介護離職を避ける働き方|介護休業93日・短時間勤務・両立支援助成金の活用ガイド
ご家族・ご利用者向け

介護離職を避ける働き方|介護休業93日・短時間勤務・両立支援助成金の活用ガイド

親の介護で仕事を辞める前に知っておきたい制度を網羅。介護休業93日・給付金67%・介護休暇年5日(10日)・短時間勤務・残業免除と、デイ/訪問/ショートを組み合わせた在宅両立例、会社への切り出し方、休業後の選択肢まで2026年最新情報で解説。

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介護離職を避けるには、(1)介護休業93日(給付金は休業前賃金の67%)で初動の体制づくりに集中する、(2)介護休暇(年5日/対象家族2人以上で10日)短時間勤務・残業免除・深夜業免除を組み合わせて日常を回す、(3)デイサービス・訪問介護・ショートステイで平日日中をプロに任せる――この3層を最初に設計するのが王道です。介護離職経験者の約8割が「収入減・再就職困難・孤立」で後悔しており、辞める前に必ず制度を全部使い切ってください。

目次

「親が倒れた」「要介護認定が出た」――家族の介護が突然始まったとき、多くの人が真っ先に頭をよぎるのが「仕事を辞めるしかないのか」という不安です。実際、日本では年間約10万人が介護を理由に離職しており、2030年には仕事と介護の両立困難による経済損失が約9.1兆円に達すると経済産業省は試算しています。

しかし、辞める前に立ち止まってください。育児・介護休業法は2025年4月の改正でさらに使いやすくなり、会社員には「辞めずに乗り切る」ための制度が想像以上にそろっています。本記事では、ご家族を介護することになった方が、収入と生活を守りながら介護を続けるために、(1)離職リスクが急上昇する3つのタイミング、(2)使える6制度の優先順位、(3)在宅サービスと組み合わせた両立シナリオ、(4)職場での具体的な切り出し方、(5)介護休業93日を使い切った後の現実的な選択肢――を、2026年時点の制度情報と一次データで解説します。

介護離職の現状|年10万人・40〜50代に集中・経済損失9兆円

まず、ご自身の置かれている状況がどれほど一般的かを把握しましょう。介護離職は決して特殊な問題ではなく、社会全体の課題として制度が設計されています。

主要データ(2024〜2025年公表)

  • 介護離職者数:年間約10.6万人(厚生労働省「雇用動向調査」、2022年実績)。コロナ禍で一時減少した時期もありましたが、団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」を境に再増加が懸念されています。
  • 離職する年齢層:40〜50代が中心。働き盛り・管理職世代に集中しており、本人にとっても会社にとっても損失が大きい構造です。
  • 経済損失:2030年に約9.1兆円(経済産業省試算)。内訳は労働生産性の損失が大半を占め、離職そのもの・育成費用・代替採用コストを含みます。
  • ビジネスケアラー:2030年に約318万人と推計。働きながら介護をする人は今後さらに増えます。

離職した人の8割が後悔している

NPO法人や民間調査によると、介護離職を経験した人の約8割が「辞めなければよかった」と感じていることが繰り返し報告されています。後悔の主な内訳は次の3つです。

  1. 収入の激減と経済的困窮:給与が途絶え、介護費用(おむつ・医療・介護保険1割〜3割負担)はむしろ増える。貯蓄が想定より早く底をつき、自身の老後資金まで削るケースが多発。
  2. 再就職の難しさ:40〜50代で正社員に戻れず、非正規雇用・パートに甘んじる。生涯賃金で1,000万円以上の差が出ることも。
  3. 社会的孤立と精神的負担:会社という「外の世界」を失い、24時間介護で視野が狭くなる。介護うつ・共倒れリスクが急上昇。

逆に言えば、辞めずに両立できれば、収入・キャリア・精神的健康の3点すべてを守れます。次章では「いつ離職リスクが高まるか」を時系列で見ていきます。

離職リスクが急上昇する3つのタイミング

介護離職は「介護開始直後」だけで起きるわけではありません。離職経験者の話を集約すると、「決断してしまいやすい3つの山場」があります。ここを事前に知っておくだけで、衝動的な退職をかなり防げます。

タイミング1|要介護認定が出た直後(〜介護開始3か月)

救急搬送や脳卒中・大腿骨骨折などをきっかけに、突然「来週から在宅で介護です」と退院支援室から告げられる――これが最初の山場です。要介護度がまだ確定せず、ケアマネジャーも決まっておらず、平日昼間の通院・手続きが集中します。

