個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練計画書は個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)算定に必須の書類。記載項目・多職種協働の作成プロセス・LIFE連携・3か月見直しまで、機能訓練指導員とケアマネが押さえるべき要点を解説。

ポイント

この記事のポイント

個別機能訓練計画書とは、通所介護・特養・特定施設等で個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロおよび(Ⅱ)を算定する際に作成が義務づけられる書類です。利用者一人ひとりの心身状況・生活課題・長期/短期目標・訓練内容・評価指標を多職種協働で定め、3か月ごとに見直します。計画書が整備されていなければ加算は算定できず、減算の対象にもなり得ます。

目次

個別機能訓練計画書の定義と介護報酬上の位置づけ

個別機能訓練計画書は、介護保険サービスの中で「個別機能訓練加算」を算定する事業所が、機能訓練指導員を中心とした多職種協働で利用者ごとに作成する個別計画書です。厚生労働省の「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準等の解釈通知」に基づき、利用者の身体機能・日常生活動作(ADL)・社会参加状況をアセスメントしたうえで、本人・家族の希望を反映した具体的な訓練目標と内容を明文化する役割を持ちます。

対象となる主なサービスは、通所介護(デイサービス)/地域密着型通所介護/認知症対応型通所介護/特別養護老人ホーム/特定施設入居者生活介護/短期入所生活介護などで、いずれも「個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロ」「個別機能訓練加算(Ⅱ)」のいずれかを算定する場合に必須となります。

計画書の核となるのは、(1) 心身機能・活動・参加の各レベルでの目標設定、(2) 目標達成のための具体的プログラム、(3) 計画の進捗を測る評価指標、(4) 本人・家族の同意の4要素です。2024年(令和6年)度の介護報酬改定では、合併症欄のチェック方式化、目標達成度の「達成/一部達成/未達」3区分への簡素化、LIFE(科学的介護情報システム)への様式統合が進められ、現場の負担軽減と科学的介護の推進を両立する設計に改められました。

計画書は単なる「加算算定の書類」ではなく、利用者のQOLと自立支援を担う実務ツールとして、ケアマネジャーが作成するケアプラン(介護サービス計画書)と整合させながら運用することが求められます。

計画書に記載すべき主要項目

厚労省様式(2024年度版)に沿って必須となる記載項目は以下のとおりです。これらが欠けると加算算定不可となるため、テンプレート運用時も項目漏れに注意します。

カテゴリ主な記載内容
利用者基本情報氏名・生年月日・要介護度・認知症高齢者の日常生活自立度・障害高齢者の日常生活自立度
健康状態・合併症主病名・合併症(チェック方式)・服薬状況・既往歴・リスク因子
ADL/IADL現状食事・排泄・入浴・移動・着替えの自立度、IADL(家事・服薬管理・金銭管理等)の評価
本人・家族の希望「歩いてトイレに行きたい」「孫と外出したい」など具体的なニーズ
長期目標(3~6か月)生活の中で何ができるようになるか(例:自宅内を伝い歩きで移動できる)
短期目標(1~3か月)長期目標達成の中間指標(例:30秒立位保持を継続して可能)
訓練プログラム訓練内容・実施頻度・1回あたり時間・実施場所・使用機器
評価指標FIM・Barthel Index・握力・TUG・5回立ち上がりテスト等の数値指標
計画担当者機能訓練指導員氏名・職種(PT/OT/ST/看護師/柔道整復師/あん摩マッサージ指圧師等)
同意欄本人または家族の署名・同意日

2024年度改定で目標達成度欄が「達成/一部達成/未達」の3択化され、定性記述ではなく簡潔な選択式に整理されました。LIFE提出を行う事業所では、計画書様式と提出データのカラムが揃うよう設計されており、入力の二重作業が削減されています。

リハビリテーション計画書との違い

個別機能訓練計画書としばしば混同されるのがリハビリテーション計画書です。両者は対象サービス・関与する職種・算定加算が異なります。

項目個別機能訓練計画書リハビリテーション計画書
対象サービス通所介護・特養・特定施設・短期入所等通所リハビリ・訪問リハビリ・介護老人保健施設等
関連加算個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱリハビリテーションマネジメント加算(A・B)
作成主体機能訓練指導員(PT/OT/ST/看護師/柔道整復師等)医師の指示のもとPT/OT/STが作成
医師の関与必須ではない(多職種協働)医師の診察・指示が必須
会議体多職種カンファレンス(任意)リハビリテーション会議(必須)
見直し頻度3か月に1回以上3か月に1回以上+医師再診時

制度上の趣旨は近いものの、医師指示の有無リハビリテーション会議の必須性が大きな分岐点です。通所介護で機能訓練指導員(機能訓練指導員)として配置される看護師や柔道整復師でも、個別機能訓練計画書なら作成主体になれますが、リハビリテーション計画書はPT/OT/ST資格が原則必要です。

