
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)とは
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)とは、ケアマネジャーの上位資格で、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の管理者要件として位置づけられる職種です。要件・研修・役割を厚労省資料に基づき定義型で解説します。
この記事のポイント
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)とは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の上位資格で、専任ケアマネとして通算5年以上の実務経験を持つ者が主任介護支援専門員研修を修了することで取得できる職種です。地域包括支援センターの必置職種であり、2021年度以降は居宅介護支援事業所の管理者要件としても位置づけられています。
目次
主任ケアマネジャーの定義と制度上の位置づけ
主任ケアマネジャー(正式名称:主任介護支援専門員)は、2006年(平成18年)の介護保険法改正により、地域包括ケアシステムを推進する中核人材として創設された職種です。介護支援専門員のうち、一定の実務経験と研修修了要件を満たした者だけが取得できる上位資格で、根拠は厚生労働省告示および「主任介護支援専門員研修実施要綱」に規定されています。
制度上の位置づけは大きく2つあります。第1に、地域包括支援センターの必置職種です。介護保険法施行規則第140条の66により、地域包括支援センターには原則として「保健師」「社会福祉士」「主任介護支援専門員」の3職種を配置することが義務づけられています。第2に、居宅介護支援事業所の管理者要件です。2021年4月以降に新規指定を受ける居宅介護支援事業所では、管理者は主任介護支援専門員でなければなりません。ただし2021年3月31日時点で管理者だった非主任ケアマネについては、2027年3月31日までの経過措置が設けられています(厚労省 第173回介護給付費分科会資料)。
役割としては、自らが担当する利用者へのケアマネジメントに加え、所属事業所内外の介護支援専門員への助言・指導、困難事例への対応支援、地域課題の把握と多職種連携の推進などを担います。単なる「経験豊富なケアマネ」ではなく、地域全体のケアマネジメントの質を底上げするスーパーバイザー的役割が期待される点が、通常のケアマネジャーとの最大の違いです。
主任介護支援専門員研修の受講要件
主任介護支援専門員になるには、都道府県が実施する「主任介護支援専門員研修(必須受講時間70時間以上)」を修了する必要があります。研修の受講には、以下のいずれかの要件を満たすことが求められます。
- 専任の介護支援専門員として従事した期間が通算5年(60か月)以上であること(基本要件)
- ケアマネジメントリーダー養成研修修了者、または日本ケアマネジメント学会の認定ケアマネジャーで、専任の介護支援専門員として通算3年(36か月)以上従事していること
- 主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている者
- 介護支援専門員の業務に関して十分な知識と経験を有し、都道府県が適当と認める者
取得後も資格は永続ではなく、5年ごとに「主任介護支援専門員更新研修(46時間)」の修了が必要です。更新研修を受けないと資格は失効するため、継続学習が前提となる職種です。
ケアマネジャーと主任ケアマネジャーの違い
通常の介護支援専門員と主任介護支援専門員は、必要な実務経験・研修・配置義務・役割範囲が大きく異なります。
| 項目 | 介護支援専門員(ケアマネ) | 主任介護支援専門員(主任ケアマネ) |
|---|---|---|
| 取得ルート | 介護支援専門員実務研修受講試験合格+実務研修(87時間) | ケアマネ取得後、専任で5年以上従事+主任研修(70時間) |
| 更新研修 | 5年ごとに更新研修(54時間または88時間) | 5年ごとに主任更新研修(46時間) |
| 主な役割 | 利用者のケアプラン作成、給付管理、サービス担当者会議の運営 | 左記に加え、他ケアマネへの助言・指導、困難事例支援、地域連携推進 |
| 地域包括支援センター | 配置義務なし | 必置(3職種の1つ) |
| 居宅介護支援事業所管理者 | 2027年3月までは経過措置で可 | 原則として要件(2021年4月〜) |
