栄養スクリーニング加算(口腔・栄養スクリーニング加算)とは
介護職向け

栄養スクリーニング加算(口腔・栄養スクリーニング加算)とは

口腔・栄養スクリーニング加算は、通所介護・通所リハ等で6か月ごとに利用者の口腔と栄養状態を確認しケアマネに報告する加算。区分Ⅰ20単位・Ⅱ5単位の要件と他加算との違いを実務目線で整理。

ポイント

この記事のポイント

口腔・栄養スクリーニング加算(栄養スクリーニング加算)は、通所介護・通所リハ・認知症対応型通所介護などの通所系サービスで、利用開始時と6か月ごとに口腔と栄養の状態を確認し、結果をケアマネジャーへ情報提供すると算定できる介護報酬の加算です。区分Ⅰは口腔・栄養の両方を実施して20単位/回、区分Ⅱは口腔または栄養のいずれかで5単位/回。重度化予防の入口として、デイの管理栄養士・生活相談員・介護職が連携して取り組む仕組みです。

目次

口腔・栄養スクリーニング加算とは|制度上の位置づけ

口腔・栄養スクリーニング加算は、2021年度の介護報酬改定で従来の「栄養スクリーニング加算」を再編して新設された加算です。通所介護や通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護といった通所系・多機能系サービスを対象に、事業所の職員が利用者の口腔と栄養の状態を6か月ごとにスクリーニングし、その結果を担当ケアマネジャーへ情報提供することで算定できます。

背景にあるのは、フレイル・サルコペニア・誤嚥性肺炎の三つ巴の重度化リスクです。高齢者のおよそ7割が低栄養や口腔機能低下のサインを抱えながらも、家族やケアマネが気づくのは入院や急変の後というケースが少なくありません。デイサービスは平均週1〜3回利用される接点の多いサービスであり、現場で兆候をキャッチし居宅サービス計画にフィードバックする「最前線」と位置づけられています。

2024年度の介護報酬改定では、本加算と栄養アセスメント加算(月50単位/3か月ごとに評価+LIFE提出)、栄養改善加算、口腔機能向上加算を組み合わせた評価体系に再整理され、スクリーニング→アセスメント→改善という段階的なケアの流れが明確化されました。本加算はその「入口」を支える役割を持ち、低単価でも算定機会が多いため、デイの収益と質の両面で軽視できない加算です。

単位数・算定要件・対象サービス(一覧)

項目区分Ⅰ区分Ⅱ
単位数20単位/回5単位/回
スクリーニング対象口腔と栄養の両方口腔または栄養のいずれか一方
算定頻度利用開始時と利用中6か月ごと(6か月に1回が上限)
同時算定可否栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算と併算定不可栄養改善加算・口腔機能向上加算を算定している利用者についてのみ、もう一方をスクリーニング対象として算定可
他事業所での重複同一利用者を他事業所が既に算定している場合は算定不可
その他要件定員超過利用減算・人員基準欠如減算に該当していないこと

算定可能なサービス種別

  • 通所介護(デイサービス)
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護(共用型含む)
  • 通所リハビリテーション(デイケア)
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

特別養護老人ホームや老健などの入所系では「栄養マネジメント強化加算」、訪問系では別系統の加算が用意されており、本加算は通所・多機能系サービス専用と理解してください。区分Ⅱの5単位は単独では小さく見えますが、利用者100名・年2回算定で年間10,000単位(地域単価10円換算で10万円)規模になり、書類整備さえできれば取りこぼしの大きいラインです。

栄養アセスメント・栄養改善・栄養マネジメント強化加算との違い

栄養関連の加算は名称が似ており現場でも混乱しやすいので、対象サービス・単位数・必要職種・実施頻度を一枚で整理します。

加算名対象サービス単位数主な実施者頻度
口腔・栄養スクリーニング加算Ⅰ/Ⅱ通所系・多機能系20単位/回・5単位/回事業所職員(職種限定なし)6か月ごと
栄養アセスメント加算通所系・多機能系50単位/月常勤管理栄養士1名以上3か月ごとに評価+LIFE提出
栄養改善加算通所系・多機能系200単位/回(月2回)管理栄養士+多職種低栄養リスク者へ3か月集中介入
栄養マネジメント強化加算特養・老健等の入所系11単位/日入所者50名に対し管理栄養士1名(増配置)週3回以上のミールラウンド

違いを一言で表すと、スクリーニング加算は「ふるい分け」、アセスメント加算は「深掘り」、改善加算は「治療的介入」、マネジメント強化加算は「入所者全員への日々の管理体制」です。区分Ⅰは栄養アセスメント加算と排他関係にあるため、管理栄養士を雇用してLIFE提出体制を構築できる事業所は区分Ⅰではなく栄養アセスメント加算へステップアップするのが標準的な流れです。

