
介護休暇とは
介護休暇とは家族の介護のために年5日まで取得できる休暇制度。介護休業との違い、取得条件、申請方法、介護休業給付金(最大67%)、2025年法改正までを介護用語集として簡潔に解説。介護現場で働く人自身も使える制度です。
この記事のポイント
介護休暇とは、育児介護休業法に基づき、要介護状態の家族を介護・世話するために1年度に5日(家族2人以上は10日)まで取得できる短期休暇制度です。1日または時間単位で取得でき、当日の口頭申請も可能。最大93日取得できる長期の介護休業とは別制度で、給付金(介護休業給付金・賃金の67%)は介護休業のみが対象です。介護現場で働く職員自身も家族の介護で利用できます。
目次
介護休暇の定義
介護休暇は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(通称:育児介護休業法)の第16条の5以降に規定された法定休暇制度です。要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者が、年5日(家族2人以上は10日)まで休暇を取得できます。
「要介護状態」の定義
要介護状態とは、負傷・疾病・身体上または精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態を指します。介護保険法上の要介護認定を受けている必要はなく、医師の診断書なども原則不要です。
「介護・世話」に含まれる範囲
直接的な身体介護だけでなく、以下も「世話」に含まれます。
- 通院の付き添い
- 介護サービスの手続き(ケアマネジャーとの面談など)
- 要介護認定の申請手続き
- 介護用品の買い物
- 金融機関での手続き代行
介護休暇と介護休業の違い
「介護休暇」と「介護休業」は名前が似ていますが、まったく別の制度です。介護休暇は短期間の休み、介護休業は長期間の休業で、給付金の有無も異なります。
| 項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 性質 | 短期休暇 | 長期休業 |
| 取得日数 | 年5日(家族2人以上は10日) | 通算93日(家族1人あたり) |
| 取得単位 | 1日または時間単位 | 日単位 |
| 分割取得 | 1日ずつでも可 | 最大3回まで分割可 |
| 申請方法 | 口頭・当日申請も可 | 原則2週間前までに書面 |
| 給付金 | なし(賃金は会社規定) | 介護休業給付金(賃金の67%) |
| 賃金 | 原則無給(有給は会社次第) | 原則無給(給付金で補填) |
| 用途イメージ | 通院付添・手続き等の単発対応 | 介護体制構築のためのまとまった休み |
使い分けのポイント
- 単発の通院付添や手続き→ 介護休暇
- 介護施設探し・在宅介護体制づくり→ 介護休業
- 両制度は併用可能。介護休暇で日々のケアをカバーしつつ、必要に応じて介護休業を取得するのが現実的です。
対象者と対象家族
取得できる労働者
介護休暇は雇用形態を問わず、正社員・契約社員・パート・アルバイト・派遣社員のいずれも取得できます。ただし以下は対象外です。
- 日雇い労働者
- 労使協定で除外された「週の所定労働日数が2日以下の者」
なお、2025年4月の法改正により、これまで除外可能だった「入社6か月未満の労働者」は労使協定による除外対象から外れ、入社直後でも取得できるようになりました。
対象となる家族(範囲)
介護休暇の対象家族は、育児介護休業法で次のように定められています。
- 配偶者(事実婚を含む)
- 父母(実父母・養父母)
- 子(実子・養子)
- 配偶者の父母
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 孫
同居・扶養要件は2017年に撤廃されており、別居の家族でも対象となります。
取得方法と申請の流れ
申請方法
介護休暇は法律上、口頭での申請も認められており、当日朝に「今日休みます」と連絡することも可能です。ただし実務上は会社が定めた書式・申請ルートを使うのが一般的です。
申請の基本ステップ
- 就業規則を確認:会社の介護休暇の規定(書式・連絡先・添付書類の有無)を確認
- 勤務先へ申し出:取得日・対象家族・使う時間単位(1日/時間)を伝える
- 書面提出(求められた場合):「介護休暇申出書」など所定様式に記入
- 事後の証明書類:会社によっては要介護状態を示す書類(要介護認定通知書のコピー等)を求められる場合あり
会社は拒否できない
育児介護休業法第16条の6により、要件を満たした申請を会社が拒否することは違法です。「人手が足りない」「忙しい時期だから」を理由に拒否することはできません。
介護休業給付金の計算式(介護休業の場合)
介護休暇には給付金はありませんが、長期休業の介護休業を取得した場合は、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。
支給額の計算式
介護休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
支給要件
- 雇用保険の被保険者であること
- 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上(または就業時間80時間以上)の月が12か月以上あること
- 同一家族について通算93日が上限(最大3回まで分割可)
計算例(月給25万円の場合)
- 賃金日額:250,000円 ÷ 30 = 約8,333円
- 30日間休業:8,333円 × 30日 × 67% = 約167,500円支給
- 93日間フル取得:約519,000円が支給目安
申請窓口
介護休業給付金の申請は、原則として勤務先(事業主)経由でハローワークに行います。申請期限は休業終了日の翌日から2か月後の月末まで。
2025年改正のポイント
2025年4月施行の育児介護休業法改正により、仕事と介護の両立支援が大きく強化されました。介護現場で働く人にも関わる主要ポイントをまとめます。
- 入社6か月未満の労働者の除外規定を撤廃:これまで労使協定で除外可能だった「6か月未満の社員」も、入社直後から介護休暇を取得できるようになりました。
- 40歳到達時の情報提供義務化:会社は40歳になる従業員に対して、介護休業・介護休暇制度等に関する情報を個別に提供することが義務化されました。
- 介護に直面した旨の申出時の個別周知・意向確認:従業員が介護に直面したと申し出た時、事業主は両立支援制度を個別に説明し、利用意向を確認する義務があります。
- 研修・相談窓口設置などの雇用環境整備義務:研修実施・相談窓口設置・事例提供・方針周知のいずれかを必須化。
- 介護のためのテレワーク導入が努力義務化:通勤時間が惜しい介護期に在宅勤務という選択肢を作る方向に。
介護現場で働く人自身も使える制度
介護職員自身が「親の介護」に直面するケースは少なくありません。介護労働安定センター「介護労働実態調査」でも、自身の家族介護を理由に離職する介護職員は一定数存在します。
介護現場で働く人の典型的な活用パターン
- 親の通院付き添い:時間単位の介護休暇で、半日だけ抜けて病院対応 → 午後はシフトに復帰
- 要介護認定の申請手続き:役所訪問・ケアマネ面談などをまとめて1日休暇取得
- 急な体調悪化対応:当日朝の口頭申請でその日休暇取得
- 本格的な介護体制構築:介護休暇では足りないと判断したら介護休業(最大93日)に切り替え
シフト勤務と介護休暇
夜勤・シフト制が多い介護現場では、「時間単位での取得」が特に役立ちます。日勤の前半だけ抜けて家族の介護対応をし、後半から出勤するといった使い方も可能です。職場の理解を得るためにも、就業規則と申請ルールを早めに確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護休暇は有給ですか?無給ですか?
A. 法律上は有給・無給の規定がなく、会社の就業規則次第です。実態としては「無給」とする企業が多数派ですが、有給扱いとする企業もあります。年次有給休暇(年休)とは別枠で、年休を使い切っていても介護休暇は取得できます。
Q. 介護休暇取得を理由に解雇・降格されることはありますか?
A. 育児介護休業法第16条の7により、介護休暇の申出・取得を理由とする解雇や不利益取扱いは違法です。違反した場合、労働局による行政指導の対象となります。
Q. 介護休暇は時間単位でも取得できますか?
A. 2021年の法改正で、すべての労働者が時間単位での取得が可能になりました(業務の性質上困難な労働者を労使協定で除外することは可能ですが、原則は時間単位OK)。
Q. 介護休暇と介護休業を両方使えますか?
A. 使えます。両者は別制度で、同じ家族について介護休暇(年5日)と介護休業(通算93日)を併用可能です。
Q. パート・アルバイトでも取得できますか?
A. 取得できます。雇用形態にかかわらず申請可能です。日雇い労働者と「週の所定労働日数が2日以下」の者だけが除外されます。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
まとめ
介護休暇は、家族の介護のために年5日(家族2人以上は10日)まで取得できる短期休暇制度です。最大93日取得できる介護休業とは別制度で、給付金は介護休業のみの対象(賃金の67%)。介護休暇は時間単位・当日申請も可能で、通院付き添いや手続きなど単発の対応に使いやすい設計です。2025年4月の法改正で入社直後から取得可能となり、より使いやすくなりました。介護現場で働く介護職員自身も、家族介護に直面したらまず就業規則を確認し、必要に応じて介護休暇・介護休業を活用しましょう。
この用語に関連する記事

