ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、日本整形外科学会が2007年に提唱した運動器(骨・関節・筋肉・神経)の障害により移動機能が低下した状態を指す概念です。立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25の3つで判定する「ロコモ度1・2・3」、4つのロコモサイン、フレイル・サルコペニアとの違い、運動と生活習慣病管理を組み合わせた予防策まで、用語の意味と仕組みをやさしく解説します。

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この記事のポイント

ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、運動器症候群)とは、日本整形外科学会が2007年に提唱した、運動器(骨・関節・筋肉・神経)の障害により立つ・歩く・座るなどの移動機能が低下した状態を指す概念です。立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25の3つで判定するロコモ度テストにより「ロコモ度1(移動機能低下が始まっている段階)」「ロコモ度2(進行)」「ロコモ度3(社会参加に支障をきたす段階)」の3段階で評価されます。

目次

ロコモの定義と日本整形外科学会の取り組み

ロコモティブシンドローム(Locomotive Syndrome)は、2007年に 日本整形外科学会 が提唱した日本発の概念です。「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と定義され、進行すると要介護や寝たきりにつながるため、早期発見と予防のための啓発が国民運動として進められています。

原因となる運動器疾患は、骨粗鬆症・変形性関節症(膝・股関節)・腰部脊柱管狭窄症・サルコペニア・関節リウマチ・骨折・神経疾患など多岐にわたります。これらが単独または複合で進むことで、「立つ」「歩く」「座る」といった日常の移動動作が困難になります。

日本整形外科学会は 「ロコモONLINE」 という公式啓発サイトを運営し、毎年テーマポスターを発表(2024年は「見逃さないで!4つのロコモサイン」)。「ロコモチャレンジ!推進協議会」を設立し、医療・企業・行政の連携でロコモ予防を推進しています。

2020年9月には、より重度の状態を評価するため 「ロコモ度3」 が新たに加えられ、ロコモ度1(移動機能低下が始まっている)・ロコモ度2(進行している)・ロコモ度3(移動機能低下が進行し、社会参加に支障)の3段階に拡張されました。これにより介護予防・社会参加の評価指標としての活用が進んでいます。

ロコモ度テストとロコモ度1・2・3の臨床判断値

ロコモ度テストは3つの評価で構成されます。1つでも該当すればロコモ度1以上と判定されます。

テスト1:立ち上がりテスト(下肢筋力)

40cm・30cm・20cm・10cmと高さの違う台から、片脚または両脚で立ち上がれるかを評価。低い台から立ち上がれるほど筋力が高い。

テスト2:2ステップテスト(歩幅)

2歩分の最大歩幅(cm)を身長で割って算出。歩幅が広いほど移動能力が高い。

テスト3:ロコモ25(自記式質問票)

身体の状態・生活状況に関する25項目の質問。点数が高いほど移動機能の低下が進んでいる。

臨床判断値(2020年改訂版)

ロコモ度立ち上がり2ステップ値ロコモ25状態像
ロコモ度140cmから片脚で立てない1.3未満7点以上移動機能低下が始まっている
ロコモ度220cmから両脚で立てない1.1未満16点以上移動機能低下が進行
ロコモ度330cmから両脚で立てない0.9未満24点以上社会参加に支障

ロコモ度1の段階で運動・栄養介入を始めれば回復が期待できます。ロコモ度3まで進むと自力での移動が困難になり、要介護認定の対象に近づくため、整形外科受診と介護予防事業の活用が推奨されます。

フレイル・サルコペニアとの違い

ロコモ・フレイル・サルコペニアは似ているようで切り口が異なる概念です。介護現場や予防の場面で混同されがちなので整理します。

用語提唱者定義評価軸
ロコモ日本整形外科学会(2007)運動器の障害による移動機能低下下肢筋力・歩幅・移動能力(ロコモ度テスト)
フレイル米国老年医学会/日本老年医学会加齢に伴う心身の衰え(要介護の前段階)身体・精神・社会的フレイル(J-CHS基準)
サルコペニアRosenberg/AWGS筋肉量と筋力・身体機能の低下骨格筋量・握力・歩行速度(AWGS 2019)

