介護保険外サービスの選び方|混合介護・自費サービス・自治体助成の見極めガイド
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介護保険外サービスの選び方|混合介護・自費サービス・自治体助成の見極めガイド

介護保険外サービス(民間自費・自治体助成・混合介護)の分類、費用相場、利用シーン別の選び方を厚労省通知に基づき解説。保険サービスと組み合わせて家族の介護負担を軽減する方法を紹介します。

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介護保険外サービスとは、介護保険給付の対象にならない自費サービスのことで、民間事業者の有償サービス・自治体独自の助成事業・家事代行・見守りサービスなどが含まれます。保険サービスでは対応できない同居家族の食事作り・草むしり・ペットの世話・趣味の外出同行などは保険外で利用します。費用は時給1,500〜4,000円が相場で、自治体助成を併用すれば家計負担を抑えられます。

目次

介護保険サービスを使い始めると、「ヘルパーさんは家族の食事は作れない」「散歩の付き添いは保険適用外」など、思った以上に制約が多いことに気づきます。これは介護保険が「本人の自立支援・重度化防止」を目的としており、家族の利便や本人の趣味的活動には使えないと制度設計されているためです。

この「保険でカバーされない部分」を埋めるのが介護保険外サービスです。厚生労働省は2018年9月の通知(老振発0928第1号)で、介護保険サービスと保険外サービスを明確に区分した上で組み合わせて提供できるルールを整理し、いわゆる「混合介護」の運用を全国の自治体・事業者に示しました。本記事では、保険外サービスの分類、費用相場、利用シーン別の選び方、混合介護の運用ルール、自治体助成の活用までを公的資料に基づき解説します。

介護保険外サービスの全体像と4つの分類

介護保険外サービスは、提供主体と費用負担の方法で大きく4つに分類されます。

1. 民間事業者の自費サービス

株式会社・NPO等が独自に提供する有償サービスで、全額自己負担です。介護保険指定事業者が「保険給付対象外」として併売することも多くあります。家事代行、付き添い外出、自費ヘルパー、見守り、配食、家具移動、庭仕事、ペットケアなど多岐にわたります。

2. 自治体の高齢者福祉サービス(公費負担あり)

市区町村独自の高齢者支援事業で、介護保険とは別予算で運営されます。一定の所得要件・要介護度要件のもと、無料または低額(実費の一部負担)で利用できます。代表例は配食サービスの食事代補助、紙おむつ給付、緊急通報装置、訪問理美容、寝具乾燥・水洗、外出支援タクシー券などです。

3. 介護保険事業所が提供する「混合介護」

介護保険指定の訪問介護事業所等が、保険給付サービスと同時または連続して保険外サービスを提供する形態です。厚生労働省通知(老振発0928第1号、平成30年9月28日)により、両サービスを明確に区分すれば組み合わせ提供が可能とされています。例えばヘルパーが訪問介護(保険)で本人の調理をした後、続けて家族分の調理(保険外)を行うパターンです。

4. 地域住民・ボランティアによる助け合いサービス

社会福祉協議会・シルバー人材センター・NPO・自治会が運営する有償ボランティアサービスです。電球交換・買い物代行・草むしりなど、軽微な支援を1時間500〜1,500円程度の利用料で提供しています。

「混合介護」の用語の理解

混合介護とは、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する仕組み全般を指します。厚生労働省は「同時一体的な提供」と「明確に区分した上での連続的な提供」を分けて議論しており、現在認められているのは後者です。同一の時間帯に保険・保険外を同時提供することや、指名料・時間指定料を上乗せ徴収することは引き続き認められていません。

保険内サービスと保険外サービスの線引き

介護保険サービスでカバーされる範囲と保険外サービスが必要になる範囲を、具体例で整理します。

訪問介護(ヘルパー)でできること・できないこと

サービス内容保険対象保険外(自費)
本人の食事の調理・配膳○(生活援助)
同居家族分の食事の調理×
本人の部屋の掃除○(生活援助)
家族の部屋・共用部の掃除×
本人の散歩同行(リハ目的)○(身体介護)
趣味の外出同行(観劇・買い物)×
大掃除・年末の特別清掃×
草むしり・庭木の手入れ×
ペットの世話×
家具の移動・模様替え×
来客の応対・接待準備×
本人の通院介助(移動)○(通院等乗降介助)
本人の通院介助(院内付添)原則×(一部例外)

