
介護保険制度とは
介護保険制度とは、1997年介護保険法・2000年施行で生まれた社会保険。第1号・第2号被保険者の対象者、保険料、自己負担、サービス利用の流れ、2026年改正までを用語集として簡潔に解説します。
この記事のポイント
介護保険とは、1997年に制定された介護保険法(2000年4月施行)にもとづく社会保険制度で、介護を必要とする高齢者を社会全体で支え合う仕組みです。40歳以上のすべての国民が加入し、保険者である市区町村が運営します。要介護認定を受けると、自己負担1〜3割で訪問介護・施設サービス・地域密着型サービスなどを利用でき、給付費の総額は年間約14.3兆円規模(令和7年度予算)に達しています。
目次
介護保険制度の定義と法的根拠
介護保険制度とは、加齢にともなう要介護状態となった高齢者の自立した日常生活を、社会全体で支えるためにつくられた公的な社会保険制度です。1997年(平成9年)に介護保険法が成立し、2000年(平成12年)4月1日に施行されました。それまで老人福祉制度や老人医療制度のもとで分散的に提供されていた高齢者介護を、保険料と公費を財源とする独立した社会保険として再編した点が大きな特徴です。
制度の運営主体(保険者)は市区町村および特別区で、国・都道府県・医療保険者・年金保険者が共同で支える仕組みになっています。財源は公費50%・保険料50%で構成され、利用者は原則1割(所得に応じて2割または3割)の自己負担でサービスを利用できます。介護報酬や運営基準は3年ごとに見直されるサイクルで運用されており、次回の制度改正は2027年度開始の第10期介護保険事業計画に反映される予定です。
被保険者区分と自己負担割合
介護保険の加入者(被保険者)は年齢で2つに区分されます。
| 区分 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 |
|---|---|---|
| 対象 | 65歳以上 | 40〜64歳の医療保険加入者 |
| 人数 | 約3,585万人 | 約4,188万人 |
| 受給要件 | 原因を問わず要介護・要支援状態 | 特定疾病(16疾病)による要介護・要支援状態 |
| 保険料徴収 | 市町村が徴収(原則年金天引き) | 医療保険料と一括徴収 |
| 全国平均保険料 | 月額6,225円(2024〜2026年度) | 標準報酬月額に応じて算定 |
自己負担割合は所得に応じて以下のように決まります。
- 1割負担:原則すべての利用者(第2号被保険者は所得を問わず1割)
- 2割負担:合計所得金額160万円以上(単身年金収入のみで年収280万円以上)
- 3割負担:現役並み所得者(合計所得金額220万円以上など)
出典:厚生労働省「介護保険制度の概要 令和7年7月」
介護保険サービス利用までの流れ
介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受けたうえでケアプランを作成する必要があります。一般的な流れは次の5ステップです。
- 申請:市区町村の窓口または地域包括支援センターで「要介護認定」を申請。第1号被保険者は介護保険被保険者証、第2号被保険者は医療保険被保険者証を提出します。
- 認定調査・主治医意見書:認定調査員が訪問して心身の状況を聞き取り、主治医が医学的所見をまとめた意見書を作成します。
- 審査・判定:「介護認定審査会」が一次判定(コンピュータ判定)と二次判定(学識経験者による合議)を行い、要支援1・2または要介護1〜5の7段階で認定します。
- ケアプラン作成:要介護1〜5は居宅介護支援事業者のケアマネジャーが、要支援1・2は地域包括支援センターがケアプラン(介護予防ケアプラン)を作成します。
- サービス利用開始:ケアプランに基づき、訪問介護・通所介護・施設サービスなどを利用。事業者に被保険者証と負担割合証を提示し、自己負担分を支払います。
申請から認定結果通知までは原則30日以内です。
介護保険で利用できるサービスの大分類
介護保険で利用できるサービスは、提供形態によって大きく3つに分類されます。
1. 居宅サービス(在宅サービス)
自宅で生活しながら利用するサービスで、訪問・通所・短期入所の3タイプがあります。
- 訪問系:訪問介護(ホームヘルプ)、訪問看護、訪問入浴介護、訪問リハビリテーション
- 通所系:通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)
- 短期入所系:短期入所生活介護(ショートステイ)、短期入所療養介護
- その他:福祉用具貸与・購入、住宅改修費の支給、特定施設入居者生活介護
2. 施設サービス
要介護認定者が入所する公的施設で提供されるサービスで、要支援者は対象外です。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):原則要介護3以上、生活の場としての長期入所
- 介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指したリハビリ中心の施設
- 介護医療院:医療と介護を一体的に提供する長期療養施設
3. 地域密着型サービス
原則として住み慣れた地域で生活を続けられるよう、市町村が指定・監督する小規模なサービスです。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護
このほか、要支援者を対象とする介護予防サービスや、市町村が独自に運営する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)もあります。
「介護保険最新情報」と2026年改正の主要ポイント
厚生労働省老健局は、介護保険制度の運用にかかわる通知・Q&Aを「介護保険最新情報」として随時発出しています。事業者向けの解釈通知、報酬改定の留意事項、加算算定のルールなど、現場運営に直結する情報が含まれており、介護職員にとっても自施設の運営方針を理解するうえで重要な一次情報源です。WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)でも全号がアーカイブされており、誰でも閲覧できます。
2026年改正の主要ポイント
制度改正は3年サイクルで実施され、2027年度から始まる第10期介護保険事業計画に向けて議論が進められています。2026年に動く主な論点は次の3点です。
- 臨時の介護報酬改定:通常3年ごとの改定とは別に、介護職員の処遇改善(月額1万円相当の賃上げ)を目的とした期中改定が2026年度中に実施される方向で検討されています。
- 介護情報基盤の段階的稼働:要介護認定情報・ケアプラン・被保険者証情報をオンラインで共有する仕組みが2026年4月以降、準備の整った市町村から順次運用開始されます。
- 2割負担対象者の拡大議論:現役世代の負担軽減を目的に、2割負担対象者を「上位20%」から「上位25〜30%」へ拡大する案が審議会で検討されましたが、2025年内には結論が得られず継続協議となっています。
このほか、食費の基準費用額が2026年8月から1日100円引き上げ(1,445円→1,545円)となる見直しも決定しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護保険はいつから加入するのですか?
40歳の誕生日が属する月から自動的に第2号被保険者となり、医療保険料と一体で介護保険料が徴収されます。65歳になると自動的に第1号被保険者へ切り替わります。
Q. 第2号被保険者でもサービスを利用できますか?
40〜64歳の第2号被保険者は、末期がん・関節リウマチ・脳血管疾患など16種類の特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合に限り、介護保険サービスを利用できます。
Q. 介護保険料は全国一律ですか?
第1号保険料は市区町村ごとに異なります。2024〜2026年度の全国平均は月額6,225円ですが、地域差があります。第2号保険料は標準報酬月額や所得に応じて算定されます。
Q. 介護保険と医療保険はどう違いますか?
医療保険は病気やけがの治療費を給付するのに対し、介護保険は要介護状態の生活支援・身体介護を給付対象とします。財源・対象サービス・自己負担の仕組みが別建てとなっています。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
関連記事
- 介護保険制度のしくみ完全ガイド|被保険者・保険料・サービス利用の流れ ― 制度の詳細をさらに深掘りしたい方向けの解説記事
まとめ
介護保険は、1997年の介護保険法制定・2000年4月施行によって誕生した、日本の高齢者介護を支える基盤的な社会保険制度です。40歳以上のすべての国民が被保険者となり、市区町村が保険者として運営し、公費50%・保険料50%で財源を賄っています。要介護認定を経てケアプランを作成し、居宅・施設・地域密着型のサービスを自己負担1〜3割で利用できる仕組みが、25年にわたって日本の介護現場を支えてきました。
2026年は、臨時の介護報酬改定・介護情報基盤の段階稼働・2割負担対象者の拡大議論など、制度が大きく動く1年です。介護現場で働く方、これから介護業界への転職を考える方は、本記事を「介護保険とは何か」を押さえる出発点として活用し、関連記事や厚労省の一次資料で詳細を確認してください。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
続けて読む

