
介護職から看護師へ転職する方法|准看護師→正看護師の最短ルートと学費・支援制度
介護職から看護師になるルートを徹底解説。准看護師→正看護師の2段階ルート、働きながら通える定時制・通信制学校、専門実践教育訓練給付金(最大80%支給)や修学資金貸付制度、年収比較まで網羅。介護経験を活かしたキャリアチェンジを実現しましょう。
この記事のポイント
介護職から看護師になるには、准看護師養成所(2年)→看護師養成所(2〜3年)の2段階ルートが現実的です。准看護師試験の合格率は約98%と高く、定時制・半日制なら働きながら通学可能。専門実践教育訓練給付金で学費の最大80%(年間上限64万円)が支給され、看護師の平均年収は約520万円と介護職より約140万円高い水準です。年齢制限はなく、介護経験は入試・実務の両面で大きな強みになります。
目次
介護職から看護師を目指す人が増えている理由
「もっと利用者さんの役に立ちたい」「医療行為ができればあの場面で助けられたのに」――介護現場で働くなかで、そんな思いを抱いたことはありませんか。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、看護師の平均年収は519.7万円、介護職員(施設)の平均年収は376万円で、その差は約143万円にのぼります。収入面だけでなく、医療行為を通じて利用者のケアの幅を広げたいという動機から、介護職から看護師へのキャリアチェンジを考える人が増えています。
しかし「看護学校に何年通うの?」「学費はいくら?」「40代でも間に合う?」といった疑問が壁になり、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護職から看護師になるための具体的なルート、学費と支援制度、働きながら通う方法、そして介護経験が看護師としてどう活きるのかを、公的データをもとに徹底解説します。
准看護師と正看護師の違いを理解しよう
看護師資格には「准看護師」と「正看護師(看護師)」の2種類があります。介護職からのキャリアチェンジを考える上で、まずこの違いを押さえておきましょう。
免許・資格の違い
| 項目 | 准看護師 | 正看護師 |
|---|---|---|
| 免許の発行元 | 都道府県知事(公的資格) | 厚生労働大臣(国家資格) |
| 受験資格 | 中学校卒業以上+准看護師養成所(2年)修了 | 高校卒業以上+看護師養成所(3年)または大学(4年)修了 |
| 業務範囲 | 医師・正看護師の指示のもとで業務 | 医師の指示を受けつつ、自らの判断で業務可能 |
| キャリアパス | 正看護師への進学 | 管理職、専門看護師、認定看護師、保健師、助産師 |
給与の違い
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、両者の給与差は以下のとおりです。
| 項目 | 准看護師 | 正看護師 |
|---|---|---|
| 平均月収 | 約28.8万円 | 約36.4万円 |
| 平均年収 | 約413万円 | 約520万円 |
准看護師の段階でも介護職(施設)の平均年収376万円を上回っており、正看護師まで進めばさらに大きな収入アップが期待できます。
准看護師制度の今後
日本看護協会は正看護師との資格一本化を推進しており、准看護師養成校の新設は実質的に停止されています。養成校数・入学者数は過去20年で約4分の1に減少しました(日本看護協会「准看護師養成の推移」)。ただし、2026年時点で制度廃止は決定しておらず、すでに取得済みの資格が無効になることは想定されていません。
この状況を踏まえると、准看護師を取得したら早めに正看護師へステップアップすることがキャリア安定の面で重要です。
介護職から看護師になる3つのルート
介護職から看護師を目指すルートは大きく3つあります。それぞれの特徴と所要期間を比較しましょう。
ルート1:准看護師経由(2段階ルート)──働きながら目指す王道
最も多くの介護職経験者が選ぶルートです。まず准看護師を取得し、その後正看護師へステップアップします。