  • 典型パターン:「とりあえず1か月だけ会社を休む」と話していたら、上司から「業務に支障が出るから退職を検討して」と言われ、勢いで辞表を出す。
  • ここで使うべき制度介護休業(最大93日/3分割可)。まさにこの初動期間(要介護認定の取得・ケアプラン作成・サービス事業者選定)のために設計されています。

タイミング2|主介護者の体調・メンタルが限界に達したとき

介護を始めて半年〜2年目に多いのが「自分が倒れる」リスクです。睡眠不足・腰痛・抑うつ症状が積み重なり、「もう仕事まで続けられない」と感じる瞬間が訪れます。

  • 典型パターン:夜間徘徊や排泄介助で睡眠が途切れ、日中の業務でミスが続く。「迷惑をかけているから」と先回りして辞職を決断する。
  • ここで使うべき制度短時間勤務/始業終業時刻の繰上げ繰下げ/所定外労働(残業)の免除/深夜業の免除。生活リズムを介護に合わせて再設計し、ショートステイで「自分の休息日」を確保するのが鉄則。

タイミング3|在宅介護から施設入所への移行判断期

認知症の進行・医療依存度の上昇・家族の限界などで「施設入所を考える」段階に入ると、施設見学・申込・契約手続きが連続発生します。「もう辞めて入所先探しに専念したほうが早い」と考えがちですが、これも避けるべきタイミングです。

  • 典型パターン:特養を申し込んだが順番待ちで入れず、有料老人ホームの見学を10件回るうちに有給が枯渇。「辞めて落ち着けたい」と思い詰める。
  • ここで使うべき制度介護休暇(年5日/対象家族2人以上で年10日)を1日単位・時間単位で計画的に取得。施設入所が決まったら残りの介護休業93日のうち未使用分で本人の引っ越し・荷物整理・在宅サービス解約を一気に処理する。

3つのタイミングのどこにいるかを把握できれば、「いま使うべき制度」が自動的に決まります。次章で6つの制度を詳しく見ていきましょう。

使える6つの両立支援制度|全社員の権利として法定

育児・介護休業法は、対象家族(配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫)が「要介護状態(負傷・疾病・身体上もしくは精神上の障害により2週間以上の常時介護が必要)」になった労働者全員に、以下の制度の利用を保障しています。就業規則に書かれていなくても法律で利用できる権利です。

制度期間・回数給付・賃金主な使いどころ
介護休業対象家族1人あたり通算93日/3回まで分割可雇用保険から介護休業給付金(休業開始時賃金日額の67%)支給初動の体制づくり・施設入所準備
介護休暇年5日(対象家族2人以上で年10日)/半日・時間単位で取得可原則無給(有給化する企業は両立支援等助成金の対象)通院付き添い・ケアマネ面談・スポット対応
短時間勤務等の措置3年以上の期間内に2回以上利用可(短時間勤務/フレックス/始業終業時刻の繰上げ繰下げ/介護費用助成 から会社が選択)勤務時間に応じた賃金日常的な通院・送り出し・夕方の介助対応
所定外労働(残業)の免除介護終了まで請求可(1回あたり1か月以上1年以内)通常賃金定時退社で在宅介護に戻りたい時
時間外労働の制限1か月24時間・1年150時間まで通常賃金繁忙期の残業を強制されないようにする時
深夜業の制限22時〜翌5時の勤務免除通常賃金夜間徘徊対応など、夜の在宅対応が必要な時

介護休業給付金(67%)の手取り感覚

「無給で93日休むのは無理」と思いがちですが、介護休業給付金は雇用保険から支給され、しかも非課税・社会保険料も控除されないため、手取りベースでは休業前賃金の約8割相当になるケースが多いです。

  • 例:休業前の賃金月額30万円の場合 → 給付金の月額目安は約20万円。所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料は引かれないため、実質的に普段の手取りに近い金額が確保できます。
  • 申請は会社経由でハローワークへ。本人が直接ハローワークに出向く必要はありません。

2025年4月改正のポイント(押さえておくべき2点)

  1. 会社の個別周知・意向確認が義務化:労働者から介護の申出があった場合、会社は両立支援制度を個別に説明し、利用意向を確認する義務を負います。「制度を知らなかった」ということは起きにくくなりました
  2. 40歳前後への早期情報提供が義務化:介護に直面する前の段階(おおむね40歳到達時)から、会社は制度を周知することになりました。心当たりのある方は、まず人事部に「介護関連の制度資料がほしい」と聞いてみてください。

