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📑目次

  1. 01はじめに|介護のための家の工事は「先に申請」が鉄則
  2. 02介護保険の住宅改修費とは|制度の基本と対象者
  3. 03対象になる6種類の工事|それぞれの工事内容と注意点
  4. 04申請から支給までの流れ|事前申請と事後申請の二段階
  5. 05償還払いと受領委任払い|2つの支払い方式の違い
  6. 0620万円を有効に使うコツ|工事とレンタルの使い分け
  7. 07失敗しないための注意点|給付が受けられなくなる5つのケース
  8. 08よくある質問|住宅改修費の疑問に公的資料ベースで回答
  9. 09参考文献・出典
  10. 10まとめ|ケアマネへの早めの相談が成功の鍵
介護保険の住宅改修費ガイド|20万円で使える6つの工事と申請手順

介護保険の住宅改修費ガイド|20万円で使える6つの工事と申請手順

介護保険の住宅改修費は上限20万円。手すり・段差解消・床材変更・引き戸・洋式便器・付帯工事の6種類の工事が対象です。ケアマネへの相談から事前申請、工事、支給申請までの流れを厚労省資料をもとに解説します。

ポイント

この記事のポイント

介護保険の住宅改修費は、要支援1〜2・要介護1〜5の認定を受けた人が自宅のバリアフリー工事をする際、支給限度基準額20万円までの工事費について所得に応じて7〜9割(最大18万円)が給付される制度です。対象は「手すりの取付け」「段差の解消」「滑り防止等のための床材変更」「引き戸等への扉の取替え」「洋式便器等への便器の取替え」「これらに付帯する工事」の6種類で、必ず工事着工前にケアマネジャーに相談し、市区町村へ事前申請を行う必要があります(厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。

📑目次▾
  1. 01はじめに|介護のための家の工事は「先に申請」が鉄則
  2. 02介護保険の住宅改修費とは|制度の基本と対象者
  3. 03対象になる6種類の工事|それぞれの工事内容と注意点
  4. 04申請から支給までの流れ|事前申請と事後申請の二段階
  5. 05償還払いと受領委任払い|2つの支払い方式の違い
  6. 0620万円を有効に使うコツ|工事とレンタルの使い分け
  7. 07失敗しないための注意点|給付が受けられなくなる5つのケース
  8. 08よくある質問|住宅改修費の疑問に公的資料ベースで回答
  9. 09参考文献・出典
  10. 10まとめ|ケアマネへの早めの相談が成功の鍵

はじめに|介護のための家の工事は「先に申請」が鉄則

加齢や病気によって体の自由がきかなくなると、これまで何でもなかった玄関の段差やお風呂の出入りが、大きな転倒リスクに変わります。厚生労働省の「人口動態統計」によれば、高齢者の不慮の事故死で最も多いのは交通事故ではなく「転倒・転落」「溺死」であり、その多くは自宅の中で発生しています。だからこそ、介護が必要になったタイミングで自宅をバリアフリーに整えておくことが、本人の安全と介護する家族の負担軽減につながります。

とはいえ、手すりを1本つけるだけでも数万円、浴室や玄関をきちんと改修すれば20万〜50万円以上かかることも珍しくありません。この経済的な負担を大きく軽くしてくれるのが、介護保険の「居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費)」制度です。支給限度基準額の20万円までであれば、所得に応じて工事費の7〜9割が保険から給付されるため、自己負担を大幅に抑えてバリアフリー化できます。

ただしこの制度は「工事をした後に領収書を持っていけば払い戻してくれる」というシンプルなものではありません。原則として工事を始める前に市区町村へ事前申請を行い、保険給付として妥当かどうか確認を受ける必要があります。この手順を知らないまま工事を発注してしまい、「せっかく改修したのに保険が使えなかった」というトラブルは全国で後を絶ちません。

この記事では、厚生労働省の公式資料と複数の自治体のQ&A・手引きをもとに、介護保険の住宅改修費で「できる工事」「できない工事」、20万円という枠の考え方、ケアマネジャーへの相談から事前申請・工事・支給申請までの流れ、失敗しないためのポイントまでをまとめて解説します。これから住宅改修を検討する方はもちろん、ご家族の介護が始まったばかりの方にも、全体像をつかむガイドとして活用していただけます。