デイサービスでの保険外サービス

通所介護サービス提供中に同時に行える保険外サービスは限定的です。厚生労働省通知では、以下が明確に区分可能な保険外サービスとして認められています。

  • 理美容サービス(カット・カラー等)
  • 事業所内での健康診断・予防接種・採血
  • 利用者個人の希望による物販(日用品・食品・配食弁当の購入注文)
  • 機能訓練計画に位置付けられない個別外出支援(家族の希望による買物代行等)

費用相場の比較

サービス種別1時間あたりの目安
介護保険訪問介護(1割負担・生活援助)約230円〜(45分以上)
民間自費ヘルパー3,000〜4,500円
大手家事代行3,000〜5,000円
シルバー人材センター900〜1,500円
NPO・社会福祉協議会の助け合い500〜1,200円
自治体配食サービス(1食)400〜700円(補助込み)

保険外サービスは保険内に比べて圧倒的に高額です。「保険でできないか」を最優先で検討し、それでも必要な部分のみ保険外を組み合わせるのが基本戦略です。

ニーズ別・保険外サービスの選び方

  • 同居家族の食事の調理が必要 → 民間家事代行または混合介護対応の訪問介護事業所
    本人と家族の食事を別々に調理しなければならない場合、本人分は介護保険、家族分は保険外(混合介護)で同じヘルパーに依頼できる事業所を選ぶと効率的です。
  • 頻繁な通院の院内付添 → 民間自費ヘルパーまたは介護タクシー
    院内付き添いは介護保険給付の対象外です。診察室での代理応答、待合室での見守り、薬局での薬の受け取りなどは1〜2時間で5,000〜10,000円が相場。介護タクシーと組み合わせると移動と付添を一括対応可能。
  • 大掃除・季節の特別清掃 → シルバー人材センター
    窓拭き、エアコン清掃、年末の大掃除はシルバー人材センターが安価(1時間900〜1,500円)。年に1〜2回の特別清掃に向きます。
  • 日々の食事準備の負担軽減 → 自治体配食サービス+民間配食
    多くの自治体で1食300〜500円の補助あり。組み合わせで毎日1〜2食を外注化できます。詳細は高齢者向け配食サービスの選び方を参照。
  • 独居高齢者の見守り → 緊急通報装置(自治体)+センサー型見守り
    自治体が無料で設置する緊急通報ペンダント、民間の人感センサー(月1,500〜3,000円)の併用が一般的。
  • 家族介護者のレスパイト → 自費ショートステイ・自費デイサービス
    介護保険のショートステイ枠が足りないとき、自費で1泊8,000〜15,000円のショートステイを使う選択肢。介護負担軽減については介護疲れ・共倒れを防ぐも参照。
  • 趣味活動・社会参加の維持 → 有償ボランティア・地域サロン
    外出支援・話し相手・趣味の付き添いは社協・NPOの有償ボランティアが安価で対応。
  • 紙おむつ等の介護用品 → 自治体給付制度
    多くの市町村で要介護4〜5の在宅者に月3,000〜5,000円相当の紙おむつ給付があります。本人の医療費控除としても認められる場合があります。

自治体助成サービスの探し方と申請手順

自治体独自の高齢者福祉サービスは、地域差が大きく見つけにくいのが難点です。以下の手順で網羅的に探しましょう。

ステップ1:市区町村の高齢者福祉担当窓口に相談

市区町村役所の「高齢者福祉課」「介護保険課」「長寿支援課」等の窓口で、「在宅高齢者向けの自治体独自サービスを全部教えてください」と尋ねます。「高齢者福祉のしおり」「介護保険ガイド」などの冊子が用意されていることが多いです。

ステップ2:地域包括支援センターに二重確認

役所では事業の存在しか分からないため、実際の運用や対象者要件は地域包括支援センターで確認します。社会福祉士・保健師が個別事情に合わせて使える制度を提案してくれます。

