
シルバーカーとは
シルバーカー(歩行車)の定義・歩行器との違い・種類・選び方を解説。自立歩行可能な高齢者向けの車輪付き歩行補助具で、介護保険は原則対象外。価格相場や選定ポイントも紹介。
この記事のポイント
シルバーカーとは、自立歩行が可能な高齢者が外出時の荷物運搬や疲労軽減のために使う車輪付きの歩行補助具です。歩行器(歩行車)が介護保険レンタル対象なのに対し、シルバーカーは原則として介護保険の対象外で、価格7,000〜25,000円程度を自費購入するのが一般的です。
目次
シルバーカーの定義と位置づけ
シルバーカーは、自立歩行ができる高齢者が外出時の杖代わりや荷物運搬、ちょっとした休憩のために使う車輪付きの歩行補助具です。「歩行車」と呼ばれることもありますが、介護保険制度における「歩行器・歩行車」とは別物として扱われます。
多くのモデルには収納ボックス、座面、ブレーキ、可動式ハンドルが備わっており、買い物や通院、散歩などの日常的な外出シーンを支える生活用品として位置づけられています。
制度上の位置づけ
厚生労働省の介護保険制度では、歩行を補助する用具のうち「歩行器」は福祉用具貸与(レンタル)の13品目の1つに含まれますが、シルバーカーは原則としてこの対象から外れます。これは、シルバーカーが「歩行能力が低下した方の歩行を支える」ためのものではなく、「自立歩行できる方の外出を快適にする」ためのものとされているためです。
そのため、シルバーカーは家電量販店・薬局・ホームセンター・通販などで購入する自費商品が一般的で、福祉用具専門相談員ではなく販売員から購入する流れになります。
誰が使うのか
主な利用者は、要介護認定を受けていない、もしくは要支援1〜2の比較的元気な高齢者です。「長距離歩くと疲れる」「買い物の荷物が重い」「途中で座って休みたい」といったニーズに応える製品で、転倒予防の補助的役割も担います。
シルバーカーの主な4つの種類
用途・身体状況・収納したい荷物量に応じて、シルバーカーは大きく4タイプに分かれます。
- ボックス型(標準タイプ):座面下に大型のボックス収納を備え、買い物袋がそのまま入る。重量は5〜7kg前後で、屋外での買い物・散歩に最適。最もスタンダードで品揃えが豊富。
- 四輪型(安定タイプ):前後4輪で接地面が広く、傾斜や悪路でも安定する。重量があり押し心地は重め。屋外中心、長距離歩行や坂道のある地域に向く。
- コンパクト型(軽量タイプ):本体重量3〜4kg前後、収納容量は小さめ。電車・バスへの乗車や、室内から玄関までの取り回しがしやすい。アクティブな利用者・短距離用。
- ハイタイプ(前傾姿勢防止):ハンドルが高く設定でき、背筋を伸ばした姿勢で押せる。腰が曲がりやすい方、円背(えんぱい)傾向のある方向け。身長155cm以上の方に多く選ばれる。
機能面では、これらに加えて「ブレーキ機構(手元レバー式/押し下げ式/自動ロック)」「座面機能(軽い休憩用フラットシート/背もたれ付き)」「ハンドル高さ調整機構」が選択ポイントになります。テクノエイド協会の福祉用具情報システム(TAIS)でも、これら4分類に近いカテゴリーで製品検索が可能です。
歩行器・歩行車・シニアカーとの違い
シルバーカーは外見が似た福祉用具と混同されやすいですが、対象者・支持機構・介護保険の扱いがまったく異なります。誤った選択は転倒事故につながるため、利用者の歩行能力に合わせた選定が必須です。
| 器具 | 対象者 | ハンドル形状 | 支持機構 | 介護保険 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| シルバーカー | 自立歩行可能な高齢者 | バー型(横一文字) | 体重を預けない(軽補助のみ) | 対象外(自費購入) | 買い物・散歩・休憩 |
| 歩行車(四輪歩行車) | 歩行に補助が必要な方(要支援1以上) | コの字型(身体を囲む) | 体重を預けられる頑丈設計 | 対象(貸与) | 歩行訓練・屋内外移動 |
| 歩行器(固定型・交互型) | 歩行が不安定な方 | 四方を囲む枠 | 両手で枠を持ち上げ移動 | 対象(貸与) | 屋内・リハビリ・短距離 |
| シニアカー(電動車いす) | 長距離歩行が困難な高齢者 | ハンドル操作(ハンドル形) | 電動駆動で乗車利用 | 原則対象外(一部該当時のみ) | 買い物・通院など長距離移動 |
判断の目安:「平坦な道を1km以上自分の足で歩ける」ならシルバーカー、「途中で休まないと歩けない/ふらつきがある」なら歩行車、「ほぼ歩けないが移動範囲は広げたい」ならシニアカー、というのが介護現場での一般的な振り分けです。要支援・要介護認定を受けている方は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談し、介護保険対象の歩行車をレンタル試用してから判断するのが安全です。