介護保険の住宅改修費とは|制度の基本と対象者

介護保険の住宅改修費は、介護保険法に基づき市区町村(保険者)が給付する在宅サービスのひとつです。正式には、要介護者向けが「居宅介護住宅改修費」、要支援者向けが「介護予防住宅改修費」と呼ばれていますが、工事の対象や支給限度額などの中身はほぼ共通です。厚生労働省「介護保険における住宅改修」の告示・通知に基づき、全国どの市区町村でも同じ枠組みで運用されています。

対象になる人|要支援・要介護認定を受け自宅で暮らす人

住宅改修費の支給対象となるのは、次の条件をすべて満たす人です。

  • 介護保険の要支援1・2、または要介護1〜5のいずれかの認定を受けていること
  • 改修する住宅の住所が、介護保険被保険者証に記載された住所(住民登録地)と同じであること
  • 実際にその住宅で生活していること(または退院・退所が近く、そこで生活する予定であること)

一方で、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設に入所している人、病院に入院中の人、一時的に子の家などに身を寄せている人は、原則として対象外です。相模原市のQ&Aでは「介護保険の住宅改修は、住民登録地のみが対象」と明確に記載されており、住民票を移していない子の家は給付対象にならない点に注意が必要です。また、入院・入所中でも退院・退所の予定が明確であれば、事前に改修しておくことが認められています(ただし退院・退所しなかった場合は対象外)。

給付の基本|「工事費の7〜9割を保険で負担」する仕組み

住宅改修費は、かかった工事費の全額が保険で負担されるわけではありません。厚生労働省資料によれば、支給限度基準額は20万円で、このうち所得に応じて1〜3割が自己負担、7〜9割が介護保険から給付される仕組みです。自己負担割合ごとの具体例を整理すると次のようになります。

  • 1割負担の人:20万円の工事 → 自己負担2万円・給付18万円
  • 2割負担の人:20万円の工事 → 自己負担4万円・給付16万円
  • 3割負担の人:20万円の工事 → 自己負担6万円・給付14万円

自己負担の割合は、世帯の所得状況に応じて市区町村が判定します。領収書の日付時点での負担割合が適用されるため、所得区分が変わる時期をまたぐ工事では注意が必要です。なお、工事費が20万円を超えた場合、超過分は全額自己負担となります。たとえば30万円の浴室改修を1割負担の人が行うと、給付対象は20万円までで給付額は18万円、自己負担は2万円+10万円=12万円となります。

支給限度基準額「20万円」の考え方

この「20万円」という枠は、1回の工事の上限ではなく、一人の被保険者が生涯で使える累計額です。20万円以内であれば、複数回に分けて使うことができます。たとえば最初にトイレに5万円の手すりをつけ、数カ月後に玄関に10万円のスロープを設置し、さらにその後に浴室に5万円の床材変更を行う、といった分割利用も可能です。

また、同じ住宅に要介護・要支援の認定を受けた人が複数いる場合(夫婦ともに認定を受けているなど)は、それぞれに20万円の枠が設定されます。ただし同一の工事箇所(同じ手すりなど)を2人で按分することはできず、申請もそれぞれ別に必要です(船橋市「介護保険住宅改修の利用について」)。

なお、要支援・要介護区分による枠の差はありません。要支援1の人も要介護5の人も、同じ20万円が上限です。この点は、他の介護サービス(訪問介護や通所介護)のように要介護度が重いほど支給限度額が増える仕組みとは異なるため、覚えておきましょう。

対象になる6種類の工事|それぞれの工事内容と注意点

介護保険の住宅改修費で対象になる工事は、厚生労働省告示によって次の6種類に限定されています。言い換えれば、この6種類に当てはまらない工事(たとえば浴槽そのものの交換や、介護用ベッドを置くための部屋の拡張など)は、どれだけバリアフリー性が高くても介護保険では給付されません。

1. 手すりの取付け

廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに、転倒予防や移動・移乗動作の補助のために手すりを取り付ける工事が対象です。形状は、体に水平に這わせる横手すり、立ち座りを助ける縦手すり、L字型、二段式など、身体の状態に応じて選びます。

