
栄養改善加算とは
栄養改善加算は、通所介護やデイケアなどで管理栄養士が低栄養リスクの高い利用者に栄養ケア計画を作成・実施した場合に算定される加算。要件・単位数・口腔連携と一体的に行うメリットを整理。
この記事のポイント
栄養改善加算は、通所介護・通所リハビリ・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護で、低栄養状態のリスクが高い利用者に対して管理栄養士が栄養ケア計画を作成し、概ね3か月にわたり個別の栄養改善サービスを実施した場合に算定できる加算です。1回200単位、月2回まで算定でき、低栄養が懸念される高齢者の在宅生活を栄養面から支える仕組みとして位置づけられています。
目次
栄養改善加算の基本|制度の位置づけと目的
栄養改善加算は、介護報酬告示で定められた通所系サービスの加算の一つで、低栄養状態にある、または低栄養になるおそれが高い利用者に対して、管理栄養士が中心となり多職種で栄養ケアを行うことを評価する報酬区分です。対象は通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護・通所リハビリの4種類で、訪問系や入所系は別の栄養関係加算が用意されています。
厚生労働省は、要介護高齢者の在宅生活を継続するうえで「食べる力」の維持が要介護度の悪化抑制に直結すると整理しており、栄養改善加算はこの考え方を通所現場で実装する仕組みです。利用開始時に低栄養リスクをスクリーニングし、リスクが「中」または「高」と判定された人を対象に、管理栄養士が栄養ケア計画を作成し、食事相談・献立例の提供・調理指導・必要時の自宅訪問などを実施します。実施期間は概ね3か月で、再評価により継続が必要と判断された場合に限り延長できる構造です。
単位数と対象サービス
栄養改善加算の単位数と算定回数は次のとおりです(2024年度改定後)。
| サービス区分 | 単位数 | 算定上限 |
|---|---|---|
| 通所介護 | 200単位/回 | 原則月2回まで |
| 地域密着型通所介護 | 200単位/回 | 原則月2回まで |
| 認知症対応型通所介護 | 200単位/回 | 原則月2回まで |
| 通所リハビリテーション | 200単位/回 | 原則月2回まで |
実施期間は栄養ケア計画作成日の属する月から概ね3か月までが基本で、引き続き栄養改善サービスが必要と認められる場合に限り延長できます。延長時は再アセスメントの結果を栄養ケア計画に反映させ、目標と評価指標を見直す運用が求められます。
算定要件|事業所と利用者の両面
栄養改善加算を算定するには、事業所体制と利用者状態の両面で要件を満たす必要があります。
事業所側の要件
- 従業者または外部連携により管理栄養士を1名以上配置
- 利用者全員に対する低栄養リスクのスクリーニング実施
- 関係職種が共同で栄養ケア計画を作成
- 計画に基づく食事相談・調理指導・栄養教育等を実施し記録を残す
- 定期的な評価と栄養ケア計画の見直し
利用者側の要件(低栄養リスク該当者)
- BMIが18.5未満
- 1〜6か月で3%以上の体重減少が認められる
- 血清アルブミン値が3.5g/dL以下
- 食事摂取量が普段の75%以下
- その他、多職種協議で低栄養状態と認められる場合
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栄養アセスメント加算・口腔機能向上加算との違い
栄養に関連する通所サービスの加算は複数あり、対象者と実施内容が異なります。
| 加算名 | 対象 | 主な実施内容 | 単位数 |
|---|---|---|---|
| 栄養改善加算 | 低栄養リスク中・高の利用者 | 個別栄養ケア計画に基づく改善サービス | 200単位/回(月2回) |
| 栄養アセスメント加算 | 利用者全員(同意取得者) | 3か月ごとの栄養状態評価とフィードバック | 50単位/月 |
| 口腔機能向上加算 | 口腔機能低下のおそれがある利用者 | 口腔機能改善のための個別計画と訓練 | 150〜160単位/回 |
| 口腔・栄養スクリーニング加算 | 利用者全員 | 6か月ごとの口腔・栄養スクリーニング | 20単位/回 |
栄養改善加算と栄養アセスメント加算は、同一利用者で同月に併算定できないルールが基本ですが、口腔機能向上加算とは併算定可能で、いわゆる口腔・栄養一体的取組として位置づけられています。
算定までの流れ|スクリーニングから評価まで
- 低栄養リスクのスクリーニング:通所開始時または定期評価時に、BMI・体重変化・食事摂取量・血清アルブミンなどを確認し、低栄養リスクを「低・中・高」で判定します。
- 多職種による課題分析:管理栄養士・看護職員・介護職員・生活相談員などが集まり、食事内容・嚥下機能・生活環境を評価し、栄養課題を整理します。
- 栄養ケア計画の作成と同意:管理栄養士が中心となり、目標・支援内容・評価指標を盛り込んだ計画を作成し、利用者・家族の同意を得ます。
- 栄養改善サービスの実施:通所時の食事相談、献立例の提供、調理実習、必要時の自宅訪問による食環境確認などを実施し、毎回の状況を記録します。
- 定期的な評価と計画見直し:おおむね3か月ごとに体重・摂取量などを再評価し、目標達成状況に応じて計画を継続・修正・終了します。
現場で活かすポイント|介護職員ができる関わり
栄養改善加算は管理栄養士が主導しますが、毎日の食事場面に立ち会う介護職員の観察情報がアセスメントの質を左右します。次の3点を押さえると、加算算定の意義を現場ケアに直結させやすくなります。
- 食事摂取量の数値化:「主食○割・副食○割」と記録するルールを徹底し、3食合計や週単位の傾向を管理栄養士に共有します。摂取量の低下は低栄養の早期サインです。
- 体重測定の習慣化:通所の度に体重測定を行うことで、1か月単位の変化を可視化できます。短期間の急激な減少は要注意所見として栄養ケア計画の見直しトリガーになります。
- 口腔状態の同時観察:噛みづらさ・むせ・義歯不適合などは栄養摂取量低下の原因になりやすく、口腔機能向上加算と組み合わせた一体的取り組みで成果が出やすくなります。
よくある質問
よくある質問
Q. 管理栄養士が常勤でなくても算定できますか?
A. 算定可能です。事業所の従業者として配置するほか、外部の栄養ケア・ステーションや病院・診療所、他の介護事業所等との連携でも要件を満たせます。連携時は契約書類で関係性を明確にし、計画作成・実施に管理栄養士が関与した記録を残してください。
Q. 低栄養リスクが「低」と判定された利用者には算定できませんか?
A. 算定できません。栄養改善加算の対象は、低栄養リスク「中」または「高」の利用者、もしくは多職種協議で低栄養状態と認められた利用者に限定されます。リスク「低」の利用者には栄養アセスメント加算や口腔・栄養スクリーニング加算で関わる枠組みが用意されています。
Q. 3か月で改善しない場合は終了しなければなりませんか?
A. 一律終了ではありません。再評価により引き続き必要と判断されれば延長算定が可能です。延長時は、目標未達の要因分析と計画修正を栄養ケア計画書に明記する必要があります。
まとめ
栄養改善加算は、通所サービスにおいて低栄養リスクの高い利用者を管理栄養士主導で支える加算で、1回200単位・月2回・概ね3か月という枠組みが基本です。算定にあたっては、管理栄養士の配置(連携可)、低栄養リスクのスクリーニング、栄養ケア計画の作成と多職種実施、定期的な再評価という4ステップを着実に運用することが求められます。介護職員にとっては、毎食の摂取量・体重・口腔状態を丁寧に記録することが加算の質を支える最大の貢献ポイントとなります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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