失敗しないシルバーカーの選び方
身体に合わないシルバーカーは、前傾姿勢の悪化・腰痛・転倒事故を招きます。購入前に必ず以下を確認してください。
1. 身長との適合(ハンドル高さ)
ハンドルの高さは、立ったときに肘が軽く曲がる位置(約100〜110度)が目安。一般的に身長×0.6前後がハンドル高さの推奨値です。例えば身長150cmなら約90cm、身長160cmなら約96cm。多くの製品はハンドル高さを2〜4段階調整できるため、調整幅が広いモデルを選ぶと安心です。
2. 屋内/屋外使用の判断
屋外中心なら車輪径15cm以上・タイヤ太め・サスペンション付きで段差や砂利道に強いモデル。屋内中心なら小回りの利く軽量・コンパクト型。両用なら折りたたみ機構と本体重量5kg前後がバランスがよいでしょう。
3. ブレーキ機構の種類
ブレーキは安全性に直結する最重要パーツです。手元レバー式(自転車型・握って制動)は咄嗟の制動に強く、握力低下が軽度なうちはおすすめ。押し下げ式はハンドル上部を下に押し付けると制動がかかる方式で、握力が弱くなった方に向きます。自動ロック(駐車ブレーキ)付きなら、座って休憩する際に勝手に動き出すリスクを防げます。
4. 荷物量と座面機能
毎日の買い物量が多い方は容量10L以上の収納ボックス、休憩を頻繁にとる方は背もたれ付き座面、軽い散歩中心ならフラット座面で十分です。座面の耐荷重(80kg〜100kgが標準)も確認しましょう。
5. 試用してから購入
福祉用具専門店やショールームで実際に押して歩いてみるのが鉄則。価格相場は1万円〜4万円程度で、自治体によっては高齢者向けの購入補助金(数千〜1万円)が出る場合があります。お住まいの自治体の高齢福祉課に確認してください。
シルバーカーに関するよくある質問
- Q1. シルバーカーは介護保険でレンタルできますか?
- A. 原則できません。介護保険の福祉用具貸与対象は、身体を囲むコの字ハンドルで体重を預けられる「歩行車」に限られ、シルバーカーは自費購入が基本です。要支援1以上の認定があれば歩行車のレンタルが可能になります。
- Q2. シルバーカーと歩行車、見た目が似ていますがどう見分けますか?
- A. 最大の違いはハンドル形状です。バー型(横一文字)で身体の前方にしかハンドルがないのがシルバーカー、コの字型(U字)で身体を囲むのが歩行車です。「体重を預けて押せるかどうか」が機能面の決定的な差です。
- Q3. シルバーカーで歩いていてふらつくようになりました。買い替えたほうがいいですか?
- A. ふらつきが出始めたらシルバーカーの使用は危険信号です。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、要支援認定を受けて介護保険対象の歩行車に切り替えることを強く推奨します。シルバーカーに体重を預けると前のめりに転倒する事故が起きやすくなります。
- Q4. シルバーカーの価格相場は?
- A. 一般的な製品で1万円〜4万円程度です。コンパクト型は1万円台、ハイタイプや多機能モデルは3〜4万円台が中心。自治体によっては高齢者向け購入補助制度(数千円〜1万円)がある場合もあるため、購入前に高齢福祉課に確認しましょう。
- Q5. 屋内専用のシルバーカーはありますか?
- A. 屋内専用の製品は少なく、軽量・コンパクト型を屋内でも使うケースが一般的です。ただし、屋内中心なら介護保険対象の「歩行器(固定型・四脚型)」のほうが安全性が高く、レンタルもできるためおすすめです。
参考資料・出典
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まとめ
シルバーカーは、自立歩行が可能な高齢者の外出を支える車輪付きの歩行補助具です。介護保険の対象となる歩行器とは別物で、原則として自費で購入する生活用品に位置づけられます。標準型・ボックス型・コンパクト型などのタイプから利用シーンに合わせて選び、ハンドル高さ(身長×0.5+5〜15cm)とブレーキ機能を必ず確認しましょう。
体重を預けないと歩けない状態になったら、シルバーカーではなく介護保険でレンタルできる歩行器への切り替えタイミングです。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携しながら、本人の歩行レベルに合った福祉用具を選んでいくことが、安全な在宅生活と外出機会の維持につながります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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