ステップ3:自治体公式サイト・社会福祉協議会サイトで確認

市区町村と社会福祉協議会は別組織で、それぞれ別の支援メニューを持っています。両方のサイトで「高齢者支援」「在宅福祉」のページを確認します。

主な自治体助成サービスのカテゴリー

  • 食事支援:配食サービス、栄養指導、調理ボランティア派遣
  • 移動支援:タクシー券交付、福祉有償運送、外出支援サービス
  • 住環境整備:軽度の改修助成(介護保険対象外の工事)、火災報知器設置助成
  • 日用品給付:紙おむつ、防水シーツ、消毒液
  • 見守り・安全:緊急通報装置、認知症SOSネットワーク、徘徊探知機
  • 家事支援:寝具乾燥・水洗、訪問理美容、軽度生活援助員派遣
  • レスパイト:自治体運営ショートステイ、家族介護者リフレッシュ事業
  • 介護用品:購入助成、レンタル助成

申請に必要な書類

多くの自治体助成は、以下の書類で申請できます。

  • 申請書(窓口またはサイトでダウンロード)
  • 本人の介護保険被保険者証
  • 本人・世帯の所得状況確認書類(マイナンバー、課税証明書等)
  • 医師の意見書(必要な場合のみ)
  • ケアマネジャーの所見書(必要な場合のみ)

申請から決定までは2〜4週間が目安です。緊急時はケアマネジャーや地域包括支援センターが優先処理を依頼してくれる場合もあります。

所得制限に注意

自治体助成の多くには所得制限があり、住民税非課税世帯または住民税課税世帯でも低所得者層に限定されることが多いです。介護保険の負担限度額認定証を持つ世帯は対象になりやすい傾向があります。介護保険負担限度額認定証の申請方法も参考にしてください。

混合介護を契約する際の7つの注意点

混合介護は便利ですが、契約時のルールが厳密に定められています。トラブル防止のため以下を必ず確認してください。

1. 保険と保険外を明確に区分した契約書

厚生労働省通知では、保険外サービスについて「事業の目的・運営方針・利用料等を、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定めること」が義務付けられています。契約書も別々に交わし、利用料を分離計上することを確認しましょう。

2. ケアプランへの記載

保険外サービスの内容・提供時間は、契約締結前後にケアマネジャーへ報告され、必要に応じて居宅サービス計画書(週間サービス計画表)に記載されます。記載されないと家族側で全体把握が困難になります。

3. 保険サービスの提供時間に保険外時間を含めない

例えば訪問介護(生活援助)45分の前後に保険外調理30分を行う場合、保険上は45分のみで請求します。一体運用に見えても、計上は別々であることを請求書で確認します。

4. 苦情受付窓口の設置

保険外サービスに関する苦情を受け付ける窓口を事業者が設置していることを確認します。多くは保険サービスの苦情窓口と兼用ですが、別々の場合もあります。

5. 認知症の方への配慮

認知機能が低下している場合、「保険・保険外の切り替え」を理解しにくいため、ヘルパーが切替えのタイミングを丁寧に説明する義務があります。家族として、契約時にこの配慮の有無を確認しましょう。

6. 高額商品の販売勧誘の禁止

事業者が利用者の認知機能低下に乗じて高額商品(健康食品、医療機器、寝具等)を販売することは禁止されています。違反があれば消費生活センター・市町村に通報を。

7. 指名料・時間指定料は認められない

「特定のヘルパーを指名する」「繁忙期に優先利用する」等の上乗せ料金は厚労省通知で認められていません。請求書にこれらの名目で料金が乗っている場合は事業者に説明を求めましょう。

ケアマネジャーへの相談を最優先に

保険外サービスの利用判断は、ケアプラン全体の見直しを伴うことが多いため、ケアマネジャーに相談してから契約するのが安全です。ケアマネジャーの選び方も参考にしてください。

月額費用シミュレーション(保険+保険外の組合せ例)

典型的な利用パターンで、保険サービスと保険外サービスを組み合わせた場合の月額負担額を試算します。

パターンA:要介護2・独居・週3回ヘルパー利用

サービス頻度月額(1割負担/実費)
訪問介護(生活援助45分)週3回約3,200円(保険)
デイサービス7〜8時間週2回約7,000円(保険)
食費(デイ)週2回×700円約5,600円
自治体配食週5食約8,000円(補助込み)
緊急通報装置常設無料(自治体貸与)
月額合計約23,800円

