介護福祉士から看護師へキャリア転換|准看護師・看護師ルートの選び方・学費・現実
介護職向け

介護福祉士から看護師へキャリア転換|准看護師・看護師ルートの選び方・学費・現実

介護福祉士から看護師を目指す全ルート(准看護師経由・3年制専門学校・大学)の学費・期間・合格率・収入を徹底比較。共通基礎課程制度の現状、看護師等修学資金貸付・専門実践教育訓練給付金の活用法、30〜40代社会人入学の現実、介護福祉経験が看護現場で活きる場面まで具体例で解説。

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この記事のポイント

介護福祉士から看護師になるには、准看護師(2年)→看護師(2〜3年)の2段階ルートと、3年制看護専門学校・4年制大学への直接入学ルートがあります。介護福祉士資格による単位免除制度は2026年5月時点で未導入ですが、一部学校で実習料免除や推薦枠があり、専門実践教育訓練給付金で最大80%(年間上限64万円)の学費補助が受けられます。介護経験は受験・実習・就職後の高齢者ケアで大きな武器になります。

目次

介護福祉士から看護師へ──医療行為の幅と年収を両立させる現実的な選択肢

「身体介護のスキルを土台に、医療行為もできる看護師になりたい」「年収を一段引き上げたい」──介護福祉士として現場経験を積むほど、看護師への憧れと現実的な壁の両方を感じる人は多いのではないでしょうか。

本記事はすでに介護福祉士資格を持つ人が看護師を目指す場合に焦点を絞り、ルート選択・学費・受験対策・現場での活かし方まで、介護福祉士ならではの強みと注意点をまとめました。介護職全般向けの一般論ではなく、「介護福祉士の実務経験を持つあなた」が最短・最少コストで看護師になるための道筋を示します。

結論を先に言えば、単位免除こそ未導入ですが、介護福祉士の現場経験は看護学校入試(社会人選抜・推薦)、実習中の患者対応、就職後の高齢者ケア領域で確実に評価される資産です。読み終える頃には、あなたが進むべきルートと必要な準備が具体的に見えるはずです。

そもそも看護師と准看護師、介護福祉士は何が違うのか

キャリア転換を考える前提として、3つの資格の法的な位置づけと業務範囲を整理します。曖昧なまま動き出すと、ルート選択を間違えてしまうからです。

資格の法的位置づけ

  • 看護師(正看護師):保健師助産師看護師法第5条に基づく国家資格。厚生労働大臣免許。傷病者の療養上の世話と診療の補助を自らの判断で行える。
  • 准看護師:同法第6条に基づく都道府県知事免許。業務範囲は看護師と同一だが、医師・歯科医師または看護師の指示を受けて業務を行う点が異なる。
  • 介護福祉士:社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格。身体介護・生活援助・喀痰吸引等(研修修了者)が中心で、医療行為は原則として行えない。

業務範囲の決定的な違い

介護福祉士が現場で「もどかしい」と感じやすいのは、採血・点滴・注射・創傷処置・酸素管理などの医療行為ができない点です。喀痰吸引・経管栄養は研修を修了すれば実施可能ですが、特定行為まで広げると看護師資格が必要になります。

看護師資格を取得すると、介護施設内でも医師の指示のもと医療処置を行える立場となり、看取り場面での裁量、急変時の初期対応、医師への報告など、ケアの中核に立てるようになります。これが介護福祉士から看護師を目指す最大の動機になるケースが多いです。

収入面での違い(公的データ比較)

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は488万9,000円(平均年齢40.5歳)、介護職員(医療・福祉施設等)は約359万円です。年収差は約130万円。准看護師は約406万円で、看護師より低いものの介護福祉士より約47万円高い水準です。

もちろん地域・施設・夜勤回数で大きく振れますが、生涯賃金で見ると数千万円単位の差が生まれることを念頭に置き、学費・時間というコストと比較する必要があります。

介護福祉士から看護師になる3つのルート──時間軸で比較する

介護福祉士が看護師資格を取得するルートは大きく3つに分類できます。それぞれ「取得までの期間」「学費」「働きながら通えるか」「年齢的なハードル」が異なるため、自分のライフステージに照らして選ぶことが重要です。

ルート①:准看護師経由の2段階ルート(合計4年〜)

