第2回・2040年看護職員養成検討会|実習・供給推計・資質の3論点と介護現場への波及
介護職向け

第2回・2040年看護職員養成検討会|実習・供給推計・資質の3論点と介護現場への波及

厚労省は2026年5月8日、第2回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催。看護学生実習・供給推計・看護職員の資質という3論点を議論する。第1回の論点と介護現場への影響を解説。

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厚生労働省は2026年5月8日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の第2回会合を開催し、(1)今後の看護職員に求められる資質、(2)看護学生の実習、(3)看護職員の供給推計の3点を議論する。第1回(2026年4月10日)では看護師等養成所の定員充足率が2025年に79.5%まで低下した実態や、訪問看護の人材不足、紹介会社問題が論点に挙がった。月1回ペースで議論を重ね、2026年冬を目途に意見をとりまとめ、必要な制度改正や予算確保へつなげる予定だ。

目次

2040年、日本社会は生産年齢人口の急減と高齢者数のピークを同時に迎える。85歳以上の高齢者が増え、医療と介護の複合ニーズが膨らむ一方で、看護職員を含めた医療従事者の担い手は細る。この構造的な「2040年問題」をどう乗り切るか、看護分野の議論が本格化している。

厚生労働省医政局看護課は2026年4月10日に第1回、5月8日に第2回となる「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催。月1回程度のペースで議論を進め、2026年冬を目途に意見をとりまとめる方針だ。第2回では「看護職員に求められる資質」「看護学生の実習」「看護職員の供給推計」という3つの基幹論点が俎上に載る。

本記事では、第2回の論点を一次資料から整理したうえで、第1回で構成員から提起された具体的な課題、そしてこの議論が介護現場。特に訪問看護・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設で働く看護師、そして看護師と連携する介護職にとって何を意味するのかを掘り下げる。

検討会の概要|2026年冬とりまとめへ向けた月1ペースの議論

厚労省医政局看護課が設置、月1回ペースで議論

「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」は、厚生労働省医政局看護課が設置した有識者会合だ。第1回は2026年4月10日に開催され、生産年齢人口が大きく減少する2040年に向けて、看護職員の養成のあり方、地域確保策、勤務環境改善の3本柱を中心に議論を行うことが確認された。

厚労省は同検討会の議論を踏まえ、2026年冬を目途に意見をとりまとめ、その後の制度改正や予算確保、関連通知の発出につなげる方針を示している。月1回のペースで開催される予定で、第2回(5月8日)以降も毎月議論が積み上げられる構図だ。

第1回の主要論点|定員充足率79.5%、紹介会社、ハラスメント

第1回の議論では、看護師等養成所の定員充足率が2025年に79.5%へ低下し、地方では8割を切る学校が常態化していることが報告された。日本看護協会の秋山智弥会長は「看護職員の数の議論より、まず資質の議論を先行させるべき」と発言し、養成段階での質確保の重要性を強調した。

大分県看護協会の玉井保子会長は、医学・看護学の進展に伴い「3年では知識獲得が困難」になっている現状や、新人看護職員研修ガイドラインが2010年から見直されていない点を指摘。さらに、看護師紹介会社の高額紹介料が病院経営を圧迫しているとして「紹介会社の実態把握が必要」と述べた。日本訪問看護財団の平原優美常務理事は、訪問看護でのハラスメント対策の深刻さに言及している。

第2回の3論点|資質・実習・供給推計

第2回(2026年5月8日 14時〜16時)の議題は、(1)今後の看護職員に求められる資質について、(2)看護学生の実習について、(3)看護職員の供給推計についての3点である。第1回が「現状の見取り図」を共有する場だったのに対し、第2回は具体的な論点を一つずつ掘り下げるフェーズに入る。

会議の状況はYouTubeで配信される予定で、傍聴も可能。資料は当日までに厚労省ホームページに掲載される運用となっている。透明性を確保しながら、医療界・看護界・教育界の関係者の合意形成を進める段取りだ。

第2回の3論点を読み解く|実習・供給推計・資質

(1)看護学生の実習|「見学化」する臨床実習

第1回では、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子理事長が、看護学生の臨床実習が「見学化」している実態に強い危惧を示した。患者の安全管理と医療の高度化が進むなか、実習生が実際に手技を経験する機会が縮小し、新卒1年目で現場に出てから初めて実技に向き合う構図になりつつある。