計画書の作成・運用フロー

個別機能訓練計画書は「作って終わり」ではなく、PDCAサイクルを回す生きた書類として運用します。標準的な流れは次の5ステップです。

  1. 居宅訪問・アセスメント — 機能訓練指導員が利用者宅を訪問し、生活環境・段差・本人の希望・家族の介護負担を把握。興味関心チェックリスト・生活機能チェックリストを活用して動機づけに繋がる目標素材を収集します。
  2. 多職種協働での計画立案 — ケアマネのケアプランと整合させながら、機能訓練指導員・看護師・生活相談員・介護職員が連携して長期/短期目標とプログラムを設計。ADL/IADLの現状値と目標値を数値で記載します。
  3. 利用者・家族への説明と同意 — 訓練の目的・内容・リスクを平易な言葉で説明し、本人または家族の署名で同意取得。同意なしでは加算算定不可です。
  4. 計画に基づく訓練の実施・記録 — 個別または5名以下の小集団で訓練を提供。実施日・内容・担当者・利用者の反応を実施記録に残し、後日の振り返り材料とします。
  5. 3か月ごとの評価・見直し — 機能訓練指導員が居宅訪問により進捗を確認し、目標達成度(達成/一部達成/未達)を判定。必要に応じて計画を改定し、利用者・家族への再説明と同意更新を行います。

このサイクルを継続することで、利用者のQOL向上と加算算定の両立が実現します。LIFEへのデータ提出を行う事業所は、各サイクルの評価結果をLIFEに登録し、フィードバック票を次期計画に反映させる流れになります。

実務で役立つ計画書のコツ

  • 目標は「生活場面」で書く — 「下肢筋力を向上させる」ではなく「自宅トイレまで歩行器なしで歩く」のように、本人が実感できる場面設定で書くと家族同意も得られやすく、評価指標も明確になります。
  • 興味関心チェックリストを必ず活用する — 厚労省提供の興味関心チェックリストを使い、本人が「やってみたい」項目を1つでも目標に組み込むと、訓練の継続率と達成率が上がります。
  • LIFEフィードバックを次期計画に反映するLIFEのフィードバック票では全国平均との比較が表示されます。自事業所の利用者の改善度が低い指標を次期計画で強化する材料として活用しましょう。
  • ケアプランと整合させる — ケアマネが作成するケアプラン第2表のニーズ・長期目標と、個別機能訓練計画書の目標がズレないよう、サービス担当者会議で必ずすり合わせます。
  • 同意書は別紙で残す — 計画書本体への署名だけでなく、説明同意書を別紙で保管しておくと、実地指導での「説明内容の根拠」を提示しやすくなります。
  • 記録は当日中に残す — 訓練実施記録は当日中に記載し、利用者の反応・表情・発言など定性情報も残すと、3か月後の見直し時に質的評価がしやすくなります。

よくある質問

Q1. 個別機能訓練計画書がないと加算は算定できませんか?

はい、算定できません。個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)はいずれも計画書の作成と利用者同意が要件です。実地指導で計画書未整備が発覚すると、過去分の加算返還を求められるケースもあります。

Q2. 計画書の見直しは必ず3か月ごとですか?

「3か月に1回以上」が基準です。利用者の状態が大きく変化した場合(入院・退院、骨折、認知症進行など)は3か月待たずに臨時で見直すべきです。

Q3. 機能訓練指導員は誰でもなれますか?

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の有資格者が対象です。詳細は機能訓練指導員の仕事内容を参照してください。

Q4. 計画書はケアプランと一体化できますか?

様式は別ですが、目標と内容はケアプラン第2表と整合させる必要があります。実務上は同じ目標を双方に転記する形が一般的です。

Q5. LIFEへのデータ提出は必須ですか?

個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定する場合に必須です。(Ⅰ)のみの算定であればLIFE提出は不要ですが、(Ⅱ)の20単位/日を加算するためには様式情報のLIFE登録が要件となります。

Q6. 計画書の保管期間はどのくらいですか?

介護保険サービスの記録一般と同様、サービスを提供した日から5年間(自治体により2年とする場合もあり)の保管が義務づけられています。最終評価後も保管期間が満了するまで廃棄しないでください。

参考資料

まとめ

個別機能訓練計画書は、加算算定の根拠書類であると同時に、利用者の自立支援とQOL向上を支える実務ツールです。記載項目を網羅し、多職種協働で目標設定し、3か月ごとに見直す——このサイクルを継続することで、加算収入と利用者満足度の両方を確保できます。ケアマネジャーや機能訓練指導員として現場で計画書に向き合う方は、興味関心チェックリストとLIFEフィードバックを上手に活用し、「生活場面で語れる目標」を組み立てていきましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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