
介護医療院とは
介護医療院は2018年創設の介護保険施設で、長期療養と生活施設の機能を兼ね備えます。I型・II型の違い、人員基準、廃止された介護療養型医療施設からの転換背景まで解説。
この記事のポイント
介護医療院は、2018年4月に介護保険法第8条第29項に基づき創設された介護保険施設です。長期にわたる療養が必要な要介護者に対し、療養上の管理・看護・医学的管理下の介護と「生活施設」としての機能を一体で提供します。医療ニーズの高いI型と容体が比較的安定したII型の2類型があり、2024年3月に廃止された介護療養型医療施設の受け皿として位置づけられました。
目次
介護医療院の定義と創設の経緯
介護医療院は、介護保険法第8条第29項で「主として長期にわたり療養が必要である要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」と定められた介護保険施設です。
2017年6月公布の改正介護保険法(平成29年法律第52号)に基づき、2018年4月から運用が始まりました。厚生労働省は介護医療院を「住まいと生活を医療が支える新たなモデル」と位置づけており、長期療養と生活支援を一体で提供し、看取り・ターミナルケアまで担う点が特徴です。対象は要介護1〜5に限られ、要支援1・2は対象外です。
I型・II型の違いと介護療養型医療施設からの転換
I型・II型の違いと介護療養型医療施設からの転換背景
介護医療院はI型とII型の2類型に分かれ、利用者像と人員配置が異なります。I型はより医療色が濃く、II型は老健相当の生活支援に近い設計です。
| 項目 | I型 | II型 |
|---|---|---|
| 相当基準 | 介護療養病床(療養機能強化型A・B)相当 | 老人保健施設相当以上 |
| 主な利用者像 | 身体合併症のある認知症高齢者など、容体急変リスクが高い人 | I型より容体が比較的安定した長期療養者 |
| 医師 | 入所者48対1(施設で3人以上) | 入所者100対1(施設で1人以上) |
| 介護職員 | 入所者5対1 | 入所者6対1 |
創設の背景には、長く議論されてきた介護療養型医療施設(介護療養病床)の見直しがあります。医療必要度の低い長期入院者の受け皿になりやすく社会保障費を圧迫する課題から、2006年に廃止方針が打ち出され、複数回の経過措置延長を経て2024年3月31日に完全廃止。介護医療院はその主要な転換先として、療養室面積を大規模改修まで6.4㎡/人以上で可とする経過措置などで移行が支援されました。
人員基準・施設基準の主な数値
人員・施設・設備・運営基準は、平成30年厚生労働省令第5号で定められています。
主な人員配置(常勤換算)
- 看護職員:入所者6対1(24時間看護体制)
- 介護職員:I型5対1/II型6対1
- 介護支援専門員:入所者100人につき1人を標準
- PT・OT・ST:実情に応じた適当数
主な施設・設備
- 療養室:定員4人以下、1人あたり8.0㎡以上(転換時の経過措置あり)
- 多床室:パーティション等の間仕切り設置が必須
- 機能訓練室:40㎡以上
看護6対1・介護5対1(I型)の配置は、特養(介護3対1)や老健(合算3対1)と比べ医療職比率が高めで、吸引・経管栄養・看取りを継続的に支える前提です。
あなたに合った介護の働き方は?
簡単な質問に答えるだけで、ピッタリの施設タイプがわかります
介護医療院で働くときに押さえたいポイント
- I型・II型の構成で業務の濃度が変わる:求人を見る際は療養床の類型構成を確認。I型中心なら吸引・経管栄養・看取りが日常化し、II型中心ならリハビリと生活支援の比重が高まります。
- 看護職と介護職の役割分担:看護6対1で夜間も看護職員が常駐するため、介護職にはバイタル変化の的確な報告など医療連携の知識が日常的に求められます。
- 転換施設は元病院文化が残ることも:介護療養型から転換した施設では旧病院の運用が残るケースもあるため、見学時に居室や談話室の生活感を観察するのがおすすめです。
介護医療院に関するよくある質問
Q1. 介護医療院は病院と同じですか?
いいえ。法的には病院ではなく介護保険法に基づく介護保険施設です。医師・看護師の常駐や看取り対応など医療機能を備え、特養や老健より医療色が濃い施設です。
Q2. 介護療養型医療施設はいつ廃止されましたか?
2024年3月31日をもって完全廃止されました。介護医療院などへの転換が完了しています。
Q3. 要支援でも入所できますか?
できません。対象は要介護1〜5のみで、要支援1・2の方は通所・訪問・特定施設入居者生活介護などの利用を検討します。
Q4. 初任者研修や実務者研修は活かせますか?
活かせます。喀痰吸引等研修と組み合わせると、医療職と連携した吸引・経管栄養対応の利用者支援にも携わりやすくなります。
参考資料・一次ソース
- 厚生労働省「介護医療院とは|介護医療院公式サイト」(定義・I型II型の違い・人員施設基準の解説)
- 厚生労働省「介護医療院の概要(PDF)」(介護保険法第8条第29項の定義、利用者像・基準数値)
- 厚生労働省「介護医療院について」(開設状況・令和6年度介護報酬改定資料)
- e-Gov 法令検索「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)」
- 厚生労働省「老老発0322第1号 平成30年3月22日 介護医療院の人員等基準の留意事項について(PDF)」
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第29項(介護医療院の定義)
関連する詳しい解説
- 📖 親トピック: 介護保険制度の基礎|仕組み・利用の流れ・2027年改正のポイント — 介護医療院を含む介護保険施設の全体像と制度の文脈
- 🔗 関連用語: 介護保険法とは|平成9年法律第123号・2000年施行の介護保険制度の根幹法
- 🔗 関連用語: 介護給付とは|要介護1-5が受けられる居宅・施設サービスの全体像
- 🔗 関連用語: 施設サービス計画とは|特養・老健・介護医療院の入所者に作成するケアプラン
- 🔗 関連用語: 医療連携体制加算とは|グループホームの看護職員配置を評価する加算を解説
- 🔗 関連用語: 超強化型老健とは|在宅復帰率と5類型の算定要件・単位数差をわかりやすく解説
- 🎯 自分に合う働き方: 介護の働き方診断(無料3分)
まとめ
介護医療院は2018年創設の介護保険施設で、長期療養が必要な要介護者に医学的管理と生活支援を一体提供します。2024年3月廃止の介護療養型医療施設の主要な転換先として、医療色が濃いI型と老健相当のII型に分かれ、看護6対1の体制で看取りまで対応する専門領域です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
最新の介護業界ニュース

