介護保険負担限度額認定証の申請方法|補足給付の対象・所得段階・食費居住費の上限【2026年版】
ご家族・ご利用者向け

介護保険負担限度額認定証の申請方法|補足給付の対象・所得段階・食費居住費の上限【2026年版】

介護保険負担限度額認定証(補足給付)の申請方法を家族向けに解説。第1〜第3段階②の所得・預貯金要件、施設別の食費居住費の上限、2026年8月改定、必要書類、有効期間、高額介護サービス費との違いまで網羅。

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介護保険負担限度額認定証とは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などの入所やショートステイ利用時に、食費と居住費(部屋代)の自己負担に上限を設けてくれる証明書です。世帯全員(別世帯の配偶者を含む)が住民税非課税で、かつ預貯金が単身500〜1,000万円以下・夫婦1,500〜2,000万円以下であれば対象となり、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に申請します。認定されると食費は1日300〜1,360円、居住費は0〜1,370円の範囲に抑えられ、超えた分は介護保険から「補足給付(特定入所者介護サービス費)」として施設に直接支払われます。有効期間は申請月の1日から翌年7月31日までで毎年更新が必要です。

目次

親が特別養護老人ホームに入所することになった、ショートステイの請求書を見たら食費・居住費だけで月10万円を超えていた——そんなとき、家計の負担を一気に軽くしてくれるのが「介護保険負担限度額認定証」(通称:負担限度額認定証)です。

これは介護保険施設の食費・部屋代について、低所得世帯ほど自己負担に低い上限を設け、上限を超えた金額を介護保険から施設へ直接給付(補足給付)してくれる制度です。住民税非課税世帯であれば申請するだけで月3〜5万円以上の節約になるケースも珍しくありませんが、「制度を知らずに数年間まるごと自費負担していた」という相談は今も多く寄せられます。

2026年8月からは第3段階②の食費・居住費が一部引き上げられ、認定証の様式も多床室3区分に細分化されました。本記事では、対象になる方の判定基準・施設別の食費居住費の上限額・申請手順・必要書類・有効期間・高額介護サービス費との違いまで、家族が押さえるべきポイントを2026年版の最新情報で整理します。

負担限度額認定証(補足給付)の制度概要

負担限度額認定証は、介護保険施設に入所・ショートステイで利用したときの食費居住費(部屋代・滞在費)に、所得段階に応じた自己負担の上限額(負担限度額)を設定する制度です。正式名称は「特定入所者介護サービス費(補足給付)」と呼ばれ、介護保険制度の中で低所得世帯の施設利用を支える柱となっています。

そもそも食費・居住費は全額自己負担が原則

介護サービスそのものの利用料は介護保険の対象で、自己負担は通常1〜3割で済みます。しかし食費と居住費は介護保険の対象外で、原則として全額が利用者の自己負担です。基準費用額は厚生労働省が示しており、1日あたり食費1,445円・ユニット型個室の居住費2,066円が標準(月額にすると食費約4.3万円+居住費約6.2万円=合計10万円超)。これに加えて介護サービス費の自己負担が乗るため、年金生活の高齢者にとっては大きな負担となります。

低所得世帯には負担限度額を設定して差額を補填

そこで導入されたのが補足給付の仕組みです。市区町村が利用者を所得・預貯金で第1〜第3段階②の4区分に分類し、各段階に応じた負担限度額までを利用者が負担し、それを超える金額を介護保険から施設へ直接給付します。利用者は施設の利用料明細を見ても基準費用額ではなく負担限度額で請求されるため、家計の予測が立てやすくなります。

対象となる施設・サービス

負担限度額認定証が適用されるのは、次のいわゆる「介護保険施設」と短期入所サービスのみです。

  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
  • 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院
  • 介護療養型医療施設(経過措置)
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム・デイサービス・訪問介護は対象外です。これらの施設・サービスを利用している方は、別の軽減制度(高額介護サービス費・社会福祉法人等利用者負担軽減制度など)を検討する必要があります。

所得段階と預貯金要件(第1〜第3段階②の判定基準)

負担限度額認定の判定では、所得(年金収入+合計所得金額)預貯金等資産の両方の要件を満たす必要があります。どちらか片方ではダメで、両方クリアして初めて認定されます。

所得・預貯金の段階別判定表

段階所得条件預貯金等(単身)預貯金等(夫婦)
第1段階生活保護受給者、または世帯全員が住民税非課税の老齢福祉年金受給者1,000万円以下2,000万円以下
第2段階世帯全員が住民税非課税で、年金収入等+合計所得金額が年間80万9千円以下650万円以下1,650万円以下
第3段階①世帯全員が住民税非課税で、年金収入等+合計所得金額が80万9千円超〜120万円以下550万円以下1,550万円以下
第3段階②世帯全員が住民税非課税で、年金収入等+合計所得金額が120万円超500万円以下1,500万円以下
第4段階上記以外(市町村民税課税世帯)補足給付の対象外