ステップ1:准看護師養成所(2年間)
- 入学資格:中学校卒業以上
- カリキュラム:1,890時間以上の履修+735時間以上の実習
- 授業形態:全日制(週3〜5日)、半日制(午後のみ)、夜間制から選択可能
- 准看護師試験合格率:約98%(都道府県実施)
ステップ2:看護師養成所2年課程で正看護師を目指す
| 課程 | 修業年数 | 学歴別の実務経験要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 全日制 | 2年 | 高卒:不要/中卒:3年以上 | 最短で正看護師取得。日中通学のため就業との両立は困難 |
| 定時制 | 3年 | 高卒:不要/中卒:3年以上 | 夜間・土日授業で働きながら通える。介護職との両立実績多数 |
| 通信制 | 2年 | 准看護師の実務経験5年以上(2026年4月〜。従来は7年) | 自宅学習中心。スクーリングは年間約30日。最も仕事と両立しやすい |
准看護師経由の合計所要期間:
| 進学パターン | 准看護師取得まで | 正看護師取得まで | 合計 |
|---|---|---|---|
| 准看(2年)→ 全日制(2年) | 2年 | 2年 | 最短4年 |
| 准看(2年)→ 定時制(3年) | 2年 | 3年 | 5年 |
| 准看(2年)→ 通信制(2年) | 2年 | 実務5年+通信2年 | 9年 |
ルート2:看護師養成学校へ直接進学──最短3年で正看護師
高校卒業以上の学歴がある場合、准看護師を経由せず直接正看護師を目指せます。
| 学校種別 | 修業年限 | 特徴 |
|---|---|---|
| 看護専門学校 | 3年 | 実践重視。社会人入試枠を設ける学校が多い |
| 看護短期大学 | 3年 | 幅広い教養科目も学べる |
| 看護大学 | 4年 | 保健師・助産師の受験資格も同時取得可能な学校あり |
このルートは最短3年で正看護師になれますが、日中のフルタイム通学が基本です。介護職を辞めて通学に専念する必要がある点がデメリットです。
ルート3:介護福祉士の共通基礎課程(将来の選択肢)
厚生労働省は、介護福祉士などの福祉系資格保有者が看護師を目指す際に、従来より約1年短いカリキュラムで取得できる「共通基礎課程」制度を検討しています。対象は介護福祉士、社会福祉士、保育士などの国家資格保有者です。
ただし、2026年4月時点で正式導入には至っておらず、具体的な開始時期は未定です。今後の厚生労働省の動向を注視しましょう。
介護職経験者にはどのルートがおすすめ?
多くの介護職経験者にとって最も現実的なのはルート1の「准看護師経由」です。その理由は以下の3点です。
- 働きながら通える:半日制・夜間制の准看護師養成所なら、介護の仕事を続けながら通学可能
- 経済的リスクが低い:収入を維持しながら段階的にステップアップできる
- 准看護師の段階で年収アップ:准看護師でも介護職より約40万円高い年収が期待できる
学費の目安と費用シミュレーション
看護師を目指す際に気になるのが学費です。課程ごとの費用相場をまとめました。
課程別の学費相場
| 課程 | 修業年数 | 学費総額の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 准看護師養成所 | 2年 | 100〜200万円 | 医師会立は比較的安価(年間30〜50万円程度) |
| 正看護師:全日制2年 | 2年 | 150〜250万円 | 短大・専門学校 |
| 正看護師:定時制3年 | 3年 | 120〜180万円 | 働きながら通える |
| 正看護師:通信制2年 | 2年 | 50〜100万円 | 最も経済的。スクーリング費別途 |
| 看護専門学校(3年課程) | 3年 | 200〜350万円 | 直接進学ルート |
| 看護大学 | 4年 | 250〜700万円 | 国公立は250万円程度、私立は400〜700万円 |
※上記は授業料の目安です。別途、教科書代(年間5〜10万円)、実習費、ユニフォーム代、国家試験受験料(5,400円)などが必要です。
