
要支援とは
要支援とは介護保険の要介護認定で「日常生活の基本動作はできるが家事・身支度などに見守り・支援が必要」と認められた状態。要支援1・2の違い、利用できる介護予防サービス、支給限度額(要支援1=50,320円・要支援2=105,310円)、地域包括支援センターでのケアプラン作成までを用語集として解説。
この記事のポイント
要支援とは、介護保険の要介護認定で「日常生活の基本動作はおおむね自立しているが、家事や身支度など一部に見守り・支援が必要」と判定された状態を指す(介護保険法第7条)。要支援1・要支援2の2区分があり、地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成し、訪問型・通所型サービスや福祉用具貸与などを利用できる。
目次
要支援の定義と介護保険上の位置づけ
要支援は、介護保険法に基づく要介護認定の7区分(要支援1・要支援2・要介護1〜要介護5)のうち、最も介護の必要度が低い2区分を指す呼称である。介護保険法第7条第2項では「身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について継続して常時介護を要すると見込まれる状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態」と定義される。
要介護とは異なり、要支援者は「介護予防」を目的としたサービス(介護予防サービス・介護予防・日常生活支援総合事業)を利用する。サービス全体の枠組みは「予防給付」と呼ばれ、要介護者向けの「介護給付」とは法的にも報酬体系上も区別されている。
要支援認定の有効期間は新規・区分変更で原則6か月(3〜12か月の範囲で調整)、更新で原則12か月(3〜48か月の範囲で調整)である。状態が変化した場合はいつでも区分変更申請が可能で、悪化すれば要介護への移行、改善すれば非該当(自立)への変更も起こり得る。
ケアプラン(介護予防サービス計画)は地域包括支援センターの保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーが原則として作成し、利用者本人と相談しながら目標志向型の予防プランを組み立てる。要介護1以上の居宅介護支援(ケアマネジャー作成)とは作成主体が異なる点に注意が必要である。
要支援1・要支援2の状態像と認定基準
要支援1と要支援2の区分は、認定調査で算出される「要介護認定等基準時間」(1日にどれだけの介護が必要かを推定した時間)で機械的に分けられる。
- 要支援1:要介護認定等基準時間 25分以上32分未満。立ち上がりや片足立ちなどに不安定さはあるが、食事・排せつ・入浴の基本動作はほぼ自立している。掃除・買い物・調理など IADL(手段的日常生活動作) の一部に見守りや支援が必要な段階。
- 要支援2:要介護認定等基準時間 32分以上50分未満。立位保持や歩行が不安定で、家事・身支度・服薬管理などに継続的な支援が必要。要介護1と認定基準時間は同じだが、認知機能や状態の安定度が高く、介護予防の効果が見込める場合に要支援2と判定される。
要介護1との分岐は「認知機能の低下があるか」「状態が概ね6か月以内に変動する見込みがあるか」などを介護認定審査会(二次判定)が個別に判断する。同じ基準時間でも、認知症が進行しており予防給付では対応が難しいと判断されれば要介護1となる。
要支援者が利用できるサービスと支給限度額
要支援者は、市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)と、都道府県等が指定する介護予防サービスの両方を利用できる。1か月の支給限度額(区分支給限度基準額)は介護報酬単位で定められており、これを超えた分は全額自己負担となる。
| 区分 | 支給限度額(月額・1単位10円換算) | 自己負担1割の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円(5,032単位) | 5,032円 |
| 要支援2 | 105,310円(10,531単位) | 10,531円 |
※自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割(負担割合証で確認)。
主な利用可能サービス
- 総合事業:訪問型サービス(生活援助中心)、通所型サービス(運動・口腔・栄養改善)、一般介護予防事業(住民主体の通いの場)
- 介護予防訪問入浴介護・介護予防訪問看護・介護予防訪問リハビリテーション
- 介護予防通所リハビリテーション(デイケア)・介護予防短期入所生活/療養介護(ショートステイ)
- 介護予防福祉用具貸与(手すり・歩行器・歩行補助つえ等)/特定介護予防福祉用具販売(年間10万円まで)
- 介護予防住宅改修(手すり設置・段差解消等、生涯20万円まで)
- 介護予防認知症対応型通所介護・介護予防小規模多機能型居宅介護(地域密着型)
一方、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)への入所は原則として要介護3以上が対象であり、要支援者は対象外となる。養護老人ホームやケアハウス(軽費老人ホーム)、サービス付き高齢者向け住宅などへの住み替えは可能。
要支援と要介護の違い
| 項目 | 要支援1・2 | 要介護1〜5 |
|---|---|---|
| 給付種類 | 予防給付・総合事業 | 介護給付 |
| 目的 | 介護予防・状態の悪化防止 | 介護の必要に応じた支援 |
| ケアプラン作成 | 地域包括支援センター(介護予防支援) | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー |
| 特養入所 | 原則不可 | 要介護3以上で可 |
| 訪問介護 | 総合事業の訪問型サービスとして提供 | 訪問介護として提供 |
| 支給限度額(月額) | 50,320〜105,310円 | 167,650〜362,170円 |
| 区分支給限度基準額の単価 | 低い(軽度向け) | 高い(重度ほど大きい) |
もっとも実務的な違いは「ケアプランを誰が作るか」と「どのサービスメニューを使えるか」。要支援者は予防型のメニューに限定され、訪問介護・通所介護に相当するサービスは市町村ごとに設計された総合事業の枠で提供される。市町村による単価・運営基準のばらつきが大きく、引っ越し時には自治体ごとに利用条件を確認したい。