注意点として、工事を伴わず据え置くだけの「置き型手すり」や「突っ張り式手すり」は、住宅改修ではなく福祉用具貸与(レンタル)の対象です。ネジで壁や床に固定するタイプが住宅改修の対象となります。また、相模原市のQ&Aによれば、転落防止用の跳ね上げ式手すりは「転落防止は種目にない」として対象外となる一方、窓の開閉などの事情で可動が必要な場合は認められるなど、取り付け目的によって判断が分かれます。

2. 段差の解消

居室・廊下・トイレ・浴室・玄関などの床段差や、玄関から道路までの通路の段差・傾斜を解消する工事が対象になります。具体的には、敷居を低くする・撤去する工事、スロープの設置、浴室床のかさ上げ、上がり框への踏み台の固定取付けなどです。

ここで重要なのは、「動力によって段差を解消する機器」は対象外という点です。階段昇降機、電動リフト、電動式の段差解消機などは、どれだけ段差解消に役立っても住宅改修としては給付されません。これらの機器のうち、移動式・固定式のリフトは福祉用具貸与の対象になる場合があります。置くだけのスロープや浴室用すのこも、住宅改修ではなく福祉用具貸与や福祉用具購入費の対象です。

3. 滑り防止・移動円滑化のための床材変更

居室の畳を板張りやビニル系床材に変更する、浴室の床を滑りにくい素材に張り替える、屋外通路を滑りにくい舗装材に変えるといった工事が対象です。車いすや歩行器を使うようになった人にとって、畳は車輪が沈み込んで移動しにくい素材であるため、フローリング化は生活の自立度を大きく高めます。浴室の床材変更は、転倒リスクの高いお風呂場での事故予防として特に効果的です。

4. 引き戸等への扉の取替え

開き戸を引き戸、折り戸、アコーディオンカーテンに取り替える工事が対象です。開き戸は手前に引くためのスペースが必要で、歩行器や車いすの人にとっては使いにくい扉です。トイレや洗面所など狭い空間の扉を引き戸にすることで、介助者のスペース確保にもつながります。扉の撤去そのものや、ドアノブを握り玉からレバー式に変える工事も対象になります。

5. 洋式便器等への便器の取替え

和式便器を洋式便器に取り替える工事が対象です。和式便器はしゃがむ姿勢が必要なため、筋力が低下した高齢者や膝・腰の痛みを抱える人には大きな負担になります。洋式への取り替えにより、排泄動作の自立を保ちやすくなります。ウォシュレット機能や暖房便座を追加することも基本的には対象ですが、既存の洋式便器を新しい高機能便器に交換するだけの工事は対象外とされるケースが多いため、自治体への事前確認が必要です。

6. 1〜5に付帯して必要となる工事

上記5種類の工事に必ず伴う付帯工事も対象です。たとえば、手すりを設置するための壁の下地補強、下地補強部分のクロス張り替え(全体ではなく補強部分のみ、または按分)、引き戸への変更に伴う柱や壁の一部改修、洋式便器への取替えに伴う給排水設備工事などが該当します。

一方で、単独のリフォーム(たとえば老朽化したクロスの全面張り替えや、純粋な美観目的のタイル貼り替え)は付帯工事として認められません。相模原市のQ&Aでは「下地補強した部分のみのクロスは対象、壁全体のクロス張り替えは対象外(按分なら可)」と明記されており、どこまでが付帯工事として認められるかは市区町村が個別に判断します。見積書の段階で、対象工事と対象外工事の内訳が分かるように分けて記載してもらうことが重要です。

申請から支給までの流れ|事前申請と事後申請の二段階

介護保険の住宅改修費で最も重要なのは、申請が「事前申請」と「事後(完了)申請」の二段階で行われる点です。工事を始める前に市区町村の承認を得て、完了後にあらためて支給申請をする、という二度手間のような仕組みになっています。この流れを知らずに先に工事を発注してしまうと、保険給付が受けられなくなる可能性があるため、最初のステップを間違えないことが肝心です。

ステップ1:ケアマネジャーに相談する

最初にやることは、工務店やホームセンターに連絡することではありません。担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談することです。ケアマネジャーがいない要支援の方は、地域包括支援センターに相談します。

この段階で「トイレでの立ち座りがつらい」「夜間に廊下でふらつく」「浴槽をまたぐのが怖い」など、日常生活の具体的な困りごとを伝えます。ケアマネジャーは利用者の心身状況や生活動線を把握しているため、どの場所をどう改修すれば効果が高いかを助言してくれます。相模原市の通知では、理由書を作成できる者は「基本的には居宅サービス計画を作成する居宅介護支援専門員および地域包括支援センターの担当職員」と定められており、この理由書がなければ事前申請はできません。