費用シミュレーション:准看護師経由ルートの場合
准看護師養成所(2年)+定時制3年課程を選んだ場合の概算です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 准看護師養成所(2年間) | 約150万円 |
| 定時制3年課程 | 約150万円 |
| 教材費・実習費等 | 約30万円 |
| 合計 | 約330万円 |
| 専門実践教育訓練給付金(最大80%) | ▲最大256万円 |
| 実質負担額 | 約74万円〜 |
給付金制度をフル活用すれば、実質負担を大幅に抑えられます。次のセクションで支援制度を詳しく解説します。
使える奨学金・給付金制度を徹底解説
看護師を目指す際に利用できる経済的支援は複数あります。併用可能な制度も多いため、組み合わせて活用しましょう。
1. 専門実践教育訓練給付金(厚生労働省)
最も活用すべき制度です。厚生労働大臣指定の看護師養成課程が対象となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本給付 | 受講費の50%(年間上限40万円)。受講中6ヶ月ごとに支給 |
| 資格取得・就職追加 | 修了後1年以内に資格取得+就職で+20%(年間上限16万円) |
| 賃金上昇追加(2024年10月〜) | 前職比5%以上の賃金上昇でさらに+10%(年間上限8万円) |
| 最大給付率 | 学費の80%(年間上限64万円) |
支給条件:
- 初回利用:雇用保険の被保険者期間が2年以上
- 2回目以降:被保険者期間が3年以上
- 離職者:雇用保険の資格喪失から1年以内に受講開始
課程別の最大給付額:
- 准看護師養成所(2年制):最大128万円
- 定時制3年課程:最大192万円
- 通信制2年課程:最大128万円
- 看護専門学校3年課程:最大192万円
対象校はハローワークの「教育訓練給付制度検索システム」で確認できます。
申請の流れ:
- 最寄りのハローワークで「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける(無料・必須)
- 受講開始1ヶ月前までに受給資格確認票を提出
- 受講中は6ヶ月ごとにハローワークで支給申請
- 修了後、資格取得+就職で追加給付を申請
2. 教育訓練支援給付金(離職者向け)
離職して専門実践教育訓練を受講する45歳未満の方が対象です。受講期間中、基本手当日額の80%相当が支給されます(2027年3月末まで延長)。専門実践教育訓練給付金と併用可能なため、退職して学業に専念する場合の生活費をカバーできます。
3. 都道府県の看護師等修学資金貸付制度
各都道府県が看護学生向けに実施する貸付制度です。
- 貸与額:月額2〜5万円程度(都道府県により異なる)
- 返済免除条件:卒業後、指定地域・指定施設で一定期間(3〜5年)勤務した場合
- 対象:看護師養成所に在学中の学生
具体的な条件は都道府県ごとに大きく異なるため、進学先の所在地の制度を必ず確認してください。
4. 日本看護協会の奨学金
看護師学校養成所2年課程(通信制)に進学する准看護師向けの奨学金です。
- 貸与額:年間36万円または48万円(無利息)
- 貸与期間:在学中の1〜2年間
- 返済:貸与終了翌年10月から開始、最大4年間の猶予あり
- 他の奨学金と併用可能
5. 病院奨学金
就職予定の病院が在学中の学費を支援する制度です。卒業後に一定期間(通常3〜5年)勤務することで返済が免除されるケースが多く、「お礼奉公」とも呼ばれます。病院によって条件は様々ですが、月額3〜5万円の支給が一般的です。
注意点:奨学金を受けた病院を途中退職すると、残額の一括返済を求められることがあります。就職先としての病院の雰囲気や条件を事前によく確認してから申し込みましょう。
支援制度の併用例
これらの制度は多くの場合併用可能です。たとえば以下のように組み合わせられます。
- 専門実践教育訓練給付金 + 都道府県修学資金貸付
- 専門実践教育訓練給付金 + 日本看護協会奨学金(通信制の場合)
