介護休業給付金とは

介護休業給付金とは

介護休業給付金とは、雇用保険から休業前賃金の67%が支給される給付(最大93日・3回分割可)。支給額の計算式、上限532,200円、申請方法、必要書類、2025年改正のポイント、介護休暇との違いを介護用語集として簡潔に解説します。

ポイント

この記事のポイント

介護休業給付金とは、家族の介護のために介護休業を取得した雇用保険被保険者に、雇用保険から休業開始時賃金日額の67%が支給される給付金制度(雇用保険法第61条の4)です。同一家族について通算93日・最大3回まで分割して受け取れます。上限額は532,200円/支給単位(令和7年8月改定)。申請は原則として事業主経由でハローワークへ、休業終了の翌日から2か月後の月末までに行います。介護休暇(年5日の短期休暇・無給)には給付金はなく、本制度は長期休業の介護休業のみが対象です。

目次

介護休業給付金の定義と法的根拠

介護休業給付金は、雇用保険法第61条の4に基づき、家族の介護のために介護休業を取得した労働者の所得を補償する給付金です。育児介護休業法に基づく介護休業(最大93日・3回分割可)を取得した雇用保険被保険者に、ハローワークから直接支給されます。

制度の目的

家族の介護を担う労働者が「収入が途絶えるから休めない」という事態を避け、仕事と介護の両立を経済面から支えることが目的です。介護休業中の賃金は原則無給(会社規定によらず労働の提供がないため)ですが、この給付金で生活費を一定程度カバーできます。

支給率の引き上げ経緯

従来は休業開始時賃金日額の40%でしたが、平成28年(2016年)8月の改正で67%に引き上げられました。これにより、月給25万円の場合は約16.7万円/月が支給される水準になっています。

支給対象となる「家族」

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母(実父母・養父母)/子(実子・養子)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母/兄弟姉妹/孫

同居・扶養要件は2017年に撤廃されており、別居でも対象です。「2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態」にある家族が対象で、介護保険の要介護認定は必須ではありません。

介護休暇との違い(給付金の有無)

「介護休暇」と「介護休業」は名前が似ていますが別制度で、給付金の有無も決定的に異なります。介護休業給付金は介護休業のみが対象で、年5日の短期休暇である介護休暇には給付金はありません。

項目介護休業介護休暇
休業期間通算93日/家族1人年5日(家族2人以上は10日)
分割取得最大3回まで1日ずつでも可
取得単位日単位1日または時間単位
申請原則2週間前までに書面口頭・当日申請も可
給付金あり(賃金の67%)なし
賃金原則無給(給付金で補填)原則無給(会社規定次第)
用途イメージ介護体制構築のためのまとまった休み通院付添・手続き等の単発対応

使い分けの考え方

単発の通院付添・手続きは介護休暇、施設探しや在宅介護体制づくりなど数週間〜3か月単位の対応は介護休業を活用します。両制度は併用可能で、日々のケアを介護休暇でカバーしつつ、必要な時に介護休業(給付金付き)でまとまった休みを取るのが現実的な使い分けです。

支給額の計算式・上限額・支給要件

支給額の計算式

介護休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

休業開始時賃金日額は、休業開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180日で算定されます(雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書で確定)。

上限額・下限額(令和7年8月1日改定)

  • 支給単位(30日)あたりの上限額:532,200円
  • 支給単位あたりの下限額:90,420円
  • 毎年8月1日に賃金日額の上限・下限が見直されます

計算例

休業前の月給休業1か月(30日)の支給額93日フル取得の総額目安
15万円約100,500円約311,000円
25万円約167,500円約519,000円
30万円約201,000円約623,000円
40万円(上限近辺)約268,000円約831,000円

支給要件

  • 雇用保険の被保険者であること
  • 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上(または就業時間80時間以上)の月が12か月以上あること
  • 同一対象家族について通算93日が上限(最大3回まで分割可)
  • 休業期間中の就業日数が支給単位期間ごとに10日以下であること
  • 休業期間中の事業主からの賃金が休業前の80%未満であること(80%以上は不支給/13〜80%は差額調整)

非課税扱い

介護休業給付金は所得税・住民税の課税対象外。雇用保険料・社会保険料も控除されないため、額面がほぼそのまま手取りとなります。

申請の流れと必要書類

介護休業給付金の申請は原則として事業主(勤務先)経由で行います。被保険者本人による直接申請も可能ですが、必要書類の多くを会社が準備するため、実務では会社経由が一般的です。

申請の基本ステップ

  1. 会社へ介護休業を申し出る(原則2週間前まで) 「介護休業申出書」を勤務先へ提出。対象家族・休業開始日・終了予定日を記載します。
  2. 休業開始 会社は休業開始時賃金月額証明書を作成・保管します。
  3. 休業終了 介護休業を終え、職場復帰します。
  4. 支給申請書類の準備 会社が「介護休業給付金支給申請書」と関連書類をハローワークに提出(または本人が提出)。
  5. ハローワーク審査・支給決定通知 通常1〜2週間で支給決定。
  6. 指定口座へ振込 支給決定後おおむね1週間で振込。申請から振込まで合計1〜2か月が目安です。

