
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)とは
総合事業は2015年介護保険法改正で創設され、要支援1・2の予防訪問介護・予防通所介護を市町村事業に移行した制度。訪問型A〜D、通所型A〜C、一般介護予防事業の種類と、基本チェックリストによる事業対象者の判定までを解説します。
この記事のポイント
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)とは、2015年の介護保険法改正で創設され、要支援1・2の方が利用していた予防訪問介護・予防通所介護を、全国一律の予防給付から市町村ごとの地域支援事業へ移行した制度です(介護保険法第115条の45)。要介護認定を受けなくても、地域包括支援センターでの基本チェックリストにより「事業対象者」と判定されればサービスを利用できます。訪問型・通所型・一般介護予防事業の3層構造で、地域の実情に応じた多様な担い手による支援が提供されます。
目次
総合事業の位置づけと創設の経緯
総合事業は介護保険法第115条の45に定められた市町村の地域支援事業のひとつです。2014年改正で創設され2017年4月までに全市町村で実施が義務化されました。改正前は要支援1・2の予防訪問介護・予防通所介護は全国一律の予防給付でしたが、地域差のあるニーズに柔軟に応えるため、これら2サービスを介護保険給付から外し、市町村が独自に設計できる地域支援事業へ移行させました。
狙いは住民・NPO・民間・ボランティア等の多様な担い手による効率的サービス提供と、要支援者の社会参加促進、地域包括ケアシステムの実現です。要介護認定なしでも基本チェックリストで「事業対象者」と判定されれば利用できる点も大きな特徴です。
介護給付・予防給付との違いとサービス類型
| 区分 | 対象者 | 主なサービス |
|---|---|---|
| 介護給付 | 要介護1〜5 | 訪問介護・通所介護・施設サービス(全国一律) |
| 予防給付 | 要支援1・2 | 予防訪問看護・予防福祉用具など(全国一律) |
| 総合事業 | 要支援1・2/事業対象者/全高齢者 | 訪問型A〜D・通所型A〜C・一般介護予防事業(市町村実施) |
訪問型サービス(A〜D)
- 訪問介護相当:従来基準で訪問介護員が身体介護・生活援助を提供。
- 訪問型A:基準を緩和し研修修了者が生活援助を担う。
- 訪問型B:NPO・住民主体のゴミ出し・買い物支援・見守り。
- 訪問型C:保健師・PT等が3〜6か月の短期集中で機能回復。
- 訪問型D:通院送迎などの移動支援(実施は限定的)。
通所型サービス(A〜C)
- 通所介護相当:従来基準のデイで機能訓練・入浴・食事を提供。
- 通所型A:基準緩和のミニデイ。短時間・低コスト。
- 通所型B:地域サロン・体操教室など住民主体の通いの場。
- 通所型C:PT等が3〜6か月で運動・口腔・栄養を改善。
一般介護予防事業
65歳以上の全高齢者が対象。介護予防把握・普及啓発・地域活動支援・評価・地域リハ活動支援の5本柱で構成され、要支援認定の有無を問わず参加できます。
基本チェックリストによる事業対象者判定の流れ
総合事業の利用には、要支援認定ルートと、基本チェックリストで「事業対象者」と判定されるルートの2通りがあります。後者は認定調査を経ずに最短即日〜数日で利用開始できます。
- 地域包括支援センターへ相談:本人・家族が市町村窓口へ。
- 基本チェックリスト実施:運動・栄養・口腔・閉じこもり・認知・うつ等7領域25項目で心身状態を把握。
- 事業対象者の判定:基準該当なら介護予防・生活支援サービス事業を利用可能。非該当でも一般介護予防事業は利用できます。
- 介護予防ケアマネジメント:地域包括の保健師・社会福祉士・主任ケアマネがプラン作成。
- 事業者と契約・利用開始。
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総合事業を活用する際のポイント
- 市町村ごとに名称・内容が異なる:訪問型A・通所型Aは厚労省ガイドラインの呼称で、実際は「介護予防型訪問サービス」など独自名称が用いられます。地域包括支援センターで確認を。
- 基本チェックリストは要介護認定より早い:認定は通常30日かかりますが、チェックリストは即日〜数日で結果が出ます。
- 住民主体(B類型)は地域差が大きい:担い手確保に依存するため未実施の市町村もあります。
- 2027年改正の議論:要介護1・2の訪問・通所介護を総合事業へ移す案が継続議論中(2026年5月時点で結論先送り)。
総合事業に関するよくある質問
Q1. 要支援認定を受けていなくても利用できますか?
はい。基本チェックリストで「事業対象者」と判定されれば、要支援認定なしで訪問型・通所型サービスを利用できます。一般介護予防事業(体操教室など)は判定不要で65歳以上なら参加可能です。
Q2. 利用料はいくらですか?
類型と市町村で異なります。現行相当は予防給付時代と同等、訪問型A・通所型Aは安く、住民主体(B類型)は実費・無料もあります。所得に応じ1〜3割の自己負担が原則です。
Q3. 引っ越し先でも同じサービスが受けられますか?
総合事業は市町村単位のため、サービス内容・名称・利用料は地域ごとに異なります。転居時は新住所地の地域包括支援センターで再相談が必要です。
参考資料
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)」(老健局振興課)
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」
- e-Gov法令検索「介護保険法 第115条の45(地域支援事業)」
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」
- 厚生労働省「基本チェックリストの考え方について」
関連する詳しい解説
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まとめ
総合事業は、要支援1・2の予防訪問介護・予防通所介護を市町村事業へ移し、訪問型A〜D・通所型A〜C・一般介護予防事業の多層構造で地域の実情に応じた支援を展開する仕組みです。要介護認定を経ずに地域包括支援センターでの基本チェックリストで利用が始められる柔軟さが特徴。市町村ごとに名称・内容が異なるため、まずは地域包括支援センターへの相談が出発点になります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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