2026/3/27
介護事業者の倒産が2年連続過去最多176件|賃上げの裏で進む淘汰と「潰れない施設」の見分け方
2025年の介護事業者倒産は176件で2年連続過去最多を更新。訪問介護91件が突出し、倒産の約8割が資本金500万円未満の小規模事業者に集中しています。人手不足・物価高・報酬改定の三重苦による倒産の原因分析と、転職者が経営安定施設を見分けるための独自チェックリスト7項目を詳しく解説します。

2026/3/27
介護ヒューマノイド「Ena」80法人連携で実証開始|人型ロボットは25万人の穴を埋められるか?
介護助手ヒューマノイドロボット「Ena」が2026年夏に全国80法人以上の連携で実証テスト開始。洗濯物たたみ・下膳・夜間巡視など周辺業務を自動化し、介護職員が利用者ケアに集中できる環境を目指します。ロボットで変わる現場の働き方、介護職のキャリアへの影響、DX時代の転職先選びのポイントを独自視点で解説。

2026/3/27
外国人介護福祉士の受験者が過去最多1.6万人|5人に1人が外国人の時代に何が変わる?
第38回介護福祉士国家試験で外国人受験者が過去最多の16,580人、全体の21.1%に到達。特定技能1号が初の1万人超え。在留資格別の合格率データ、外国人急増の3つの構造的要因、日本人介護職に求められる「教える力」や多文化共生スキル、転職先選びで確認すべき外国人材受け入れ体制を解説します。

2026/3/24
2026年6月 介護報酬臨時改定まとめ|介護職の給料はいくら上がる?【最新版】
2026年6月施行の介護報酬臨時改定を徹底解説。改定率+2.03%で介護従事者全体に月1万円、生産性向上事業所にはさらに月7,000円の上乗せで最大月1.9万円の賃上げが実現します。全15サービスの加算率一覧表、施設タイプ別の年収シミュレーション、転職先選びの5つのチェックポイントまで網羅した最新版です。

2026/4/25
介護福祉士が独立・開業する5パターン|訪問介護・福祉用具・ケアマネ独立の資金と要件
介護福祉士の独立・開業を5パターンで整理。訪問介護の指定基準、開業資金500万〜1,500万円、日本政策金融公庫の融資、株式会社・合同会社・NPOの選び方、2025年倒産91件の現実まで2026年版で解説。