准看護師養成所(2年)に通って准看護師免許を取得し、その後3〜7年の実務経験を経て看護師養成所2年課程(または通信制)に進むルートです。

  • 所要期間:准看護師2年+実務経験+看護師2年=最短4年(実務経験を実務と並行カウントできれば最短4年)
  • 入学要件:准看護師養成所は中学卒業以上で受験可能。介護福祉士なら学力面の負担も比較的軽い
  • 働きながら通えるか:午後・夜間の半日制を採用する養成所が多く、午前中は介護施設で働ける
  • 合格率:准看護師試験は都道府県実施で合格率97〜98%(日本准看護師連絡協議会)と非常に高い
  • 2026年4月から看護師養成所2年通信制の入学要件が「准看護師経験7年以上→5年以上」に短縮(2025年11月発表)され、ルート全体の所要期間が短縮された

「働きながら段階的にステップアップしたい」「貯蓄が少ない」「学力に不安がある」人に最適。デメリットは2段階ぶん時間がかかること、准看護師から看護師へ「もう一度受験」する負担です。

ルート②:3年制看護専門学校・短大(合計3年)

高校卒業以上を要件とする3年制の看護師養成所(専門学校)または看護短期大学に直接入学するルートです。

  • 所要期間:3年
  • 入学要件:高校卒業以上。社会人選抜枠を設ける学校が多く、介護福祉士の実務経験が評価される
  • 働きながら通えるか:全日制が中心だが、定時制や夜間部を持つ専門学校もあり、夕方〜夜のパート介護と両立する人もいる
  • 合格率:第115回看護師国家試験(2026年)の合格率は全体88.3%、新卒95.9%(厚生労働省)
  • 3年集中で看護師資格に到達できるため、時間効率は最も良い

「30代前半までで貯蓄がある」「集中して短期間で資格を取りたい」人に向く。学費負担と全日制の時間拘束がデメリット。

ルート③:4年制看護大学(合計4年)

高校卒業以上を要件に、4年制の看護系大学(看護学部・看護学科)に進学するルートです。

  • 所要期間:4年
  • 入学要件:高校卒業以上+大学受験(一般入試または社会人選抜)
  • 合格率:第114回看護師国家試験で大学新卒の合格率は97.7%と最高水準(旺文社教育情報センター)
  • 学士号を取得できるため、保健師・助産師の受験資格や、将来的に看護管理職・大学院進学を目指すキャリアにも開ける

「キャリアの天井を上げたい」「保健師など他職種も視野」「学費負担に耐えられる」人向け。費用は最も高く、社会人入学のハードルも高めです。

学費・期間の徹底比較──準看護師経由 vs 直接ルートで何万円違うのか

ルート選択を左右する最大の要素は学費です。3つのルートを総コストで比較します。

ルート別学費の目安

ルート期間学費目安(総額)働きながら通学
准看護師養成所2年40〜120万円◎(半日制が主流)
看護師養成所2年課程(准看後)2年50〜150万円◯(通信制あり)
2段階ルート合計4年〜90〜270万円
3年制看護専門学校(公立)3年100〜200万円
3年制看護専門学校(私立)3年200〜400万円
4年制看護大学(国公立)4年250〜350万円×
4年制看護大学(私立)4年400〜600万円×

※学費は授業料・入学金・実習費の合計目安。教科書代・ユニフォーム代・交通費は別途必要。

「働きながら学費を抑える」最強の組み合わせ

当サイトが介護労働実態調査(介護労働安定センター)と各種学費データを照らし合わせて分析したところ、「准看護師養成所(半日制)→ 通信制看護師2年課程」を選び、介護福祉士として常勤雇用を維持できれば、総学費を100万円以下に抑えながら年収約380万円を維持できる試算になります。

一方、3年制看護専門学校を全日制で選ぶと、3年間の収入機会損失(年380万円×3年=約1,140万円)が発生します。学費だけでなく「失われる年収」まで含めて比較すると、実は2段階ルートのほうが総コストで有利なケースが多いのです。

失われる年収まで含めた総コスト試算(介護福祉士5年目・35歳・東京の例)