2026/5/5
財政審、27年度介護報酬改定で「報酬適正化」要求|訪問介護12.4%・通所介護8.7%の利益率を問題視
財政制度等審議会・財政制度分科会(2026年4月28日)が示した「サービス類型ごとの報酬適正化」「処遇改善加算へのテクノロジー要件追加」「利用者負担2割対象拡大」の論点を、介護現場・転職希望者の視点で読み解く。

2026/5/1
看護師等養成所の遠隔授業推進事業、令和8年度公募|地方の人材確保と介護現場への波及
厚労省が令和8年度予算で1.21億円を計上した「人口減少社会の看護師等養成所における遠隔授業推進支援事業」の概要と、地方の養成所閉校・定員割れが介護施設の看護師確保に及ぼす影響を解説。

2026/5/1
居宅介護支援に処遇改善2.1%、6月施行直前ガイド|ケアマネの給料はいくら上がる?
2026年6月から居宅介護支援・介護予防支援に処遇改善加算(2.1%)が新設。ケアマネ事業所が初めて対象に。算定要件はケアプー加入か加算IV準拠の二択、届出は4月15日締切、月額換算では一人あたり約7,000〜10,000円の賃上げ見込み。算定方法・配分ルール・特定事業所加算との関係まで施行直前の実務ガイド。

2026/5/1
第2回・2040年看護職員養成検討会|実習・供給推計・資質の3論点と介護現場への波及
厚労省は2026年5月8日、第2回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催。看護学生実習・供給推計・看護職員の資質という3論点を議論する。第1回の論点と介護現場への影響を解説。

2026/5/1
介護人材確保のリアル|2040年57万人不足と求職者の交渉力(2026年最新)
2026年度に約25万人、2040年度に約57万人の介護職員が不足する見通しです。有効求人倍率4倍超の売り手市場の構造的要因、国の5本柱対策、特定技能介護の拡大、倒産176件の経営インパクト、そして求職者にとっての交渉力と戦略を一次データで解説します。

2026/5/1
LIFE第2回説明会の動画・資料が公開(vol.1498)|介護現場が押さえる入力フローと加算の関係
厚労省が4月28日にvol.1498を発出し、3月開催のLIFE第2回説明会の動画・資料を公開。令和6年度改定後の新フィードバック画面の見方、ブラウザ閲覧化、都道府県・要介護度での絞り込み、活用事例の概要を整理し、科学的介護推進体制加算など関連加算と現場の入力フローへの影響まで読み解きます。