算定までの実務フロー(スクリーニング→ケアマネ報告)

  1. 利用開始時に初回スクリーニングを実施。区分Ⅰなら口腔・栄養の両方、区分Ⅱならいずれか一方。BMI・直近6か月の体重変化・食事摂取量・むせ・義歯の状態・口腔乾燥などをチェックシートに記入します。
  2. 担当ケアマネジャーに文書で情報提供。様式は事業所自由ですが、厚労省通知(介護保険最新情報Vol.1217)の様式例に沿うのが安全です。「異常なし」でも報告書を残すのがポイント。
  3. 居宅サービス計画(ケアプラン)への反映を依頼。低栄養リスクが見つかった場合は、栄養改善加算や訪問栄養食事指導など次の手につなぐ責任が生じます。
  4. 利用中は6か月ごとに再スクリーニングを継続。前回値と比較し、体重減少率や口腔機能の変化を経時的に追跡します。
  5. サービス提供記録に実施日・実施者・結果・ケアマネ提供日を残し、毎月の介護給付費請求時に算定。実地指導では「ケアマネへ実際に渡した日付」が記録されているかが確認ポイントです。

区分Ⅱは栄養改善加算または口腔機能向上加算を算定中の利用者についてのみ、「もう一方」を5単位で算定する位置づけ。たとえば栄養改善加算を算定中の人に口腔スクリーニングを6か月ごとに行えば、その回だけ区分Ⅱを上乗せできます。

ケアマネへの情報提供文書で押さえるべき5項目

本加算で最も実地指導の指摘が多いのは「ケアマネへの情報提供が口頭だけで証跡が残っていない」ケースです。文書化を徹底するためのチェックリストです。

  • ① 基本情報:利用者氏名・被保険者番号・事業所名・実施日・実施者氏名(管理栄養士でなくとも介護職・生活相談員でOK)
  • ② 栄養関連項目:BMI、過去6か月の体重変化率、食事摂取量(割合)、補助食品の有無、嚥下状態
  • ③ 口腔関連項目:義歯の使用状況、咀嚼の問題、口腔乾燥、口腔衛生、むせ・誤嚥の頻度
  • ④ 判定とフォロー方針:「リスクなし/要観察/要介入」を3段階で記載し、要介入は栄養改善加算・歯科訪問診療等への接続案を併記
  • ⑤ ケアマネ提供日とサイン:FAX送信票・メール送信履歴・受領サインのいずれかで「いつ」「誰に」渡したかを証跡化

事業所単位で様式を統一しておけば、ケアマネ側の集約も早くなり、居宅サービス計画への反映率が上がります。LIFE提出は本加算の要件ではありませんが、栄養アセスメント加算へのステップアップを見据えるなら、現時点から科学的介護情報項目に揃えてデータ収集しておくとスムーズです。

栄養スクリーニング加算のよくある質問

Q1. 区分Ⅰの「20単位/回」を毎月算定できますか?

できません。本加算は6か月に1回が上限です。利用開始月と、その6か月後の月にそれぞれ算定する形になり、1人あたり年間最大2回が実務上の目安です。

Q2. 実施者は管理栄養士でなければなりませんか?

管理栄養士の配置は不要です。介護職員・看護職員・生活相談員など事業所の職員であれば誰でも実施可能です。ただし区分Ⅰの上位である栄養アセスメント加算には常勤管理栄養士1名以上の配置が必須となります。

Q3. 他のデイサービスを併用している利用者は両方の事業所で算定できますか?

不可です。同一利用者について、他事業所が既に算定している場合は算定できません。担当ケアマネに「すでに他事業所で算定中か」を確認してから初回算定に進むのが安全です。

Q4. 異常なし・低栄養リスクなしの結果でも算定できますか?

できます。スクリーニングを実施し結果をケアマネへ情報提供した事実が要件で、判定結果は問いません。「リスクなし」でも報告書を残してください。

Q5. 栄養改善加算と併算定したい場合は?

区分Ⅰは栄養改善加算と同時算定不可です。区分Ⅱであれば、栄養改善加算(栄養介入)を実施中の利用者に対して、6か月ごとに口腔スクリーニングを行うことで上乗せ算定できます。

参考資料・出典

まとめ

口腔・栄養スクリーニング加算は、通所系サービスにおける重度化予防の最前線を支える「入口の加算」です。区分Ⅰ20単位/Ⅱ5単位と単価は控えめでも、6か月ごとに利用者全員を対象に算定機会が生まれ、ケアマネへの情報提供を通じて事業所の専門性を居宅サービス計画にアピールできる戦略的なポジションを担います。書類の整備と職員間の役割分担を固め、栄養アセスメント加算や栄養改善加算へ段階的にステップアップしていきましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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