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📑目次

  1. 01福祉用具レンタル(福祉用具貸与)とは
  2. 02レンタル対象の13種目と要介護度別の利用可否
  3. 0313種目のラインナップと用具ごとの対象要件
  4. 04自己負担割合と料金の仕組み
  5. 05上限価格制度の考え方と2024年改定の影響
  6. 062024年4月導入「貸与と販売の選択制」
  7. 07購入対象の特定福祉用具との違い
  8. 08ケアマネジャー・福祉用具専門相談員との連携の流れ
  9. 092026年10月以降の新商品価格改定と今後の動向
  10. 10レンタルを失敗しないためのチェックポイントと出典
介護保険の福祉用具レンタル|対象13種目・自己負担・2026年改定まで徹底解説

介護保険の福祉用具レンタル|対象13種目・自己負担・2026年改定まで徹底解説

介護保険で借りられる福祉用具13種目、要介護度別の対象可否、自己負担1〜3割の仕組み、上限価格制度、貸与・販売の選択制、2026年10月新商品価格改定の動向まで、公的資料をもとに整理します。

📑目次▾
  1. 01福祉用具レンタル(福祉用具貸与)とは
  2. 02レンタル対象の13種目と要介護度別の利用可否
  3. 0313種目のラインナップと用具ごとの対象要件
  4. 04自己負担割合と料金の仕組み
  5. 05上限価格制度の考え方と2024年改定の影響
  6. 062024年4月導入「貸与と販売の選択制」
  7. 07購入対象の特定福祉用具との違い
  8. 08ケアマネジャー・福祉用具専門相談員との連携の流れ
  9. 092026年10月以降の新商品価格改定と今後の動向
  10. 10レンタルを失敗しないためのチェックポイントと出典

福祉用具レンタル(福祉用具貸与)とは

介護保険の「福祉用具貸与」は、要介護・要支援の認定を受けた人が、車いすや介護ベッド、歩行器などの福祉用具を、所得に応じて費用の1〜3割を負担するだけで借りられる在宅サービスです。厚生労働省は、福祉用具を「要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるもの」と定義し、保険給付の対象としています(厚生労働省「福祉用具・住宅改修」ページ)。

原則として「貸与」とされているのが、この制度の大きな特徴です。理由はシンプルで、身体の状況や要介護度は時間とともに変化し、そのときどきに適した用具も変わるためです。購入してしまうと身体状況の変化に合わせて機種を入れ替えにくく、使わない用具が家に残ってしまいます。一方、レンタルであれば、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談しながら、状態に合わせて機種の変更・返却・追加が柔軟にできます。特に介護ベッドや車いす、床ずれ防止用具のように高額かつ長期的な調整が必要な用具は、購入よりもレンタルのほうが結果的に負担が軽いケースが少なくありません。

レンタル品は、事業者が定期的な点検・消毒・整備を行い、壊れたり合わなくなったりした場合にも交換対応が受けられます。購入品のように「壊れたら自分で修理・買い替え」ではなく、使っている間じゅう事業者がメンテナンス責任を負う仕組みです。また、要介護度ごとの区分支給限度基準額の枠内で使える在宅サービスのひとつでもあり、訪問介護や通所介護と組み合わせて、自宅での暮らしを支える重要なインフラとして位置づけられています。

本記事では、対象となる13種目、自己負担の仕組み、上限価格制度、2024年4月から始まった貸与・販売の選択制、そして2026年10月以降に適用される新商品の価格改定まで、厚生労働省の公式資料を中心に整理していきます。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員との連携のポイントにも触れ、「何を、どう借りればよいのか」を判断できる情報をまとめます。

