LIFE(科学的介護情報システム)とは
LIFE(科学的介護情報システム)の正式名称・目的・関連加算・データ提出フロー・2026年5月の国保中央会移管までを用語集形式でやさしく解説。介護現場で必須となった「科学的介護」の全体像を1記事で把握できます。
この記事のポイント
LIFE(ライフ)とは、Long-term care Information system For Evidence の略で、厚生労働省が運営する「科学的介護情報システム」です。2021年4月に運用開始され、介護事業所が利用者の状態やケア内容を入力すると、全国データと比較したフィードバックが返ってくる仕組み。科学的介護推進体制加算など多数の加算の算定要件にもなっており、2026年5月11日からは運営主体が国保中央会へ移管されます。
目次
LIFEの正式名称と基本概要
LIFEの正式名称は Long-term care Information system For Evidence(ロングターム・ケア・インフォメーション・システム・フォー・エビデンス)。日本語では「科学的介護情報システム」と呼ばれます。厚生労働省が2021年(令和3年)4月から運用を開始し、介護分野で「エビデンスに基づくケア」を実現するための全国統一のデータベース基盤として位置づけられています。
VISITとCHASEを統合して誕生
LIFEは、もともと別々に運用されていた2つのシステムを一体化したものです。
- VISIT:通所・訪問リハビリテーションのデータ収集システム(2017年運用開始)
- CHASE:高齢者の状態やケア内容のデータ収集システム(2020年運用開始)
この2つを2021年4月に統合し、「LIFE」という一つの名称・システムにまとめたのが現在の形です。
「科学的介護」を支える基盤
科学的介護とは、医療分野で発展してきたEBM(根拠に基づく医療)の考え方を介護に応用したもの。経験や勘ではなく、データで効果が裏付けられたケアを提供することを目指します。LIFEは、その実現に欠かせないデータ収集・分析・フィードバックの中核を担うシステムです。
LIFEの仕組み|データ提出からフィードバックまで
LIFEの基本的な流れは「事業所がデータを提出 → 厚労省(国保中央会)が分析 → 全国比較でフィードバック」の3ステップ。事業所はそのフィードバックをケアに活かし、PDCAを回します。
ステップ1:データ提出
介護施設・事業所は、利用者のADL(日常生活動作)、認知機能、栄養状態、口腔機能、褥瘡(じょくそう)リスクなどの情報を、決められた様式でLIFEに入力。介護ソフトとのCSV連携にも対応しており、入力作業の自動化が進んでいます。提出は原則として月1回、または加算の算定区分ごとに定められた頻度で行います。
ステップ2:分析
提出されたデータは、厚生労働省が全国規模で集計・分析。利用者像別の平均値や、ケア内容との相関などが可視化されます。
ステップ3:フィードバック
事業所には、自施設の利用者の状態を全国平均と比較したフィードバック資料がLIFEのマイページから出力可能。「自施設のADL改善率は全国平均より低い」といった気づきを得て、ケアプランの見直しに役立てます。これがLIFEを使ったPDCAサイクルの中心となります。
ステップ4:ケア改善(PDCA)
フィードバックをもとに、多職種カンファレンスで原因を分析し、ケア内容を改善。再びデータを提出することで、改善効果を数値で確認できます。
LIFE関連加算の一覧
LIFEへのデータ提出が算定要件となっている加算は、2024年度報酬改定時点で10種類以上。代表的なものを以下にまとめます。
| 加算名 | 主な対象サービス | 提出する主なデータ |
|---|---|---|
| 科学的介護推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 特養・老健・介護医療院・通所・特定施設等 | ADL・認知症・栄養・口腔・服薬等の総合データ |
| ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 通所介護・特定施設・特養等 | Barthel Index(バーセルインデックス) |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 通所介護・特養・特定施設 | 機能訓練計画と評価指標 |
| リハビリテーションマネジメント加算(イ・ロ・ハ・ニ) | 通所・訪問リハ | リハビリ計画・評価データ |
| 栄養マネジメント強化加算・栄養アセスメント加算 | 施設系・通所 | BMI・低栄養リスク・摂食状況 |
| 口腔衛生管理加算(Ⅱ) | 施設系 | 口腔機能評価・口腔ケア状況 |
| 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 施設系 | 褥瘡リスク評価・発生状況 |
| 排せつ支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 施設系 | 排せつ機能評価・支援内容 |
| 自立支援促進加算 | 施設系 | 医学的評価・ケア計画 |