ルート学費就学期間中の収入機会損失合計コスト看護師取得時年齢
2段階(半日制+通信)約100万円0円(常勤継続)約100万円39〜40歳
3年制専門学校(全日制・私立)約300万円約1,140万円約1,440万円38歳
4年制大学(私立)約500万円約1,520万円約2,020万円39歳

「学費だけ」で見ると2段階ルートが最安、「資格取得スピード」で見ると3年制専門学校、「将来の天井」で見ると4年制大学──このトリレンマをどう解くかが、ルート選択の本質です。

介護福祉士の経験が看護学校受験で活きる場面と単位免除の現状

「介護福祉士なら看護師養成課程の単位が免除されるのでは?」と期待する人が多いですが、結論から言うと2026年5月時点で介護福祉士から看護師への正規の単位免除制度は導入されていません。ただし、介護福祉士の実務経験は別の形で確実に評価されます。

① 共通基礎課程制度は「検討中」のまま

厚生労働省では2016年以降、看護師・介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・理学療法士・作業療法士・保育士の7職種で重複する基礎科目(約1年分相当)を共通化する「共通基礎課程制度」を検討しています。介護福祉士から看護師を目指す場合、最大1年程度の履修免除が期待されますが、2026年5月時点でも未導入です。今後の制度動向には注意を払う必要があります。

② 一部の看護学校で実習料免除・推薦枠あり

制度上の単位免除はないものの、独自の優遇措置を設ける看護学校が存在します。

  • 実習料免除:医療・介護・福祉系国家資格を持ち、入学時に実務経験2年以上ある社会人を対象に、実習料を全額または一部免除する学校がある(例:洛和会京都看護学校)
  • 病院附属看護学校の推薦枠:法人内の介護施設で勤務する介護福祉士を、附属看護学校に推薦する制度を設ける医療法人グループがある
  • 社会人選抜入試:面接・小論文中心の選抜方式で、学力試験よりも介護現場での経験談・看護師を志す動機・人間性が評価される

③ 看護学校入試で介護福祉士が圧倒的に有利な3つの理由

  1. 志望動機の説得力:「介護福祉士として高齢者の医療的ニーズに対応しきれない場面に直面した」という現場発の動機は、面接官に最も刺さるパターン
  2. 実習適応の早さ:基礎看護技術の半分以上(清拭・体位変換・移乗・食事介助)は介護現場と共通。実習でつまずきにくい
  3. コミュニケーション力:認知症高齢者や家族との対話経験は、看護学生のうち介護福祉士保有者にしかない強み

④ 介護福祉士実務者研修を修了している場合の有利点

介護福祉士になる前提として修了する介護福祉士実務者研修では、医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養)の基礎を学んでいます。これは看護師養成課程の「基礎看護技術」「成人看護学」の一部内容と重複しており、入学後の学習効率を高めます。

使える奨学金・修学資金──最大80%戻ってくる給付金の使い方

看護学校の学費は決して安くありませんが、社会人介護福祉士が活用できる公的支援制度を組み合わせれば、自己負担を大幅に圧縮できます。

① 専門実践教育訓練給付金(雇用保険)

雇用保険の被保険者期間が通算2年以上(初回利用は1年以上)の方が対象。看護師養成課程は厚生労働省指定講座になっており、以下の給付が受けられます。

  • 受講中:年間40万円(最大)×受講期間(受講費用の50%、最大3年分まで)
  • 資格取得+1年以内に就職:追加20%(最大年間16万円)
  • 受講後に賃金上昇要件を満たす:さらに10%(2024年10月以降)
  • 合計最大80%、年間上限64万円(資格取得+就職+賃金上昇すべて満たした場合)

3年制看護専門学校(学費総額300万円)の場合、最大で約192万円が戻ってくる計算。介護福祉士として雇用保険に加入して働いていれば、まず最初に押さえるべき制度です。

② 看護師等修学資金貸付制度(都道府県)

各都道府県が独自に実施する貸付制度で、卒業後に指定された医療機関等で3〜5年勤務すると返還免除になる仕組みです。月額3〜10万円程度を借りられ、無利子のケースが多い。県外進学・県内就職など条件は自治体ごとに異なります。

③ 病院附属看護学校の奨学金(返還免除型)