レンタル対象の13種目と要介護度別の利用可否

介護保険でレンタルできる福祉用具は、厚生労働大臣告示(平成11年厚生省告示第93号)で次の13種目に限定されています。「車いす」「車いす付属品」「特殊寝台(介護ベッド)」「特殊寝台付属品」「床ずれ防止用具」「体位変換器」「手すり」「スロープ」「歩行器」「歩行補助つえ」「認知症老人徘徊感知機器」「移動用リフト(つり具の部分を除く)」「自動排泄処理装置」の13品目です(厚生労働省「給付対象種目を定める告示」)。この告示は制度の根幹であり、ここに載っていないシルバーカーや一般的なT字杖、ポータブル吸引器などは、介護保険の貸与対象外です。

ただし、13種目すべてを誰でも借りられるわけではありません。要介護度によって保険給付の対象となる用具が決まります。厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」によれば、要支援1・2と要介護1の「軽度者」は、原則として手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえの4種目のみが対象です。車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトの6種目は、原則として要介護2以上でなければ保険給付を受けられません。自動排泄処理装置のうち便の吸引機能がある機種は、要介護4・5のみが対象です。

この「原則給付対象外」という線引きには例外があります。軽度者であっても、主治医の医学的所見やサービス担当者会議での協議を踏まえ、日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められるなど、厚生労働大臣が定める状態像に該当すれば、例外給付として貸与が認められます。たとえば車いすであれば「日常的に歩行が困難な者」または「日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者」、特殊寝台であれば「日常的に起きあがりが困難な者」「日常的に寝返りが困難な者」といった具体的な要件が告示で示されています。

また、パーキンソン病、末期がん、重度の関節リウマチ、脳血管疾患の急性増悪などで心身状態が急速に変化する場合にも、医師の判断に基づき例外給付が検討されます。判断の見直しは、居宅サービス計画に記載された理由をもとに定期的に行う運用です。つまり、13種目というメニューは同じでも、「いま自分は何を借りられるか」は、要介護度と身体状況、医師・ケアマネの判断によって決まる、ということを押さえておく必要があります。

13種目のラインナップと用具ごとの対象要件

告示で定められている13種目は、単に「車いす」「ベッド」と名前が並んでいるだけではなく、それぞれ構造や機能の要件が細かく規定されています。自分が検討している用具が介護保険の対象になるかを判断するうえで、この要件を知っておくことは重要です。

車いすは、自走用標準型車いす、普通型電動車いす、介助用標準型車いすの3タイプに限定されます。それ以外の娯楽用カートなどは対象外です。車いす付属品は、クッション、電動補助装置、車いす用テーブルなど、車いすと一体的に使われるものが対象です。特殊寝台は、サイドレールが取り付けられる構造で、かつ背上げ・脚上げ機能または床板の高さの無段階調整機能のいずれかを備えたベッドを指し、家庭用の平ベッドは対象外です。特殊寝台付属品は、マットレス、サイドレール、L字型手すり、介助用ベルトなど、ベッドと一体で使われるものです。

床ずれ防止用具は、送風装置や空気圧調整装置を備えたエアマット、水・ゲル・ウレタンなどで体圧分散機能を持つ全身用マットが該当します。体位変換器は、空気パッドなどを身体の下に入れて体位変換を容易にする機能を持つもので、単なる体位保持クッションは対象外です。手すりは、工事を伴わない据え置き型や突っ張り型が対象で、壁にネジ止めするタイプは住宅改修制度の扱いになります。スロープも同様に、取り付け工事を伴わない段差解消用のものが対象です。

歩行器は、車輪付きで身体の前・左右を囲む手すりがあるもの、または四脚で上肢で保持して移動できるものに限られます。街中で見かけるシルバーカー(買い物用キャリー)は、厳密には歩行器の告示要件を満たさないため対象外です。歩行補助つえは、松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖の5種類に限定されます。単点の一般的なT字杖は介護保険の対象外です。

認知症老人徘徊感知機器は、認知症の高齢者が屋外へ出ようとしたときにセンサーで感知して家族や隣人に通報するもので、離床センサーや外出通報システムが含まれます。移動用リフトは、床走行式・固定式・据置式いずれかで、身体をつり上げたり体重を支える構造を持ち、住宅改修を伴わないもの。つり具の部分だけは貸与ではなく購入(特定福祉用具販売)の対象となる点に注意が必要です。自動排泄処理装置は、尿や便の経路部分を分割して洗浄・交換できる構造の機器で、本体はレンタル、交換可能なレシーバーやチューブなどは購入扱いになります。