第2回では、こうした実習の質をどう確保するかが正面から議論される見通しだ。論点は実習時間の配分、指導者(実習指導者・教員)の確保、シミュレーション教育の活用、特定行為など高度実践への接続など多岐にわたる。実習をどう設計するかは、新卒看護師の即戦力化、ひいては早期離職の抑制にも直結する。

(2)看護職員の供給推計|2040年の需給ギャップ

供給推計の議論は、看護職員の養成数・離職率・再就業率といった変数から、2040年時点の供給見通しを定量化する作業だ。厚労省が過去にまとめた看護職員需給推計では、2025年の需要見通しに対し供給が約3万〜13万人不足すると見込まれていたが、2040年に向けては高齢者数のピーク到来で需要側がさらに増える一方、生産年齢人口の急減で養成数の確保自体が困難になる。

日本看護協会が2025年に公表した「看護の将来ビジョン2040」によれば、現在の看護職養成数を維持するためには、2040年時点で18歳人口の12人に1人が看護職を選ぶ必要がある。少子化と他職種との人材獲得競争のなか、現状維持すら難しいという厳しい前提が共有されている。

(3)看護職員に求められる資質|「複雑性」への対応力

「資質」とは、単なる技術力ではない。85歳以上の高齢者が増えると、認知症と多疾患併存、独居や老老介護といった社会的背景が重なり、医療ニーズは「複雑」になる。日本看護協会は、こうした環境下で看護職に求められるのは、専門職としての自律した判断・実践であるとビジョンに掲げる。

第2回の議論では、教育課程で何をどこまで身につけさせるか、卒後教育(新人研修・特定行為研修・認定看護師など)でどう積み上げるか、リスキリングをどう支援するかといった具体策が問われる。第1回で早稲田大学の松原由美教授が言及した「働きながら資格取得する人向けのオンライン授業や無償化」も、資質確保の一手段として再度検討される可能性がある。

介護現場との関係|訪問看護・特養・老健で進む需要シフト

2040年に向けて介護分野の看護師需要は約10万人増

厚労省が公表してきた看護職員需給推計の枠組みでは、医療機関(病院・診療所)の需要は「医療推計バックデータ」から、介護施設・事業所(訪問看護ステーションを含む)の需要は「介護推計バックデータ」から積算される。直近の推計データを参照すると、2025年度から2040年度にかけて、介護施設・事業所では看護職員を含めた人材が約10万人追加で必要になると見込まれている。

要介護認定者数は2040年頃に988万人でピークを迎え、要介護3以上の重度者は374万人へ膨らむ見通し(2020年比で118万人増)。重度化が進めば、医療的ケアの頻度も上がり、介護現場における看護師の役割は確実に重みを増す。本検討会の供給推計で「介護分野の看護師需要をどう織り込むか」は、養成計画にも直結する重要論点だ。

訪問看護|在宅シフトの最前線、なお人材不足が「極めて著しい」

第1回で平原優美構成員(日本訪問看護財団常務理事)は、訪問看護現場の人材不足が「極めて著しい」状況であり、ハラスメント対策やキャリアラダーの整備が遅れていると指摘した。在宅医療・在宅看取りへのシフトが進むなか、訪問看護ステーションでの看護師需要は年々拡大している。

2026年6月の診療報酬改定では訪問看護ベースアップ評価料が大幅に引き上げられるなど、政府も訪問看護の処遇改善に動き出した。本検討会で「地域確保策」「キャリアパス」が具体的に議論されれば、訪問看護領域での看護師確保策はさらに前進する可能性がある。

特養・老健|オンコール対応と医療依存度の上昇

特別養護老人ホーム(特養)では入所者の重度化・医療依存度の上昇が顕著で、看護職員のオンコール体制や夜間配置が運営上の鍵となっている。介護老人保健施設(老健)でも、在宅復帰機能を担う中間施設として、リハビリと医療管理を看護師が支える構図は変わらない。