看護学校を運営する医療法人の多くが、卒業後に系列病院で3〜5年勤務を条件に学費全額相当を貸与・返還免除する独自奨学金を提供しています。実質的に「学費ゼロ+お礼奉公」の仕組みで、貯蓄ゼロでも進学可能。介護福祉士として既に医療法人グループに勤めている場合は、勤務先を通じた申請が有利です。

④ 介護福祉士修学資金との重複利用は不可

注意点として、介護福祉士養成施設在学時に借りた介護福祉士修学資金は、看護学校進学とは別制度です。重複申請はできず、看護師取得後に介護福祉士として返還免除対象業務に従事しないと、貸付金の返還義務が発生する可能性があります。在学中の方は、進路変更前に各都道府県社会福祉協議会へ確認してください。

⑤ 高等職業訓練促進給付金(ひとり親限定)

20歳未満の子を扶養するひとり親(児童扶養手当受給または同等所得水準)が看護師養成課程を受講する場合、月額10万円(市町村民税非課税世帯)または月額7万500円(課税世帯)が支給されます。修了支援給付金として修了時に5万円(非課税世帯)も。ひとり親の介護福祉士が看護師を目指す場合は最強の制度です。

年収・働き方の現実──看護師取得後に何が変わるか

看護師資格を取得すると、年収・働き方・キャリアの選択肢がどう変わるのか、公的データで検証します。

① 年収の比較(公的データ)

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」と日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」より:

  • 介護福祉士(医療・福祉施設):平均年収約359万円(月給22万円+賞与)
  • 准看護師:平均年収約406万円
  • 看護師(正看護師):平均年収488.9万円(月給34.8万円、平均年齢40.5歳、平均勤続8.5年)

看護師は介護福祉士より年収で約130万円高い水準。生涯賃金(仮に25年勤続)で換算すると、3,250万円の差が生まれる計算です。

② 介護福祉士の経験を活かせる看護師の主な就職先

就職先介護経験の活きる度合い平均年収目安夜勤の有無
急性期病院(一般病棟)△(医療色強い)500〜550万円あり
回復期リハビリ病棟◯(離床・ADL支援に活きる)460〜500万円あり
慢性期・療養病棟◎(高齢者ケア中心)440〜480万円あり
訪問看護ステーション◎(生活支援視点が強み)450〜520万円オンコールあり
特養・老健の配置看護師◎(介護職と協働)420〜470万円原則なし
有料老人ホーム配置看護師420〜500万円施設による
デイサービス・デイケア380〜420万円なし

③ 「介護現場に戻る看護師」が増えている

看護師資格を取得した介護福祉士の多くは、急性期病院よりも高齢者ケアの場(特養配置看護師・訪問看護・有料老人ホーム)に戻る傾向があります。理由は3つ:

  1. 介護現場の言語・文化を理解しているため、介護職との連携で即戦力になれる
  2. 急性期の体力的負担(3交替・重症患者)より、介護現場のほうが家庭との両立がしやすい
  3. 看取りケアにおいて、介護福祉士時代の経験が最も活きる

介護福祉士から看護師に転換した人の強みは「医療×介護のハイブリッド人材」である点です。年収400万円台でも「介護現場で看護リーダーを担う」キャリアは、介護領域全体で需要が極めて高く、転職市場でも引く手あまたです。

介護福祉士経験が看護現場で活きる5つの具体的場面

「介護福祉士の経験は看護師として本当に役立つのか」──これは進学を迷う最大の不安点です。看護師として働き始めた元介護福祉士が実感する、介護経験が活きる5つの場面を具体的に紹介します。

① 高齢者の身体観察と異変察知

介護福祉士として何百人もの高齢者を介助してきた経験から、「いつもと違う」感覚が研ぎ澄まされているのは大きな強みです。新人看護師が見落としがちな食欲・歩行・表情・排泄パターンの微細な変化を捉え、急変の兆候を早期に医師へ報告できる。これは大学新卒看護師には数年かけても得られない実践知です。

② 認知症ケアでのバリデーション・ユマニチュード

認知症高齢者への声かけ・誘導・拒否への対応は、介護現場で蓄積した最大の財産です。看護師としても病棟・施設・訪問看護で認知症ケアの場面は多く、「説得より納得」「指示より共感」のコミュニケーション技術は、看護学校で学ぶより前に体得している強み。BPSD(行動・心理症状)への薬物に頼らない対応で、ベテラン看護師からも一目置かれます。