- 専門実践教育訓練給付金 + 病院奨学金
個別の併用可否はハローワークおよび各制度の窓口に確認してください。
働きながら看護学校に通う方法と両立のコツ
介護職として収入を維持しながら看護師を目指す場合、学校選びと職場との調整がカギになります。
半日制・夜間制の准看護師養成所を選ぶ
准看護師養成所には、働く社会人を想定した授業スケジュールの学校が多数あります。
| 授業形態 | 授業時間帯 | 働ける時間帯 | 修業年数 |
|---|---|---|---|
| 半日制 | 13:00〜17:00頃 | 午前中+夕方以降 | 2年 |
| 夜間制 | 17:00〜21:00頃 | 朝〜15:00頃 | 2年 |
| 全日制(週3日型) | 9:00〜17:00(週3日) | 残りの平日 | 2年 |
多くの医師会立准看護師養成所が半日制を採用しており、学費も年間30〜50万円と比較的安価です。
職場への相談と勤務調整
介護施設のなかには、看護師資格の取得を支援する制度を持つ職場もあります。以下のような交渉・調整が有効です。
- シフト調整の相談:授業日に合わせた早番・遅番の固定や、夜勤回数の調整
- 勤務時間の変更:フルタイムからパートへ切り替え、授業に通える時間を確保
- 施設の資格取得支援制度:学費補助や勤務調整を制度化している施設を探す
看護師資格を取得すれば施設にとっても配置基準上のメリットがあるため、前向きに対応してもらえるケースは少なくありません。
定時制・通信制で正看護師を目指す
准看護師取得後に正看護師を目指す場合も、働きながら通える選択肢があります。
- 定時制3年課程:昼間定時制と夜間定時制がある。平日に授業のない日を設けている学校もあり、准看護師として働きながら通学可能
- 通信制2年課程:自宅学習が中心で、スクーリングは年間約30日。准看護師として5年以上の実務経験が必要(2026年4月以降。従来は7年)
両立のための5つのポイント
- 学校選びは通学時間を最優先:自宅・職場から近い学校を選び、移動時間を最小化
- 年間スケジュールを先に把握:実習期間は特に多忙。事前に職場と共有
- 家族の理解と協力体制:家事・育児の分担について事前に話し合う
- 体調管理を最優先:無理な夜勤バイトで体調を崩すと本末転倒。長期視点で計画を
- 同じ境遇の仲間を見つける:准看護師養成所には社会人学生が多い。情報交換や励まし合いが支えになる
看護師国家試験の合格率と難易度
看護師を目指す上で避けて通れないのが国家試験です。准看護師試験と看護師国家試験の合格率を確認しましょう。
准看護師試験の合格率
准看護師試験は各都道府県が実施する試験で、合格率は約98%と非常に高い水準です。養成所のカリキュラムをしっかり修了すれば、ほぼ確実に合格できます。
看護師国家試験の合格率(厚生労働省発表)
| 試験回(年度) | 全体合格率 | 新卒合格率 |
|---|---|---|
| 第114回(2025年) | 90.1% | 95.9% |
| 第113回(2024年) | 89.2% | 約90.8% |
| 第112回(2023年) | 87.6% | 約89.9% |
| 第111回(2022年) | 91.3% | 約93.1% |
出典:厚生労働省「第114回看護師国家試験の合格発表」
既卒者の合格率に要注意
全体の合格率は90%前後と高いですが、既卒者(社会人経験者を含む)の合格率は44.9%(2025年・第114回)と大幅に下がります。さらに養成所の課程別に見ると、既卒者の合格率は以下のとおりです。
- 定時制(既卒):51.3%
- 全日制(既卒):37.1%
- 通信制(既卒):28.7%
働きながら学ぶ場合は学習時間の確保が課題となるため、在学中に一発合格を目指す計画が重要です。模擬試験や対策講座を積極的に活用しましょう。
試験の概要
- 試験時期:毎年2月中旬
- 合格発表:3月下旬
- 受験料:5,400円
- 出題範囲:必修問題50問、一般問題130問、状況設定問題60問の計240問
介護職と看護師の年収比較──本当にどれくらい差がある?
