
身体介護とは
身体介護とは、訪問介護で利用者の身体に直接触れて行う介助サービス。食事・排泄・入浴介助などの具体例、生活援助との違い、介護報酬の単位数、提供できる行為の範囲を厚労省資料に基づき解説します。
この記事のポイント
身体介護とは、訪問介護で「利用者の身体に直接触れて行う介助サービス」と「自立支援・重度化防止のためのサービス」「専門的知識・技術を要する生活上のサービス」の総称です(厚生労働省 老計第10号)。具体的には食事介助、排泄介助、入浴介助、更衣介助、移乗・移動介助、服薬介助などが含まれます。介護報酬上は生活援助よりも単価が高く、介護職員初任者研修以上の有資格者でなければ提供できません。
目次
20秒でわかる「身体介護」
身体介護の定義と3つの分類
厚生労働省の「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号)では、身体介護を次の3つに分類しています。
1. 利用者の身体に直接接触して行う介助サービス
食事介助、排泄介助、入浴介助、清拭、洗髪、更衣介助、整容、体位変換、移乗介助、移動介助、起床・就寝介助、服薬介助など。
2. 利用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス
共に行う調理(自立支援を目的)、共に行う洗濯、共に行う買い物、自立支援を目的とした見守り的援助など。「やってあげる」のではなく「一緒に行う」ことで残存機能を活かす援助です。
3. その他、専門的知識・技術(介護福祉士等)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービス
褥瘡の処置、特別な配慮を要する食事・服薬の介助、認知症高齢者への対応など。
身体介護の所要時間区分(介護報酬)
- 20分未満:163単位(令和6年度報酬改定)
- 20分以上30分未満:244単位
- 30分以上1時間未満:387単位
- 1時間以上1時間30分未満:567単位(以後30分ごとに82単位加算)
身体介護と生活援助の違い
| 項目 | 身体介護 | 生活援助 |
|---|---|---|
| 定義 | 利用者の身体に直接触れて行う介助 | 身体介護以外の日常生活援助(家事代行) |
| 主な内容 | 食事・排泄・入浴介助、移乗、更衣 | 掃除、洗濯、調理、買い物、ゴミ出し |
| 単位数(30分以上1時間未満) | 387単位 | 225単位 |
| 必要な資格 | 介護職員初任者研修修了以上 | 同じ(生活援助従事者研修でも可) |
| 家族分への提供 | 不可(利用者本人のみ) | 不可(利用者本人の分のみ) |
身体介護のほうが単価が高く、提供できる行為も広範です。一方、生活援助は単身世帯または同居家族が病気・障害等で家事ができない場合に限り提供できます。両者を組み合わせた「身体・生活複合型」のサービスもあります。
身体介護で提供できる主な行為
食事関連
- 食事介助、配膳・下膳、嚥下困難者への食事介助、食事中の見守り
排泄関連
- トイレ介助、ポータブルトイレ介助、おむつ交換、陰部洗浄、ストーマ装具のパウチに溜まった排泄物の廃棄
入浴・清潔関連
- 全身浴、部分浴、シャワー浴、清拭、洗髪、整容(爪切り、ひげ剃り、髪の手入れ)
移乗・移動関連
- ベッド⇔車椅子の移乗、屋内歩行介助、外出時の移動介助、通院介助
その他
- 更衣介助、体位変換、起床・就寝介助、服薬介助(声かけ・確認・水の準備)
- 喀痰吸引・経管栄養(喀痰吸引等研修修了者のみ)
身体介護として認められない行為
医療行為(インスリン注射、褥瘡の処置、摘便など)は原則として介護職には認められていません。爪切り(爪に病的疾患がない場合)、軟膏の塗布、目薬の点眼など一部の行為は条件付きで認められています。
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身体介護を行う上でのポイント
自立支援を意識する
身体介護は「全部やってあげる」のではなく、利用者の残存機能を最大限活かすことが大原則です。例えば食事介助でも、自分でスプーンを持てる方には介助しすぎず、必要な部分だけサポートします。「できる部分は本人に、できない部分を介助」がリハビリテーション的視点として重要です。
声かけと観察
身体介護中は利用者と密接に関わる時間です。「○○しますね」と動作の前に声かけをし、表情・反応・皮膚状態・バイタルの変化を常に観察します。介助中の会話を通じて体調・気分・困りごとを把握できる貴重な機会でもあります。
ボディメカニクスの活用
移乗・体位変換などで腰痛を防ぐためには、ボディメカニクス(身体力学)の原則を活用します。支持基底面を広く取り、重心を低く、利用者と密着させ、てこの原理で動かすことで、最小の力で安全に介助できます。
感染予防
身体介護は利用者の体液・排泄物に触れる機会が多いため、標準予防策(手指衛生・手袋・エプロン・マスク)を徹底します。利用者ごとに使い捨て手袋を交換することが基本です。
身体介護のよくある質問
Q1. 無資格者は身体介護を提供できる?
訪問介護では介護職員初任者研修以上の修了が必要です。施設介護では無資格者も身体介護に従事できますが、研修受講や資格取得が推奨されます。
Q2. 身体介護と通院介助の違いは?
通院介助は身体介護に含まれます。ただし「院内での待ち時間」「医師の診察中の付き添い」は通常の介護保険サービスでは提供できないため、保険外サービスや家族での対応が必要です。
Q3. ヘルパーが医療行為をしてもよい?
原則不可ですが、平成17年7月の厚労省通知で爪切り(病的疾患なし)、軟膏塗布、点眼薬の点眼、体温測定、血圧測定(電子血圧計のみ)など一部行為は条件付きで認められています。喀痰吸引・経管栄養は専用の研修修了者のみ可能です。
Q4. 身体介護の所要時間はどう決まる?
居宅サービス計画書(ケアプラン)でケアマネが決定します。所要時間は実際の介助に必要な標準的な時間を基に、20分未満/20分以上30分未満/30分以上1時間未満/1時間以上1時間30分未満などの区分で算定されます。
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まとめ
身体介護は訪問介護の中核業務であり、生活援助よりも高い単価が設定されています。「身体に直接触れる介助」「自立支援を目的とした共に行う援助」「専門的知識を要する援助」の3分類で構成され、食事・排泄・入浴・移乗など幅広い行為が含まれます。提供には介護職員初任者研修以上の資格が必要で、利用者の残存機能を活かしつつ、安全で尊厳ある介助を行うことが求められます。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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