ポータブルトイレの選び方|タイプ別の特徴・介護保険購入対象・夜間使用のコツ
ご家族・ご利用者向け

ポータブルトイレの選び方|タイプ別の特徴・介護保険購入対象・夜間使用のコツ

ポータブルトイレの選び方を、樹脂・木製・スチール・水洗式のタイプ別特徴、介護保険(特定福祉用具販売)の年間10万円上限、夜間使用の転倒予防・防臭のコツまで網羅。福祉用具専門相談員への申請手順も解説します。

お近くの介護施設を探す

地域ごとの施設数や施設タイプを確認しながら、候補を絞り込めます。

施設を探す
ポイント

ポータブルトイレ選びの要点

ポータブルトイレは介護保険の「特定福祉用具販売」の対象種目(腰掛便座)で、要介護・要支援認定を受けていれば年間10万円までの購入費用の7〜9割が払い戻されます。タイプは樹脂・木製・スチール(コモード型/ベッドサイド型)・水洗式の4系統あり、利用者の体格・足腰の状態・置き場所・夜間使用の有無で選び分けます。とくに夜間は転倒リスクが高いため、ベッドからの動線が短く、肘掛けで立ち座りを支えられるタイプを優先しましょう。購入は都道府県の指定を受けた事業者と福祉用具専門相談員への対面相談が必須で、通信販売は介護保険給付の対象外となります。

目次

はじめに

夜中に何度もトイレに起きる、足腰が弱ってトイレまでの移動が不安、寝室とトイレが遠い——こうした排泄の課題は、在宅介護で最初にぶつかる壁のひとつです。おむつへの切り替えはご本人の自尊心を大きく傷つけ、QOL(生活の質)を下げてしまうため、その前段階で検討したいのがポータブルトイレ(持ち運びできる簡易便座)です。

とはいえ、家具調の木製、軽量な樹脂製、ベッドサイドに固定するスチール製、後処理が要らない水洗式まで種類は幅広く、価格も1万円台から20万円超まで開きがあります。さらに2024年の介護保険制度改定では水洗ポータブルトイレが特定福祉用具に正式追加され、申請の流れも以前と少し変わりました。

この記事では、福祉用具専門相談員と理学療法士の視点を交え、ご本人の身体状況に合うタイプの見極め方介護保険で購入する際の上限額と手順夜間に転倒や臭いの問題を起こさないための運用のコツを、公的資料に基づいて整理します。読み終えるころには、ご家族で相談すべき項目と、ケアマネジャーに最初にする質問が明確になっているはずです。

ポータブルトイレとは:介護保険における特定福祉用具の位置づけ

ポータブルトイレは、寝室や居室に持ち込んで使える簡易型の便座です。バケツ(汚物受け)にビニール袋や凝固剤を仕込み、用を足したあとに袋ごと処分する仕組みが基本構造で、上下水道工事は不要です。厚生労働省の福祉用具区分では「腰掛便座」として整理され、介護保険の「特定福祉用具販売」の対象種目に含まれています。

特定福祉用具販売とは何か

福祉用具は本来「貸与(レンタル)」が原則ですが、肌に直接触れる排泄・入浴関連は衛生上の理由から再利用が難しいため、購入費の一部を保険給付する「特定福祉用具販売」という仕組みが用意されています。腰掛便座のほかに、入浴補助用具(シャワーチェアや浴槽用手すりなど)、簡易浴槽、自動排泄処理装置の交換可能部品、移動用リフトのつり具部分、排泄予測支援機器が同じ枠組みで扱われます。

「腰掛便座」に含まれる4タイプ

厚生労働省の通知で「腰掛便座」と定義されるのは次の4種類で、ポータブルトイレ(②)はその中核に位置します。

  1. 和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの
  2. 洋式便器の上に置いて高さを補うもの(補高便座)
  3. 電動式またはスプリング式で立ち上がりを補助するもの
  4. 便座・バケツなどから構成され、移動できるもの(ポータブルトイレ)

