
認知症チームケア推進加算とは
認知症チームケア推進加算は2024年度介護報酬改定で新設。加算(I)150単位/月・(II)120単位/月で、BPSDの予防・対応をチームで実践する体制を評価します。対象施設・算定要件・ⅠとⅡの研修要件の違いを整理します。
この記事のポイント
認知症チームケア推進加算とは、2024年度(令和6年度)介護報酬改定で新設された加算です。認知症の行動・心理症状(BPSD)の出現・重症化を予防するケアを、専門研修を修了した職員を中心とした「チーム」で計画的に実践する体制を評価します。加算(Ⅰ)は1か月につき150単位、加算(Ⅱ)は1か月につき120単位です。
目次
認知症チームケア推進加算の概要と新設の背景
認知症チームケア推進加算は、2024年度(令和6年度)介護報酬改定で新たに創設された加算です。これまで認知症ケアを評価する加算としては「認知症専門ケア加算」がありましたが、こちらは研修修了者を配置して施設全体のケアの質を高めることを主眼としていました。
新設された認知症チームケア推進加算は、それに加えてBPSD(認知症の行動・心理症状)の予防と早期対応に焦点を当てています。具体的には、専門研修を修了した職員を中心に複数の介護職員でチームを組み、対象となる入所者一人ひとりについて評価指標を用いてBPSDを定量的に評価し、その結果に基づいてケア計画を立て、カンファレンスで振り返り、計画を見直す——というPDCAサイクルをチームで回す取り組みを評価する仕組みです。
背景には、BPSDが本人の生活の質を下げるだけでなく、介護職員の負担増や離職にもつながりやすいという課題があります。BPSDは適切なアセスメントと環境調整、関わり方の工夫で予防・軽減が可能とされており、その「予防的な視点でのチームケア」を制度として後押しする狙いがあります。なお、この加算は介護報酬改定を所管する厚生労働省の告示・通知で算定要件が定められています。
単位数と対象サービス
単位数(1か月につき)
- 加算(Ⅰ):150単位/月
- 加算(Ⅱ):120単位/月
※(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時には算定できず、いずれか一方を算定します。配置する研修修了者の種類によってⅠかⅡが決まります。
算定できる対象サービス(施設系5種類)
- 介護老人福祉施設(特養)
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
- (介護予防)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
在宅サービス(訪問介護・通所介護など)は対象外で、入所・入居系のサービスが対象です。
算定要件(共通の4つの柱)
加算(Ⅰ)(Ⅱ)に共通する主な算定要件は、次の4点です。
- 対象者割合:入所(入居)者または入院患者のうち、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上(周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者)の割合が2分の1以上であること。届出日の属する月の前3か月の各月末時点の入所者数の平均で判定します。
- チーム編成:複数人の介護職員から成る「認知症の行動・心理症状(BPSD)に対応するチーム」を組んでいること。職種は介護福祉士に限らず、対象サービスを直接提供する職員であれば構いません。
- 個別のBPSD評価:対象者ごとに、認知症チームケア推進研修で示された評価指標を用いて計画的にBPSDを評価すること。評価指標は研修で示されたものを用いる必要があります。
- カンファレンスと振り返り:評価に基づくケア計画の作成、定期的なカンファレンスの開催、ケアの実施、その振り返りと計画の見直しを継続的に行うこと。算定にあたっては所定のワークシート(別紙様式)と介護記録等の作成が必須です。
加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は、チームの中心に配置する研修修了者の種類と単位数にあります。算定要件の対象者割合・チーム編成・個別評価・カンファレンスといった土台は共通です。
| 項目 | 加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 単位数 | 150単位/月 | 120単位/月 |
| 必要な研修修了者(1名以上) | 認知症介護指導者養成研修+認知症チームケア推進研修の両方を修了した者 | 認知症介護実践リーダー研修+認知症チームケア推進研修の両方を修了した者 |