導入率(令和5年度時点)
- 介護老人保健施設:77.7%がLIFE関連加算を算定
- 特別養護老人ホーム:67.6%が算定
- 一方で未算定事業所のうち50.0%が「算定したいが課題ありできていない」と回答(2025年度厚労省調査)
制度開始から5年で施設系では主流化しているものの、入力負担の壁が依然として残っているのが現状です。
2026年5月の国保中央会移管|事業所が今すべきこと
LIFEは2026年5月11日から、運営主体が厚生労働省から公益社団法人国民健康保険中央会(国保中央会)へ移管されます。介護情報基盤の稼働(2026年4月)と連動した大きな再編で、関連加算を継続算定するには事業所側で移行作業が必須です。
主なスケジュール
- 2026年4月22日19時:旧(厚労省運用)LIFEへの新規利用申請を停止
- 2026年5月11日 9時:国保中央会運用LIFEが稼働開始
- 2026年7月31日:移行作業の期限(これを過ぎると加算算定に影響)
- 2026年9月1日:旧LIFEのサービス停止
事業所が必要な作業
- 電子証明書(介護保険証明書/介護DX証明書)の取得・インストール:セキュリティ強化のため新システムでは必須
- 旧LIFEから新LIFEへの移行作業:ID・パスワード・事業所情報は引き継がれる
- 利用者情報の再登録:利用者情報・様式情報は引き継がれないため、新LIFEで再登録が必要
新LIFEで変わるポイント
- バックアップファイルの授受が不要に(サーバ上で利用者情報を一元管理)
- 電子証明書による端末認証でセキュリティ向上
- LIFEホームページから直接ログイン可能に
- 利用者情報の自動チェック機能で誤登録を防止
過去に提出したフィードバックデータは引き継がれないため、必要なフィードバックは事前にPDF等で出力・保存しておくことが推奨されます。
LIFEに関するよくある質問
Q1. LIFEへのデータ提出は義務ですか?
A. すべての介護事業所に義務付けられているわけではありません。ただし、科学的介護推進体制加算などLIFE関連加算を算定する事業所は、データ提出が要件です。加算を算定しない場合は提出義務はありませんが、施設系サービスでは事実上の標準となっています。
Q2. LIFEに接続できないときは?
A. ID・パスワードの確認、ブラウザのキャッシュ削除、推奨ブラウザ(Microsoft Edge等)の使用を確認してください。それでも解決しない場合は、LIFEヘルプデスクの「お問い合わせフォーム」(https://life-web.mhlw.go.jp/common-inquiry)から連絡できます。2026年5月以降は新システムへの移行作業が完了しているかも確認ポイントです。
Q3. 移行ガイドはどこで入手できますか?
A. 「移行ガイド」は2026年4月頃から、厚労省HP「科学的介護情報システム(LIFE)について」のページ、旧LIFE、新LIFEの各サイトで配布される予定です。電子証明書の取得手順から利用者情報の再登録まで、必要な作業を順を追って解説する内容となります。
Q4. 「new LIFE」とは何ですか?
A. 「new LIFE」「新LIFE」は、2026年5月11日から国保中央会が運営する新システムを指す通称です。正式な呼称は「国保中央会運用LIFE」。一方、それまでの厚労省運営版は「厚労省運用LIFE」と呼ばれます。
Q5. 介護職員自身がLIFEを操作することはありますか?
A. はい。施設系サービスでは介護職員が日々のADL評価や口腔ケア状況などを入力するケースが一般的です。介護福祉士や看護師、管理栄養士などの多職種で分担して入力することも多く、転職時には「LIFE入力経験あり」がアピールポイントになる事業所もあります。
参考文献・出典
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LIFE関連記事
LIFEに関する最新ニュースや、移管に関する詳細解説は以下の関連記事もあわせてご覧ください。
まとめ|LIFEは「科学的介護」の共通インフラ
LIFE(科学的介護情報システム)は、利用者のADLや栄養状態、ケア内容を全国規模で集積・分析し、フィードバックを通じて介護の質を高めるための共通インフラです。2021年4月の運用開始から5年で施設系では算定率が7割を超え、いまや介護現場の標準ツールとなりつつあります。
2026年5月11日には国保中央会への運営移管という大きな転機を迎え、電子証明書の導入や介護情報基盤との連動など、機能面でも進化します。事業所はもちろん、介護職員一人ひとりが「自分の入力したデータが日本の介護を変える」という意識でLIFEと向き合うことが、これからのキャリアにとっても重要なポイントになるでしょう。
転職先を検討する際にも、LIFEを積極的に活用しているかどうかは「データに基づくケアを実践している事業所」を見極める一つの指標になります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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