介護事業所の電子申請が原則化|指定申請・加算届出331手続を国の調査で検証
介護事業所の指定申請・変更届・加算届出は2026年4月から電子申請・届出システムの利用が原則化されました。デジタル庁の行政手続棚卸調査から事業者が行う331手続を独自集計し、原則化前の実態と、GビズIDや登記情報提供サービスなど実務で必要な準備を整理します。

介護の採用実務|計画から定着まで、施設の採用を5ステップで設計する
介護施設の管理者・採用担当者向けに、採用計画・チャネル選定・求人票・面接・定着の5ステップを一気通貫で設計する手引き。介護労働実態調査と当サイトの独自データ(チャネル別効果率・大手法人シェア)で各ステップの数字の要点を押さえます。

外国人介護職員について利用者・家族にどう説明し同意を得るか
訪問系サービスで外国人介護人材が従事する際、利用者・家族への書面交付と署名が厚生労働省の通知で求められます。法定義務のない施設系も含め、説明のタイミング、説明書の記載事項、担当変更を求められたときの線引き、苦情対応の手順を一次資料で整理します。

外国人介護人材の送出国別データ|特定技能1号の国籍別人数と前年比【独自集計】
介護分野の特定技能1号は令和7年12月末で67,871人。入管の公式データを国籍別に独自集計し、ミャンマーとインドネシアの首位争い、ベトナムの伸び鈍化、新興国の急増まで、受け入れ担当者が採用計画を組み直すための構造変化を実数と前年比で示します。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。