
見守りサービスとは
見守りサービスは離れて暮らす高齢者の安否を確認する仕組み。訪問型・センサー型・カメラ型・宅配型・通報型の5タイプの特徴と月額料金、自治体補助の使い方までを解説。
この記事のポイント
見守りサービスは、ひとり暮らしや高齢者のみ世帯の生活状況を、家族に代わって民間事業者・自治体・地域住民が定期的に確認する仕組みの総称。訪問型・センサー型・カメラ型・宅配(配食)型・通報型の5系統に大別され、月額1,000〜5,000円が中心価格帯。介護保険外サービスとして提供される民間型と、自治体が地域支援事業として運営する公費型があり、両者を組み合わせて利用するケースも多い。
目次
見守りサービスの定義と背景
見守りサービスとは、高齢者の安否や生活状況を家族以外の主体が定期的・継続的に確認するサービス全般を指す。背景には、後期高齢者人口の増加と核家族化により「ひとり暮らし高齢者世帯」が急増している社会状況がある。総務省「住民基本台帳に基づく人口・世帯数」では、65歳以上のひとり暮らし世帯は2025年時点で約750万世帯に達し、2040年には900万世帯を超える見込みだ。
制度上の位置づけ
見守りサービスには大きく分けて2系統ある。1つは介護保険法に基づく地域支援事業(任意事業)の一つとして市区町村が実施する公費型サービス。もう1つは介護保険外サービスとして、警備会社・通信事業者・宅配会社・電気事業者などが提供する民間型サービスだ。両者は法的位置づけが異なるため、対象者・費用負担・サービス範囲も異なる。
担い手の多様化
従来は地域包括支援センター・民生委員・社会福祉協議会の協力員が中心だったが、近年はNTTドコモ・象印(みまもりほっとライン)・東京電力・ヤマト運輸・日本郵便など、民間事業者の参入が進んでいる。総務省の「ICTを活用した高齢者見守り推進事業」など国の支援も背景にあり、IoTセンサーやカメラ、スマホアプリを使ったICT見守りが急速に普及している。
類似用語との関係
「見守りサービス」と「緊急通報システム」は混同されやすいが、前者は日常的な安否確認(受動型)、後者は緊急時にボタンを押すと通報する仕組み(能動型)という違いがある。実際は両者を併用するのが理想形だ。
見守りサービス5タイプの特徴と料金相場
見守りサービスは仕組みごとに5タイプに分類できる。それぞれの特徴・料金相場・適した利用者を整理する。
- 訪問型:専任スタッフが月1〜2回訪問し、対面で安否確認+健康相談を実施。月額1,980〜5,000円。会話を通した心理的安心がほしい人向け。
- センサー型:人感センサー・ドアセンサー・家電稼働センサーで生活リズムの異変を検知し家族に通知。月額1,000〜3,000円+初期費用15,000〜80,000円。プライバシーを保ちつつ自動で監視したい人向け。
- カメラ型:自宅内のカメラ映像をスマホで遠隔確認。月額500〜2,000円+カメラ本体5,000〜30,000円。映像で直接様子を見たい家族向け。プライバシー配慮が必要。
- 宅配(配食)型:弁当・新聞・牛乳の宅配時に対面で安否確認。配食1食500〜1,000円。日々の生活サポートと組み合わせたい人向け。
- 通報型(緊急ボタン):固定機・ペンダント機のボタンで24時間受信センターに通報。月額1,500〜5,000円(民間)/自治体は無料〜2,000円。急変対応を重視する高齢者向け。
多くのサービスが複数タイプを組み合わせたパッケージプランを提供しており、家庭環境と本人の身体状況に応じて選択する。
自治体型と民間型の見守りサービス比較
| 項目 | 自治体型 | 民間型 |
|---|---|---|
| 運営主体 | 市区町村(地域包括支援センター・社会福祉協議会・民生委員) | ALSOK・セコム・象印・NTTドコモ・ヤマト運輸 等 |
| 対象者 | 原則65歳以上のひとり暮らし/高齢者のみ世帯/重度障害者 | 制限なし(家族契約も可) |
| 費用 | 無料〜月2,000円程度(住民税非課税は無料) | 月1,000〜5,000円+機器費用 |
| サービス範囲 | 緊急通報システム/民生委員訪問/配食安否確認/声かけ | センサー/カメラ/GPS/訪問/駆けつけ/健康相談 |
| 申込窓口 | 市区町村高齢福祉課・地域包括支援センター | 各社のWebサイト・代理店 |
| 柔軟性 | サービス内容は決まっており選択肢少ない | プラン選択・解約が自由 |
費用を抑えたい場合は自治体型から検討。家族が頻繁にスマホで状況確認したい場合や、認知症・心疾患など医療面の不安がある場合は民間型のセンサー+駆けつけ付きサービスが有効。両者は併用可能で、緊急通報システムは自治体型を、日常見守りは民間型を組み合わせる世帯も多い。