自己負担割合と料金の仕組み

福祉用具レンタルは、他の介護保険サービスと同じく、費用の一部を利用者が負担し、残りを介護保険が給付する仕組みです。自己負担割合は、原則1割です。ただし、本人や同じ世帯の65歳以上の人の合計所得金額が一定以上である場合は、2割または3割の負担になります。具体的な判定ラインは所得と世帯構成で決まり、毎年8月に負担割合証が市町村から交付されます。前年の所得が上がれば8月から負担割合が上がる可能性があり、逆に下がる可能性もあります(厚生労働省「利用者負担割合の見直し」リーフレット)。

料金は、福祉用具の種類や機種によって異なります。事業者が設定する貸与価格に、負担割合(1〜3割)を掛けた額が毎月の自己負担になります。たとえば介護ベッド(特殊寝台)と付属品、床ずれ防止マットをセットで借りた場合、貸与価格は合計で月1万円前後になることが多く、1割負担であれば月1,000円ほど、3割負担なら月3,000円ほどが実際の支払額になります。歩行器や手すり、スロープなどの比較的軽量な用具は、1割負担で月100〜500円程度の機種も珍しくありません。

注意すべきは、福祉用具貸与が「区分支給限度基準額」の枠内で計算される点です。要介護1なら月約16,765単位、要介護5なら月約36,217単位というように、要介護度ごとに保険給付の上限が決まっており、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与などの合計がこの枠を超えると、超過分は全額自己負担になります。福祉用具を何台も借りると、訪問系サービスの枠を圧迫する可能性があるため、ケアマネジャーがケアプラン全体のバランスを見ながら配分します。

もうひとつ、知っておきたいのが「月額定額制」という料金体系です。多くの事業者は、1か月単位で料金を設定しています。月の途中から借り始めた場合、事業者によっては日割り計算をするところもありますが、介護報酬上の請求ルールでは、その月の利用状況に応じた貸与費として1か月分まとめて請求する扱いが基本です。搬入・搬出費や保守点検費、消毒費もこの月額の中に含まれているのが一般的で、追加で「設置料」「引き取り料」を請求されることは通常ありません。契約前に、料金の内訳と、解約・機種変更時の扱いを確認しておくことをおすすめします。

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上限価格制度の考え方と2024年改定の影響

福祉用具貸与には公定価格がありません。市場の価格競争を通じて適正な価格で給付が行われることを想定した制度で、同じ商品でも事業者によって月額が違うことは珍しくありません。しかし、競争原理だけでは極端に高い価格で貸し出されるケースを抑えきれないという課題から、2018年10月以降、「貸与価格の上限設定制度」が導入されています。

上限価格の計算方法は、「全国平均貸与価格+1標準偏差(1SD)」です。正規分布の場合、これは上位およそ16%に相当する水準で、この額を超えて貸与した場合は保険給付の対象外となります。対象は、貸与件数が月平均100件以上の商品です。上限価格と全国平均価格は厚生労働省が公表し、福祉用具専門相談員は機種を提案する際、この全国平均貸与価格を利用者に必ず説明しなければなりません(厚生労働省「福祉用具貸与の上限価格について」)。また、複数の機能・価格帯の機種を提示することも運営基準で義務づけられています。

見直しは原則3年に1回で、2021年度、2024年度の見直しを経て、2024年4月貸与分からは新たに4,243の商品について上限価格が適用されました(船井総研「2024年介護報酬改定」記事)。これは過去の改定の中でも対象数が多く、事業者によっては主力商品の貸与価格が引き下げられたケースもあります。ケアニュース(シルバー産業新聞)が報じた2024年改定検証では、4月の介護給付費分科会で上限価格制の財政効果は「限定的」とされつつ、事業者の価格設定の透明化には一定の効果があったと評価されています。