在宅サービスを使った両立シナリオ|デイ・訪問・ショートの組み合わせ例

制度(時間の確保)と在宅サービス(プロの手)を組み合わせれば、フルタイム勤務を続けながらでも在宅介護を回せます。要介護度別に、現実的な「曜日割り」の例を3パターン挙げます。在宅介護のはじめ方と合わせてご覧ください。

パターンA|要介護2・認知症初期・別居の親(共働き世帯)

  • 平日(月〜金):朝はヘルパー(生活援助30分)→ デイサービス(9:00〜16:30)。本人が帰宅した後、訪問介護(夕方の身体介護30分)で食事・服薬確認。家族は短時間勤務またはフレックスで18時帰宅。
  • 土日:家族が見守り。月1回ショートステイ(土曜の朝〜日曜の夕方)でリフレッシュ。
  • 平均介護負担:家族の実介護時間は1日2〜3時間。残業免除を申請すれば定時退社が確保できる。

パターンB|要介護3・身体介護中心・同居の親(一人っ子・独身)

  • 平日:朝の更衣・排泄をヘルパー(身体介護60分)→ デイサービス送迎(送り出し済)。日中はデイ。夕方は訪問看護(医療管理)と訪問介護(食事介助)を分担。
  • 夜間:定期巡回・随時対応型訪問介護看護を契約していれば、夜間の急変・排泄対応をプロに委ねられる。
  • 家族の役割:朝の見送り・夜の就寝介助・服薬確認に集中。深夜業の制限を申請して夜勤シフトを免除してもらうのが必須。

パターンC|要介護4・医療依存度高・介護休業を取得中

  • 退院直後の93日間:訪問看護(医療処置)+ 訪問リハ + ヘルパーをフル稼働。家族は介護休業給付金(67%)を受給しながら、要介護認定の区分変更・福祉用具レンタル・住宅改修を一気に進める。
  • 復職前の段階的調整:休業終了2週間前から「半日デイ」「ショートステイ試泊」を入れ、本人を環境に慣らす。
  • 復職後:短時間勤務+ 月2回のショートステイで月20日勤務を維持。

サービス調整は「ケアマネジャー」がやってくれる

「自分で全部考えるのは無理」と感じる必要はありません。ケアマネジャー(介護支援専門員)が要介護認定後にケアプランを作成し、サービス事業者との調整・契約を代行してくれます。介護保険の自己負担はサービス費用の1〜3割(所得に応じて)で、ケアマネジャーへの相談・ケアプラン作成は自己負担0円です。

初動で迷ったら、まず地域包括支援センター(市区町村の高齢者総合相談窓口)に電話してください。要介護認定の申請からケアマネ選定まで、無料で伴走してくれます。

会社への切り出し方|上司・人事面談で使える具体スクリプト

厚生労働省が委託した実態調査(仕事と介護の両立支援事業)でも、「介護に直面したことを勤務先に相談した人」は約4分の1にとどまることが繰り返し報告されています。「迷惑をかけたくない」「評価が下がるのが怖い」と1人で抱え込み、結果的に離職に至るケースが多いのです。制度を使う最初の関門は「会社に伝える」こと。以下のステップで進めてください。

ステップ1|伝える前に、状況を3点に整理する

  • 誰の介護か:対象家族(父・母・配偶者など)と、要介護状態の概要(何ができて、何にサポートが必要か)。要介護認定の有無も伝えると話が早い。
  • いつから・どれくらい必要か:「あと2週間で退院」「半年は通院付き添いが週1回必要」など、時間軸を具体化する。
  • 使いたい制度の希望:「介護休業を1か月取得して体制を作りたい」「短時間勤務で17時退社にしたい」など、こちらから提案する。会社に判断を委ねるとマイナス評価につながりやすい。

ステップ2|伝える順序は「直属の上司 → 人事」

いきなり人事に駆け込むより、まず直属の上司に「家族の介護で相談がある」と短時間の面談を申し込むのが定石です。法改正により、申出を受けた会社には個別の制度説明と意向確認の義務があるため、人事担当者を含めた3者面談に発展するのが通常の流れです。

