
介護福祉士養成施設とは
介護福祉士養成施設は厚生労働大臣指定の福祉系大学・短大・専門学校。4年制/2年制/3年制/夜間通信制の4ルート、学費・カリキュラム・奨学金・国家試験経過措置までやさしく整理しました。
この記事のポイント
介護福祉士養成施設とは、厚生労働大臣の指定を受けた福祉系の大学・短期大学・専門学校のことです。所定のカリキュラムを修了して卒業すると国家試験の受験資格が得られ、現行の経過措置下では卒業後5年間の暫定的な介護福祉士登録も可能です。実務経験ルートと並ぶ主要な取得ルートで、2年制から4年制まで4種類があります。
目次
介護福祉士養成施設とは
介護福祉士養成施設(かいごふくししようせいしせつ)は、社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第1号に基づき、文部科学大臣・厚生労働大臣または都道府県知事が指定した介護福祉士養成のための教育機関です。福祉系の4年制大学、3年制短大・専門学校、2年制短大・専門学校、夜間部・通信制(実務経験者向け1年課程含む)の4タイプに大別され、いずれも卒業すれば介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
2017年度入学者から「卒業=資格自動付与」の制度が改められ、卒業後に国家試験を受験するのが原則となりました。ただし2027年3月までに卒業する人には経過措置があり、国家試験を受けなくても卒業時点で5年間の暫定登録が可能(5年以内の合格または継続的な介護業務従事で正式登録に切替)です。2027年4月以降に卒業する人からは原則として国家試験合格が必須になります。
実務経験ルートが「働きながら3年+実務者研修+国試」で取得を目指すのに対し、養成施設ルートは「学費を払って学校に通い、最短2年で受験資格を得る」道です。介護福祉士の主要な取得ルートのひとつで、特に新卒入学者や社会人キャリアチェンジ層の選択肢となっています。
4種類の養成施設ルート
介護福祉士養成施設は、学歴・期間・通学形態によって主に以下の4タイプに分類されます。いずれも入学資格は高校卒業以上または同等の学力です。
| 種類 | 修業年限 | 主な入学対象 | 学費目安(総額) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 福祉系4年制大学 | 4年 | 高卒・大学進学希望者 | 約400〜600万円 | 社会福祉士とのダブル受験資格、関連科目を幅広く学習 |
| 3年制短大・専門学校 | 3年 | 高卒 | 約200〜350万円 | 2年制よりカリキュラムに余裕、実習・演習が充実 |
| 2年制短大・専門学校 | 2年 | 高卒 | 約180〜280万円 | 最短ルート。学費・期間ともに抑えやすい |
| 夜間部・通信制(1年〜2年) | 1〜2年 | 社会人・有資格者 | 約80〜200万円 | 実務者研修修了者や福祉系大学卒は1年課程で短縮可 |
※学費は入学金・授業料・実習費・教材費の概算合計。施設によって大きく異なるため、必ず各校の募集要項を確認してください。
2026年時点の指定養成施設は全国に約350校(公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会調べ)で、専門学校がもっとも多く、ついで短大・4年制大学の順となっています。
養成施設ルートと実務経験ルートの違い
介護福祉士の取得ルートで最も比較されるのが、養成施設ルートと実務経験ルートです。費用・期間・難易度の観点で整理します。
| 比較項目 | 養成施設ルート | 実務経験ルート |
|---|---|---|
| 期間 | 1〜4年(最短2年) | 3年以上+実務者研修 |
| 費用 | 学費 約180〜600万円 | 実務者研修 約8〜15万円のみ |
| 収入 | 原則なし(アルバイト可) | 給与を得ながら学べる |
| 受験資格の要件 | 養成施設の卒業 | 従業期間3年(1,095日)以上かつ従業日数540日以上 |
| カリキュラム時間 | 1,850時間以上+実習450時間 | 実務者研修450時間+医療的ケア演習 |
| 取得後のスキル基盤 | 体系的な理論+実習で基礎が固い | 現場経験豊富で即戦力 |
| 2027年以降の国試 | 原則受験必須(経過措置終了) | 従来通り受験必須 |
新卒で介護福祉士を目指すなら養成施設ルート、社会人で働きながら取得を目指すなら実務経験ルートが基本線です。福祉系大卒で1年課程の夜間部に通うなど、両者を組み合わせる選択肢もあります。
養成施設ルートで介護福祉士になる流れ
- 養成施設を選ぶ:自分のライフプランに合う修業年限(2年/3年/4年/夜間)を選択。オープンキャンパスで実習設備・就職実績を確認します。
- 入学・出願:高卒(または同等学力)が条件。AO・推薦・一般入試の他、社会人入試枠を設ける学校も多い。