関係性としては、サルコペニアやロコモが進むとフレイルへ、フレイルが進むと要介護へ、と移行します。ロコモは運動器に焦点を当てた整形外科視点サルコペニアは筋肉に特化した老年医学視点フレイルは心身全体を見る包括的視点と理解すると整理しやすいです。日本では3つを併用しながら介護予防が進められています。

ロコモ予防:ロコトレと生活習慣の改善

日本整形外科学会は誰でもどこでもできる予防運動として 「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」 を提唱しています。基本は2つの動作です。

1. 片脚立ち(バランス能力の改善)

転倒しないよう手すりや机につかまり、床につかない程度に片脚を上げて1分間キープ。これを左右1分ずつ、1日3回が目安。

2. スクワット(下肢筋力の強化)

肩幅に脚を開き、ゆっくり5秒かけて腰を落として5秒かけて上がる動作を 1セット5〜6回、1日3セット。膝がつま先より前に出ないように注意。

その他の重要な対策

  • 骨粗鬆症の検査と治療:女性は閉経後、男性は65歳以降に骨密度測定を。骨折は要介護の主要因。
  • 変形性膝関節症の早期受診:膝の痛みを我慢せず整形外科へ。運動療法・装具・薬物療法・必要に応じて手術。
  • タンパク質・カルシウム・ビタミンD:筋肉と骨の材料。3食でバランスよく。
  • 地域支援事業の体操教室:市町村の介護予防事業で行われるロコモ体操・通いの場を活用。
  • 整形外科リハビリ:症状がある場合は医療保険でのリハビリ、要介護認定があれば介護保険の通所・訪問リハビリ。

ロコモに関するよくある質問

Q. ロコモは病気ですか?
A. ロコモは独立した疾患というより、運動器の機能低下による状態を表す概念です。原因は骨粗鬆症・変形性関節症・サルコペニアなど複数あり、これらの治療と並行して予防運動を行います。介護保険上の特定疾病ではありませんが、「変形性関節症」「関節リウマチ」「骨折を伴う骨粗鬆症」は特定疾病に含まれます。
Q. 何歳から気をつければよい?
A. 40歳代から運動器の老化は始まります。中年期からの運動習慣・骨密度測定・体重管理がロコモ予防に有効です。実際に症状を自覚するのは50〜60歳代以降が多いですが、その時点で対策を始めても十分間に合います。
Q. 4つのロコモサインって何?
A. 日本整形外科学会の2024年テーマで、「片脚立ちで靴下がはけない」「家の中でつまずく・滑る」「階段を上るのに手すりが必要」「家のやや重い仕事が困難(掃除機・布団の上げ下ろし等)」の4つを挙げています。1つでも当てはまればロコモが疑われます。
Q. ロコモ度3だと介護が必要?
A. ロコモ度3は「移動機能の低下が進行し、社会参加に支障をきたす段階」です。要介護認定の対象になるとは限りませんが、自力での外出が困難になりつつある状態のため、整形外科受診と地域包括支援センターへの相談を強く推奨します。
Q. 治る可能性はありますか?
A. ロコモ度1〜2の段階であれば、ロコトレ・栄養改善・基礎疾患の治療で機能回復が期待できます。ロコモ度3でも改善は可能ですが、リハビリ・装具・必要に応じた手術など医療的介入が必要になることが多くなります。早期発見・早期介入が改善の鍵です。

参考文献・出典

まとめ

ロコモティブシンドロームは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態を指す日本発の概念で、立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25の3つで「ロコモ度1・2・3」を判定します。骨粗鬆症・変形性関節症・サルコペニアなどが原因となり、進行すると要介護リスクが高まりますが、ロコトレ(片脚立ち・スクワット)と栄養・基礎疾患管理を組み合わせれば改善可能です。フレイル・サルコペニアと連続して捉え、中年期からの予防、症状を感じたら整形外科受診と地域支援事業の活用を組み合わせることが、自立した生活を長く保つ鍵となります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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