ステップ2:施工業者の選定と見積り・プラン作成

ケアマネジャーと改修方針が決まったら、住宅改修業者を選定します。業者選定のポイントは、介護保険の住宅改修制度に精通していること、高齢者向け工事の実績があること、アフターフォローが整っていることなどです。ケアマネジャーや地域包括支援センターが地域の対応業者を紹介してくれる場合もあります。

業者が決まったら、ケアマネジャーも同席して現地調査・打ち合わせを行い、図面・工事プラン・見積書を作成してもらいます。見積書は必ず利用者本人宛に発行してもらい、対象工事と対象外工事の内訳が分かる形式で出してもらうことが重要です。

ステップ3:工事着工前の事前申請

プランと見積書がそろったら、工事を始める前に市区町村の介護保険担当窓口へ事前申請を行います。厚生労働省資料で示されている一般的な必要書類は次のとおりです。

  • 住宅改修費支給申請書
  • 住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャー等が作成)
  • 工事費見積書
  • 住宅改修後の完成予定の状態が分かるもの(写真または図面)
  • 改修前の写真(日付入り)
  • 住宅の所有者の承諾書(本人所有でない場合)

船橋市の手引きによれば、事前申請の審査期間はおおむね7〜10日程度です。書類不備があるとさらに時間がかかるため、工事予定日まで余裕をもって提出する必要があります。市区町村から「工事の着工承認(住宅改修に関するお知らせ)」が届いて初めて、正式に工事を開始できます。

ステップ4:工事の施工と完成

承認通知を受け取ったら、事前申請した内容の通りに工事を進めます。申請内容と異なる工事を勝手に行うと、変更部分が給付対象外になる場合があります。もし途中で仕様変更の必要が出たら、その都度ケアマネジャーと市区町村に相談してください。工事完了時には、事前申請時と同じアングルで改修後の写真を撮影し、記録を残しておきます。

ステップ5:工事完了後の事後(支給)申請

工事が終わったら、あらためて市区町村へ支給申請を行います。このときの必要書類は一般的に次のとおりです。

  • 住宅改修完了報告書
  • 領収書(被保険者本人のフルネーム宛)
  • 工事費内訳書(実際に使用した部材を反映した内訳)
  • 改修後の写真(改修前と同じアングル・日付入り)

市区町村が書類を審査し、問題がなければ「住宅改修費支給額決定通知書」が発行され、給付額が被保険者または施工業者の口座へ振り込まれます。なお、厚生労働省告示では「やむを得ない事情がある場合には工事完成後に申請することができる」とされていますが、これはあくまで例外的な扱いで、基本は事前申請が必須です。

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償還払いと受領委任払い|2つの支払い方式の違い

住宅改修費の支払い方式には、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類があります。どちらの方式が使えるかは市区町村や施工業者の対応状況によって異なるため、工事発注前に確認しておきましょう。

償還払い|全額立て替えて後から給付を受ける方式

償還払いは、利用者が工事完了時に施工業者へ工事費の全額をいったん支払い、事後申請後に保険給付分が被保険者の指定口座に振り込まれる方式です。たとえば20万円の工事で1割負担の人なら、まず20万円を業者に支払い、後日18万円が口座に戻ってきます。

メリットは、全国どこの施工業者でも利用できる点です。業者が市区町村に登録しているかを気にせず選べるため、工事内容や信頼性を基準に業者を選びやすくなります。デメリットは、一時的にまとまった現金を用意する必要がある点です。年金生活の高齢者にとって、20万円を立て替えるのは小さな負担ではありません。

受領委任払い|自己負担分だけを業者に支払う方式

受領委任払いは、利用者が施工業者に自己負担分(1〜3割)のみを支払い、残りの保険給付分は市区町村から直接施工業者へ振り込まれる方式です。20万円の工事で1割負担の人なら、業者に支払うのは2万円だけで済みます。