パターンB:要介護3・同居家族あり・混合介護利用

サービス頻度月額(1割負担/実費)
訪問介護(身体介護30分以上1時間未満)週5回約8,500円(保険)
保険外サービス(家族分調理)週5回×30分約30,000円(実費 3,000円/時×10時間)
デイサービス7〜8時間週3回約12,000円(保険)
食費(デイ)週3回×800円約9,600円
福祉用具レンタル常設約2,000円(保険)
月額合計約62,100円

パターンC:要介護4・独居・通院多い・院内付添あり

サービス頻度月額(1割負担/実費)
訪問介護週6回約12,000円(保険)
訪問看護週2回約6,000円(保険)
デイサービス週2回約10,000円(保険)
院内付添(自費ヘルパー)月2回×3時間約24,000円(4,000円/時×6時間)
介護タクシー(保険外)月4回約8,000円
紙おむつ(自治体給付)月1セット無料
月額合計約60,000円

保険サービスだけで完結する月額の2〜3倍が、保険外を組み合わせた場合の現実的な負担額です。世帯の所得に応じて、自治体助成・高額介護サービス費の払い戻し等で軽減できる部分もあるため、ケアマネジャーと相談しながら最適化していくことが重要です。

よくある質問

Q. 介護保険外サービスは医療費控除の対象になりますか?

A. 一部のサービス(医師の指示に基づく訪問看護等)は対象になりますが、家事代行・通常の家政婦・付添サービスなどは原則対象外です。例外として「居宅サービス計画書に記載された保険外サービスのうち、医療系サービスや特定の介護費用」は医療費控除の対象になり得ます。詳細は税理士または税務署に確認しましょう。

Q. 混合介護は同じヘルパーが続けてやってくれますか?

A. はい、明確に区分すれば同じヘルパーが連続して保険サービスと保険外サービスを提供することが厚生労働省通知で認められています。例:本人の調理(保険)45分→家族分の調理(保険外)30分。ただし、特定のヘルパーを指名する「指名料」は徴収できません。

Q. 自費ヘルパーは介護保険のヘルパーと違うのですか?

A. 同じ訪問介護事業所が両方を提供することも、別の自費専門会社が提供することもあります。介護保険のヘルパー資格(介護福祉士・初任者研修修了者等)が必要かどうかも事業者ごとに違うため、契約前に確認しましょう。経験豊富な介護福祉士に対応してほしい場合は、専門会社の方が選択肢が広いことが多いです。

Q. 自治体のサービスは介護保険を使っていなくても利用できますか?

A. 多くの自治体サービスは65歳以上または要支援以上の高齢者を対象とし、介護保険認定の有無を問いません。緊急通報装置や紙おむつ給付などは要支援未満でも独居高齢者なら対象になることがあります。

Q. シルバー人材センターと家事代行は何が違いますか?

A. シルバー人材センターは60歳以上のシニア会員が短時間就業する形態で、料金が安く(1時間900〜1,500円)地域密着型です。家事代行は専門訓練を受けたスタッフが対応し、料金は高め(3,000〜5,000円)ですが、サービス品質と継続性が安定しています。軽作業はシルバー人材、本格的な家事支援は家事代行と使い分けましょう。

Q. 配食サービスは介護保険外ですか?

A. はい、原則として保険外です。一部の自治体で食事代の一部補助があるため、自治体独自の高齢者向け配食事業がないか確認しましょう。詳細は高齢者向け配食サービスの選び方を参照してください。

Q. 訪問理美容は介護保険の対象ですか?

A. 訪問理美容そのものは介護保険対象外ですが、多くの自治体で要介護4・5の在宅者向けに年4〜6回の補助券を発行しています。市区町村の高齢者福祉窓口で確認しましょう。

参考文献・出典

まとめ

介護保険外サービスは、保険サービスの「穴」を埋めるためのもう一つの介護資源です。民間自費・自治体助成・混合介護・有償ボランティアの4分類を頭に入れ、ニーズに応じて使い分けることで、限られた費用で介護負担を最大限軽減できます。

選び方の基本は「保険でできることは保険で、足りない部分だけ保険外で」です。保険外を先に契約してしまうと費用が膨らみやすいため、まずケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、保険サービスのフル活用+自治体助成の発掘+必要最小限の保険外という順序で組み立てましょう。

関連記事として、在宅介護にかかる費用では月額シミュレーション、訪問介護を家族が利用する流れでは保険サービスの基本、ケアマネジャーの選び方では相談相手の選び方を解説しています。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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