2024年改定で追加された「水洗ポータブルトイレ」

2024年4月の介護保険制度改定で、配管に接続して水洗できる水洗ポータブルトイレが「腰掛便座」の対象に追加されました。本体は介護保険の給付対象になりますが、給排水管の工事費・電源工事費は自己負担となる点に注意が必要です。後始末の負担を大幅に減らせる一方、設置場所の制約が増えるため、住環境と介護者の体力をあわせて判断します。

レンタル選択制との関係

2024年改定では一部の福祉用具(固定用スロープ、歩行器、単点杖、多点杖)でレンタルと購入を選べる「選択制」が始まりましたが、ポータブルトイレは選択制の対象外で、現在も購入のみが介護保険の給付対象です。レンタルは原則できないため、購入前の試用や試座が重要になります。

種類別の特徴:木製・樹脂・スチール・水洗式

ポータブルトイレは、素材と設置形式の組み合わせで大きく4系統に分かれます。それぞれの長所・短所と、向いている利用者像を整理します。

樹脂製(プラスチック型):1〜3万円台/軽量で扱いやすい

もっとも普及している標準タイプです。本体重量は5〜10kg前後と軽く、女性の介護者でも持ち運びや清掃がしやすいのが最大の利点です。水洗いと拭き取りでお手入れが完結し、臭いも染み込みにくいため衛生面で扱いやすい一方、軽量ゆえに利用者が体重をかけた瞬間に動いたり傾いたりするリスクがあります。立ち座りが自力でできる方、姿勢の保持が比較的安定している方に向きます。床にすべり止めマットを敷くだけで安定性は大きく向上します。

木製(家具調):4〜10万円台/居室になじむデザイン重視

椅子のような外観に仕上げられた家具調タイプで、リビングや寝室に置いても圧迫感が少ないのが特長です。重量は15〜20kgあり安定感が高く、肘掛けにもしっかり体重を預けられます。蓋を閉じれば一見ふつうの椅子として機能するため、来客時もご本人の気持ちを傷つけません。一方で本体が重く位置の微調整がしづらい木部の継ぎ目に汚れが入り込むと清掃が大変という弱点があります。長期的に同じ場所で使う予定の方、人目を気にされる方に適しています。

スチール製コモード型:1〜2万円台/折りたためる軽量フレーム

パイプ椅子に似た金属フレームに便座を取り付けたタイプで、折りたためる製品もあります。ショートステイや旅行など一時的な利用、または収納スペースが限られる住宅に向きます。座面の高さ調整・肘掛けの跳ね上げが可能なモデルが多く、ベッドや車いすからの横移乗に適している点も特徴です。ただし生活感が出やすく、長期間リビングに置く用途には向きません。

スチール製ベッドサイド設置型:5〜15万円台/重度の方に

ベッドの脇に固定して使う前提で設計された重量級タイプで、本体重量は15kg以上。肘掛けが手すり代わりになり、座面高もベッドと合わせて設定できるため、立位が取りにくい方の横移乗を介助者ひとりでも安全に行えます。要介護度3以上で、ベッド上の生活が中心になっている方の標準的な選択肢です。一度設置すると動かしにくいため、置き場所の検討は事前に十分行いましょう。

水洗ポータブルトイレ:15〜25万円台/後始末を大幅軽減

2024年改定で介護保険の対象に加わった新カテゴリです。本体にタンクとポンプを内蔵し、排水管に接続して水洗できる仕組みのため、バケツ洗浄や凝固剤の交換が不要になります。介護者の負担を劇的に減らせる反面、設置時の配管工事費・電源工事費は介護保険の給付対象外で、別途5〜15万円の自己負担が発生するケースが多い点に注意します。長期介護の見通しが立っており、介護者の腰痛・臭気ストレスが深刻な家庭で投資効果が高くなります。

