
専門看護師(CNS)とは
専門看護師(CNS)は大学院修士課程で38単位を取得し、6つの役割を担う高度実践看護師。14の認定分野・取得要件・認定看護師との違いを公的資料ベースで解説。
この記事のポイント
専門看護師(CNS:Certified Nurse Specialist)は、日本看護協会が認定する高度実践看護師資格です。看護系大学院修士課程で38単位を修了し、実務5年以上(うち専門分野3年以上)の経験を満たした看護師が、認定審査(書類・筆記)を経て登録されます。2026年時点で14の認定分野が特定されており、「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つの役割を担います。
目次
CNS制度の位置づけ
専門看護師(CNS)は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人・家族・集団に対し、水準の高い看護ケアを効率よく提供するために、日本看護協会が1994年に発足させた資格認定制度です。看護系大学院の修士課程で「専門看護師教育課程」を修了することが必須で、認定看護師(CN)と並ぶ高度な看護専門資格に位置づけられます。
制度の基準は日本看護系大学協議会(JANPU)が定める「専門看護師教育課程基準」に基づき、修了単位は総計38単位と規定されています。CNSは医療機関で「複雑事例の専門的ケア」「他職種コーディネート」「組織への教育・研究貢献」を担うエキスパートとして配置され、診療報酬上も「がん看護専門看護師」等が緩和ケア診療加算等の施設基準に明記されています。
介護現場では、在宅看護CNSや老人看護CNSが訪問看護ステーションや特養併設の看護部門に所属し、複雑な医療ニーズを抱えた高齢者ケアの質を底上げする役割を期待されています。
14の認定分野(2026年5月時点)
日本看護協会が特定する専門看護分野は以下の14分野です。介護現場との接点が大きい分野には印を付けました。
- がん看護 — 化学療法・緩和ケア・終末期支援
- 精神看護 — 精神疾患のリエゾン、認知症BPSDへの対応も含む
- 地域看護 — 公衆衛生・地域包括ケア
- 老人看護(介護領域で需要大) — 高齢者の複雑な医療・生活問題
- 小児看護 — 小児慢性疾患・医療的ケア児
- 母性看護 — 周産期・女性のヘルスケア
- 慢性疾患看護 — 糖尿病・心不全・COPD等の長期管理
- 急性・重症患者看護(クリティカルケア看護) — ICU・救急領域
- 感染症看護 — 院内感染対策・新興感染症対応
- 家族支援 — 介護家族のレスパイト・意思決定支援
- 在宅看護(介護領域で需要大) — 訪問看護ステーションの中核
- 遺伝看護 — 遺伝カウンセリング
- 災害看護 — DMAT・BCP支援
- 放射線看護 — 放射線療法・線量管理
介護転職市場で需要が特に高いのは老人看護CNSと在宅看護CNSで、特養・老健・訪問看護ステーションの管理者候補として処遇される傾向があります。
取得手順(実務5年→大学院→認定審査)
- 看護師免許の取得 — 日本国の看護師免許が前提
- 実務経験5年以上を積む — うち3年以上は取得を目指す専門分野での実務が必須。一般病棟・訪問看護等で経験を積みながら専門領域を絞っていく段階
- 看護系大学院修士課程に進学 — 「専門看護師教育課程」を持つ大学院に入学(標準2年)。総計38単位を取得(共通科目・専攻分野科目・実習を含む)。働きながら通える長期履修制度を設ける大学院もある
- 専門看護師認定審査の受審 — 日本看護協会が年1回実施。書類審査(実務経験・修了証明)と筆記試験(論述式)で構成される
- 登録・認定証交付 — 合格後、専門看護師として登録され認定証が交付される
- 5年ごとの更新 — 実践・研究・教育活動の実績を提出して更新審査を受ける
看護師免許取得から認定までの期間は最短で7〜8年(実務5年+大学院2年+審査1年)。費用は大学院学費(国公立で年50〜60万円、私立で年100〜150万円程度が目安)と認定審査料が必要です。
専門看護師 vs 認定看護師 — 役割の違い
専門看護師(CNS)と認定看護師(CN)は、いずれも日本看護協会が認定する高度看護資格ですが、教育課程・役割の幅・想定されるキャリアパスが大きく異なります。
