
認定看護師とは
認定看護師は日本看護協会が認定する看護のスペシャリスト資格。旧A課程21分野・新B課程19分野、実務5年以上+教育課程600〜800時間+特定行為研修の取得要件、専門看護師・特定行為研修修了者との違い、介護施設・訪問看護での需要と給料を整理する。
この記事のポイント
認定看護師(にんていかんごし)とは、日本看護協会が認定する看護のスペシャリスト資格です。特定の看護分野で「実践・指導・相談」の3つの役割を担い、現場の看護ケアの質を引き上げます。実務5年以上+認定看護師教育課程600〜800時間を修了し、認定審査に合格することで取得できます。旧A課程(21分野)は2026年度で教育終了、特定行為研修を組み込んだ新B課程(19分野)へ移行中です。
目次
認定看護師の制度(日本看護協会)
認定看護師制度は、公益社団法人日本看護協会が運営する看護師の資格認定制度のひとつです。特定の看護分野で熟練した技術と知識を持つ看護師を社会に送り出し、看護現場におけるケアの質向上を実現することを目的としています。同協会の認定資格には「認定看護師」「専門看護師」「認定看護管理者」の3種があり、認定看護師は最も実践現場に近いスペシャリスト資格として位置づけられています。
認定看護師に求められる役割は以下の3つです。
- 実践:高い臨床推論力に基づき、水準の高い看護を直接患者に提供する
- 指導:看護職に対して専門分野の知識・技術を教育的に支援する
- 相談:他職種・他部門からのコンサルテーションに応じ、組織横断的に課題を解決する
2019年の制度改正により、特定行為研修を組み込んだB課程(新制度)へ移行が進んでいます。旧A課程の教育課程は2026年度をもって終了し、認定審査は2029年度まで実施されます。すでにA課程で認定を取得している看護師は、5年ごとの更新審査を継続することで認定資格を維持できます。
認定分野(旧A課程21分野・新B課程19分野)
旧制度のA課程は21分野で構成されていました。新制度のB課程では一部分野が統合・名称変更され、19分野に再編されています。介護施設・訪問看護の現場で特にニーズが高い分野は太字で示します。
旧A課程の21分野(〜2026年度で教育終了)
- 救急看護
- 皮膚・排泄ケア
- 緩和ケア
- がん化学療法看護
- がん性疼痛看護
- 感染管理
- 糖尿病看護
- 不妊症看護
- 新生児集中ケア
- 透析看護
- 手術看護
- 乳がん看護
- 摂食・嚥下障害看護
- 小児救急看護
- 認知症看護
- 脳卒中リハビリテーション看護
- がん放射線療法看護
- 慢性呼吸器疾患看護
- 慢性心不全看護
- 集中ケア
- 訪問看護
新B課程の19分野(2021年度〜)
B課程は特定行為研修が組み込まれ、医師の判断を待たずに一定の医療行為(21区分38行為)が可能になります。介護施設・訪問看護で特に有用な分野には「在宅ケア」「認知症看護」「皮膚・排泄ケア」「感染管理」「緩和ケア」「クリティカルケア」「がん薬物療法看護」が含まれます。
取得手順(実務5年→認定教育課程→認定審査)
認定看護師資格を取得する標準的なステップは次の通りです。看護師免許取得から最短でも6〜7年程度かかります。
- STEP1:看護師免許取得+実務経験5年以上
日本国の看護師免許を取得し、通算5年以上の実務経験を積みます。うち3年以上は希望する認定分野での実務経験が必要です。ブランクや転職を挟んでも「通算」でカウントできます。 - STEP2:認定看護師教育課程の受講
日本看護協会または認定教育機関の教育課程を修了します。A課程は600時間以上(6か月〜1年)、B課程は800時間程度+特定行為研修(1年以内)です。受講料は学校により異なりますが、おおむね70万〜100万円台が目安です。 - STEP3:認定審査(筆記試験)
教育課程修了後、日本看護協会が実施する認定審査を受験します。出題は教育課程の基準カリキュラム範囲が中心で、合格率は90%前後と比較的高めです。 - STEP4:認定看護師として登録
審査合格後、日本看護協会に登録すると「認定看護師」を名乗ることができます。 - STEP5:5年ごとの更新審査
看護実践と自己研鑽の実績を書類審査する形で、5年ごとに更新が必要です。更新を怠ると認定資格を失います。
認定看護師 vs 専門看護師 vs 特定行為研修修了者