介護保険の購入対象:年間10万円上限と1〜3割自己負担

ポータブルトイレを介護保険で購入する際の金銭面のルールを、確実に押さえておきましょう。年度をまたぐタイミング、自己負担割合の変動、対象外となる費用の3点でつまずく方が多いポイントです。

支給限度額は「同一年度で10万円」

特定福祉用具販売の支給限度額は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で合計10万円です。要介護度に関わらず一律10万円で、複数の福祉用具を組み合わせても合算してこの枠内に収まる必要があります。10万円を超えた分は全額自己負担となり、保険給付の対象になりません。

自己負担割合:原則1割、所得により2〜3割

65歳以上の方は原則として購入費の1割を自己負担します(10万円の購入なら自己負担は1万円)。ただし合計所得金額や年金収入が一定額を超えると2割または3割負担になり、給付額が下がります。介護保険負担割合証に記載された自分の負担割合を、申請前に必ず確認しましょう。40〜64歳の特定疾病該当者は一律1割負担です。

償還払いと受領委任払いの2方式

支払方法は自治体によって2通りあります。償還払いは利用者がいったん全額を事業者に支払い、後日「福祉用具購入費支給申請書」を市区町村に提出して7〜9割の払い戻しを受ける方式です。手元の現金が一時的に必要になるため、家計の余裕を見て判断します。受領委任払いは最初から自己負担分(1〜3割)だけを事業者に支払い、残額は自治体が事業者に直接支払う方式で、利用者の立て替え負担がありません。導入の有無や手続きが自治体ごとに違うため、ケアマネジャーや市区町村窓口で確認しておきます。

「対象外になる費用」を見落とさない

介護保険の給付には含まれない費用が複数あります。具体的には配送料・組み立て費用・水洗式の配管工事費・電源工事費などです。さらに、購入後に追加で買うバケツ用ビニール袋・凝固剤・脱臭剤・予備の便座カバーといった消耗品も給付対象外で、月あたり1,000〜3,000円のランニングコストが発生します。総額の見積もりはこれらを合算して比較しましょう。

都道府県指定事業者からの購入が必須条件

介護保険の給付を受けるには、都道府県の指定を受けた「特定福祉用具販売事業者」から購入することが絶対条件です。指定外の店舗・ECサイト・通販で購入したものは、たとえ同一の商品であっても保険給付の対象になりません。Amazonや楽天で割安に買って後から申請するという方法は使えないため、注意が必要です。指定事業者には福祉用具専門相談員(後述)が在籍しており、対面での選定・試座が義務付けられています。

お近くの介護施設を探す

地域ごとの施設数や施設タイプを確認しながら、候補を絞り込めます。

施設を探す

選び方の5つの軸:体格・足腰・置き場所・音・清掃しやすさ

カタログを眺めて価格や見た目で選んでしまうと、ご本人が嫌がって使わない・介護者の負担が増える、という結果になりがちです。次の5つの軸でひとつずつチェックしましょう。

1. 体格と座面寸法のフィット

座面の高さは、座ったときに足裏全体が床にしっかり接地し、膝と股関節がほぼ90度に曲がるのが理想です。多くのモデルは35〜45cmの範囲で高さ調整が可能ですが、対応範囲を超えるとぐらつきや踏ん張りにくさの原因になります。座幅はご本人の腰幅プラス5cm程度を目安に、お尻が便座からはみ出さない・太ももが圧迫されないサイズを選びます。耐荷重も忘れずに確認し、体重よりも20kg以上の余裕を持たせるのが安全です。

2. 足腰の状態と立ち座り補助機能

立ち座りに不安がある方は、跳ね上げ式の肘掛け左右どちらからでも乗り移れる構造を必ず選びます。さらに足腰が弱っている場合は、座面下にスプリングや電動機構を内蔵した立ち上がり補助便座タイプを検討します。半身麻痺がある方は、麻痺側ではない側から乗り移れる向きで設置することが原則です。