メリットは、利用者の一時的な経済的負担が大幅に軽くなることです。特に預貯金が少なく年金収入が中心の世帯にとっては大きな支えになります。デメリットは、この方式を使えるのが「市区町村に受領委任払い取扱事業者として登録している施工業者」に限られる点です。登録業者の一覧は市区町村の介護保険窓口やホームページで確認できます。船橋市の手引きでは、受領委任払いで使う理由書はケアマネジャーのみが作成できるという追加ルールも示されており、自治体ごとの運用差にも注意が必要です。

どちらを選ぶべきか

一時的な立て替えが難しい場合は受領委任払いを選び、業者選びの自由度を優先したい場合や全国対応の業者を使いたい場合は償還払いを選ぶ、というのが基本の考え方です。ケアマネジャーや市区町村の担当者に相談すれば、地域の登録業者の状況や世帯の事情に合わせたアドバイスがもらえます。

20万円を有効に使うコツ|工事とレンタルの使い分け

住宅改修費の支給限度額は一生涯20万円です。一度に使い切ることもできますが、身体状況は要介護度の進行とともに変化するため、長い目で見て計画的に使うことが大切です。ここでは、限られた20万円を有効に活用するためのコツを整理します。

「固定して長く使う場所」は工事、「一時的に必要な場所」はレンタルで

介護保険には、住宅改修とは別に「福祉用具貸与(レンタル)」と「特定福祉用具販売(購入)」の制度があります。突っ張り式の手すり、置き型の段差解消スロープ、浴室すのこ、ポータブルトイレ、シャワーチェアなどは、工事ではなくレンタルや購入で対応できるアイテムです。

家の構造そのものに危険性があり、今後長く使う見込みの高い場所(玄関の上がり框、浴室の出入口、トイレの縦手すりなど)は、固定工事で対応したほうが強度・耐久性の面で有利です。一方、身体状況が不安定で今後の変化が見込まれる場所(急に必要になった玄関用スロープ、一時的な歩行補助の手すりなど)は、レンタルの方が柔軟に対応できます。「工事と福祉用具を組み合わせて20万円を無駄にしない」という発想が、制度を賢く使うコツです。

優先順位は「転倒リスクが高い場所」「自立に直結する場所」から

どこから手をつければいいか迷ったら、次のような優先順位を目安にしましょう。

  • 第1優先:浴室(滑りやすく転倒時の怪我が重症化しやすい)
  • 第2優先:トイレ(立ち座り動作が頻繁で、自立の可否が生活全体に影響)
  • 第3優先:玄関・上がり框(外出の自由を左右し、屋内外の境目で転倒が多い)
  • 第4優先:廊下・階段(夜間の移動動線上で転倒が多い)

厚生労働省の「人口動態統計」では、高齢者の家庭内不慮の事故で最も多いのが溺死(浴室内)と転倒・転落であることが示されています。バリアフリー工事は「予算が許す範囲で何となく」ではなく、「事故が起きやすい場所から順に」対処するのが合理的です。

限度額がリセットされる2つのケースを押さえる

20万円を使い切ってしまった後でも、次の2つのケースでは再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。

  • 転居した場合:引っ越しによって住まいが変われば、新しい住宅に対して再度20万円の枠が設定されます。ただし、相模原市のQ&Aでは「同じ敷地内での建て替えは転居にあたらず対象外」とされており、単なる建て替えでは適用されません。
  • 要介護状態区分が3段階以上重くなった場合:初回の住宅改修の着工日時点と比較して、要介護度が3段階以上上がると再度20万円の枠が設定されます。ただし「要支援2と要介護1は同じ段階とみなす」などの細かいルールがあるため、自己判断せず必ず市区町村の介護保険課に確認してください。

補助金・助成の上乗せを活用する

自治体によっては、介護保険とは別に独自のバリアフリー改修助成制度を設けている場合があります。高齢者住宅改造費助成、障害者向け住宅改修補助、市区町村単独のバリアフリー改修補助など、名称や内容はさまざまです。介護保険の20万円枠を超える工事を予定している場合や、介護保険の対象にならない工事(たとえば浴槽交換や手すり以外の設備導入)を含む場合は、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターに「住宅改修に使える補助制度が他にないか」を必ず確認しましょう。

失敗しないための注意点|給付が受けられなくなる5つのケース

ここまで制度の基本と流れを見てきましたが、実際の運用では「あと一歩のところで給付を受けられなかった」というトラブルがたびたび起こります。自治体のQ&Aや手引きでよく取り上げられている、特に注意すべき5つのケースを紹介します。