「看護師になれば年収が上がる」とよく言われますが、実際にどの程度の差があるのでしょうか。厚生労働省の公的データをもとに、介護職と看護師の年収を多角的に比較します。
職種別の平均年収比較
| 職種 | 平均年収 | 平均月収 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 正看護師 | 約520万円 | 約36.4万円 | 厚労省 令和6年賃金構造基本統計調査 |
| 准看護師 | 約413万円 | 約28.8万円 | 同上 |
| 介護職員(施設) | 約376万円 | 約27.5万円 | 厚労省 job tag |
当サイト独自分析:年収差のインパクトを長期で試算
介護職から看護師へキャリアチェンジした場合、生涯年収にどの程度の差が出るかを試算しました。
前提条件:30歳で転職を決意、准看護師経由ルート(4年間は准看護師養成所+看護師養成所に通学)、34歳から正看護師として60歳まで26年間勤務。学費の自己負担は給付金活用後の実質74万円と仮定。
| 項目 | 介護職のまま | 看護師に転職 |
|---|---|---|
| 30〜33歳の収入(4年間) | 376万円×4年=1,504万円 | 通学中のパート収入 約200万円×4年=800万円 |
| 34〜60歳の収入(26年間) | 376万円×26年=9,776万円 | 520万円×26年=13,520万円 |
| 学費(自己負担) | 0円 | ▲74万円 |
| 合計 | 11,280万円 | 14,246万円 |
| 差額 | +約2,966万円 | |
4年間の通学期間に収入が減少しても、正看護師として働く26年間の年収差(年間約144万円)が上回り、生涯年収で約3,000万円のプラスが見込めます。もちろん、昇給やキャリアアップで差はさらに広がる可能性があります。
年収以外のメリットも大きい
- 求人の幅:看護師の有効求人数は准看護師の約20倍。病院、クリニック、訪問看護、企業の健康管理室など選択肢が豊富
- 夜勤手当:看護師の夜勤手当は1回5,000〜12,000円程度で、夜勤ありの場合はさらに収入増
- 専門資格:認定看護師、専門看護師など、さらなるキャリアアップと収入増が可能
介護経験が看護師として活きる5つの場面
介護職からの転職者は「ゼロからのスタート」ではありません。介護現場で培った経験やスキルは、看護師として大きなアドバンテージになります。
1. 患者・利用者とのコミュニケーション力
介護職は利用者と長時間接するため、高齢者との会話や信頼関係の構築に慣れています。看護師の業務でも、患者の不安を和らげる声かけや、認知症のある方への対応力は即戦力として評価されます。
2. 生活支援の視点を持った看護ができる
看護師の教育は「疾患」を中心に学びますが、退院後の生活を見据えたケアには「生活」の視点が欠かせません。入浴介助、食事介助、排泄介助の実務経験がある看護師は、患者の退院後の生活をリアルにイメージした看護計画を立てられます。
3. 多職種連携の経験
介護施設では、ケアマネジャー、理学療法士、栄養士、医師など多くの職種と連携して仕事を進めます。この多職種連携の経験は、チーム医療が重視される病院でも大いに活かせます。
4. 介護施設・訪問看護での即戦力
特に介護施設や訪問看護ステーションで看護師として働く場合、介護職の経験はそのまま強みになります。介護スタッフとの連携がスムーズにでき、利用者の生活全体を理解した上で医療的ケアを提供できます。
5. 入試での強力なアピールポイント
多くの看護学校が社会人入試を実施しており、小論文や面接では実務経験が重視されます。介護福祉士の資格や介護現場での具体的なエピソードは、「なぜ看護師を目指すのか」の説得力ある志望動機に直結します。
介護経験者が看護師として活躍しやすい職場
| 職場 | 介護経験が活きる理由 |
|---|---|
| 介護老人保健施設(老健) | リハビリと生活支援の両立。介護スタッフとの協働経験が直結 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 看取りケアや日常生活援助の知識が即戦力に |
| 訪問看護ステーション | 在宅での生活支援の視点が不可欠。一人で判断する場面で経験が強みに |