「上位資格の看護師」と一括りにされがちな3つの資格は、求められる役割と教育時間・学位要件が異なります。介護現場・在宅医療の文脈で違いを整理します。
| 項目 | 認定看護師(CN) | 専門看護師(CNS) | 特定行為研修修了者 |
|---|---|---|---|
| 認定団体 | 日本看護協会 | 日本看護協会 | 厚生労働省指定研修機関 |
| 役割 | 実践・指導・相談 | 実践・指導・相談・調整・倫理調整・研究(6役割) | 医師の手順書に基づく特定行為の実施 |
| 学歴要件 | 看護師免許+実務5年以上 | 看護系大学院修士課程修了+実務5年以上 | 看護師免許+実務5年以上(推奨) |
| 教育時間 | A課程600時間/B課程800時間+特定行為研修 | 大学院2年程度 | 共通科目250時間+区分別科目(数十〜100時間程度) |
| 分野数 | 旧21/新19分野 | 14分野 | 21区分38行為 |
| 更新 | 5年ごと | 5年ごと | 更新制度なし |
| 介護現場での強み | 認知症・皮膚排泄・緩和ケア等の直接ケアと指導 | 多職種調整・倫理判断・組織横断のシステム改善 | 脱水時の補正・気管カニューレ交換等の医療行為の即時実施 |
B課程の認定看護師は、認定看護師教育の中で特定行為研修も統合的に修了します。つまり「分野のスペシャリスト+手順書に基づく医療行為が可能」という二刀流の人材です。在宅医療や介護施設の医師不在時に強みを発揮します。
介護施設・訪問看護での需要と給料
- Q. 認定看護師は介護施設で活躍できますか?
- はい。特養・老健・有料老人ホーム・グループホーム等では、入居者の高齢化と医療依存度の上昇により、認知症看護・皮膚・排泄ケア・緩和ケア・摂食嚥下障害看護の認定看護師の需要が高まっています。施設配置加算の算定要件には直接ひもづかないものの、施設の医療体制をアピールするうえで採用評価が高まる傾向があります。
- Q. 訪問看護ステーションでも活かせますか?
- 訪問看護では「在宅ケア(B課程)」「緩和ケア」「皮膚・排泄ケア」「認知症看護」が特に重宝されます。機能強化型訪問看護管理療養費の算定要件では、24時間対応体制や緊急時訪問の実績に加え、専門性の高い看護師の配置が評価されます。在宅看取り・終末期ケアを担う事業所では認定看護師がチームの中核を担うケースが増えています。
- Q. 給料はどれくらい上がりますか?
- 認定看護師手当は施設により月5,000〜30,000円程度が一般的です。基本給そのものへの反映は限定的でも、専門外来・教育担当・係長級ポストへの登用機会が広がり、結果として年収50〜100万円アップにつながるケースが多く報告されています。介護施設では「専門職手当」として支給する法人もあります。
- Q. 教育課程の受講中、給与はどうなりますか?
- 所属先によって対応が分かれます。長期研修制度として「給与満額支給+学費補助」を整える病院・法人もあれば、無給の長期休職を選ぶケースもあります。日本看護協会・都道府県看護協会・医療機関による奨学金や研修費助成制度を併用するのが現実的です。
- Q. A課程の認定看護師は2026年以降どうなりますか?
- A課程の教育課程は2026年度で終了しますが、すでに認定を取得しているA課程認定看護師は5年ごとの更新審査を継続することで認定資格を維持できます。希望者は特定行為研修を別途修了することでB課程相当に移行することも可能です。
まとめ
認定看護師は、日本看護協会が認定する看護のスペシャリスト資格で、特定の看護分野で「実践・指導・相談」の3役割を担います。旧A課程の21分野は2026年度で教育終了、特定行為研修を統合した新B課程の19分野へ移行が進んでいます。介護施設・訪問看護では、認知症看護・皮膚排泄ケア・緩和ケア・在宅ケア・摂食嚥下障害看護といった分野の認定看護師の需要が高まっており、専門職手当や教育担当ポストを通じてキャリアの幅が広がります。看護師としての専門性をさらに深めたい人にとって、有力な選択肢のひとつです。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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