利用者側のメリットは、「同じ商品なのに地域や事業者で大きく価格差がある」という状況が是正されることです。事業者を選ぶときは、上限価格ぎりぎりの見積もりではなく、全国平均貸与価格に近いかどうかを確認するのが目安になります。福祉用具専門相談員が提示する福祉用具サービス計画書には、候補機種ごとの貸与価格と全国平均価格が記載されるので、両者を比較してから契約するとよいでしょう。なお、離島などへの搬入では交通費相当額が別途加算されることもあります。

2024年4月導入「貸与と販売の選択制」

2024年4月の介護報酬改定では、福祉用具のうち一部の種目について、「貸与(レンタル)」と「販売(購入)」を利用者が選択できる制度が新設されました。対象は、固定用スロープ、歩行器(歩行車は除く)、単点杖(松葉づえは除く)、多点杖の4品目です(厚生労働省「福祉用具貸与と特定福祉用具販売の選択制について」)。いずれも比較的安価で、構造がシンプルで、長期間同じものを使い続けやすい用具が選ばれています。

選択制導入の背景には、「長く使うなら購入したほうが利用者負担が軽くなる」という経済合理性があります。たとえば月額300円(1割負担)の歩行器を3年間借り続ければ総額は約1万800円。一方、同等の機種を購入すれば2万円前後で、1割負担の購入費自己負担は約2,000円にとどまります。長期利用が見込まれるケースでは、購入のほうが利用者の実負担が小さくなる可能性が高いわけです。

ただし、選択制では「誰が、どうやって決めるか」が重要です。対象福祉用具の提供にあたっては、福祉用具専門相談員または介護支援専門員が、貸与と販売それぞれのメリット・デメリット、利用者の身体状況の変化の見通し、長期利用か短期利用かの見込みを説明したうえで提案することが義務づけられています。参考情報として、国は選択制対象用具の平均的な利用月数を示しており、固定用スロープは約13.2か月、歩行器は約11.0か月、単点杖は約14.6か月、多点杖は約14.3か月となっています(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1 問101)。

実際の選択動向を見ると、日本福祉用具供給協会が2024年5月に利用を開始した人を対象に行った調査では、4品目のうち販売を選んだのは約24%、貸与を選んだのは約76%でした(福祉新聞2025年5月22日)。さらに、貸与を選んだ利用者のうち約33%は、6か月以内に死亡・入院・身体状況の変化で貸与を終了しており、「購入してしまうと使い切れないリスク」が依然として大きいことがうかがえます。身体状況の変化が早い重度者や、症状が流動的な疾患を抱えている場合はレンタルのほうが適しており、一方で、歩行補助として長期間安定して使い続けられる場合は購入を検討する価値があります。

なお、選択制で販売対象になった4品目については、原則として新品での販売が想定されており、中古品の販売は基本的に認められていません。販売を選んだ場合は、福祉用具専門相談員が販売計画を作成し、目標達成状況の確認や、必要に応じた使用方法の指導・メンテナンスを行う努力義務を負います。

購入対象の特定福祉用具との違い

介護保険の福祉用具は「レンタルが原則」と説明しましたが、例外として最初から購入(特定福祉用具販売)の対象になっているものがあります。厚生労働大臣告示第94号で定められている対象は、腰掛便座(ポータブルトイレ、補高便座、立ち上がり補助便座など)、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分です。

これらが販売扱いになっているのは、「他人が使ったものを再利用することに心理的抵抗感を伴うもの(排泄・入浴に関わるもの)」や、「使用すると形態・品質が変化して再利用できないもの(つり具など)」という共通点があるためです。衛生面・性質面から貸与になじまない用具、と言い換えてもよいでしょう。

購入費への介護保険給付は、「居宅介護福祉用具購入費」として、年間(毎年4月1日〜翌年3月31日)10万円を上限に支給されます。自己負担割合はレンタルと同じく1〜3割で、10万円の購入をした1割負担の人は、支給限度額の9万円が介護保険から給付され、実負担は1万円となります。注意点として、購入費は多くの自治体で「償還払い」方式を採用しており、利用者がいったん全額を事業者に支払い、後から市町村に申請して自己負担分を除いた額が払い戻される流れです。受領委任払いに対応している自治体もあるので、事前に市町村窓口やケアマネジャーに確認するとよいでしょう。