1. 事前申請をせずに工事を始めてしまった

最も多い失敗が「先に業者に工事してもらい、後から市区町村に申請すれば保険が使えるだろう」と誤解してしまうケースです。厚生労働省通知には「やむを得ない事情がある場合には工事完成後に申請することができる」という例外規定はあるものの、自治体の多くは「事前申請がない工事は支給申請の対象とならない」と明示しています(大田区Q&Aなど)。

「ちょっとした手すり1本だから」と自己判断で発注するのは危険です。たとえ数千円の工事であっても、必ずケアマネジャーに相談し、事前申請のプロセスを経てから着工してください。

2. 新築・増改築と同時に行う改修

住宅の新築や増改築のタイミングで、あわせて手すりをつけたりスロープを設置したりする工事は、「資産形成にあたる」として介護保険の住宅改修費の対象外になります(大田区Q&A)。新築時にバリアフリー仕様を盛り込みたい場合は、住宅ローン減税や住宅性能評価などの別制度で対応を検討することになります。

3. 住民登録地以外の住宅の改修

子の家に一時的に身を寄せている場合、子の家に住民登録を移していなければ住宅改修費の対象になりません。また、賃貸住宅の共用部分(共用廊下や共用階段)の改修も、原則として対象外です。入院中や介護保険施設入所中の人も、退院・退所の予定が明確でない限り対象にはなりません。

4. 動力機器による段差解消(階段昇降機・電動リフトなど)

階段昇降機、電動リフト、電動式段差解消機など、動力で段差を解消する機器の設置工事は住宅改修の対象外です。これらは高額で効果も大きい設備ですが、介護保険の住宅改修費では給付されません。一部は福祉用具貸与の対象となる場合があるため、ケアマネジャーに相談しましょう。

5. 事前申請の内容から勝手に変更した工事

事前申請したプランと異なる工事を無断で行うと、変更部分が給付対象外になったり、支給そのものが認められなくなったりすることがあります。現場で「やっぱりこうしたほうがいい」と気づいた場合は、必ず施工前に市区町村の介護保険課へ連絡し、変更申請または相談を行ってください。船橋市の手引きでも「連絡がない場合、支給ができなくなることがあります」と明記されています。

これらはすべて、「ケアマネジャーと市区町村に早めに、こまめに相談する」ことで防げるトラブルです。住宅改修は一度きりの工事ではなく、身体状況の変化に応じて何度も必要になる可能性があります。だからこそ、制度の枠組みを正しく理解し、プロのサポートを受けながら進めることが、結果として一番の近道になります。

よくある質問|住宅改修費の疑問に公的資料ベースで回答

よくある質問|住宅改修費の疑問に公的資料ベースで回答

Q1. ケアマネジャーがいない場合でも住宅改修費は使えますか?

使えます。要支援の方は地域包括支援センターの職員が、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがいない要介護の方は地域包括支援センターや市区町村が認める福祉・保健・医療の専門家が理由書を作成できます(相模原市Q&A)。いずれにせよ、まずはお住まいの市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターに問い合わせてください。

Q2. 要介護認定を申請中でも住宅改修費の事前申請はできますか?

相模原市のQ&Aでは、認定申請中であっても事前申請は可能とされていますが、認定結果が「要支援・要介護」以外(非該当)だった場合は給付されません。緊急性が高い場合は、担当窓口と相談しながら進めます。この場合の理由書は地域包括支援センター職員が作成するのが一般的です。

Q3. 工事費が20万円未満でも複数回に分けて使えますか?

使えます。たとえば最初に5万円の手すり工事、次に10万円の段差解消、さらに5万円の床材変更、というように、累計20万円に達するまで何回でも分けて利用できます。その都度、事前申請と事後申請の手続きが必要です。

Q4. 夫婦で2人とも要介護認定を受けている場合、枠は合計40万円になりますか?

はい、それぞれに20万円の支給限度基準額が設定されるため、世帯としては最大40万円分の工事を介護保険で給付されうる計算になります。ただし、同じ手すりなど同一の工事箇所を2人で按分することはできず、申請も各人ごとに別に必要です(船橋市の手引き)。

Q5. 賃貸住宅でも住宅改修費を使えますか?