本検討会の供給推計が「介護施設で必要な看護師数」を明示的に推計するならば、特養・老健の人員配置基準の見直し議論にも波及する。看護師として介護現場でキャリアを築く選択肢は、今後ますます現実的かつ戦略的なものになっていくと考えられる。

介護職への含意|タスクシェア・連携・キャリア戦略

看護師との「タスクシェア」が現場の生産性を左右する

看護師の供給が需要に追いつかない時代の介護現場では、看護師にしかできない業務(医療的判断・特定行為・服薬管理など)と、介護職員が担える業務(生活援助・身体介護・記録・介護計画への反映)を明確に切り分け、相互に補完するタスクシェアが運営の生命線となる。介護福祉士による医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)の実施範囲は2012年以降拡大しており、現場の役割分担は実質的に進化してきた。

本検討会で「看護職員の資質」として自律した判断力・地域連携力が強調される流れは、裏返せば「看護師がより専門性の高い業務に集中できるよう、周辺業務を介護職や他職種で支える」体制の必要性を示している。介護職にとっては、医療的ケアの基礎知識・観察力を磨くことが、現場での評価とキャリア形成に直結する局面に入っていく。

看護師との連携力が介護職のキャリア資産になる

訪問介護(ホームヘルパー)の現場でも、利用者の重度化により訪問看護との連携場面は増えている。バイタル変化の早期発見、医師・看護師への適切な情報伝達、ケアマネジャーとの連動。こうした連携力は、介護職員にとって明確なキャリア資産となる。介護福祉士・特定行為研修受講者・サービス提供責任者などへの段階的キャリアアップを目指す人にとって、看護師との協働経験は次のステップへの基盤になる。

逆に言えば、看護師確保の議論が「医療機関中心」で完結し、介護現場での看護師需要や介護職との連携設計が後回しにされると、介護現場の運営はさらに厳しくなる。本検討会の議論を介護分野に引き寄せて発信する役割は、業界全体で果たすべき課題だ。

よくある質問

Q1. 第2回検討会はいつ・どこで開催される?

2026年5月8日(金)14時〜16時に開催される。会議の模様はYouTubeでライブ配信される予定で、傍聴も可能(事前申込制、締切は5月1日18時)。配信URLや当日資料は厚生労働省ホームページに掲載される。

Q2. 検討会の最終とりまとめはいつ?

2026年冬を目途に意見をとりまとめる方針が示されている。月1回程度のペースで議論が進められ、その後の制度改正・予算確保・関連通知の発出につなげる構図だ。

Q3. 第2回で議論される「供給推計」は何が新しい?

これまでの看護職員需給推計は2025年を見据えたものが中心だったが、本検討会では2040年に焦点を当てる。生産年齢人口の急減と高齢者数のピーク到来という構造変化を踏まえ、介護分野の需要も含めて供給見通しを再計算する点が大きい。

Q4. 介護職員の働き方にも影響がある?

看護師の供給制約が強まれば、介護現場では看護師と介護職のタスクシェアの再設計が不可欠になる。介護福祉士による医療的ケアの拡大、介護職の観察力・連携力の向上が、現場運営とキャリアアップの両面で重要性を増していく。

Q5. 訪問看護や特養で働く看護師にとっての注目ポイントは?

「地域確保策」「キャリアラダー整備」「ハラスメント対策」が議論の柱となる見通し。第1回で訪問看護や特養の人材不足が「極めて著しい」と明確に指摘されており、地域偏在の是正やキャリアパスの可視化が今後の論点となる。

参考資料

まとめ

第2回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」は、2026年5月8日に「看護職員の資質」「看護学生の実習」「供給推計」の3論点を議論する。第1回で浮かび上がった看護師等養成所の定員充足率79.5%、訪問看護でのハラスメント・人材不足、紹介会社問題といった足元の課題に、月1回ペースで答えを積み上げ、2026年冬の意見とりまとめにつなげていく構図だ。

2040年の介護分野では看護職員需要が約10万人増、要介護認定者は988万人でピーク。この未来図のなかで、看護師確保の議論は介護現場と切り離せない。訪問看護・特養・老健で働く看護師、看護師と日々連携する介護職員、いずれの立場にも、議論の行方は直接届く。本サイトでは検討会の進捗を継続的にフォローしていく。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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