3. 置き場所と動線

ベッドからポータブルトイレまでの距離は2歩以内が理想で、長くても4歩以内に収めます。ベッドの足元側ではなく、起き上がってすぐに体重を移せる「ベッドの長辺脇」が基本配置です。本体寸法は幅50〜60cm、奥行60〜80cm程度が標準なので、設置スペースとあわせて使う側の介助スペース(最低60cm)も確保します。畳や絨毯の上に置く場合は、底面のキャスター有無や脚部の安定性を必ず実機で確かめましょう。

4. 音と臭いの対策

夜間使用では、便座やフタの開閉音、汚物を流す音が同室・隣室の家族の睡眠を妨げます。ソフトクローズ機構付きのフタや、防音・防臭設計の便座カバーを選ぶと不快感が大きく減ります。脱臭機能は活性炭フィルター式と電動ファン式があり、後者は電源が必要ですが脱臭力が高く、便から1分以内に空気がほぼ無臭になるモデルもあります。便を凝固・包装するラップポン式は使用直後に密閉してくれるため、臭いに敏感な方や狭い寝室で使う場合に有効です。

5. 清掃のしやすさと介護者の負担

毎日の後始末を担当する介護者の負担は、ポータブルトイレ運用の成否を分けます。バケツが本体からワンタッチで脱着できること、内側に凹凸が少なく洗いやすいこと、便座が外して洗えることを確認します。木製の家具調タイプは見た目が良い反面、便座の継ぎ目に汚れが入ると清掃が大変なので、便座カバーや使い捨ての処理袋(ラップポン用ロール、消臭凝固剤付き袋など)の併用を前提に選ぶと運用が楽になります。

夜間使用のコツ:転倒予防・においの軽減・防音

ポータブルトイレが本領を発揮するのは、ご本人がトイレまで歩いて行きにくい夜間です。深夜・早朝は身体がまだ覚醒しておらず、姿勢の保持が不安定で転倒リスクが日中の数倍に跳ね上がるため、運用面の工夫が安全と快適さを大きく左右します。

足元灯と人感センサーで暗闇の動線を消す

暗闇のなかで起き上がってトイレに移動するのは、加齢に伴う夜間の覚醒度低下・夜間頻尿・薬の影響が重なり、転倒事故が最も発生しやすい瞬間です。常夜灯では明るさが不足することが多く、ベッド脇とポータブルトイレ周辺を直接照らす足元灯または人感センサーライトを導入し、本人がベッドから足を下ろすタイミングで自動点灯する設計にします。眩しすぎる照明は逆に覚醒を促し再入眠を妨げるので、500lx程度のあたたかい色温度(電球色)が目安です。

すべり止めマットと床面の保護

ポータブルトイレの底面は滑りやすく、フローリングの上では便座へ体重を預けた瞬間に本体が動くことがあります。ゴム製のすべり止めマットを本体の下に敷くだけで安定性は大幅に向上し、床の汚れ予防にもなります。畳の上に置く場合は、湿気と汚れが畳に染み込むのを防ぐため、防水仕様の床保護シートを併用します。

立ち座りを支える手すりと配置

本体の肘掛けだけでは立ち上がりが不安な方には、ベッド柵や据え置き型の介助バーを併設します。ベッドの長辺脇にポータブルトイレを置き、ベッド柵を起点に立ち上がる→90度向きを変えて便座に座る、という導線が最も安全です。要介護4以上で立位保持が難しい方は、ベッドからの横スライド移乗ができるベッドサイド設置型と手すりの組み合わせを優先します。