また、購入費の対象になるには、都道府県から指定を受けた特定福祉用具販売事業者から買う必要があります。家電量販店やインターネット通販で同等品を買っても、原則として保険給付は受けられません。原則として1つの種目について1回のみの支給ですが、購入した用具が破損した場合や、介護の必要の程度が著しく高くなった場合、ロフストランドクラッチやスロープのように性質上複数個必要な場合などは、市町村が認めれば再支給や複数個支給が可能です(令和6年度介護報酬改定Q&A Vol.1 問98)。

「レンタル対象」と「購入対象」はこのように明確に区分されており、たとえば「介護ベッドを買いたい」「車いすを買いたい」と思っても、これらは特定福祉用具販売の対象種目ではないため、介護保険を使った購入はできません(購入したい場合は全額自費になります)。逆に、ポータブルトイレや入浴台はレンタル対象ではなく、購入が基本です。どちらの制度を使うべきかは、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談しながら決めるのが確実です。

ケアマネジャー・福祉用具専門相談員との連携の流れ

福祉用具レンタルの利用は、思いつきで1台だけ借りる、という性質のサービスではありません。ケアマネジャー(介護支援専門員)と福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員が連携して、ケアプランと福祉用具サービス計画を作成する流れで進みます。

最初のステップは、地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所のケアマネジャーへの相談です。要介護認定を受けていない場合は、まず市町村窓口で要介護・要支援認定を申請し、認定結果を受けてからケアプランを作成します。ケアマネジャーは、利用者の身体状況、家族構成、住環境、本人と家族の希望を聞き取り、「どんな動作に困っていて、どんな福祉用具があれば在宅生活が続けられるか」を整理します。

次に、ケアマネジャーが選定した福祉用具貸与事業者の福祉用具専門相談員が自宅を訪問し、インテーク(面談)、身体状況・生活動作能力の把握、住環境の確認を行います。そのうえで、利用目標と目標達成のために必要な機種、機種を選んだ理由、関係者間で共有すべき注意事項などを記した「福祉用具サービス計画書」を作成し、利用者・家族への説明と同意を経てサービスが始まります。この計画書は、居宅サービス計画(ケアプラン)に記載された利用目標と整合している必要があります。

2024年度改定では、福祉用具貸与におけるモニタリングの扱いが強化されました。それまでは「努力義務」だったモニタリングについて、実施時期を福祉用具貸与計画書に明記することが義務づけられ、貸与開始から少なくとも6か月以内に1回、その後も必要に応じて実施することとされました。さらに、モニタリング結果はケアマネジャーに必ず文書で報告しなければなりません。これにより、「借りたまま使われていない」「身体状況が変わって機種が合わなくなった」といった状態を早期に把握し、機種変更や返却につなげる仕組みが強化されています。

選択制の対象4品目については、貸与か販売かの提案にあたり、医師や理学療法士・作業療法士などリハビリ専門職の意見、サービス担当者会議での多職種協議、長期利用か短期利用かの見込みなどを踏まえた情報提供が求められます。利用者からすれば、「勝手に事業者が決めるのではなく、医学的な根拠と生活環境の両面から提案してもらえる」という安心感につながる仕組みです。

なお、「福祉用具専門相談員」は、厚生労働大臣指定の50時間の講習を修了した専門職で、介護福祉士や看護師などの特定資格を持つ人はみなし資格で従事できます。福祉用具貸与・販売事業所には2名以上の配置が義務づけられており、契約や計画書作成、モニタリングの担当者になります。相談員とケアマネジャーは役割が異なり、ケアマネジャーはケアプラン全体を設計する立場、相談員は福祉用具に特化した専門的アドバイザーという位置づけです。