③ 看取りケアでの家族支援

看取り期の高齢者と家族に寄り添う経験は、介護福祉士のほうが看護師より多いケースもあります。家族の罪悪感・後悔・喪失感に共感し言葉をかける技術は、エンドオブライフ・ケアの中核。訪問看護や特養配置看護で活きる場面が非常に多く、「介護福祉士出身の看護師は家族対応が違う」と評価されます。

④ 在宅医療・訪問看護での生活視点

訪問看護では、医療処置だけでなく「その人の生活全体を支える視点」が問われます。住環境・家族関係・経済状況・介護保険サービスの利用状況を踏まえてケア計画を立てる必要があり、介護福祉士時代に培った生活支援の視点が大きく活きる領域です。ケアマネジャー・ヘルパー・福祉用具専門相談員との連携も、共通言語があるためスムーズに進められます。

⑤ 介護職との連携・チームマネジメント

介護施設・回復期病棟・在宅領域では、看護師は介護職員と密に連携してケアを提供します。介護職の業務範囲・心情・キャリアパスを理解している看護師は、看護師-介護職の対立構造を生まず、チームの結束を高められる。将来的に介護施設の看護リーダー・施設長を目指す道も開け、医療×介護の橋渡し人材として希少価値が高まります。

30〜40代社会人入学の現実と失敗パターン──「諦めた人」から学ぶ

社会人入学の現実は、希望と不安が入り混じります。介護福祉士から看護師への転換を「途中で諦めた人」「途中で軌道修正した人」の事例から、避けるべき失敗パターンを整理します。

① 年齢別の社会人入学の実態

日本看護学校協議会の調査では、看護専門学校の社会人入学者の割合は約30〜40%に達し、20代後半〜40代が中心です。50代でも合格・卒業する事例は珍しくなく、年齢自体が決定的なハードルになることはありません。ただし、年齢が上がるほど学習・実習・体力面の負担が増えるため、計画性が問われます。

② よくある失敗パターン3選

  • 失敗パターン1:学費の見積もり甘さで途中離脱
    3年制全日制を選んだ結果、生活費が枯渇し2年目で退学。授業料は給付金で賄えても、生活費・教材費・実習交通費(実習先まで片道1〜2時間が常)を見落とすケースが多い。対策:入学前に「学費+生活費×3年」の総額シミュレーションを作り、貯蓄・配偶者収入・奨学金で全額カバーできる計画を立てる。
  • 失敗パターン2:実習期間に仕事を続けられず収入ゼロに
    看護学校3年次は実習中心になり、平日朝〜夕方の拘束が続く。介護のパート・夜勤バイトも難しくなる。対策:1〜2年目に貯蓄を積み、3年次は学業専念。または2段階ルート(半日制准看護師+通信制看護師)を選ぶ。
  • 失敗パターン3:家族の理解不足で精神的に折れる
    家事・育児負担を抱えながら学校・実習・国試対策をこなすのは、本人の覚悟だけでは無理。配偶者や親の協力が不可欠。対策:受験前に家族と「3〜4年間の役割分担計画」を具体的に話し合う。家事代行・ファミリーサポート活用も予算化する。

③ 軌道修正で成功するパターン

「3年制全日制で挫折→准看護師ルートに変更」「直接看護師大学を諦め、3年制専門学校へ志望変更」など、ルート修正で完走するケースも多いです。重要なのは「看護師になる」というゴールから逆算して、自分のライフステージに合うルートを選ぶ柔軟さ。一度諦めても、5年後に准看護師から再挑戦して50代で看護師になった事例もあります。

④ 介護福祉士として働きながら受験準備するコツ

  • 夜勤明けの午前中を勉強時間に確保(暗記系科目)
  • 受験予備校の「看護学校受験社会人コース」を活用(小論文・面接対策)
  • 同じ目標を持つ仲間とSNSやオンラインコミュニティで情報交換
  • 勤務先の医療法人に「附属看護学校への推薦・奨学金制度」がないか確認

介護福祉士から看護師へ よくある質問

Q1. 介護福祉士の資格があれば看護師国家試験の受験科目は免除されますか?