※ 第2号被保険者(40〜64歳)の場合は所得段階に関わらず預貯金等が単身1,000万円・夫婦2,000万円以下であれば対象(横浜市など多くの自治体共通ルール)。

「世帯全員」の意味と配偶者の合算判定

所得要件の「世帯全員が住民税非課税」は、住民票上の世帯員全員が対象です。さらに重要なのは、配偶者が別世帯(世帯分離)であっても住民税非課税である必要があること。「同じ家計の配偶者だけ世帯分離しておけば認定される」というよくある誤解は通用しません。事実婚(内縁関係)の配偶者も判定対象に含まれます。

例外として、DV防止法の保護命令対象や行方不明の配偶者は世帯員に含めません。

預貯金等に含まれる資産・含まれない資産

預貯金要件の判定対象となる資産は、現金化が容易で評価額が把握しやすいものに限定されます。

含まれるもの:

  • 普通預金・定期預金(通帳の写しで確認)
  • 有価証券(株式・国債・地方債・社債)
  • 投資信託
  • 金・銀の積立、購入先の口座で時価評価できる貴金属
  • 現金(タンス預金、自己申告)
  • 負債は預貯金から差し引いて判定(住宅ローンなど)

含まれないもの:

  • 生命保険(解約返戻金)の取り扱いは自治体差あり、含めない自治体が多数
  • 自動車・家屋・宅地などの不動産
  • 絵画・骨董品・宝石など時価評価が難しい資産
  • 仏壇・家財道具

申請時には、申請者本人と配偶者のすべての金融機関の通帳の写し(直近2か月分の記帳)を添付し、市区町村が必要に応じて金融機関へ照会できる旨の同意書も提出します。不正受給が発覚すると給付額の最大3倍の返還を求められるため、預貯金は正直に申告してください。

施設別の食費・居住費の負担限度額(2026年8月改定後)

負担限度額は施設の部屋タイプ(ユニット型個室/ユニット型個室的多床室/従来型個室/多床室)と所得段階の組み合わせで決まります。2026年(令和8年)8月1日から第3段階②の食費・居住費が一部引き上げられ、新様式の認定証では多床室区分が細分化されました。

食費の負担限度額(1日あたり)

段階施設入所(特養・老健・介護医療院)ショートステイ
第1段階300円300円
第2段階390円600円
第3段階①650円1,000円
第3段階②1,360円1,300円
第4段階(基準費用額)1,445円1,445円

居住費の負担限度額(1日あたり、2026年8月改定後)

段階ユニット型個室ユニット型個室的多床室従来型個室(特養)従来型個室(老健・医療院)多床室(特養)多床室(老健・医療院)
第1段階880円550円380円550円0円0円
第2段階880円550円480円550円430円430円
第3段階①1,370円1,370円880円1,370円430円430円
第3段階②1,370円1,370円880円1,370円430円530円
第4段階(基準費用額)2,066円1,668円1,171円1,668円855円377円

出典: 厚生労働省「介護保険施設等における居住費の負担限度額が令和6年8月1日から変わります」(2026年改定値を反映)。室料非徴収の介護老人保健施設・介護医療院では2026年8月から第3段階②の多床室が430円→530円に変更(品川区広報より)。

申請するとどれだけ節約できるか(月額試算)

仮に第2段階の方が特養のユニット型個室を1か月(30日)利用した場合:

  • 負担限度額認定なし: 食費1,445円+居住費2,066円=3,511円/日×30日=105,330円/月
  • 負担限度額認定あり: 食費390円+居住費880円=1,270円/日×30日=38,100円/月
  • 差額:67,230円/月(年間約81万円)の軽減

第1段階の多床室利用なら食費300円のみ(居住費0円)で月9,000円となり、基準費用額(食費+多床室=月約7万円)と比べて月6万円以上の差が生じます。該当しそうな方は申請しないと相当な損失になるため、入所決定前から市区町村窓口で要件を確認しておくことを強く推奨します。

2026年8月改定のポイント

厚生労働省は「介護保険最新情報Vol.1491」(2026年4月3日付)で、第3段階②の負担限度額引き上げと認定証様式変更を通知しました。主な変更点は以下のとおりです。

