超に届くこともあります。
Q5. 准看護師制度はなくなるのですか?
A. 日本看護協会は段階的廃止を提言していますが、現時点(2026年4月)で制度廃止の法的決定はありません。准看護師養成校は減少傾向にあるものの、既存の准看護師免許は引き続き有効です。
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まとめ
准看護師は都道府県知事免許の看護職で、業務範囲は看護師とほぼ同じ一方、看護計画立案や他職種への指示など「自ら判断する役割」は看護師に委ねられています。介護施設では医療と介護をつなぐ要として根強い需要があり、夜勤や処遇改善加算の取り扱い次第で年収450万円超も視野に入ります。看護師へのステップアップを目指すなら、通信制2年課程(実務7年)や定時制で働きながらの取得が現実的な選択肢です。自身のキャリア像と勤務先の医療体制を照らし合わせ、最適な働き方を選んでいきましょう。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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