2026年10月以降の新商品価格改定と今後の動向

福祉用具貸与の上限価格は、すべての商品について3年に1度まとめて見直されるほか、新商品については3か月に1度の頻度で全国平均貸与価格と上限価格が設定・公表されています。厚生労働省は2026年4月10日付の「介護保険最新情報vol.1493」で、令和8年(2026年)10月貸与分から適用される新商品の全国平均貸与価格および貸与価格の上限を公表しました(ケアマネタイムス 2026年4月10日)。

価格情報は、厚生労働省の「福祉用具・住宅改修」ページおよび公益財団法人テクノエイド協会のサイトに掲載されており、TAISコード(福祉用具の識別コード)ごとに全国平均貸与価格と上限価格を確認できます。福祉用具貸与事業者は、この上限を超える価格で新商品を貸与した場合、その月の福祉用具貸与費を算定できません。利用者としても、新商品を提案されたときには、相談員から提示される書面で全国平均価格と上限価格を確認する習慣をつけておくと安心です。

より中期的な動向としては、2024年度改定検証の結果が2027年度(令和9年度)の次期介護報酬改定の議論に反映されていきます。社保審・介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会は、2025年2月に選択制の効果検証結果をまとめ、給付費に大きな変動は見られなかったこと、選択制の対象種目をさらに拡大する意向は、ケアマネ・事業者とも「特になし」が最多だったことを報告しました(シルバー産業新聞「これからの介護保険284」)。

また、日本福祉用具供給協会などの業界団体は、身体状況の変化に追従しやすい「貸与原則」の維持を強く求めており、対象種目の拡大には慎重論が優勢です。一方で、財政サイドからは、長期利用が見込まれる品目について販売化を進めたい、上限価格制の削減効果をさらに高めたい、という声もあり、2027年度改定に向けてどこで折り合いをつけるかが注目されています。

利用者・家族の立場からは、「制度が変わっても、基本の考え方はシンプル」と捉えておくとよいでしょう。すなわち、身体状況が変わる可能性が高いならレンタル、長期間同じものを使い続ける見込みが強いなら購入(対象品目に限る)、そして全国平均貸与価格を必ず確認してから契約する、という3点です。制度改定のニュースが出るたびに、自分や家族が使っている用具が対象なのか、価格がどう変わるのかを、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に確認する機会にすると、適正な給付を受けやすくなります。

レンタルを失敗しないためのチェックポイントと出典

最後に、福祉用具レンタルで損をしない・合わない機種を使い続けないためのチェックポイントを整理します。第一に、契約前の確認事項です。「全国平均貸与価格と上限価格」「同等機能の別機種の提示」「貸与価格に含まれるサービス(搬入・搬出・保守点検・消毒など)」「契約期間と解約時の扱い」「事故時・故障時の対応」の5項目は、福祉用具サービス計画書や契約書で必ず確認しましょう。複数機種を提示しない事業者、全国平均価格を説明しない事業者は、運営基準違反の可能性があります。

第二に、軽度者(要支援1・2、要介護1)の方は、原則給付対象外の用具も、医学的所見に基づく例外給付で借りられる可能性があります。「軽度だから対象外」とあきらめる前に、主治医の意見書、基本調査結果、サービス担当者会議での協議記録など、例外給付の判断材料をケアマネジャーとともに整理してみてください。自治体ごとの運用に違いがあるため、判断に迷ったら保険者(市町村)にも確認するとよいでしょう。

第三に、選択制対象の4品目(固定用スロープ、歩行器、単点杖、多点杖)については、レンタルか購入かを機械的に決めず、身体状況の変化予測、想定利用期間、利用者負担額の合計、用具の耐久性、アフターサービスの有無を総合的に比較してください。平均利用月数(スロープ13.2か月、歩行器11.0か月、単点杖14.6か月、多点杖14.3か月)は判断材料のひとつですが、個々のケースでは異なります。