ステップ3|面談で使える切り出しフレーズ例

  • 初回(上司との1on1):「父が脳梗塞で入院し、退院後は在宅介護になります。仕事を続けたいので、介護休業と短時間勤務の利用について人事と相談したいのですが、間に入っていただけますか?」
  • 人事面談(制度の意向確認):「介護休業を◯月◯日から30日間、まずは要介護認定とケアプラン作成のために取得したいです。残り63日分は分割で残しておきたいです。復職後は短時間勤務(17時退社)と所定外労働の免除を希望します。」
  • 業務調整の提案:「私の担当案件のうち、AとBは◯◯さんに引き継ぎ可能です。Cだけは私が継続し、リモートでも対応できる体制にしたいです。」

ステップ4|書面で記録を残す

口頭の合意はトラブルのもとです。介護休業申出書・短時間勤務申出書など、会社所定の書式で必ず提出し、控えをもらってください。書式が無い会社では、メールで「◯月◯日からの介護休業を申し出ます。給付金申請の手続きをお願いします」と送り、記録を残すのが安全です。

「辞めてほしい」と暗に圧力をかけられたら

育児・介護休業法は、介護休業や短時間勤務の申出・取得を理由とした解雇・降格・不利益取扱いを明確に禁止しています。圧力を感じたら、以下に相談してください。

  • 都道府県労働局 雇用環境・均等部(無料・匿名相談可)
  • 労働基準監督署 総合労働相談コーナー
  • 労働組合・ユニオン(社内に組合があれば最初に相談)

介護休業93日を使い切った後の選択肢|辞める前に検討すべき4ルート

介護休業93日を消化し、短時間勤務でも限界がきたとき、現実的にどんな選択肢があるか――辞表を出す前に、以下の4ルートを冷静に比較してください。

ルート1|施設入所で在宅介護を終える(最有力)

  • 選択肢:特別養護老人ホーム(特養)/介護老人保健施設(老健)/介護医療院/グループホーム/有料老人ホーム/サービス付き高齢者向け住宅。
  • メリット:24時間体制のプロ介護に切り替わり、家族は仕事に集中できる。経済的にも、自分の収入を維持できれば長期的にプラス。
  • デメリット:特養は要介護3以上が原則で待機が長い地域も。有料老人ホームは入居一時金・月額利用料が高額(月15〜30万円が目安)。
  • 使うべき制度:施設見学・契約・引っ越しのために介護休業の残日数介護休暇を集中投入する。

ルート2|在宅サービスを増やして両立継続(次善策)

  • 選択肢:訪問介護を1日2回 → 3〜4回に増やす/小規模多機能型居宅介護(通い・訪問・泊まりを1事業所で組み合わせ)/定期巡回・随時対応型訪問介護看護を契約。
  • メリット:在宅で看取りまで対応できる。本人の住み慣れた環境を維持。
  • デメリット:要介護度ごとの区分支給限度基準額を超えると、超過分は10割自己負担。月10〜20万円かかるケースも。
  • 使うべき制度:ケアマネジャーと区分変更申請(要介護度見直し)でサービス増を実現する。

ルート3|キャリア転換(在宅勤務・転職・フリーランス)

  • 選択肢:(a)現職での在宅勤務・週4日勤務への切り替え交渉、(b)在宅勤務可の企業への転職、(c)フリーランス・業務委託への移行。
  • メリット:通勤時間がなくなり、在宅介護との両立が圧倒的に楽になる。収入も維持しやすい。
  • デメリット:転職活動・スキル転換に時間がかかる。フリーランスは社会保険料・国民年金が自己負担。
  • 注意:「介護のため」と転職市場で伝えると不利になる場面もあるため、転職エージェントと事前に伝え方を相談する。介護休業ピラーもキャリア視点の解説あり。

ルート4|介護離職(最終手段/必ず事前準備を)

  • 本当に辞めるしかない場合の準備:(a)貯蓄が最低2年分(生活費+介護費用)あるか、(b)失業給付の特定理由離職者該当を確認、(c)健康保険の任意継続 vs 国民健康保険の保険料を比較、(d)再就職時のブランク戦略を立てる。
  • 失業給付の特定理由離職者:「家族の介護等のために退職した」場合、特定理由離職者と認定されれば給付制限なしで失業手当を受給できます(※認定にはハローワークでの確認が必要)。
  • 復職を見据えた離職:完全な離職ではなく、休職制度(無給・在籍)がある会社なら、まずそちらを交渉。在籍したまま社会保険料を会社経由で納められる場合もあります。
  • ダブルケア(育児+介護)の場合ダブルケア記事で経済支援・自治体サポートを必ず確認してから判断してください。

介護離職を避けるためのよくある質問

Q1. 介護休業はパート・契約社員でも取れますか?