要支援認定を受けるまでの流れ
- 申請:本人または家族が市町村の介護保険担当窓口(高齢者支援課等)または地域包括支援センターで申請。介護保険被保険者証と本人確認書類が必要。
- 認定調査:市町村職員等の調査員が訪問し、74項目の基本調査と特記事項を聞き取り。
- 主治医意見書:市町村が主治医に依頼し、心身の状態や認知機能について主治医意見書が作成される。
- 一次判定:認定調査結果と主治医意見書を全国共通のロジックでコンピュータ処理し、要介護認定等基準時間を算出。
- 二次判定:保健・医療・福祉の専門家による介護認定審査会が、特記事項・主治医意見書を踏まえて最終的な区分を判定。
- 認定通知:申請から原則30日以内に結果が郵送される。要支援1・要支援2・要介護1〜5・非該当のいずれかが通知される。
- ケアプラン作成:要支援と判定されたら地域包括支援センターに連絡し、介護予防ケアプランを作成。
- サービス利用開始:プランに基づき事業者と契約しサービス開始。利用料の1〜3割を自己負担。
要支援者・家族・支援者が押さえておきたい実務ポイント
- 状態が変われば区分変更申請を:要支援1から2、または要介護への移行は申請ベース。骨折・入院・認知機能低下などの転機があれば、待たずに区分変更を検討する。
- 更新申請は満了60日前から:認定有効期間が切れる60日前から更新申請が可能。途切れるとサービスが全額自己負担になり得るので、地域包括支援センターと早めにスケジュール調整する。
- 総合事業の単価は市町村ごとに違う:訪問型・通所型は市町村独自の単価設定がされていることがある。利用前に市町村の介護保険ハンドブック等で確認する。
- 福祉用具と住宅改修は早めに検討:福祉用具貸与(手すり・歩行器等)と住宅改修(手すり設置・段差解消)は、要支援段階でこそ転倒予防効果が高い。住宅改修は生涯20万円が上限なので、計画的に使う。
- 「予防」志向のケアプラン:要支援者のケアプランは「現状維持」ではなく「目標達成型」で組まれる。本人の「やりたいこと」(買い物・趣味の通いの場・外出)をベースに置くと予防効果が出やすい。
- 非該当(自立)でも一般介護予防事業は使える:認定で非該当となっても、住民主体の通いの場・体操教室など一般介護予防事業は引き続き利用できる。65歳以上であれば誰でも参加可能。
よくある質問
Q. 要支援1と要支援2はどちらが軽いですか?
要支援1のほうが軽い区分です。基本動作はおおむね自立しており、家事や身支度の一部に支援が必要な状態。要支援2では立ち上がりや歩行に不安定さが目立ち、家事・身支度に継続的な支援が必要です。
Q. 要支援でも特別養護老人ホームに入所できますか?
原則として入所できません。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は要介護3以上が対象です。要支援の方はケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホームを検討します。
Q. 要支援者のケアプランは誰が作りますか?
原則として、お住まいの圏域を担当する地域包括支援センターの保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャー等が作成します。一部は地域包括支援センターから委託された居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成することもあります。
Q. 訪問介護のヘルパーは利用できますか?
2015年以降、要支援者向けの訪問介護・通所介護は、市町村が運営する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移行されました。サービス内容は従来とほぼ同じ生活援助・身体介護ですが、運営基準・単価は市町村ごとに異なります。
Q. 認定結果に納得できないときは?
通知から原則60日以内に都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます。状態の変化があれば区分変更申請も別途可能で、こちらは新規申請と同じ流れで再判定が行われます。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険制度について(要介護認定)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/index.html
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム — サービス利用までの流れ」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html
- e-Gov 法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」第7条(定義)https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192992.html
- 厚生労働省「介護給付費等実態統計」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/45-1.html
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造(区分支給限度基準額)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00037.html
まとめ
要支援は、介護保険における要介護認定7区分のうち最も軽度な2区分(要支援1・要支援2)であり、「予防給付」と総合事業の対象となる。家事や身支度に部分的な支援が必要な段階で介護予防に取り組めるよう、地域包括支援センターが目標達成型のケアプランを作成する。支給限度額は要支援1で月50,320円、要支援2で月105,310円。状態に変化があれば区分変更申請、有効期間が近づけば更新申請を活用し、必要なサービスを途切れさせないことが大切である。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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