認知症介護実践リーダー研修とは

認知症介護実践リーダー研修とは

認知症介護実践リーダー研修は、ケアチームのリーダー育成を目的とした都道府県指定の研修。受講要件・カリキュラム時間・実践者研修との違い・修了後のキャリアを2026年版でやさしく解説。

ポイント

認知症介護実践リーダー研修とは(要点)

認知症介護実践リーダー研修は、認知症ケアチームのリーダーや、これからリーダーになる介護職員を対象に、指導力とチーム運営力を高めるための都道府県指定研修です。実践者研修の上位に位置づけられ、講義・演習に加えて自施設実習までを含む構成で、認知症ケアの質向上を担う中核人材を育成します。

目次

制度上の位置づけと目的

認知症介護実践リーダー研修は、各都道府県(または指定都市)が指定する事業者が実施する公的研修です。研修体系は基礎・実践者・実践リーダー・指導者の4段階で構成され、本研修は実践者研修の上位、指導者研修の前段に位置します。

目的は、認知症介護の技術を「自分が実践する」段階から、「チームで実践し、後輩へ指導する」段階へ引き上げることです。修了者は事業所内で認知症ケアの教育担当・OJTリーダーを担うことが想定され、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や認知症対応型通所介護では、計画作成担当者の要件として実践者研修以上の修了が求められる場合があります。グループホーム管理者やユニットリーダーへのステップとしても、現場で重視されている資格です。

受講要件

受講要件(標準)

本研修は都道府県ごとに細部が異なりますが、標準的な受講要件は以下のとおりです。

  • 介護保険施設・事業者等で、介護業務におおむね5年以上従事した経験があること
  • ケアチームのリーダー、またはリーダーになる予定であること
  • 認知症介護実践者研修を修了し、修了から1年以上経過していること

加えて、介護福祉士資格取得後10年以上かつ1,800日以上の実務経験を有する者を、知事が同等以上と認める経過措置(令和9年3月31日まで)の対象に含める都道府県もあります。受験ではなく選考方式で、申込多数の場合は事業所推薦書や勤務年数で調整されます。

カリキュラムと時間数

認知症介護実践リーダー研修は、講義・演習に加えて他施設実習・自施設実習を組み合わせた構成です。標準的なボリュームは次のとおりです。

区分標準的な時間・期間
講義・演習合計31時間程度(おおむね7〜10日間)
他施設実習3〜5日程度(実施しない都道府県もあり)
自施設実習4〜6週間程度(課題設定型)

講義・演習では認知症の医学的理解、ストレングス視点でのアセスメント、チームケアのマネジメント、職場研修の企画運営などを学びます。自施設実習では、自分の事業所で実際にケア改善課題を設定し、チームを動かしながら改善計画を回します。地域の実情によって時間数を増減させることが可能とされており、開催スケジュールや日程は都道府県によって幅があります。

実践者研修・指導者研修との違い

認知症介護研修は段階的なステップアップ構造になっています。それぞれの位置づけは以下のとおりです。

研修対象者主な目的
認知症介護基礎研修無資格の介護職員等認知症ケアの基本理解
認知症介護実践者研修実務経験おおむね2年以上の介護職員認知症ケアを自分で実践できる
認知症介護実践リーダー研修実務経験おおむね5年以上、実践者研修修了から1年以上チームを指導しケアの質を底上げする
認知症介護指導者養成研修実践リーダー研修修了者などの選抜者都道府県研修の講師・実習指導者を務める

実践者研修が「自分の認知症ケアを高める」ことを目的とするのに対し、実践リーダー研修は「チームのケア全体を高める」ことが中心テーマです。指導者養成研修を受けるには、実践者研修と実践リーダー研修の両方の修了が必須要件とされています。

費用・受講料の目安

受講料は都道府県や指定事業者によって大きく異なります。一部自治体では公費負担で無料となるケースもありますが、おおむね数万円〜5万円程度を見込んでおくと安全です。多くの場合、受講料に加えてテキスト代(5,000円前後)が別途かかります。事業所が研修費用や勤務日扱いを負担するかは、雇用契約や就業規則によって異なるため、申込前に管理者と必ず確認しておきましょう。

よくある質問

Q. 実践者研修を修了していなくても受けられますか?

原則として実践者研修の修了が必要です。介護福祉士資格取得後10年以上・1,800日以上の実務経験など、知事が同等以上と認めた者は経過措置で対象になる場合があります。

Q. 修了後に手当はつきますか?

法定の資格手当はありませんが、グループホーム等の計画作成担当者要件に該当するため、ユニットリーダー手当として月数千円〜1万円程度を支給する事業所が多く見られます。

Q. 研修中の勤務扱い・受講料はどうなりますか?

多くの事業所では出張扱い・通常勤務扱いで給与が支払われ、受講料も事業所負担となるケースが多めです。詳細は雇用契約・就業規則・申込前の合意で必ず確認してください。

Q. 修了後すぐに指導者研修に進めますか?

指導者養成研修は都道府県の推薦を受けた選抜方式です。実践者・実践リーダー両研修の修了が必須ですが、現場で一定の指導実績を積んでから推薦されるのが一般的です。

参考資料・公的ソース

まとめ:チームを動かす段階へ

認知症介護実践リーダー研修は、認知症ケアの担い手を「個人で実践する人」から「チームで動かす人」へ引き上げるための公的研修です。実務経験5年以上・実践者研修修了から1年以上というハードルはありますが、修了後はグループホームの計画作成担当者要件を満たし、ユニットリーダーや指導者養成研修への足がかりになります。受講料・日程は都道府県によって幅があるため、所属事業所と早めに相談しながら、自分のキャリアと現場の人材育成計画を結びつけて受講を計画していきましょう。

この用語に関連する記事

介護福祉士・ケアマネの資格手続き、オンライン化の現在地|国の調査80手続を検証

介護福祉士・ケアマネの資格手続き、オンライン化の現在地|国の調査80手続を検証

介護福祉士とケアマネジャーの資格手続きはどこまでオンラインでできるのか。デジタル庁の行政手続棚卸調査から該当80手続を独自集計し、政府の実装計画と2026年8月時点の実際の運用を突き合わせて検証しました。

介護業界の新卒就活スケジュール|一般企業と選考時期がずれる理由と法人の見極め方

介護業界の新卒就活スケジュール|一般企業と選考時期がずれる理由と法人の見極め方

介護・福祉業界の新卒採用は通年採用が中心で、選考の本格化は夏から秋です。政府の就活ルール(広報3月・選考6月・内定10月)を基準にすると、一般企業のピークが過ぎた後に動く形になります。スケジュールの違いと、実習先以外の法人をどう見極めるかを整理します。

介護福祉士養成校の選び方|2年制・4年制の違い、学費、国家試験合格率の見方

介護福祉士養成校の選び方|2年制・4年制の違い、学費、国家試験合格率の見方

介護福祉士養成施設は専門学校・短大・4年制大学などに分かれ、修業年限も学費も異なります。国家試験合格率の見方、実習の量、就職支援、修学資金貸付の使い方まで、進学先を比較するための観点を整理します。

高校生から介護職に就くには|福祉系高校ルートと無資格入職の違い・初任給・資格の取り方

高校生から介護職に就くには|福祉系高校ルートと無資格入職の違い・初任給・資格の取り方

高校卒業後に介護職を目指す進路は、福祉系高校で国家試験受験資格を得るルートと、無資格で就職して働きながら資格を取るルートに分かれます。最短で介護福祉士になれるのはどちらか、初任給、修学資金貸付制度まで一次資料で整理します。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。