
小規模多機能型居宅介護(小多機)とは
小規模多機能型居宅介護(小多機)は通い・訪問・泊まりを一つの事業所で一体提供する地域密着型サービス。登録定員29人以下・包括報酬・専属ケアマネの仕組みを厚労省基準に基づき解説。
この記事のポイント
小規模多機能型居宅介護(小多機・しょうたき)は、「通い」「訪問」「泊まり」の3つのサービスを1つの事業所で一体的に提供する地域密着型サービスです。登録定員29人以下の小規模な事業所で、月額包括報酬(定額制)のため利用回数を気にせずサービスを組み合わせられる点が特徴。利用にあたっては事業所所属の専属ケアマネジャーがケアプランを作成し、原則として事業所所在の市町村住民が対象となります。
目次
小多機とは:地域密着型サービスとしての位置づけ
小規模多機能型居宅介護(小多機)は、2006年4月の介護保険制度改正で創設された地域密着型サービスです。中重度の要介護者になっても住み慣れた自宅・地域で生活を継続できるよう、利用者の心身状態や家族の状況に応じて「通い(デイサービス)」「訪問(ヘルパー派遣)」「泊まり(ショートステイ)」を1事業所で柔軟に組み合わせます。
厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」に基づき、市町村が事業所を指定・指導し、原則として事業所所在の市町村住民しか利用できません。利用対象は要支援1・2、要介護1〜5の認定者で、1事業所あたりの登録定員は29人以下。一人ひとりが顔見知りのスタッフから連続性のあるケアを受けられます。運営の中核は事業所所属の専属ケアマネジャー(計画作成担当者)で、契約時に従来のケアマネから切り替わり、サービス調整を内部で完結させます。
看多機・デイサービス・訪問介護との違い
類似サービスとの違いを整理します。最大の違いは「複数機能を1事業所で完結させる登録制か」「医療ニーズへの対応可否」「個別給付か包括報酬か」の3点です。
| 項目 | 小多機 | 看多機 | デイサービス | 訪問介護 |
|---|---|---|---|---|
| 提供内容 | 通い・訪問・泊まり | 通い・訪問・泊まり+訪問看護 | 通いのみ | 訪問のみ |
| 登録制 | あり(29人以下) | あり(29人以下) | なし | なし |
| 報酬体系 | 月額包括(定額) | 月額包括(定額) | 回数ごと(出来高) | 時間ごと(出来高) |
| 医療ニーズ対応 | 限定的(看護1人) | 高い(看護師複数) | 限定的 | 原則対応不可 |
| ケアマネ所属 | 事業所専属 | 事業所専属 | 居宅介護支援事業所 | 居宅介護支援事業所 |
| 他サービス併用 | 原則不可 | 原則不可 | 可能 | 可能 |
登録制のため、1事業所と契約すると他の通所・訪問サービスは原則併用できません(訪問看護・福祉用具貸与など一部は併用可)。看多機は小多機に訪問看護機能を加えた上位サービスで、喀痰吸引・経管栄養・終末期ケアなど医療依存度の高い方に向きます。
登録定員・人員基準・包括報酬の数値
厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」および介護報酬告示で定められた小多機の主な数値基準を整理します。
定員基準
- 登録定員:1事業所あたり29人以下
- 通い:1日あたり登録定員の1/2〜15人(登録定員26人以上は18人まで)
- 泊まり:1日あたり通い定員の1/3〜9人
人員基準(主な配置要件)
- 介護従業者:日中(通い)は利用者3人につき1人以上、訪問は専従1人以上、夜間は1人以上+宿直1人
- 看護職員:常勤換算1人以上(看護師または准看護師)
- 計画作成担当者(介護支援専門員):事業所に1人以上、専従・常勤
- 管理者:常勤専従1人(厚生労働大臣が定める研修修了者)
月額包括報酬の目安
小多機は月額定額の包括報酬で、利用回数によらず基本料金は同額(食費・宿泊費・加算は別途)。1割負担時の月額目安は要支援1で約3,450円、要介護1で約10,458円、要介護3で約22,359円、要介護5で約27,209円。地域区分により1単位10〜11.40円で換算され、自己負担割合は所得段階で1〜3割。事業所数は全国約5,500か所、利用者数は月間約11万人で推移しています(2024年時点)。
小多機を活用するときのポイント
利用者・家族視点
- 状態変化への即応性:体調不良時の急な泊まり、家族の急用時の臨時訪問など、月額定額の中で柔軟に対応してもらえる。
- 顔なじみのスタッフ:通い・訪問・泊まりを同じスタッフが担うため、認知症の方でも環境変化のストレスが少ない。
- ケアマネ変更が必要:契約時に従来のケアマネから事業所専属に切り替わる点は事前確認を。
介護職員(働く側)視点
- 多機能ジェネラリストとして成長:通所・訪問・泊まりすべてに従事し、デイ・訪問・施設の経験を一気に積める。
- 顔の見える関係でじっくりケア:登録29人以下のため利用者一人ひとりを深く知ることができる。
- 夜勤・オンコール対応の事業所も:泊まりサービスがあるため夜勤・宿直が発生する事業所もある。求人票で勤務形態を確認するとよい。
よくある質問
Q1. 小多機と看多機の違いは?
看多機は小多機の3機能(通い・訪問・泊まり)に「訪問看護」を加えた複合型サービスで、医療依存度が高い方(喀痰吸引・経管栄養・末期がんなど)に対応できます。医療ニーズが限定的なら小多機、医療的ケアが日常的に必要なら看多機が選ばれます。
Q2. 月額固定の包括報酬とは?
要介護度ごとに月額単位数が定められ、利用回数に関わらず基本料金は同額です(食費・宿泊費・加算は別途実費)。区分支給限度額を気にせず使えるため、サービス利用が多いほど割安になります。
Q3. ケアマネを変えなくてはいけませんか?
はい。小多機を契約すると事業所専属の介護支援専門員(計画作成担当者)がケアプランを作成し、従来の居宅介護支援事業所のケアマネは離れます。通い・訪問・泊まりを内部で迅速に組み替える運営上の仕組みです。
Q4. 訪問介護やデイサービスとの併用はできますか?
原則できません。包括報酬に通所・訪問・泊まり機能が含まれるためです。ただし訪問看護(医療保険含む)、福祉用具貸与・購入、住宅改修、居宅療養管理指導は併用可能です。
参考資料
- 厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」(小規模多機能型居宅介護の人員・設備・運営基準を定める省令)
- 厚生労働省「小規模多機能型居宅介護(社保審・介護給付費分科会 第179回 資料4)」(事業概要・報酬体系・利用実態の公式資料)
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」(小多機を含む地域密着型サービスの政策的位置づけ)
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:小規模多機能型居宅介護」(公的データベースでの事業所検索・サービス概要)
- 厚生労働省「介護報酬改定(介護給付費告示)」(小規模多機能型居宅介護費の単位数・加算告示)
まとめ
小規模多機能型居宅介護(小多機)は、通い・訪問・泊まりを1事業所で一体提供する地域密着型サービスです。登録定員29人以下の少人数制と月額包括報酬により、利用者の状態変化に柔軟に対応できる点が最大の強み。一方で事業所専属ケアマネへの変更や他サービスとの併用制限など、契約前に理解しておくべき仕組みもあります。介護職として働く側にとっては、通所・訪問・泊まりすべてに関わる多機能ジェネラリストとしての成長機会が得られる職場です。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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