- カリキュラムを履修:「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」の4領域から1,850時間以上を学ぶ。
- 介護実習を450時間以上:訪問介護・通所介護・施設介護など複数現場で段階的に実習。介護過程の展開を経験。
- 卒業=国家試験受験資格を取得:在学中の1月に国試を受験。2027年3月卒業までの経過措置期間中は卒業時点で5年間の暫定登録が可能。
- 合格・登録:合格後に介護福祉士登録簿へ登録(登録手数料3,320円・登録免許税9,000円)し、晴れて介護福祉士として就業できます。
多くの養成施設は社会福祉施設等への就職率がほぼ100%で、入学時点で就職先が固まりやすい点も魅力です。
養成施設を選ぶときのポイント・奨学金活用
- 修学資金貸付制度を活用する:「介護福祉士修学資金貸付制度」は月5万円+入学・就職準備金など、最大160万円程度を無利子で借りられ、卒業後5年間(過疎地は3年間)、指定の介護現場で勤務すれば全額返済免除。実質的に学費の大部分を補える制度なので、必ず検討してください。
- 夜間部・通信制で働きながら学ぶ:夜間部(17時頃〜21時頃)は日中働きながら通学でき、奨学金や教育訓練給付金との併用も可能です。
- 福祉系大卒は1年課程で短縮:社会福祉学・福祉心理学などを履修した4年制大学卒業者は、専攻科や1年課程で受験資格が取れる場合があります。
- 社会人入試・大学院併修を確認:社会人特別入試や大学院との併修制度を持つ学校もあり、キャリアチェンジの後押しになります。
- 就職実績・キャリア支援を比較:医療法人系・社会福祉法人系・地域密着型など、卒業生の主な進路は学校の地域性に左右されます。
- 留学生・特定技能との関係:在留資格「介護」取得を目指す留学生も多く、日本語教育支援が充実した学校を選ぶと安心です。特定技能2号への移行ルートとしても活用されています。
介護福祉士養成施設のよくある質問
Q1. 介護福祉士養成施設を卒業すれば国家試験は免除されますか?
原則として2027年4月以降の卒業者は国家試験合格が必須です。ただし2027年3月までの卒業者には経過措置があり、国試を受けなくても5年間の暫定登録ができます。5年以内に合格するか、5年間継続して介護等の業務に従事すれば、その後も介護福祉士を名乗れます。
Q2. 入学資格は何ですか?
高校卒業(または同等の学力)が基本要件です。社会人入試や留学生入試を実施する学校も多く、年齢制限はほぼありません。
Q3. 学費はどれくらいかかりますか?
4年制大学で約400〜600万円、2年制専門学校で約180〜280万円、夜間部・1年課程で約80〜150万円が目安です。修学資金貸付制度を使えば実質負担を大きく抑えられます。
Q4. 通信制でも介護福祉士になれますか?
はい、可能です。ただし実習450時間の出席が必要なため、完全オンラインでは完結しません。スクーリング・実習に通える環境かを必ず確認してください。
Q5. 高校生のうちから準備できることは?
福祉系科目のある高校なら、進路相談で養成施設・福祉系高校ルートの両方を比較しましょう。介護施設でのボランティア・職場体験は入学後にもプラスになります。
参考資料
- 厚生労働省「介護福祉士の養成」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202614_00006.html
- 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 養成施設ルート」https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_05.html
- 公益社団法人 日本介護福祉士養成施設協会「養成施設一覧」https://kaiyokyo.net/school/index.html
- 独立行政法人 福祉医療機構「介護福祉士修学資金貸付制度」https://www.wam.go.jp/
- 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)e-Gov法令検索
まとめ
介護福祉士養成施設は、厚労省指定の福祉系大学・短大・専門学校で、2〜4年(夜間1年〜)の課程を修了することで国家試験の受験資格が得られます。2027年4月以降は卒業後の国試合格が必須になるため、現在の経過措置を踏まえた進路選びが重要です。
学費は2年制で180万円台〜、4年制で600万円程度かかりますが、介護福祉士修学資金貸付を活用すれば5年間の指定施設勤務で全額返済免除となり、実質負担を最小化できます。実務経験ルートと比較しながら、自分のライフプランに合うルートを選びましょう。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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