法定後見とは

法定後見とは

判断能力が低下した方を法的に支える法定後見制度。後見・保佐・補助の3類型の違いと、家庭裁判所への申立から審判までの流れを最高裁・法務省の基準で解説します。

ポイント

この記事のポイント

法定後見とは、認知症・知的障害・精神障害等で判断能力が不十分になった方を法律的に支援するため、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3類型があり、本人・配偶者・4親等内の親族等が家庭裁判所に申立てを行います。

目次

法定後見の制度概要

法定後見制度は、2000年4月に介護保険制度と同時に施行された成年後見制度の柱の1つで、民法に基づく公的な権利擁護の仕組みです。判断能力低下後に家庭裁判所が後見人等を選任する点で、判断能力があるうちに本人が後見人を指名する任意後見と対をなします。

本人の判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3類型に分かれ、それぞれ後見人等の権限(代理権・同意権・取消権)が異なります。最高裁判所の統計によれば、利用者の約8割が後見類型で、認知症高齢者の利用が中心です。

法定後見人には親族のほか、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職、社会福祉協議会等の法人が選ばれます。近年は親族間トラブル防止の観点から、専門職後見人の選任比率が約8割に達しています。

後見・保佐・補助の3類型

類型判断能力後見人等の名称主な権限
後見ほとんど無い(重度認知症等)成年後見人包括的代理権、取消権(日常生活除く)
保佐著しく不十分(中度認知症等)保佐人民法13条1項列挙行為の同意権・取消権、付与された範囲の代理権
補助不十分(軽度認知症等)補助人申立で付与された特定行為の同意権・代理権

後見は最も重い類型で、本人がほとんど判断できない状態に適用。成年後見人には包括的な代理権・取消権が法律上当然に付与されます。保佐は中程度で、不動産売買・借金・相続承認など重要行為に同意権が付きます。補助は最も軽い類型で、本人の同意のもと特定行為についてのみ権限が付与されます。

申立から審判までの流れ

  1. 申立人を確認:本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、市町村長(身寄りなしの高齢者・障害者等の場合)
  2. 必要書類の準備:申立書、診断書、財産目録、本人情報シート、戸籍謄本、住民票等
  3. 家庭裁判所へ申立:本人の住所地を管轄する家庭裁判所に提出
  4. 家庭裁判所の調査:参与員・調査官による事情聴取、本人面接、必要に応じて鑑定(特に保佐・後見類型)
  5. 審判:類型と後見人等が決定される
  6. 登記:審判確定後、東京法務局で後見登記がなされる
  7. 後見人等の業務開始:財産管理・身上監護を開始

申立から審判までの期間は通常2〜4か月。緊急性がある場合は審判前の保全処分(仮の財産管理者選任)もあります。費用は申立手数料800円〜2,400円+鑑定料5万〜10万円程度+必要書類実費です。

申立を取り下げできない点に注意

後見・保佐・補助開始等申立書を提出した後は、家庭裁判所の許可を得なければ取り下げることはできません。「家族関係が複雑で申立をやめたい」「後見人候補が変わった」といった事情があっても、家裁が許可しない限り審理は進みます。申立前の慎重な検討が必要です。

市町村長申立(身寄りがない高齢者・障害者の保護のため自治体が行う申立)は、生活保護担当課や地域包括支援センター経由で進められます。介護現場で身寄りのない利用者が判断能力を失ったケースに直面した場合、ケアマネジャー・包括職員・社会福祉協議会と連携して市町村長申立に繋げる動きが定着してきました。

よくある質問

Q. 法定後見と任意後見はどちらを選ぶべきですか?

A. 判断能力が十分なうちに準備できるなら任意後見、すでに判断能力が低下していれば法定後見しか選択肢はありません。任意後見契約があっても、家庭裁判所が本人保護のため必要と判断すれば法定後見を開始することもあります。

Q. 後見人になると報酬はもらえますか?

A. 親族後見人は無報酬のケースが多く、専門職後見人は本人の財産から月額2〜6万円程度が支払われます(家庭裁判所が決定)。報酬は本人の財産規模により変動します。

Q. 介護現場で後見制度はどう関わりますか?

A. 利用契約の締結、施設入所契約、医療同意(範囲限定)、預貯金管理など、判断能力が低下した利用者の意思決定を後見人等が代理する場面が増えています。ケアマネ・サ責・施設職員にとって、後見人との連携力は必須スキルとなりつつあります。

まとめ

法定後見は、判断能力が低下した方を家庭裁判所が選んだ後見人等が支援する制度で、後見・保佐・補助の3類型に分かれます。申立は本人・親族・市町村長等が行い、審判確定で後見業務が始まります。介護現場では契約代理・財産管理・施設入所手続き等で後見人と連携する場面が増えており、介護職員にとっても押さえるべき知識となっています。

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介護のハタラクナカマ編集部

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