重要な注意点として、(Ⅰ)は従来の認知症介護指導者養成研修の修了「だけ」では要件を満たしません。あわせて認知症チームケア推進研修の修了が必要です。(Ⅱ)も同様に、認知症介護実践リーダー研修の修了だけでは足りず、認知症チームケア推進研修の修了が必要です(厚生労働省Q&A)。
認知症専門ケア加算との違い
認知症専門ケア加算との関係・違い
よく似た名称の「認知症専門ケア加算」とは目的が異なります。認知症専門ケア加算が研修修了者の配置による施設全体のケアの質向上を評価するのに対し、認知症チームケア推進加算はBPSDの予防・対応をチームで計画的に実践する取り組みを評価します。
両加算は同一の対象者については併算定できません。ただし、同じ施設内でも入所者ごとに使い分けることは可能で、入所者Aには認知症専門ケア加算、入所者Bには認知症チームケア推進加算を算定する、といった運用が認められています(厚生労働省Q&A)。認知症の症状が不安定でチームケアがより望ましい対象者については、専門ケア加算からチームケア推進加算へ切り替えることも差し支えないとされています。
現場で算定を目指すときのポイント
- 研修修了者の確保が出発点:(Ⅰ)(Ⅱ)いずれも「認知症チームケア推進研修」の修了者が必須です。認知症チームケア推進研修は認知症介護研究・研修センター(仙台・東京・大府)が実施主体となるほか、各都道府県・指定都市が実施することや、認知症介護実践リーダー研修に研修内容を追加して実施することも認められています。
- 評価指標は研修で示されたものを使う:個別のBPSD評価は、認知症チームケア推進研修で示された評価指標を用いる必要があります。自施設独自の様式だけで評価しても要件を満たさない点に注意します。
- 記録は既存様式の活用でよい:算定には所定のワークシートと介護記録等が必要ですが、介護日誌・施設サービス計画書・グループホームの計画書などを活用すればよく、この加算のためだけに新たな書式を作る必要はないとされています。
- BPSDが今ない人も対象:本加算はBPSDの予防に資する取り組みを日頃から行っていることを評価するものです。現にBPSDが出ている人だけでなく、対象者に対して予防的なチームケアを行っていれば算定できます。
よくある質問
Q. 認知症チームケア推進加算は何単位ですか?
A. 1か月につき、加算(Ⅰ)が150単位、加算(Ⅱ)が120単位です。配置する研修修了者の種類によって(Ⅰ)か(Ⅱ)のいずれかを算定します。
Q. どの施設で算定できますか?
A. 特養、地域密着型特養、老健、介護医療院、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の入所・入居系サービスで算定できます。訪問介護や通所介護などの在宅サービスは対象外です。
Q. 加算(Ⅰ)と(Ⅱ)はどう違いますか?
A. 単位数と必要な研修修了者が異なります。(Ⅰ)は認知症介護指導者養成研修+認知症チームケア推進研修、(Ⅱ)は認知症介護実践リーダー研修+認知症チームケア推進研修の修了者を1名以上配置します。算定要件の土台(対象者割合・チーム編成・個別評価・カンファレンス)は共通です。
Q. 認知症専門ケア加算と同時に取れますか?
A. 同一の対象者については併算定できません。ただし同じ施設内で、入所者ごとに専門ケア加算とチームケア推進加算を使い分けることは可能です。
Q. 認知症介護指導者養成研修を修了していれば加算(Ⅰ)を算定できますか?
A. それだけでは要件を満たしません。あわせて「認知症チームケア推進研修」の修了が必要です(厚生労働省Q&A)。
参考資料・出典
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まとめ
認知症チームケア推進加算は、2024年度介護報酬改定で新設された、BPSDの予防・対応をチームで計画的に実践する体制を評価する加算です。加算(Ⅰ)150単位/月・(Ⅱ)120単位/月で、対象は特養・地域密着型特養・老健・介護医療院・グループホームの入所系サービス。自立度Ⅱ以上の入所者が1/2以上いること、認知症チームケア推進研修の修了者を中心としたチーム編成、評価指標を用いた個別評価とカンファレンスによる振り返りが共通の柱です。研修修了者の確保が算定の出発点になります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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