特定福祉用具販売とは

特定福祉用具販売とは

特定福祉用具販売は、入浴・排泄など直接肌に触れて貸与になじまない5種目(腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部分・入浴補助具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具部分等)を購入する場合、年間10万円を上限に介護保険から購入費が支給される制度。

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この記事のポイント

特定福祉用具販売(とくていふくしようぐはんばい)は、介護保険法に基づく給付の一つで、入浴・排泄など他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗を伴う5種目の福祉用具を購入する場合、年間10万円(毎年4月1日〜翌年3月31日)を上限に費用の7〜9割(自己負担1〜3割)が支給される制度です。レンタルになじまない種目に限定され、都道府県知事の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入することが要件となります。

目次

特定福祉用具販売の制度概要

特定福祉用具販売は、介護保険法第44条「居宅介護福祉用具購入費」(要介護者向け)および第56条「介護予防福祉用具購入費」(要支援者向け)に基づく給付サービスです。同じ福祉用具でも、車椅子や介護ベッドのように繰り返し利用できるものは「福祉用具貸与」(レンタル)の対象になりますが、入浴補助具や腰掛便座のように直接肌に触れたり、衛生上他人が再利用しにくいものは「販売(購入)」の対象として制度上分けられています。

支給上限は被保険者1人あたり年間10万円。これは毎年4月1日にリセットされ、4月〜翌年3月の1年間で複数回に分けて利用できます。自己負担は所得に応じて1〜3割で、原則として「償還払い」(利用者がいったん全額立替→保険給付分は後日振込)ですが、市区町村によっては「受領委任払い」を採用しているところもあります。

購入対象となるのは、都道府県知事の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入したものに限られ、福祉用具専門相談員が利用者に適切な選定相談を行うことが義務づけられています。

特定福祉用具販売の対象5種目

  1. 腰掛便座:和式便器の上に置いて洋式に変換する据置式、洋式便器の上に置いて高さを補う補高便座、ポータブルトイレ(移動可能な据置式便器)、立ち上がり補助便座など
  2. 自動排泄処理装置の交換可能部品:レシーバー・チューブ・タンクなど、尿や便の経路となるもの。本体は福祉用具貸与の対象
  3. 排泄予測支援機器:膀胱内の尿量を超音波等で測定し、排泄のタイミングを通知する機器(2022年4月から追加)
  4. 入浴補助具:シャワーチェア、浴槽用手すり、浴槽内椅子、入浴用介助ベルト、すのこ(浴槽内・浴室内)、移乗台など
  5. 簡易浴槽:入浴介助用の空気式・折り畳み式の簡易な浴槽
  6. 移動用リフトのつり具部分:本体は福祉用具貸与だが、身体に直接触れるつり具は購入対象

これら6つは厚生労働大臣告示「介護保険の給付対象となる特定福祉用具の種目」で定められており、近年は2022年に「排泄予測支援機器」が追加されるなど見直しが行われています。

購入から保険給付までの流れ

  1. ケアマネ・福祉用具専門相談員に相談:身体状況や住環境に合わせて適切な機種を提案してもらう
  2. 事業者の確認:購入予定の業者が「特定福祉用具販売事業者」(都道府県指定)であることを必ず確認。指定外業者から購入すると保険給付対象外
  3. 福祉用具サービス計画書の作成:福祉用具専門相談員が選定理由・使用方法を記した計画書を作成
  4. 購入・代金支払い:原則は全額をいったん事業者に支払う
  5. 支給申請:市区町村に「居宅介護福祉用具購入費支給申請書」と領収書、福祉用具サービス計画書等を提出
  6. 保険給付の受領:審査後、市区町村から保険給付分(7〜9割)が振り込まれる

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福祉用具貸与・住宅改修との違い

項目特定福祉用具販売福祉用具貸与(レンタル)住宅改修
支給上限年間10万円(毎年4月リセット)区分支給限度基準額の枠内(月単位)生涯20万円
対象例腰掛便座、入浴補助具、簡易浴槽車椅子、介護ベッド、歩行器手すり設置、段差解消
給付の特性購入(所有)レンタル(毎月料金発生)工事
事前申請不要(事後申請)不要(ケアプラン)必須
事業者要件都道府県指定の特定福祉用具販売事業者都道府県指定の福祉用具貸与事業者制限なし(一般工務店可)

同じ「便座」でも、ポータブルトイレや補高便座は購入(特定福祉用具販売)、和式便器を洋式に取り替える工事は住宅改修と扱いが分かれます。利用者にとってどちらが経済的・実用的かは、ケアマネと福祉用具専門相談員が相談のうえ判断します。

特定福祉用具販売を活用するコツ

  • 10万円は毎年リセットされる:年度をまたいで分割購入するなら4月以降に分けると有利
  • 必ず指定事業者から購入:ホームセンターやネット通販で購入すると保険給付の対象外(自費購入扱い)
  • 福祉用具専門相談員の選定相談を活用:身体状況の変化を踏まえた製品選びがポイント。シャワーチェア1つでも背もたれの有無、座面の高さ、肘掛けの形状で使用感が大きく異なる
  • レンタルとの比較も検討:使用期間が短期と見込まれる場合は購入よりレンタルが経済的なケースも
  • 受領委任払い制度の有無を確認:市区町村によっては自己負担分のみの支払いで済むため、立替金が不要になる

よくある質問

Q1. 中古品でも保険給付されますか?

A. 原則として新品が対象ですが、市区町村の判断で中古品も認められる場合があります。事前確認が必要です。

Q2. 10万円を超えた分はどうなりますか?

A. 自己負担となります。複数製品を購入する場合は、年度をまたいで購入する選択肢もあります。

Q3. ポータブルトイレは購入とレンタルどちらですか?

A. ポータブルトイレ本体は「特定福祉用具販売」(購入)の対象です。便座を温める電動機構付きでも同じ扱いです。

Q4. 入浴補助具と移乗台の違いは?

A. シャワーチェア・浴槽用手すり・浴槽内椅子などはすべて「入浴補助具」というカテゴリにまとめられ、特定福祉用具販売の対象です。移乗台(バスボード)も入浴補助具の一種です。

Q5. 介護職員は購入時に何をする?

A. 訪問介護員や施設職員自身が購入手続きをすることはありませんが、利用者の動作・身体状況を観察してケアマネ・福祉用具専門相談員に情報共有することが重要です。

参考資料

  • 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124771.html
  • 厚生労働省告示「介護保険の給付対象となる特定福祉用具の種目」(平成12年厚生省告示第93号)
  • 介護保険法第44条(居宅介護福祉用具購入費)・第56条(介護予防福祉用具購入費)
  • テクノエイド協会「介護保険給付対象福祉用具」

まとめ

特定福祉用具販売は、入浴・排泄に関わる直接肌に触れる5種目を年間10万円までの介護保険給付で購入できる制度です。福祉用具貸与(レンタル)と住宅改修の中間に位置する制度として、利用者の身体状況や住環境に応じて使い分けることが重要です。指定事業者を通じた購入と福祉用具専門相談員の相談を活用し、生活機能を支える環境を整えましょう。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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