役割の中心は、ケアマネが「個別ケース担当」であるのに対し、主任ケアマネは「ケアマネを支援するケアマネ」である点に集約されます。
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主任ケアマネジャー取得までのルート
介護福祉士などの基礎資格から主任ケアマネジャーに至るには、最短でも8年程度の実務経験が必要です。標準的なキャリアパスは以下のとおりです。
- 受験資格対象の国家資格等で実務5年以上(介護福祉士・看護師・社会福祉士など、または相談援助業務)
- 介護支援専門員実務研修受講試験(年1回、各都道府県)に合格
- 介護支援専門員実務研修(87時間)を修了し、介護支援専門員として登録
- 居宅介護支援事業所・施設・地域包括支援センターなどで専任の介護支援専門員として5年以上従事
- 都道府県が実施する主任介護支援専門員研修(70時間以上)を受講・修了
- 修了証を交付され主任介護支援専門員として登録、5年ごとに更新研修
研修は都道府県ごとに年1回程度の開催で定員も限られているため、受講申込のタイミングや、所属事業所からの推薦が必要なケースもあります。
主任ケアマネ取得のメリットと活躍フィールド
主任ケアマネジャーを取得すると、キャリアの選択肢が大きく広がります。
- 地域包括支援センターへの転職機会:必置職種のため求人需要が安定。市町村直営・委託問わず採用ニーズがある
- 居宅介護支援事業所の管理者ポジション:2021年度以降は新規事業所では実質必須要件のため、管理職ポストへの登用が現実的
- 特定事業所加算の算定要件:居宅介護支援事業所が特定事業所加算(I〜III)を算定するには主任ケアマネの常勤配置が条件で、事業所側からの採用ニーズが高い
- 地域ケア会議・研修講師など外部活動:行政や職能団体からの依頼で講師・スーパーバイザー業務を担う機会が増える
給与面でも、主任ケアマネ加算手当を支給する事業所が多く、求人検索でも管理者・主任職としての提示額が通常のケアマネより高めに設定される傾向があります。
主任ケアマネジャーに関するよくある質問
主任ケアマネジャーに関するよくある質問
Q1. 主任ケアマネジャーは国家資格ですか?
A. 国家資格ではなく、厚生労働省の告示および都道府県が実施する研修修了に基づく公的な職務上の資格です。介護支援専門員自体も都道府県知事登録の資格であり、主任介護支援専門員はその上位区分という位置づけになります。
Q2. 主任ケアマネ研修は誰でも受けられますか?
A. 受けられません。専任のケアマネジャーとして通算5年以上の従事経験など、受講要件を満たした上で、都道府県の研修申込・選考を経る必要があります。事業所からの推薦が必要な自治体もあります。
Q3. 主任ケアマネと管理者の関係は?
A. 居宅介護支援事業所の管理者は原則として主任介護支援専門員でなければなりません(2021年4月以降の新規指定事業所)。既存事業所には経過措置があり、2027年3月31日まで非主任ケアマネによる管理者継続が認められています。
Q4. 更新を忘れたらどうなりますか?
A. 主任介護支援専門員研修修了は5年の有効期間があり、期間内に更新研修(46時間)を修了しないと主任の資格は失効します。失効後は通常の介護支援専門員としては継続できますが、主任要件の業務(地域包括支援センター必置・管理者要件・特定事業所加算など)は担えなくなります。
Q5. 主任ケアマネと認定ケアマネジャーは違いますか?
A. 別物です。認定ケアマネジャーは日本ケアマネジメント学会が認定する民間資格で、主任介護支援専門員研修の受講要件を3年に短縮できる扱いはありますが、行政上の必置要件としては主任介護支援専門員のみが該当します。
まとめ
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)は、ケアマネジャーの上位資格であり、地域包括支援センターの必置職種・居宅介護支援事業所の管理者要件・特定事業所加算の要件として制度上明確に位置づけられた職種です。取得には専任ケアマネとして5年以上の従事経験と70時間以上の研修受講が必要で、5年ごとの更新研修も求められます。介護支援専門員としてのキャリアを積み、管理者・地域支援職への道を進みたい方にとって、避けて通れない次のステップといえます。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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