においの軽減:凝固剤・脱臭剤・ラップポン

夜間に処理しきれなかった汚物の臭いは、翌朝までに寝室全体に広がり、ご本人の食欲低下や介護者の不快感の原因になります。対策は3段構えです。第一にバケツ内に消臭凝固剤を使用直後に投入し、液体便を瞬時に固める。第二に活性炭または銀イオン入りの脱臭剤をバケツ周辺に置く。第三に余裕があれば、ラップポン式(自動的に密閉処理)や脱臭ファン付きモデルを選ぶ。寝室の換気は窓を細く開けて1時間に1回30秒程度の短時間換気が現実的です。

防音と介護者の睡眠確保

夜間にポータブルトイレを使うと、フタの開閉音やバケツのカチャカチャという音で同居家族が目覚めてしまいます。ソフトクローズ機能付きのモデルか、便座とフタの裏に静音シートを貼ると音はかなり減ります。介護者の睡眠が削られると介護の質も下がるため、防音は「ご本人の遠慮を減らす」だけでなく介護持続性のためにも重要です。

夜間導入は1週間の試行を経てから本採用

突然ポータブルトイレに切り替えると、ご本人がプライバシーや音の問題を理由に使うのを拒否することがあります。最初の1週間は「日中だけ使う」「介護者が付き添って使う」と段階を踏み、慣れたところで夜間運用に移行すると失敗が少なくなります。

尿器・差し込み便器との使い分け

排泄を介助する用具にはポータブルトイレ以外にも複数の選択肢があり、ご本人の身体状況や時間帯で使い分けると介護負担が下がります。

尿器(手持ち型):ベッド上で頻尿・夜間の小用に

ベッド上の姿勢のまま使える受け皿型の用具で、男性用は壁に直立した瓶型、女性用は身体に当てる扁平な形状をしています。座位保持が困難な方や、夜間の頻尿でポータブルトイレへの移乗が負担になる方に向きます。尿だけに限定して、便はポータブルトイレという使い分けが現実的です。価格は1,000〜5,000円程度と安価で、介護保険の対象外ですが消毒・買い替えが容易です。

差し込み便器:寝たきりで便も介助が必要な方に

ベッド上で仰向け・横向きの姿勢のまま尻の下に差し込んで使うステンレス・樹脂製の便器です。要介護4〜5で座位保持が難しく、ポータブルトイレへの移乗自体が転倒リスクになる方の選択肢です。介助は2人で行うのが原則で、皮膚への圧迫を最小化するエアタイプも市販されています。介護負担が大きいため、可能ならベッドサイド設置型ポータブルトイレへの移乗を優先し、夜間や体調不良時のみ差し込み便器に切り替える運用が標準です。

自動排泄処理装置:終末期や24時間介助が必要な方に

陰部に装着するレシーバーで排泄物を自動的に吸引・密閉する機器です。特定福祉用具では「自動排泄処理装置の交換可能部」が販売対象(年間10万円枠)、本体は福祉用具貸与の対象で、要介護4〜5の方が利用できます。費用が大きく、装着の慣れも必要なので、ケアマネジャーと医師の判断のもとで導入を検討します。

選択フロー:身体状況×時間帯×介護者の体力

標準的な選択フローはこうです——日中のトイレへの移動が可能ならトイレで自立、トイレまでの移動が不安ならポータブルトイレ、ベッドから動けないが座位は保てるなら差し込み便器+尿器、座位保持も困難なら自動排泄処理装置。介護者の体力と介助の頻度を加味し、複数を併用するのが現実的です。

購入の手順:福祉用具専門相談員への相談から申請まで

介護保険を使ってポータブルトイレを購入する流れは、ご本人と介護者が初めて経験する場合、ケアマネジャーが同行・代行してくれることが多いものの、要点を理解しておくと意思決定がスムーズになります。

ステップ1:ケアマネジャーに相談(無料)

まずは担当のケアマネジャーに「ポータブルトイレを検討したい」と伝えます。要介護認定を受けていれば、ケアマネジャーが身体状況を踏まえてタイプの候補を絞り込み、指定事業者を紹介してくれます。要介護認定をまだ受けていない場合は、市区町村の介護保険窓口で認定申請からスタートします(結果が出るまで通常30日程度)。