  • 第3段階②の食費:1日60円引き上げ(月約2,000円増)
  • 第3段階②の居住費:1日100円引き上げ(月約3,000円増、室料非徴収老健・医療院の多床室)
  • 多床室区分の細分化:これまで一括りだった「多床室」が認定証様式で3区分に細分化(旧様式は経過措置で当分の間使用可)
  • 第1段階の据え置き:多床室を0円としている第1段階の利用者は負担限度額を据え置き、負担増にならない配慮

申請の手順と必要書類(市区町村窓口での申請フロー)

ステップ1: 申請窓口を確認する

申請先は住民登録のある市区町村の介護保険担当窓口です。多くの自治体では区役所・市役所の「介護保険課」「高齢者福祉課」または地域包括支援センターで受付しています。介護施設の所在地が住所地と異なる場合でも、申請は本人の住民票がある自治体に提出します(住所地特例)。

ステップ2: 申請書と必要書類を準備する

標準的な必要書類は次のとおりです(自治体により多少異なるため、事前に窓口またはホームページで確認してください)。

  • 介護保険負担限度額認定申請書(自治体のホームページからダウンロード可、窓口でも入手可)
  • 同意書(金融機関への預貯金照会・課税状況確認に同意する書類、配偶者がいる場合は配偶者の同意書も必要)
  • 申請者本人および配偶者の預貯金通帳の写し(直近2か月以内に記帳した、銀行名・支店・口座番号・名義・最終残高がわかる部分)
  • 有価証券・投資信託の口座残高の写し(該当する場合)
  • マイナンバーがわかる書類(マイナンバーカード、通知カード等)
  • 本人確認書類(運転免許証・健康保険証など)
  • 代理人申請の場合は委任状と代理人の本人確認書類

※ 通帳が複数ある場合は全ての通帳の写しを提出してください。インターネットバンキングのみの口座は、口座残高ページの写しでも可。

ステップ3: 窓口に持参または郵送で提出

持参・郵送どちらでも受付可能で、消印日が申請日となります。申請月の1日まで遡って軽減が適用されるため、月末申請の場合は郵送よりも窓口持参の方が安全です。一部自治体ではオンライン申請(マイナポータルなど)にも対応していますが、まだ少数派です。

ステップ4: 審査・認定証の交付(約1〜2週間)

市区町村は提出された資料と税情報・金融機関への照会結果を突合し、要件を満たしているか審査します。初回申請から認定証の郵送までは概ね1〜2週間。決定通知書とともに認定証が世帯主または申請者宛に送付されます。要件を満たさない場合は「不該当通知」が届きます。

ステップ5: 認定証を施設に提示する

認定証が届いたら、必ず利用している(する予定の)介護施設に提示してコピーを渡してください。施設は認定証を確認したうえで負担限度額の請求に切り替えます。提示前の食費・居住費は基準費用額(または契約額)で請求されるため、遡って差額を返金してもらうことはできません。「申請月の1日」が起算日になるため、入所前または入所直後に必ず申請してください。

ステップ6: 毎年7月に更新申請

認定証の有効期間は申請月の1日から翌年7月31日までで、自動更新はされません。引き続き対象となる方には毎年6〜7月に市区町村から更新申請の案内が郵送されます。更新申請を忘れると8月1日からは基準費用額(または施設契約額)で請求が再開されるため、案内が届いたら速やかに手続きしてください。

高額介護サービス費との違いと併用可否

介護費用の負担を抑える公的制度には「負担限度額認定証(補足給付)」のほかに、似た名前の「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費」があります。家族からよく混同される3制度の違いを整理しておきましょう。

3つの制度の対象範囲の違い

制度対象になる費用給付方法対象者の判定基準
負担限度額認定
(補足給付)
介護保険施設・ショートステイの食費・居住費負担限度額を超えた額を介護保険から施設へ直接給付住民税非課税世帯+預貯金要件
高額介護サービス費介護サービス利用料(1〜3割の自己負担額)が月の上限額を超えた分申請後に超過分を本人に払い戻し所得区分(住民税課税世帯も対象)
高額医療・高額介護
合算療養費
1年間の医療費と介護サービス費の合算自己負担が上限を超えた分申請後に超過分を本人に払い戻し所得区分・年齢区分

負担限度額認定と高額介護サービス費は併用できる

これら3制度は同時に併用可能で、対象になる費用の種類が異なるため重複給付にはなりません。例えば住民税非課税の親が特養に入所している場合:

  • 食費・居住費→負担限度額認定証で軽減(第2段階なら月3.8万円程度)
  • 介護サービス自己負担額→高額介護サービス費で上限24,600円/月に抑制(区分は住民税非課税世帯)
  • 医療費+介護費→年間上限を超えた分は合算療養費で還付

