
介護保険負担割合証とは
介護保険負担割合証は、要介護・要支援認定者の自己負担割合(1割・2割・3割)を毎年8月1日から1年間有効で証明する書面。施行令第22条の2に基づく所得判定の仕組みと発行時期、被保険者証との違いを解説します。
この記事のポイント
介護保険負担割合証とは、要介護・要支援認定者の自己負担割合(1割・2割・3割)を示す書面です。介護保険法施行令第22条の2に基づき本人と同一世帯の65歳以上の所得で割合が決まり、毎年8月1日から翌年7月31日まで有効。市区町村が7月中旬頃に郵送し、利用時は被保険者証と一緒に提示します。
目次
介護保険負担割合証の位置づけと役割
負担割合証は、要介護・要支援認定者および総合事業の事業対象者全員に交付される自己負担割合の証明書です。法的根拠は介護保険法第49条の2・第59条の2と、所得基準を細目で定める介護保険法施行令第22条の2。事業者は提供時に被保険者証と一緒に確認し、記載された割合を介護給付費明細書に反映します。
混同されやすい負担限度額認定証は施設の食費・居住費の上限額を示す別書面で、補足給付の対象者にのみ交付されます。負担割合証は「割合」、負担限度額認定証は「上限額」を扱う点で役割が異なります。
1割・2割・3割の判定基準(施行令第22条の2)
判定は8月1日時点で前年所得に基づき行います。「本人の合計所得金額」と「同一世帯の第1号被保険者の年金収入+その他の合計所得金額(年金等収入合計)」の二段階チェックです。
| 負担割合 | 本人の合計所得金額 | 世帯の年金等収入合計(単身/2人以上) |
|---|---|---|
| 3割(現役並み所得) | 220万円以上 | 340万円以上/463万円以上 |
| 2割(一定以上所得) | 160万円以上 | 280万円以上/346万円以上 |
| 1割 | 上記以外/第2号被保険者/生活保護受給者/市町村民税非課税者 | |
判定はAND条件です。本人の合計所得が220万円以上でも、世帯の年金等収入合計が単身340万円・2人以上463万円に届かなければ2割または1割になります。遺族年金・障害年金など非課税年金は判定に含めません。
発行スケジュールと有効期間
- 6〜7月:市区町村が前年の住民税課税状況・年金支払報告から所得を確認。
- 7月中旬:要介護・要支援認定者と事業対象者全員に郵送(新規認定者は認定結果通知に同封されることも)。
- 8月1日〜翌年7月31日:新しい有効期間。前年度発行分は7月31日で失効します。
有効期間中でも、所得更正・修正申告・世帯員の異動(65歳到達・転居・離死別など)が生じれば再判定され、新しい証が再交付されます。紛失・破損時は市区町村窓口で再交付申請ができ、原則即日または郵送で対応されます。
現場で押さえる実務ポイント
- 被保険者証とセットで提示:割合証単独では保険資格を確認できないため、必ず介護保険法に基づく被保険者証と合わせて提出します。
- 2割・3割でも月額上限あり:高額になっても月額上限を超えた分は高額介護サービス費として後から払戻し(24,600円〜140,100円の段階区分)。
- 補足給付とは別ルート:施設の食費・居住費は負担限度額認定証で軽減され、割合証で1割でも補足給付の対象とは限りません。
- 2027年改正で2割対象拡大が議論中:所得基準引き下げで2割表記される人が増える可能性があり、毎年8月の証で要確認です。
よくある質問
- Q1. 負担割合証が届かない場合は?
- 要介護・要支援認定を受けているのに7月末までに届かなければ、住所登録のある市区町村の介護保険担当課に問い合わせてください。住所変更の届出漏れや認定有効期間切れが原因のことが多くあります。
- Q2. 第2号被保険者(40〜64歳)も交付されますか?
- はい。特定疾病で要介護・要支援認定を受けた第2号被保険者にも交付されますが、負担割合は原則1割固定で、2割・3割の判定対象は第1号被保険者のみです。
- Q3. 配偶者の所得が高くても1割になることはありますか?
- あります。判定基準は「同一世帯の第1号被保険者全員」の年金等収入合計のため、配偶者が65歳未満ならその所得は判定に含まれません。
- Q4. 紛失したらすぐ再発行してもらえますか?
- 市区町村窓口で再交付申請をすれば、原則として即日または郵送で再発行されます。本人または同一世帯の家族が手続き可能です。
参考資料・一次ソース
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」第49条の2・第59条の2 一定以上所得者の利用者負担に関する規定
- e-Gov法令検索「介護保険法施行令(平成10年政令第412号)」第22条の2 利用者負担割合の判定基準
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム:サービスにかかる利用料」自己負担割合・高額介護サービス費・特定入所者介護サービス費の解説
- 厚生労働省「利用者負担割合の見直しについて」現役並み所得3割・一定以上所得2割の制度趣旨
- 東京都北区「介護サービスの利用者負担と負担割合証」自治体実務での発行スケジュール例
まとめ
介護保険負担割合証は要介護・要支援認定者全員に交付される自己負担割合(1割・2割・3割)の証明書です。判定は施行令第22条の2に基づき、本人の合計所得金額と同一世帯の第1号被保険者の年金等収入合計のAND条件。有効期間は8月1日から翌年7月31日までで、被保険者証とセットで提示します。負担限度額認定証とは別書面である点と、2027年改正で2割対象拡大が議論されている点を押さえ、毎年8月の更新で自分の割合を確認しましょう。
この用語に関連する記事

介護中の親を扶養に入れる|所得税の扶養控除・健康保険の被扶養者・別居でも対象になる条件
親を扶養に入れる2種類(税法上・健康保険上)の違いを徹底解説。老人扶養親族58万円、別居の仕送り要件、75歳の壁、要介護認定で受けられる障害者控除まで、介護中の家族向けに最新の令和7年度税制改正も反映してまとめました。

在宅介護中の介護うつ予防|サインの早期発見と4つの対策
在宅介護中の家族介護者は同居介護者の60.8%がストレスを抱えるなど介護うつのリスクが高い。睡眠障害・食欲不振・興味喪失・希死念慮の4症状チェック、Zarit介護負担尺度(J-ZBI_8)、レスパイトケア・ピアサポート・地域包括支援センター・心療内科という4つの予防策を、厚労省データに基づき解説します。

親が認知症と診断されたら|最初の30日でやるべき10ステップ
親が認知症と診断された直後の混乱期に、家族が30日以内に取り組むべき10ステップを1〜7日目/8〜14日目/15〜21日目/22〜30日目で整理。診療情報提供書の入手、要介護認定申請、ケアマネ選定、家族会議、財産管理、運転免許返納、障害者控除・医療費控除・自立支援医療の活用まで公的データに基づき解説。

在宅介護で家族が孤立しないために|社会参加と自分の時間の作り方7チャネル
主介護者の約3割が介護うつを経験する中、家族介護者の社会参加・自分の時間の作り方を7つのチャネル(レスパイト・家族会・ピアサポート・在職継続・趣味・友人・地域)に整理。厚労省「仕事と介護の両立調査」など公的データに基づき、介護うつ予防のサイン、レスパイトを社会参加に変えるスケジュール例、家族会・男性介護者の会の探し方まで2026年最新情報で解説します。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。