第四に、モニタリングの機会を有効活用することです。相談員は貸与開始から6か月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、以降も継続します。この訪問時に、使い勝手、身体との適合、生活動線の変化などを率直に伝えることで、機種変更や追加、返却の判断につながります。「せっかく借りたから」と合わない機種を使い続けるのではなく、使っていない用具は返却する、合わなくなった機種は変更する、という柔軟な運用が、介護保険財政の健全化と本人の生活の質の両立に役立ちます。

主な公的出典・参考資料

  • 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html)
  • 厚生労働省「給付対象種目を定める告示」(平成11年厚生省告示第93号・第94号)
  • 厚生労働省「介護保険における福祉用具」(老健局資料)
  • 介護サービス情報公表システム「福祉用具貸与」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group21.html)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1〜Vol.17)」
  • 厚生労働省「介護保険最新情報vol.1493(令和8年10月貸与分の新商品価格)」
  • 社保審・介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会 報告資料(2025年2月・2026年4月)
  • 日本福祉用具供給協会「貸与・販売の選択制導入後の実態調査」(2024年5〜6月実施)

制度の詳細は厚生労働省や市町村の公式情報をご確認のうえ、個別の用具選定・契約については、必ず担当のケアマネジャーおよび福祉用具専門相談員にご相談ください。

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介護保険の福祉用具レンタル|対象13種目・自己負担・2026年改定まで徹底解説
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公開日: 2026年4月15日最終更新: 2026年4月15日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

📢NEW2026/4/16介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】→
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介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】

2026/4/16

介護職と他産業の賃金格差が月8.2万円に拡大|全体の賃上げ加速で格差縮まらず【2026年最新】

厚労省「賃金構造基本統計調査」最新データで介護職員の賞与込み給与は月31.4万円、全産業平均39.6万円との格差は8.2万円。2026年6月の臨時改定で処遇改善加算を拡充するも民間賃上げに追いつけるか。転職者が知るべきポイントを解説。

介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付

2026/4/16

介護関連サービス事業協会が設立1年で会員100社到達|「100年人生サポート認証」16社・2658事業所に交付

介護保険外サービスの業界団体「介護関連サービス事業協会(CSBA)」が発足1年で会員約100法人に到達。認証制度「100年人生サポート認証」を16社・2658事業所に交付し、市場マップ作成やデータベース構築にも着手。転職を考える介護職向けに最新動向を解説。

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

2026/4/16

厚労省「CARISO」介護スタートアップ支援事業、2026年度も三菱総研が受託|aba「ヘルプパッド」がグランプリ

厚生労働省の「介護系スタートアップ支援事業powered by CARISO」を三菱総合研究所が2年連続で受託。2026年度の支援メニューや、第1回CARISO Caretech Startup Awardsでグランプリを受賞したaba「ヘルプパッド」の詳細、2040年の介護人材272万人問題を解説。

2027年度介護報酬改定に向け処遇改善加算の効果検証調査を7月実施|介護事業経営調査委員会

2026/4/16

2027年度介護報酬改定に向け処遇改善加算の効果検証調査を7月実施|介護事業経営調査委員会

2026年4月8日の介護事業経営調査委員会で、2026年度臨時改定による処遇改善加算の効果検証調査方針が決定。7月調査・11月公表のスケジュールで2027年度改定論議に反映。訪問看護・訪問リハも調査対象に追加。

介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説

2026/4/13

介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説

介護予防の基礎知識を介護職向けにわかりやすく解説。フレイル・サルコペニアの定義と予防法、介護予防事業・地域支援事業の仕組み、通いの場の活用法、現場で役立つ予防の視点まで網羅的に紹介します。

介護施設のBCP(業務継続計画)策定とは?義務化の背景から手順・訓練まで徹底解説

2026/4/13

介護施設のBCP(業務継続計画)策定とは?義務化の背景から手順・訓練まで徹底解説

介護施設のBCP(業務継続計画)策定を分かりやすく解説。2024年義務化の経緯、自然災害編・感染症編の違い、5つの策定手順、訓練方法、未策定時の減算、介護職員が押さえるべきポイントまで網羅。