3制度をすべて活用すると、住民税非課税の特養入所者の自己負担は月7〜8万円程度に収まるケースが多く、年金収入の範囲内で生活費を確保できるよう設計されています。

高額介護サービス費との手続きの違い

負担限度額認定は事前申請(施設利用前または利用月に認定証を取得して提示)が必要ですが、高額介護サービス費は事後申請(自己負担額が上限を超えた月の後に通知が届き、初回のみ口座登録すれば以降は自動振込)という違いがあります。負担限度額認定は申請月以前に遡れないため、施設入所が決まった時点ですぐに動くことが鉄則です。

有料老人ホーム入居者は別の軽減制度を検討

負担限度額認定は介護保険施設限定のため、有料老人ホーム・サ高住・グループホームに入居している方は対象外です。これらの方は、社会福祉法人等が提供する「社会福祉法人等利用者負担軽減制度」や、医療費控除(おむつ代を含む施設利用料の一部)の活用を市区町村に相談してください。

申請前に押さえておきたい実務チェックポイント

負担限度額認定の申請でつまずきやすい論点を、家族目線で整理しました。窓口に出向く前にざっと確認しておくとスムーズです。

1. 「世帯分離」だけで認定は受けられない

「親と世帯を分ければ親だけ住民税非課税になり認定されるのでは」と考える方が多いのですが、住民票上の世帯を分けていても、配偶者が住民税課税の場合は対象外です。「世帯」の定義は住民基本台帳上の世帯ですが、配偶者については別世帯でも合算判定される、という独自ルールがあります。

ただし配偶者が亡くなっている、離婚している、DV防止法の保護対象、行方不明の場合は配偶者要件の合算対象から外れます。実態に基づいた世帯分離(介護のために息子・娘の世帯に親を迎え入れたが家計は別、など)は認定の可能性がありますが、軽減目的のみの形式的な分離は認められません。

2. 預貯金の合算範囲を勘違いしない

預貯金等の判定対象は「申請者本人+配偶者(別世帯含む)」です。同居している子の預貯金は判定対象になりません。一方、本人名義の預金が複数の銀行に分散している場合は全ての金融機関の通帳を提出する必要があり、申告漏れは不正受給とみなされます。

3. 不正受給のペナルティは「最大3倍」

預貯金や有価証券を意図的に申告漏れした場合、市区町村は給付額に加えて最大2倍の加算金(給付額と合わせて最大3倍)を返還請求します(介護保険法第22条)。マイナンバーで金融機関照会が可能になり、隠匿はほぼ確実に発覚するため、通帳・証券口座は全て正直に申告してください。

4. 入所決定前から動く

申請月の1日まで遡って軽減されますが、申請月より前の食費・居住費は遡及できません。「入所後しばらく経って制度を知った」というケースでは、すでに支払った数か月分は戻ってこないため、入所が決まったらケアマネジャーや施設の生活相談員に「負担限度額認定を出したい」と申し出て、即座に書類を揃えるのが鉄則です。

5. 第4段階でも特例軽減措置を確認する

第4段階(住民税課税世帯)でも、片方の配偶者が施設入所して在宅側の生活が困窮する場合などは特例軽減措置(旧:境界層該当者)で第3段階の負担限度額が適用される可能性があります。要件は次のすべてを満たす場合です。

  1. 世帯人数2人以上
  2. 世帯の年間収入から施設利用者負担見込額を除いた額が80万円以下
  3. 世帯の現金・預貯金等が450万円以下
  4. 日常生活に不要な資産を所有していない
  5. 介護保険料を滞納していない
  6. 介護保険施設に入所し第4段階の食費・居住費を負担

該当しそうな場合は市区町村の介護保険担当窓口に「特例軽減措置を申請したい」と相談してください。

6. ショートステイでも申請しておく

負担限度額認定はショートステイ利用時にも適用されます。ショートステイ利用が頻繁にある場合、認定証を取得しておけば食費の自己負担を大幅に抑えられます(第2段階のショートステイ食費は600円/日。基準費用額は1,445円/日のため、1泊で約850円、月10泊で約8,500円の軽減)。

よくある質問(FAQ)

Q. 申請してから認定証が届くまでどれくらいかかりますか?

初回申請の場合は概ね1〜2週間で郵送されます。更新申請の場合は7月下旬〜8月中旬にかけて自治体から一斉送付されます。施設利用月の月末ギリギリに申請するとその月分の遡及はできても、施設への提示が翌月になり請求調整に時間がかかるため、入所が決まったらできるだけ早めに申請してください。