| 回復期リハビリテーション病棟 | 退院後の生活を見据えたケアに介護の視点が重要 |
| 地域包括ケア病棟 | 医療と介護の橋渡し役として、両方の知識を持つ人材が重宝される |
年齢は関係ない?30代・40代からの挑戦
「もう30代(40代)だけど、今から看護師を目指しても遅いのでは?」という不安を抱える方は多いですが、結論から言えば年齢制限はありません。
法律上の年齢制限はなし
准看護師試験・看護師国家試験ともに、受験資格に年齢の上限は設けられていません。養成所の入学についても、法律上の年齢制限はなく、多くの学校が社会人経験者を歓迎しています。
社会人学生は珍しくない
准看護師養成所には、介護職経験者をはじめ、飲食業、事務職など様々な職業から転身する社会人学生が多数在籍しています。四条畷看護専門学校のデータでは、准看護師業務経験を持つ学生が全体の27.5%にのぼります。30代・40代の入学者も珍しくなく、「自分だけが年上」という心配は不要です。
年代別の現実的なプラン
| 年代 | おすすめルート | ポイント |
|---|---|---|
| 20代 | 直接進学 or 准看護師経由 | 時間的余裕がある。直接進学で最短3年も現実的 |
| 30代前半 | 准看護師経由(定時制) | 働きながら段階的にステップアップ。生涯年収で約3,000万円のプラス |
| 30代後半 | 准看護師経由(半日制・夜間制) | 子育てとの両立を考慮。准看護師の段階でも年収アップが見込める |
| 40代 | 准看護師経由 or 准看護師で活躍 | 准看護師だけでも介護職より高年収。通信制で正看護師を目指す長期プランも |
| 50代 | 准看護師取得を目標に | 定年後のセカンドキャリアとして。訪問看護やクリニックでの需要あり |
年齢が武器になるケースも
特に訪問看護や介護施設の看護師は、人生経験が豊富な方が利用者・家族との信頼関係を築きやすいという側面があります。「若さ」だけが武器ではなく、介護現場で培った経験値は何歳であっても評価されるスキルです。
よくある質問
Q. 介護福祉士の資格があると看護学校の入試で有利になりますか?
A. はい、多くの看護学校で有利に働きます。特に社会人入試では、介護福祉士としての実務経験が面接や小論文で高く評価されます。「なぜ介護から看護へ」という明確な動機を持っていることが強みです。ただし、入試の筆記試験(国語・数学・英語など)の対策は別途必要です。
Q. 介護職を辞めずに准看護師養成所に通えますか?
A. 半日制(午後のみ授業)や夜間制の養成所を選べば、介護の仕事を続けながら通学できます。ただし、フルタイム勤務との両立は体力的に厳しいため、パートタイムへの切り替えや夜勤の調整を職場に相談することをおすすめします。
Q. 中卒でも看護師になれますか?
A. はい、なれます。中学校卒業以上で准看護師養成所に入学でき、准看護師試験を受験できます。准看護師取得後、3年以上の実務経験を積めば看護師養成所(全日制・定時制)に進学可能です。通信制の場合は5年以上の実務経験が必要です(2026年4月〜)。
Q. 通信制の看護師養成所の実務経験要件が変わったと聞きました。
A. 2026年4月1日より、通信制2年課程の受験に必要な准看護師の実務経験が従来の「7年以上」から「5年以上」に短縮されました。これにより、准看護師取得後、より早い段階で通信制による正看護師資格の取得を目指せるようになっています。
Q. 看護師になった後、また介護施設で働くことはできますか?
A. もちろんです。介護施設(特養・老健・グループホームなど)や訪問看護ステーションでは看護師の配置が義務付けられており、常に需要があります。介護職の経験がある看護師は、介護スタッフとの連携がスムーズで、利用者の生活全体を理解した医療ケアを提供できるため、特に重宝されます。
Q. 専門実践教育訓練給付金は在職中でも申請できますか?
A. はい、在職中でも雇用保険の被保険者期間が2年以上(初回)あれば申請可能です。受講開始の1ヶ月前までにハローワークでの手続きが必要なので、早めの準備をおすすめします。
まずは自分に合った働き方を診断してみよう
介護職から看護師へのキャリアチェンジは、時間も費用もかかる大きな決断です。まずは今の自分に合った働き方やキャリアの方向性を確認してみませんか?