ステップ2:福祉用具専門相談員と面談

指定事業者には福祉用具専門相談員(50時間の研修を修了した有資格者)が在籍しており、自宅を訪問してご本人の身体状況・住環境を確認したうえで、適切な機種を提案してくれます。実機の試座やデモ機の貸出を依頼すると、購入前に座り心地・移乗のしやすさを実際に確認できます。複数のメーカーを比較したいときは、その場で要望を伝えましょう。

ステップ3:「福祉用具サービス計画書」の作成

福祉用具専門相談員が、選定理由・使い方の留意点・期待される効果をまとめた福祉用具サービス計画書を作成し、ご本人と介護者に説明します。この計画書は介護保険給付申請に必要な書類で、内容に納得してから署名します。価格・型番・購入予定日もここで確定します。

ステップ4:購入と支払い

注文・配送・組み立てが行われたら、領収書を受け取ります。償還払い方式の場合は全額を一度支払い、受領委任払い方式の場合は1〜3割の自己負担分のみを支払います。配送料・組み立て費用が請求書に含まれる場合がありますが、これらは保険給付の対象外で全額自己負担になる点に注意します。

ステップ5:市区町村への支給申請

償還払いの場合、購入後に「福祉用具購入費支給申請書」に領収書・福祉用具サービス計画書・パンフレット(型番がわかるもの)を添えて、市区町村の介護保険窓口に提出します。事業者が代行してくれることも多いので、自分で書類をそろえる前に「申請代行は可能か」を確認しましょう。提出から振込までは2〜4週間程度が一般的です。

ステップ6:使用開始後のフォロー

納品後、福祉用具専門相談員が定期的にモニタリング訪問を行い、使い方の修正や追加の用品(凝固剤・脱臭剤・予備のバケツ袋など)の手配を支援します。使いづらさや身体状況の変化を感じたら遠慮なく相談しましょう。買い替えの目安は本体で5〜7年、便座カバー・凝固剤などの消耗品は使用頻度に応じて随時補充します。

参考文献・一次情報

まとめ:ご本人と介護者の両方が無理なく続けられる1台を

ポータブルトイレ選びの本質は、「ご本人のADL(日常生活動作)と尊厳」「介護者の体力・睡眠」「住環境の制約」の3点を同時に満たす1台を見つけることにあります。価格や見た目だけで決めると、ご本人が嫌がって使わない・介護者の負担が積み上がって続かない、という失敗に陥りがちです。

制度面では、介護保険の「特定福祉用具販売」で年間10万円までの購入費の7〜9割が払い戻されます。都道府県の指定を受けた事業者・福祉用具専門相談員との対面相談が必須で、ECサイトでの個人購入は給付対象外になる点に注意しましょう。2024年改定で水洗ポータブルトイレも保険対象に加わりましたが、配管・電源工事費は自己負担のままです。

運用面では、夜間使用の転倒予防(足元灯・すべり止め・手すり)においの軽減(凝固剤・脱臭機能・ラップポン式)防音(ソフトクローズ・静音シート)の3点をセットで設計すると、ご本人の遠慮や介護者の疲弊が大幅に減ります。

まずは担当のケアマネジャーに相談し、福祉用具専門相談員に自宅を訪問してもらって試座から始めましょう。身体状況は変化するため、購入は「現時点の最適解」を選び、必要に応じて尿器や差し込み便器、ベッドサイド設置型への切り替えを柔軟に検討するのがおすすめです。本記事と関連用語ページを家族で共有し、納得のいく1台を選ぶ手がかりにしてください。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

続けて読む

このテーマを深掘り

関連トピック

介護の現場・介護職の視点

同じテーマを介護の現場で働く方の視点から書いた記事。専門家の見方も知っておきたい時に。