使えます。ただし、住宅の所有者(大家)の承諾書が必要になります。賃貸の場合、退去時に原状回復を求められるケースがあるため、事前に契約内容と大家の意向を確認してから工事を進めてください。

Q6. 事後申請後、実際に口座にお金が振り込まれるまでどれくらいかかりますか?

事前申請の審査に7〜10日程度、完了後の事後申請からさらに数週間〜1カ月程度かかるのが一般的です。償還払いの場合、工事費全額を業者に支払ってから給付が入金されるまで時間差があるため、資金計画を立てるときはこの期間を見込んでおきましょう。

Q7. ウォシュレットや暖房便座の設置は対象になりますか?

和式便器から洋式便器への取替えであれば対象になり、その際にウォシュレットや暖房機能を備えた便器にすることも認められます。ただし、既に洋式便器が設置されている家で「単に高機能便器に交換するだけ」の工事は、介護保険の対象外になるケースが多く、自治体の判断によります。事前にケアマネジャーと市区町村に確認してください。

Q8. 同じ敷地内で家を建て替えた場合、20万円の枠はリセットされますか?

されません。相模原市・大田区のQ&Aいずれでも「建て替えは転居ではないため対象外」と明記されています。リセット対象となる「転居」は、住民票の移動を伴う引っ越しが想定されています。

参考文献・出典

  • [1]
    介護保険における住宅改修- 厚生労働省

    住宅改修の種類(6項目)、支給限度基準額20万円、申請手続きの流れに関する公式資料

  • [2]
    居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について- 厚生労働省

    住宅改修費の支給に関する告示・通知。事前申請の必要性を含む運用ルール

  • [3]
    介護保険住宅改修の利用について- 船橋市

    事前申請・事後申請に必要な書類、償還払い・受領委任払いの具体的な流れを示す自治体手引き

  • [4]
    介護保険住宅改修についてのQ&A- 東京都大田区

    対象工事・対象外工事の判断基準、新築・増改築時の扱い、付帯工事の範囲などに関する詳細Q&A

  • [5]
    介護保険住宅改修のQ&A- 相模原市

    理由書の作成者、入院中の改修、認定申請中の申請など運用上の疑問への回答集

  • [6]
    人口動態統計- 厚生労働省

    高齢者の家庭内不慮の事故(転倒・転落、溺死など)に関する統計データ

まとめ|ケアマネへの早めの相談が成功の鍵

介護保険の住宅改修費は、要支援・要介護の認定を受けた人が自宅で安心して暮らし続けるための強力な支援制度です。支給限度基準額20万円の中で、手すりの取付け、段差の解消、滑り防止の床材変更、引き戸への取り替え、洋式便器への取り替え、そしてこれらに付帯する工事という6種類の工事に対して、所得に応じて7〜9割(最大18万円)の給付が受けられます。

制度を使いこなすうえで最も大切なのは、工事を始める前に必ずケアマネジャーに相談し、市区町村に事前申請をするという流れを守ることです。この一点を外すと、どれだけ必要性が高く、どれだけ適切な工事内容であっても、給付が受けられなくなります。逆に、ケアマネジャーと市区町村の窓口を早めに活用すれば、工事とレンタルの使い分け、20万円の計画的な配分、他の自治体助成との組み合わせなど、より効果的な住環境整備が可能になります。

また、20万円の枠は転居や要介護度の大幅な悪化などの条件でリセットされる場合があります。一度使い切ったら終わりと思い込まず、状態が変化したタイミングで再度ケアマネジャーに相談してみる価値があります。バリアフリー化は一度で終わるものではなく、身体の変化に合わせて段階的に進めていくものです。

ご家族の介護が始まったばかりで何から手をつけていいか分からない場合も、まずは担当のケアマネジャー、もしくは地域包括支援センターに「家のことで困っていることがあるのですが」と声をかけてみてください。制度の専門家として、住宅改修だけでなく、福祉用具のレンタル、訪問サービス、ショートステイなど、暮らし全体を支える仕組みを合わせて提案してくれます。自宅が安全で動きやすい場所になることは、介護される本人の自立と尊厳を守ることにもつながります。ぜひ、この20万円の制度を味方にして、安心して暮らせる住まいづくりを進めてみてください。

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公開日: 2026年4月15日最終更新: 2026年4月15日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

📢NEW2026/4/13介護予防の基礎知識|フレイル・サルコペニア予防から地域支援事業まで徹底解説→
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