見守りサービスを選ぶときのチェックポイント
- 本人の身体状況:認知症があるかどうか、ボタン操作・スマホ操作が可能か。認知症の方は人感センサー・カメラ型が向く。
- 離れた家族との距離:頻繁に駆けつけられるなら通報型のみで足りる。遠距離なら警備員駆けつけ付きや民生委員訪問付きが必須。
- プライバシーへの配慮:カメラ型は便利だが本人が嫌がるケースも。事前に本人と話し合い、設置場所をリビング・玄関のみに限るなど工夫を。
- 住宅の通信環境:センサー型はWi-Fi、または専用ゲートウェイが必要。光回線・モバイルWi-Fiの導入可否を確認。
- 地域包括支援センターへの相談:要介護認定がなくても無料で相談可能。地域の見守りネットワークと有料サービスの組み合わせを助言してもらえる。
- 解約条件:施設入所・入院時の休止・解約手続きの簡易性を確認。違約金が発生するプランは避けたい。
- 火災警報器・ガス警報器との連動:自治体事業のオプションで連動可能なら、火災・ガス漏れ時の自動通報が安心。
見守りサービスに関するよくある質問
Q1. 見守りサービスは介護保険で利用できますか?
A. 見守りサービスは原則、介護保険外サービス(保険適用外の自費サービス)。ただし、市区町村が地域支援事業として無料/低額で実施するものは利用可能。要介護認定がなくても利用できる自治体が多い。
Q2. 見守りカメラは本人の同意なしに設置できますか?
A. プライバシーの観点から、本人の同意は必ず必要。判断能力が低下している場合でも家族の独断ではなく、本人へ繰り返し説明し納得を得たうえで設置する。リビング・玄関など共用部分に限定する配慮も重要。
Q3. 老人ホームに入居したら見守りサービスは不要ですか?
A. 施設では24時間スタッフが常駐するため自宅向け見守りは不要。ただし家族の不安が大きい場合、面会頻度を増やす目的でビデオ通話アプリを導入する施設もある。
Q4. 安否確認の連絡頻度はどれくらいですか?
A. センサー型は異変検知時のみ通知、訪問型は週1〜月1回、宅配型は週3〜毎日(食事頻度に依存)、通報型は本人が押した時のみ。複数を組み合わせれば「日常は宅配・異変はセンサー・緊急時は通報」と多層的にカバーできる。
Q5. 見守りサービスの効果は実証されていますか?
A. 厚生労働省「ICTを活用した地域包括ケア」報告によれば、見守りサービス導入世帯では孤独死発見までの時間が平均48時間→6時間に短縮された事例が報告されている。早期発見による医療費削減と家族の心理的負担軽減の両面で効果が認められている。
参考資料
- 厚生労働省「地域支援事業の概要」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088276.html
- 厚生労働省「介護保険外サービス活用ガイドブック」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088622.html
- 総務省「ICTを活用した地域づくり(高齢者見守り)」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/
- e-Gov 法令検索「介護保険法(地域支援事業)」https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000345.html
- 東京都福祉保健局「東京の高齢者見守り事業」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/oshirase.html
まとめ
見守りサービスは、高齢者ひとり暮らし世帯の急増を背景に、家族・地域・民間事業者が連携して安否を確認する社会インフラに育ちつつある。訪問型・センサー型・カメラ型・宅配型・通報型の5タイプから本人の身体状況・住宅環境・家族の関わり方に合わせて選択する。費用は月1,000〜5,000円が中心。まずはお住まいの市区町村高齢福祉課・地域包括支援センターに相談し、自治体事業を優先利用、足りない部分を民間サービスで補う「ハイブリッド設計」が最もコストパフォーマンスが良い。緊急通報システムや配食サービスとの組み合わせで、24時間の安心を実現できる。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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