福祉用具とは

福祉用具とは何か、介護保険でレンタルできる13種目・購入できる5種目(特定福祉用具)、利用者負担1〜3割、2024年改定の上限価格制度、福祉用具専門相談員の役割、自治体の補助制度まで、用語の意味と仕組みをやさしく整理した介護用語集です。

ポイント

結論

福祉用具とは、介護保険法に基づき、要介護者・要支援者の自立した日常生活を助け、機能訓練に役立てるための用具・機器の総称です。介護保険ではレンタル対象13種目(車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具など)と、衛生上の理由でレンタルになじまない購入対象5種目(特定福祉用具)(腰掛便座・入浴補助用具など)に区分され、利用者負担は所得に応じて1〜3割です。レンタル価格は2018年度から全国平均価格と上限価格が公表され、3年に一度改定(直近は2024年4月)されています。選定は福祉用具専門相談員が担い、住宅改修や自治体独自の補助制度と組み合わせて利用するのが一般的です。

目次

福祉用具の定義

福祉用具は、介護保険法第8条第12項および福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律(福祉用具法)第2条で定義されています。法律上は「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等が居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるもの」とされています。

つまり福祉用具は単なる便利グッズではなく、「在宅で自立した生活を続けるための公的サービスの一部」として位置づけられている点が特徴です。介護保険では福祉用具貸与(レンタル)特定福祉用具販売(購入)の2サービスで提供され、利用にはケアマネジャーが作成するケアプランへの位置づけが必要です。

レンタル対象13種目と購入対象5種目

介護保険で使える種目一覧

レンタル対象13種目(福祉用具貸与)

  1. 車いす(自走用・介助用・電動)
  2. 車いす付属品(クッション・電動補助装置等)
  3. 特殊寝台(介護ベッド)(背上げ・脚上げ・高さ調整機能付き)
  4. 特殊寝台付属品(マットレス・サイドレール・介助バー等)
  5. 床ずれ防止用具(エアマットレス・ウレタンマットレス)
  6. 体位変換器(寝返り補助のクッション・パッド)
  7. 手すり(工事不要の据え置き型・突っ張り型)
  8. スロープ(段差解消の渡し板、工事不要のもの)
  9. 歩行器(四輪・シルバーカー型・歩行車)
  10. 歩行補助つえ(多点杖・松葉杖・カナディアン・ロフストランド等)
  11. 認知症老人徘徊感知機器(センサー・GPS型)
  12. 移動用リフト(つり具部分を除く)(床走行式・固定式・据置式)
  13. 自動排泄処理装置(交換可能部品を除く)

このうち、車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置の7種目は原則「要介護2以上」が対象で、要支援1〜要介護1の方は「軽度者の例外給付」に該当しないと利用できません。

購入対象5種目(特定福祉用具販売)

  1. 腰掛便座(ポータブルトイレ・補高便座・据え置き便座)
  2. 自動排泄処理装置の交換可能部品(レシーバー・チューブ等)
  3. 排泄予測支援機器(2022年4月から保険適用)
  4. 入浴補助用具(シャワーチェア・浴槽手すり・入浴台・浴室内すのこ・浴槽内いす等)
  5. 簡易浴槽(取付工事を伴わない移動式浴槽)

購入対象は、直接肌に触れる・排泄や入浴に関わるなど衛生上の理由で再利用が難しい用具に限定されています。なお移動用リフトの「つり具部分」も購入対象に含まれます。

利用者負担と上限価格制度

利用者負担は1〜3割

福祉用具のレンタル料・購入費は、いったん事業者に支払い(または現物給付方式)、介護保険から保険給付分が差し引かれた1〜3割を利用者が負担します。負担割合は本人の合計所得金額・年金収入等に応じて決まり、自治体から交付される「介護保険負担割合証」に記載されます。

レンタルの月額目安(全国平均)

  • 特殊寝台(介護ベッド):月額約8,000〜12,000円 → 1割負担で約800〜1,200円
  • 標準型車いす:月額約5,000〜6,000円 → 1割負担で約500〜600円
  • 歩行器:月額約2,500〜3,000円 → 1割負担で約250〜300円

特定福祉用具販売の年間上限

購入は毎年4月1日〜翌年3月31日の1年間で10万円(税込)が上限です。10万円を超えた分は全額自己負担となります。原則「償還払い(いったん全額支払い後に9〜7割が返金される方式)」ですが、自治体によっては「受領委任払い(最初から自己負担分のみ支払う方式)」を選べます。

上限価格制度(2024年4月改定)

2018年10月から、レンタル価格には「全国平均貸与価格」「貸与価格の上限」が設定されました。これは事業者間の価格差を是正し、利用者が適正価格でサービスを受けられるようにする仕組みです。

  • 3年に一度見直し(介護報酬改定に合わせる)。直近の本格改定は2024年4月。
  • 新規製品(リスト掲載後1年程度経過した製品)は毎年4月・7月・10月・1月に追加公表される。
  • 福祉用具専門相談員は、利用者に全国平均貸与価格と当該製品の貸与価格を必ず説明する義務がある(運営基準)。

