社会的フレイルとは

社会的フレイルとは

社会的フレイルとは、外出や人との交流の減少、独居、社会的役割の喪失といった社会的つながりの脆弱さに着目した概念。身体的フレイルの前段階・予測因子になりうる5項目の評価指標と介護予防での重要性を解説します。

ポイント

社会的フレイルの定義(直接回答)

社会的フレイルとは、身体的・精神的なフレイルに加えて、外出や人との交流が減る、独居や経済的な困窮、社会的役割の喪失といった「社会的なつながりの脆弱さ」に着目した概念です。多くの場合、身体的フレイルに先行して現れ、その後の身体的フレイルや要介護状態を予測する因子になりうると報告されています。牧迫飛雄馬らが提案した5項目で簡便に評価でき、2項目以上に該当すると社会的フレイルと判定されます。

目次

社会的フレイルの概要

社会的フレイルとは何か

フレイルは、高齢期に心身の予備能力(ストレスに耐える力)が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する「虚弱」を指します。このフレイルは、筋力低下や低栄養といった身体的な側面だけでなく、認知機能や気分の落ち込みなどの精神・心理的な側面、そして人とのつながりに関わる社会的な側面の3つの領域でとらえられます。このうち、社会的な領域の脆弱さに着目したものが社会的フレイルです。

具体的には、外出の機会が減る、友人や知人と会わなくなる、独居で日常的に会話する相手がいない、誰かの役に立っているという実感を持てない、といった状態が積み重なった状況を指します。経済的な困窮や、仕事・地域活動・家庭内での役割の喪失も、社会的なつながりを細らせる要因として位置づけられます。

社会的フレイルが注目されるのは、それが単独の問題で終わらないためです。社会とのつながりが薄れると、外出や身体活動の機会そのものが減り、結果として筋力や食欲の低下、閉じこもりへとつながっていきます。研究では、社会的フレイルは身体的・認知的・心理的なフレイルよりも先行して生じやすく、社会的フレイルがその後の身体的フレイルを引き起こす入口になりうると指摘されています。だからこそ、フレイル予防は社会的な側面から始めることが重要だと考えられています。

社会的フレイルの5項目評価指標(牧迫ら)

社会的フレイルの評価指標(牧迫らの5項目)

社会的フレイルの簡便な評価としてよく用いられるのが、牧迫飛雄馬らが地域在住高齢者を対象とした研究で提案した5項目です。次の5つの質問に「はい・いいえ」で回答し、該当する項目の数で判定します。

  • 1人で暮らしている(独居である)
  • 昨年と比べて外出の頻度が減っている
  • 友人の家を訪ねることがない
  • 家族や友人の役に立っていると思えない
  • 誰とも会話をしない日がある

判定の目安は、該当が1項目以下であれば健常(ロバスト)、2項目以上に該当すると社会的フレイルとされます。これらはいずれも特別な検査機器を必要とせず、本人や家族への聞き取りで確認できるため、地域の介護予防の現場や日常の見守りのなかでも気づきやすいのが特徴です。なお、これは簡易的なスクリーニングであり、確定診断ではありません。気になる項目が複数あるときは、地域包括支援センターなどの専門機関に相談する出発点として活用します。

社会的フレイルと社会的孤立・閉じこもりの違い

社会的孤立・閉じこもりとの違い

社会的フレイルは、よく似た言葉である「社会的孤立」や「閉じこもり」としばしば混同されますが、指し示す範囲が異なります。

  • 社会的孤立は、家族や地域との接触・交流がほとんどない「状態」そのものを指します。社会的フレイルの一部を構成する要素ですが、社会的フレイルはそれに加えて、社会的役割の喪失や「役に立っている実感の欠如」など、つながりの質や心理面まで含めた、より広い概念です。
  • 閉じこもりは、外出の頻度が著しく低下した状態を指します。社会的フレイルの5項目にも「外出頻度の減少」が含まれており、閉じこもりは社会的フレイルを進める代表的な経路の1つです。

これらは互いに重なり合いながら悪循環を生みます。たとえば閉じこもりと社会的孤立が同時に存在する高齢者では、その後の心身の悪化リスクがより高まると報告されています。社会的フレイルという視点は、こうした「外出の減少」「交流の乏しさ」「役割の喪失」をひとつながりの問題としてとらえ、身体が弱る前の早い段階で手を打つための枠組みだといえます。

社会的フレイルの介護予防への活かし方

介護予防における社会的フレイルの位置づけ

社会的フレイルは、フレイル予防の「入口」として重要視されています。身体的フレイルは運動や栄養への介入が中心になりますが、社会的フレイルはそれより前の段階で、しかも本人が不調を自覚しにくいうちに進むのが特徴です。だからこそ、社会的なつながりを保つ働きかけは早期予防の鍵になります。

現場で意識したいのは、外出のきっかけづくり、人と話す機会の確保、そして「誰かの役に立っている」という役割感の維持です。具体的には、地域のサロンや通いの場・趣味活動への参加を促す、買い物や散歩など日常の外出を続けられるよう支える、家庭や地域のなかで小さな役割を持ってもらう、といった関わりが挙げられます。介護職や家族にとっては、5項目のような視点で「外出が減っていないか」「会話の相手がいるか」を日頃から見ておくことが、早期の気づきにつながります。

社会的フレイルのよくある質問

よくある質問

社会的フレイルは身体的フレイルとどちらが先に起こりますか

研究では、社会的フレイルが身体的・認知的・心理的フレイルよりも先行して生じやすいと報告されています。社会とのつながりの低下が、外出や活動の減少を通じて身体的フレイルを招く入口になると考えられているため、予防は社会的な側面から始めることが重要とされます。

独居だと必ず社会的フレイルになりますか

独居は5項目のうちの1つですが、それだけで社会的フレイルと判定されるわけではありません。判定は2項目以上の該当が目安です。独居でも、外出や会話、人の役に立つ機会が保たれていれば該当項目は少なくなります。

社会的フレイルは回復しますか

フレイルは適切な働きかけによって改善が期待できる、可逆性のある状態とされています。社会的フレイルも、外出や交流、役割を取り戻す関わりによって、つながりを回復していくことが期待されます。気になる項目が複数あるときは、地域包括支援センターなどへの相談が出発点になります。

社会的フレイルの参考資料

社会的フレイルのまとめ

まとめ

社会的フレイルは、外出や交流の減少、独居、社会的役割の喪失といった社会的つながりの脆弱さに着目した概念で、身体的フレイルの前段階・予測因子になりうると考えられています。牧迫らの5項目で簡便に評価でき、2項目以上で該当とされます。身体が弱る前の早い段階で、外出・会話・役割という社会的なつながりを保つ働きかけが、フレイル予防の出発点になります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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