申請期限(重要)

介護休業終了日の翌日から起算して2か月後の月末までに申請が必要です。期限を過ぎると支給を受けられなくなる恐れがあるため、復職後すぐに会社の人事・総務へ連絡しましょう。

必要書類

  • 介護休業給付金支給申請書(ハローワーク所定様式)
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 被保険者が事業主に提出した介護休業申出書(写し)
  • 住民票記載事項証明書等(対象家族との続柄・性別・生年月日が分かるもの)
  • 出勤簿・タイムカード等(休業開始日・終了日・期間中の休業実績がわかるもの)
  • 賃金台帳(休業前6か月分)
  • 本人名義の振込口座が分かるもの(通帳の写し等)

申請窓口

事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)。会社経由の場合は会社の所在地、本人申請の場合は離職時の事業所の所在地を管轄するハローワークが窓口となります。

2025年改正のポイント(介護休業給付金まわり)

2025年4月施行の育児介護休業法改正により、介護休業給付金そのものの「金額」は変わっていませんが、給付金にアクセスしやすくする周辺環境が大きく整備されました。介護現場で働く人にも関係する主要ポイントをまとめます。

  • 40歳到達時の情報提供義務化 会社は40歳になる従業員に対し、介護休業・介護休業給付金・介護休暇等の制度を個別に情報提供する義務を負います。「制度を知らずに離職」を防ぐ仕組みです。
  • 介護に直面した旨の申出時の個別周知・意向確認 従業員から介護の申出があった時点で、事業主は介護休業(給付金あり)・介護休暇・短時間勤務などの両立支援制度を個別に説明し、利用意向を確認する義務があります。
  • 雇用環境整備義務 研修実施・相談窓口設置・事例提供・方針周知のうちいずれかを必須化。給付金の存在を知らせる窓口が職場内に整います。
  • 介護のためのテレワーク導入が努力義務化 介護休業給付金を使い切った後の働き方として、テレワーク併用が選択肢に。
  • 入社6か月未満の労働者の除外規定撤廃(介護休暇) 介護休暇に関する改正ですが、入社直後でも休めるようになり、介護休業給付金につながる入口が広がりました。

給付金本体の改正動向

支給率67%・上限93日・3回分割という骨格は据え置きです。一方で、雇用保険財政の議論の中で支給率や対象期間の拡充は引き続き検討課題となっており、最新情報は厚生労働省・ハローワークの発表をチェックしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護休業給付金はいつもらえますか?

A. 介護休業終了後の申請となるため、休業中には支給されません。終了日の翌日から2か月後の月末までに申請し、支給決定後おおむね1週間で振込。申請から入金までは合計1〜2か月が目安です。

Q. パート・契約社員でも受け取れますか?

A. 受け取れます。雇用保険の被保険者であり、休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あれば、雇用形態を問わず申請可能です。

Q. 同じ家族について何回まで申請できますか?

A. 同一対象家族について通算93日・最大3回まで分割申請できます。一度93日を使い切ると、その家族について再度の支給はありません(要介護度が変わっても同じ)。

Q. 介護休業中に会社から給与が出ても受給できますか?

A. 休業中の事業主からの賃金が休業前の13%以下なら67%全額支給。13〜80%の間は「賃金+給付金が80%を超えない範囲」で差額調整、80%以上の場合は不支給です。

Q. 給付金は課税されますか?

A. 介護休業給付金は所得税・住民税ともに非課税です。雇用保険料・社会保険料も控除されないため、額面がほぼそのまま手取りとなります(社会保険料の本人負担分は別途、会社の規定に従い納付が必要な場合あり)。

Q. リーフレットはどこで入手できますか?

A. ハローワークインターネットサービスで「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」というPDFリーフレットが公開されています。最寄りのハローワーク窓口でも配布されています。

Q. 介護休業給付金と介護休暇は併用できますか?

A. 別制度なので併用可能です。介護休暇(年5日・無給)で日々の通院付き添い等をカバーしつつ、まとまった休みが必要なときに介護休業(給付金67%)を取る使い方が現実的です。

参考文献・出典

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まとめ

介護休業給付金は、雇用保険法第61条の4に基づき、家族の介護で介護休業を取得した労働者に休業前賃金の67%を支給する公的給付です。同一家族につき通算93日・最大3回分割まで活用でき、上限額は532,200円/支給単位。所得税・住民税は非課税です。申請は介護休業終了の翌日から2か月後の月末までに、原則事業主経由でハローワークへ。2025年4月施行の改正で40歳到達時の情報提供義務化や雇用環境整備義務が加わり、給付金にアクセスしやすい環境が整いました。介護休暇(年5日・無給)には給付金がない点に注意し、まとまった休みが必要な局面では介護休業+給付金の活用を検討しましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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