Q. 認定証を施設に提示する前に支払った食費・居住費は戻ってきますか?

申請月の1日まで遡って軽減が適用されるため、同じ月の中であれば施設に申し出て差額の返金や次回相殺が可能です。ただし申請月よりも前の月の食費・居住費は遡及できません。「入所して数か月経ってから制度を知った」という場合、過去分は救済されないため、入所前または入所後すぐに申請することが重要です。

Q. 配偶者を世帯分離すれば認定されますか?

認定されません。住民票上の世帯を分けていても、配偶者が住民税課税であれば負担限度額認定の対象外です。配偶者については別世帯であっても課税状況と預貯金が合算判定されるという独自ルールがあるため、形式的な世帯分離では効果がありません。

Q. 子と同居している場合、子の預貯金も判定対象になりますか?

なりません。預貯金判定の対象は申請者本人と配偶者(別世帯含む)のみです。同居している子や孫の預貯金は判定対象外。一方で、同居している子が住民税課税者であれば「世帯全員が住民税非課税」という所得要件を満たせないため、結果として認定対象外になることがあります。この場合は住民票上の世帯分離(子だけ別世帯にする)で要件を満たせる可能性があります。

Q. 有料老人ホームでも使えますか?

使えません。負担限度額認定が適用されるのは介護保険3施設(特養・老健・介護医療院)と短期入所サービスのみで、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム・ケアハウスは対象外です。これらの施設では食費・居住費は施設との契約額で全額自己負担となります。

Q. 認定証を紛失した場合はどうすればいいですか?

市区町村の介護保険担当窓口で再交付申請ができます。申請書(再交付用)と本人確認書類があれば即日または数日で再交付されます。施設に提示する原本がない期間は基準費用額で請求される可能性があるため、紛失に気づいたらすぐに再交付を申請してください。

Q. 預貯金が基準を1万円超えていたら絶対に認定されませんか?

原則として認定されません。預貯金等の基準は厳格で、第2段階の単身者は650万円「以下」が要件です。ただし住宅ローンなど負債は預貯金から差し引いて判定できるため、債務がある方は通帳の写しと一緒に金銭消費貸借契約書のコピーを提出して相談してください。

Q. 認定証を2026年8月以降に取得した場合、新様式と旧様式どちらが届きますか?

新様式(多床室3区分対応)で交付されます。すでに発行済みの旧様式認定証は2027年7月31日まで有効で、施設はそのまま受け取ります。手元に残った旧様式用紙も自治体側で所要の修正を加えて当分の間使用できる経過措置が設けられています(厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1491)。

参考文献・出典

まとめ

介護保険負担限度額認定証は、特養・老健・介護医療院・ショートステイの食費と居住費の自己負担に上限を設けてくれる、家族の家計を守る大切な制度です。住民税非課税世帯であれば月3〜7万円、年間で40〜80万円規模の節約になることもあり、申請しない理由はほぼありません

本記事のポイントを最後に整理します。

  • 対象は介護保険3施設+短期入所サービスのみ(有料老人ホーム・サ高住は対象外)
  • 所得要件(世帯全員+別世帯配偶者が住民税非課税)と預貯金要件(単身500〜1,000万円以下/夫婦1,500〜2,000万円以下)の両方を満たす必要がある
  • 申請窓口は住民票のある市区町村の介護保険担当課。通帳の写し(本人+配偶者)と同意書、申請書、マイナンバー書類を持参
  • 有効期間は申請月の1日から翌年7月31日まで。毎年6〜7月に更新申請が必要
  • 2026年8月から第3段階②の食費・居住費が引き上げ。認定証様式は多床室3区分対応に変更(旧様式も経過措置で有効)
  • 高額介護サービス費・合算療養費とは併用可能。負担限度額認定は事前申請、高額介護サービス費は事後申請と申請タイミングが異なる
  • 申請月より前の食費・居住費は遡及できないため、入所決定前から動くのが鉄則

細かい運用は自治体ごとに違うため(オンライン申請の有無、必要書類の追加、世帯分離の判断基準など)、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口またはホームページで最新情報を確認してください。施設のケアマネジャー・生活相談員も申請の段取りに慣れているので、入所手続きと並行して相談すると申請漏れを防げます。

監修者

介護のハタラクナカマ 医療・介護監修チーム

医療・介護専門職チーム(看護師/介護福祉士/ケアマネジャー)

看護師介護福祉士ケアマネジャー

訪問看護・介護保険・医療保険に関する制度内容を、厚生労働省・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会等の一次ソースをもとに、医療・介護専門職チームが内容の正確性を確認しています。

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