A. いいえ、現時点(2026年5月)では介護福祉士資格による科目免除制度は存在しません。看護師国家試験は11科目240問のマークシート方式で、全員が同じ条件で受験します。ただし合格率は新卒で95.9%(第115回)と高水準で、養成校の授業を真面目に受ければ合格は十分可能です。

Q2. 准看護師を取らずに直接看護師を目指すのとどちらが得ですか?

A. ライフステージ次第です。20代で貯蓄があり、家族の支援も得られるなら3年制看護専門学校が時間効率最良。30代以降で家族・住宅ローン・収入維持が必要なら、半日制准看護師+通信制看護師2年課程の2段階ルートが現実的。総コスト(学費+失われる年収)で見ると、後者のほうが安く済むケースが多いです。

Q3. 介護福祉士として働きながら看護学校に通うことは可能ですか?

A. 可能です。准看護師養成所の半日制(午後・夜間)であれば、午前中の介護パート勤務と両立できます。3年制看護専門学校でも夜間部や定時制を持つ学校があります。一方、4年制看護大学は全日制が中心で、就労との両立は難しいのが現実です。

Q4. 30代後半・40代で看護師を目指すのは遅すぎますか?

A. 遅くありません。看護専門学校の社会人入学者の中心層は20代後半〜40代です。50代で看護師資格を取得して特養配置看護師として働く事例もあります。むしろ介護福祉士としての10年以上のキャリアは、面接で大きく評価されます。年齢より「卒業まで継続できる学習計画と家計計画」が重要です。

Q5. 看護師になっても介護施設で働けますか?年収は下がりませんか?

A. 介護施設の配置看護師として働けます。特養・有料老人ホーム・グループホームの配置看護師の年収は420〜500万円が相場で、介護福祉士時代より60〜100万円高い水準。夜勤がない(または少ない)職場も多く、家庭との両立がしやすいのも利点です。

Q6. 看護学校の入試科目はどんなものがありますか?

A. 一般入試では「国語・数学・英語」が中心で、生物・化学を課す学校もあります。社会人入試では学科試験を課さず、小論文と面接のみのケースが多いです。介護福祉士は社会人入試での受験が現実的で、過去の介護経験を志望動機に絡めた小論文・面接対策が合否を分けます。

Q7. 共通基礎課程制度はいつ導入されますか?

A. 2026年5月時点で導入時期は未定です。厚生労働省で2016年から検討が続いていますが、関係団体間の調整や教育課程の見直しに時間を要しており、近年中の導入は見通せていません。制度導入を待つより、現行制度で動き始めるほうが賢明です。

参考文献・出典

まとめ:介護福祉士の経験こそ、看護師への最強の助走

介護福祉士から看護師へのキャリア転換は、決して「介護がダメだから医療へ逃げる」道ではありません。むしろ、介護の現場で身につけた高齢者ケア・認知症対応・看取り支援・家族との関係構築という強みを、医療行為で補完する──両資格を持つハイブリッド人材になる、最も価値の高いキャリア戦略の一つです。

ルート選択は「学費」「期間」「ライフステージ」「家族の協力」を総合的に判断する必要がありますが、本記事でお伝えしたい結論は以下の3点です。

  1. 2段階ルート(半日制准看護師+通信制看護師)は、働きながら最も少ない自己負担で看護師資格を取得できる現実解。30代以降の介護福祉士に特に向いている。
  2. 専門実践教育訓練給付金(最大80%)+看護師等修学資金貸付(返還免除)+病院附属奨学金を組み合わせれば、学費の自己負担を実質ゼロに近づけることも可能。
  3. 介護福祉士の経験は単位免除制度こそないものの、社会人入試での評価・実習での適応・卒業後の高齢者ケア領域で圧倒的な強みになる。「介護経験は無駄にならない」どころか、最大の武器になる。

看護師資格を取得するまでの3〜5年間は、確かに学費・時間・体力の大きな投資が必要です。しかし、その先には介護福祉士時代の約130万円高い年収と、医療現場での裁量・看護リーダーとしてのキャリアの天井の高さが待っています。

今の介護現場で「もどかしさ」を感じているなら、まずは近隣の准看護師養成所・看護専門学校のオープンキャンパスに足を運び、社会人入学制度・実習免除・推薦枠の有無を確認することから始めてみてください。あなたの介護福祉士としての経験は、看護師への最強の助走になります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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