介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設(老健)は、要介護1以上の高齢者が在宅復帰を目指してリハビリを受ける中間施設。入所期間3〜6ヶ月、医師常勤・PT/OT/ST配置の人員基準、特養との違い、月額9〜20万円の費用相場を厚労省資料に基づき解説。

ポイント

この記事のポイント

介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の中間に位置し、医師・看護師・リハビリ専門職(PT/OT/ST)による医学的管理のもと、要介護1以上の高齢者が在宅復帰を目指して3〜6ヶ月程度リハビリに取り組む介護保険施設です。介護保険法第8条第28項に規定される公的施設で、月額費用の目安は9〜20万円。

目次

介護老人保健施設(老健)の定義と法的位置づけ

介護老人保健施設(老健)は、介護保険法第8条第28項に基づき、要介護者に看護・医学的管理下での介護およびリハビリを提供する施設です。1986年の老人保健法改正で創設され、制度上は「病院」と「自宅」の中間施設として位置づけられています。

急性期治療を終えた高齢者がいきなり自宅に戻るのが難しい場合に、リハビリと医学的ケアを受けながら在宅生活への復帰を目指す役割を担います。2024年度(令和6年度)介護報酬改定でも「在宅復帰・在宅療養支援機能のさらなる強化」が基本理念として明示されました。

3つの基本機能

  • 包括的ケア施設:医療・看護・介護・リハビリ・栄養管理を一体提供
  • リハビリテーション施設:PT・OT・STが個別リハビリを実施
  • 在宅復帰・在宅療養支援施設:自宅退所を目標に家族指導・住環境助言を行う

有料老人ホームと異なり公的な介護保険施設のため、入居一時金は不要、所得に応じた負担軽減(補足給付)も利用できます。

老健と特養(特別養護老人ホーム)の違い

「老健」と「特養」はどちらも公的な介護保険施設ですが、目的・対象・入所期間・人員配置が大きく異なります。混同されやすいので、利用検討時は必ず違いを押さえておきましょう。

項目介護老人保健施設(老健)特別養護老人ホーム(特養)
主目的在宅復帰のためのリハビリ長期生活の場(生活施設)
対象者要介護1〜5原則 要介護3〜5
入所期間3〜6ヶ月が目安(3ヶ月ごとに継続審査)原則 終身利用可
医師常勤1名以上(必置)非常勤の嘱託医で可
リハビリ専門職PT・OT・STを配置(必置)機能訓練指導員を配置
看護・介護職員入所者3:1以上入所者3:1以上
月額費用目安9〜20万円程度8〜15万円程度
看取り対応限定的(在宅復帰が前提)看取り介護加算で対応可

老健は「リハビリで在宅復帰を目指す医療色の濃い施設」、特養は「終のすみかとなりうる生活施設」。費用が老健の方が高めなのは、医師常勤・リハビリ職配置などの人員基準が手厚いためです。長期療養と医療ケアの両立が必要な場合は介護医療院も選択肢になります。

入所から在宅復帰までの流れ

老健は「入所判定 → 入所 → 3ヶ月ごとの評価 → 在宅復帰」という流れで進みます。

  1. 要介護認定の取得:要介護1以上の認定を受ける(要支援1・2は対象外)。
  2. 入所申し込み・判定会議:施設の医師・支援相談員等が入所適否と在宅復帰見込みを判定。
  3. 施設サービス計画作成:ケアマネがリハビリ目標と退所時期を盛り込んだ計画を作成。
  4. リハビリ・医学的ケア:PT/OT/STが週2回以上の個別リハビリを提供。短期集中リハビリ加算は入所3ヶ月以内が対象。
  5. 3ヶ月ごとの入所継続判定:医学的観点とリハビリ進捗から継続入所か在宅復帰かを判定(介護報酬告示で義務化)。
  6. 退所前訪問指導・家族指導:自宅の住環境を確認し、家族に介護方法を指導。
  7. 在宅復帰:通所リハ・訪問看護・福祉用具貸与など在宅サービスにつないで自立した生活へ移行。

老健の在宅復帰率は施設区分(超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型)の判定指標で、退所先のうち在宅へ戻った割合が高いほど高い基本報酬が算定できます。「超強化型」は在宅復帰率70%超を満たす最高水準の老健です。

老健を利用・選ぶときのポイント

利用者・家族向けの選び方

  • 在宅復帰率を確認:施設区分(超強化型/在宅強化型/加算型/基本型/その他型)でリハビリ実績の目安が分かります。
  • リハビリ体制:個別リハビリの頻度、PT・OT・STの配置人数、短期集中リハビリ加算の算定有無を確認。
  • 退所支援体制:退所前訪問指導や、退所後の通所リハ・訪問リハ併設の有無。
  • 負担軽減制度:所得が低ければ「介護保険負担限度額認定」申請で食費・居住費が大幅軽減。

働く介護職向けの視点

多職種協働が前提のため、医療連携スキルやリハビリ視点を学べる職場です。看護師の常駐により急変時対応の心理的負担は特養より軽い傾向で、短期入所療養介護(ショート)併設の老健も多く業務サイクルが変化に富みます。

よくある質問

Q1. 老健は何ヶ月まで入所できますか?
原則3〜6ヶ月が目安ですが法令上の上限はありません。3ヶ月ごとの入所継続判定でリハビリ継続の必要性が認められれば延長可能です。厚労省調査では平均入所期間は約300日というデータもあります。
Q2. 要支援1・2でも入所できますか?
入所できません。介護保険法上、老健の対象は要介護1〜5に限られます。要支援の方は通所リハや訪問リハなど予防給付サービスを利用します。
Q3. 老健と特養はどちらを選ぶべき?
「リハビリで在宅復帰を目指したい」場合は老健、「長期生活の場が必要」「要介護3以上で看取りまで考えたい」場合は特養。退院直後で在宅復帰の見込みがあるなら、まず老健を検討するのが一般的です。
Q4. 月額費用はいくらかかりますか?
要介護度・部屋タイプ・施設区分・所得により異なりますが目安は月9〜20万円。所得が低い場合は補足給付制度で食費・居住費が大幅に軽減されます。

参考資料・一次ソース

まとめ

介護老人保健施設(老健)は、介護保険法に位置づけられた公的な中間施設で、要介護1以上の高齢者が医師・看護師・PT/OT/STの管理下で3〜6ヶ月程度のリハビリを通じて在宅復帰を目指す役割を担います。終身入所が前提の特養とは目的が異なり、3ヶ月ごとの入所継続判定で「自宅に戻れるか」を継続的に評価する仕組みが特徴です。

月額費用の目安は9〜20万円で、所得に応じた補足給付などの負担軽減制度も整っています。利用を検討する際は在宅復帰率(5類型)とリハビリ体制を確認し、退所後の通所リハ・訪問サービスへの連携可能性まで含めて施設を選びましょう。働く介護職にとっても、多職種協働の中でリハビリ視点・医療連携を学べる職場として重要な選択肢です。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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