支給限度基準額の対象

レンタル料は、要介護度ごとに定められた区分支給限度基準額の枠内で他の在宅サービス(訪問介護・通所介護等)と合算して管理されます。限度額を超えた分は全額自己負担になるため、ケアマネジャーが月額を調整します。

レンタルと購入の違い

レンタルと購入の使い分け

項目レンタル(福祉用具貸与)購入(特定福祉用具販売)
対象種目13種目(車いす・介護ベッド等)5種目(腰掛便座・入浴補助用具等)
支払方法毎月の利用料(1〜3割負担)年間10万円までの購入費(1〜3割負担)
限度額区分支給限度基準額に合算年10万円(4月〜翌3月)
身体状況の変化への対応適宜交換・サイズ変更が可能買い替えは自己負担
メンテナンス事業者が定期点検・消毒・修理利用者管理(メーカー保証範囲)
主な用途長期使用・状態変化が想定される用具衛生上レンタルになじまない用具

選択制の導入(2024年4月)

2024年度介護報酬改定で、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉杖を除く)・多点杖の4品目について、レンタルか購入かを利用者が選択できる「選択制」が導入されました。比較的安価で長期利用が見込まれる用具を購入に切り替えることで、保険給付の効率化を図る狙いがあります。選択にあたっては福祉用具専門相談員と医師等が連携し、利用者の身体状況・利用見込み期間を踏まえて提案します。

福祉用具専門相談員と自治体の補助制度

福祉用具専門相談員の役割

福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業所に必置の専門職で、都道府県知事指定の50時間の指定講習を修了した者が従事します。介護福祉士・社会福祉士・看護師・保健師・理学療法士・作業療法士・義肢装具士もこの業務に従事できます。

  • 選定相談:利用者の心身の状態・住環境・介助者の状況に合わせて適切な用具を提案
  • 福祉用具サービス計画書(選定書)の作成:選定理由・留意事項を文書化(運営基準で義務化)
  • 適合・取扱説明:自宅での設置調整、安全な使い方を実演
  • モニタリング:少なくとも6か月に1回、利用状況を確認し記録
  • 価格説明:全国平均貸与価格と当該製品価格を提示し、複数製品から選べるよう情報提供

自治体の補助制度

介護保険の対象外の用具・住宅改修に対しても、自治体独自の補助制度があります。

  • 日常生活用具給付等事業(障害者総合支援法):障害者手帳保持者向けに、入浴補助用具・特殊マット等を給付
  • 軽度者向け福祉用具レンタル助成:要支援1〜要介護1で原則対象外となる車いす・介護ベッド等を、自治体が独自助成するケース(東京都の一部区市など)
  • 住宅改修費支給(介護保険):手すり取り付け・段差解消等で生涯20万円まで(うち1〜3割が自己負担)
  • 高齢者住宅改修費助成:自治体独自で介護保険を超える改修費を補助

自治体の補助制度は名称・要件・上限額が地域ごとに異なるため、市区町村の高齢福祉課・地域包括支援センターに確認するのが確実です。

よくある質問

Q. 要支援でも介護ベッドはレンタルできますか?
A. 原則できません。特殊寝台は要介護2以上が対象です。ただし、医師の意見書等で「日常的に起き上がり・寝返りが困難」と認められれば、軽度者の例外給付として利用できる場合があります。
Q. レンタル品はどこで借りられますか?
A. 都道府県の指定を受けた福祉用具貸与事業者から借ります。ケアマネジャーが複数事業者を比較できるよう情報提供します。
Q. 全額自己負担でレンタル・購入することもできますか?
A. 可能です。介護認定が下りる前や、限度額を超えた場合、対象外品目(健康維持グッズ等)は全額自己負担となります。
Q. 上限価格を超えるレンタル品は使えないのですか?
A. 上限価格を超える金額部分は介護保険の給付対象外です。事業者が上限価格内に設定しなければ介護保険は適用されません。
Q. 入浴補助用具を毎年買い替えることはできますか?
A. 年間10万円の上限内であれば可能です。同一品目の買い替え理由が「破損・身体状況の変化」など正当であれば保険給付の対象になります。

参考資料

参考資料・一次ソース

まとめ

福祉用具は、介護保険法に裏付けられた「在宅で自立した生活を続けるための公的サービス」です。レンタル13種目購入5種目に分かれ、利用者負担は所得に応じて1〜3割。レンタル価格には全国平均価格と上限価格が設定され、3年に一度見直されています。2024年4月からは固定用スロープ・歩行器・単点杖・多点杖でレンタルと購入を選べる選択制も始まりました。

導入の流れは「ケアマネジャーへ相談 → 福祉用具専門相談員と用具を選定 → 計画書作成 → 自宅で適合・取扱説明 → 定期モニタリング」。介護保険で足りない部分は、自治体の補助制度・住宅改修費支給と組み合わせて利用するのが基本です。費用や種目の判断に迷ったら、まずは担当ケアマネジャーや市区町村の地域包括支援センターに相談しましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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