| 項目 | 専門看護師(CNS) | 認定看護師(CN) |
|---|---|---|
| 教育課程 | 大学院修士課程・38単位(標準2年) | 認定看護師教育課程・615時間以上(約6か月〜1年) |
| 認定分野数 | 14分野(2026年5月時点) | 21分野(B課程含む) |
| 役割の数 | 6機能:実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 | 5機能(旧B課程は3機能):実践・指導・相談に加え、特定行為研修統合後は手順書による特定行為実施が可能 |
| 強み | 複雑事例の包括マネジメント、組織横断のコーディネート、研究活動 | 現場での卓越した直接ケアと指導 |
| 取得期間の目安 | 看護師免許取得後 最短7〜8年 | 看護師免許取得後 最短6〜7年(実務5年+教育課程) |
| 診療報酬での明記 | 緩和ケア診療加算・がん患者指導管理料等 | 認知症ケア加算・摂食嚥下機能回復体制加算等 |
ざっくり言うと、認定看護師は「特定分野で卓越した実践と指導をするスペシャリスト」、専門看護師は「複雑事例を看護全体でマネジメントし、組織と研究にも貢献するエキスパート」という位置づけです。介護施設での配置数は認定看護師の方が多く、専門看護師は急性期病院や訪問看護ステーション、大学病院に集中する傾向があります。
よくある質問
Q. 介護施設での専門看護師の需要は?
特に老人看護CNS・在宅看護CNS・がん看護CNSは需要が高く、特養・老健・訪問看護ステーション・地域包括ケア病棟で評価されます。施設の管理者候補・教育担当として配置されることが多く、ケアの質保証や看護スタッフ研修の中核を担います。介護報酬上の直接加算は少ないものの、診療報酬の緩和ケア加算等で施設の収益にも寄与します。
Q. 専門看護師の年収相場は?
看護協会の公式統計は未公開ですが、求人ベースでは資格手当として月1〜3万円が加算されるケースが一般的です。年収換算では、急性期病院で600〜800万円、訪問看護ステーション管理者で550〜700万円程度がボリュームゾーン。大学教員兼任など教育職に進むパターンもあります。
Q. 働きながら取得できる?
大学院によっては長期履修制度(最長4年)や夜間・週末開講、e-learning併用コースを設けており、常勤のまま通学する例もあります。ただし、実習が長期間連続するため、進学期間中は時短勤務や非常勤への切替を選ぶ人が多いのが実態です。施設によっては奨学金制度や進学休職制度を整備しています。
Q. 認定看護師から専門看護師への切替えは?
認定看護師の単位を一部読み替える大学院もありますが、大学院修士課程の修了・38単位取得は必須で、改めて2年間の修学が必要です。両資格を併有する看護師は一定数いますが、まずは認定看護師でキャリアを積み、その後に専門看護師を目指すケースが多く見られます。
Q. CNSの上位資格はある?
2015年に法制化された特定行為研修を修了することで、医師の手順書に基づく21区分38行為が実施可能になります。CNSと特定行為研修を併有する看護師は「診療看護師(NP)」に近い実践範囲を持ち、訪問看護や在宅医療の現場で重要な存在になっています。
参考資料
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まとめ
専門看護師(CNS)は、大学院修士課程38単位の修了と実務5年(うち専門分野3年)の経験を満たした看護師が認定審査を経て登録される、看護界で最も体系化された高度実践資格の一つです。14の認定分野のうち、特に老人看護・在宅看護・がん看護のCNSは介護現場との接点が大きく、特養・老健・訪問看護ステーションのケア品質と組織運営の中核を担います。認定看護師(CN)との「役割の数(6機能 vs 5機能)」「教育課程の深さ」「組織横断の調整・研究機能」の違いを理解した上で、自身のキャリアに最適な資格を選ぶことが、長期的なキャリア設計の鍵となります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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