当サイトの働き方診断では、あなたの経験や希望条件をもとに、介護・医療分野での最適なキャリアプランを提案します。看護師への転身が自分に合っているかどうかの判断材料としてもご活用ください。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
- [6]
まとめ:介護経験は看護師への最短の橋渡し
介護職から看護師へのキャリアチェンジについて、ルート・学費・支援制度・年収比較をまとめます。
この記事のポイント
- 准看護師経由の2段階ルートが王道:准看護師養成所(2年)→看護師養成所(2〜3年)で、働きながら段階的にステップアップできる
- 学費は給付金でカバー可能:専門実践教育訓練給付金で学費の最大80%(年間上限64万円)が支給される。都道府県の修学資金貸付や病院奨学金も併用可能
- 年収差は約144万円:正看護師の平均年収は約520万円、介護職(施設)は約376万円。30歳で転職した場合、生涯年収で約3,000万円のプラスが見込める
- 年齢制限なし:法律上の年齢制限はなく、30代・40代からの挑戦者も多数。准看護師養成所には社会人学生が多い
- 介護経験は最大の武器:コミュニケーション力、生活支援の視点、多職種連携の経験が看護師として高く評価される
- 通信制の実務経験要件が緩和:2026年4月より准看護師の実務経験7年→5年に短縮。正看護師への道がさらに近くなった
キャリアチェンジには時間も労力もかかりますが、介護現場で「もっとできることがあるのに」と感じた経験は、看護師になったとき必ず活きてきます。まずは最寄りの准看護師養成所の資料請求やハローワークでの給付金の確認など、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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2026/4/13
介護施設のBCP(業務継続計画)策定とは?義務化の背景から手順・訓練まで徹底解説
介護施設のBCP(業務継続計画)策定を分かりやすく解説。2024年義務化の経緯、自然災害編・感染症編の違い、5つの策定手順、訓練方法、未策定時の減算、介護職員が押さえるべきポイントまで網羅。
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2026/3/27
未経験から介護職を始める完全ガイド|無資格OK・資格取得・キャリアパス【2026年版】
介護職は無資格・未経験・年齢不問で始められ、約3割が未経験スタートです。2024年義務化の認知症基礎研修、初任者研修→実務者研修→介護福祉士の資格取得ステップ、資格別の給料比較、年次別キャリアプラン、未経験者におすすめの施設タイプ、前職スキルの活かし方まで徹底解説する2026年最新版ガイドです。

2026/3/20
介護福祉士パート合格制度の活用戦略|2年で確実に合格するスケジュール
2026年開始の介護福祉士パート合格制度の活用戦略を解説。A/B/Cパートの科目構成と難易度、1年目全合格狙い→2年目パート受験の具体的スケジュール、外国人介護職員向けの活用法まで。

2026/3/20
介護施設の種類を徹底比較|8タイプの仕事内容・給料・働きやすさ【2026年版】
介護施設8タイプ(特養・老健・有料・グループホーム・デイサービス・訪問介護・サ高住・小規模多機能)を仕事内容・給料・夜勤・身体介護・離職率で横断比較。自分に合った施設が見つかる完全ガイド。

2026/1/5
終末期ケア専門士とは?資格の取り方・試験内容・合格率・費用を徹底解説
終末期ケア専門士の資格の取り方を詳しく解説。臨床経験2年以上の受験資格、Web試験の出題範囲と合格率、受験料1万円の費用内訳、公式テキストを使った勉強法を紹介。上位資格の上級終末期ケア専門士や、介護・医療現場で活躍できる職場も網羅しています。

2026/1/5
サービス介助士とは?資格の取り方・試験内容・費用・活躍できる職場を解説
サービス介助士(ケアフィッター)の資格取得方法を解説。費用41,800円、自宅学習+実技教習+検定試験の流れ、合格率80%以上の難易度、有効期限3年の更新制度まで網羅。介護施設だけでなく、駅・空港・ホテルなど幅広い職場で活躍できる注目資格です。