A. 取れます。育児・介護休業法は正社員・パート・有期雇用労働者を問わず適用されます(日々雇用される者・申出時点で雇用期間が半年に満たない一部の有期労働者を除く)。就業規則に書かれていなくても法定の権利として利用可能です。介護休業給付金(67%)も雇用保険の被保険者であれば受給できます。

Q2. 「両立支援等助成金」は労働者がもらえるお金ですか?

A. いいえ、これは会社(事業主)に支給される助成金です。介護離職防止支援コースでは、介護休業の取得・復帰支援、介護両立支援制度の利用、介護休暇の有給化などを行った中小企業に1社あたり数十万円が支給されます。労働者本人がもらうのは介護休業給付金(賃金の67%)のほうで、こちらは雇用保険から支給されます。

Q3. 介護休業中の社会保険料はどうなりますか?

A. 介護休業中も健康保険・厚生年金保険料は通常どおり徴収されます(育児休業のような免除制度はありません)。給付金は非課税ですが、社会保険料は会社経由で支払う必要があるため、復職時にまとめて精算するか、休業中に振込で会社に納める方式が一般的です。会社の総務・人事に確認してください。

Q4. 遠距離介護でも介護休業は取れますか?

A. 取れます。育児・介護休業法は同居・別居を問わず、対象家族が要介護状態であれば取得可能です。むしろ遠距離介護こそ、ケアマネジャー選定・サービス契約・施設見学のために介護休業の効果が大きい場面です。複数回に分割して使えるので、3か月に1回まとめて1〜2週間取得する使い方も有効。

Q5. 介護休業を取ると「給与」はどうなりますか?

A. 介護休業中は原則として会社からの給与は支給されません(無給)。代わりに雇用保険から介護休業給付金(休業開始時賃金日額の67%)が支給されます。給付金は非課税で社会保険料も控除されないため、手取り感覚では普段の約8割が確保できるイメージです。賞与算定対象期間に含めるかは会社の規定によります。

Q6. 介護休業を取ったら昇進・賞与で不利になりませんか?

A. 育児・介護休業法第10条・第16条等は、介護休業の申出・取得を理由とする解雇その他不利益取扱いを明確に禁止しています。「介護休業取得者の昇給を見送る」「賞与査定でマイナス評価する」などは違法です。実際に不利益取扱いを受けた場合は、都道府県労働局 雇用環境・均等部に相談してください(無料)。

Q7. 親が亡くなる前に有給を使い切ってしまいました。介護休暇は使えますか?

A. 使えます。介護休暇は有給休暇とは別枠で、対象家族1人につき年5日(2人以上で年10日)が法定保障されており、半日・時間単位での取得も可能です。看取り期や葬儀準備など、まとまった休みではなくスポットで休みたい時に重宝します。原則無給ですが、有給化している会社も増えています(両立支援等助成金の対象になるため)。

参考文献・出典

まとめ|辞める前に「制度の3層」を必ず使い切る

介護離職を避けるための要点を整理します。

  • 離職リスクの3つの山場:要介護認定直後/主介護者の限界期/施設入所判断期。それぞれに対応する制度がすでに法定されている。
  • 使うべき制度の3層構造:(1)介護休業93日(給付金67%)で初動の体制づくり、(2)介護休暇+短時間勤務+残業免除+深夜業免除で日常を回す、(3)デイ・訪問・ショートで平日日中をプロに任せる。この3層を組み合わせれば、フルタイム勤務を続けながら在宅介護は十分に成立する。
  • 会社への切り出し方:直属の上司 → 人事の順で、こちらから具体案(休業開始日・短時間勤務の希望時間)を提案する。書面で記録を残す。法改正で会社側にも個別周知・意向確認の義務が発生している。
  • 離職経験者の8割が後悔している現実をふまえ、辞める前に必ず「施設入所」「在宅サービス増」「在宅勤務・転職」の3つを検討する。
  • 1人で抱え込まない:地域包括支援センター、ケアマネジャー、都道府県労働局 雇用環境・均等部、介護家族の会――無料で相談できる窓口が複数ある。

制度を知っているかどうかで、その後の人生の経済的・精神的な軌跡が大きく変わります。本記事の情報を、ご家族・ご自身の介護スタートの設計図としてお役立てください。

関連情報:在宅介護のはじめ方介護休業ピラーダブルケア

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護保険、施設選び、在宅介護など、介護を受ける方・ご家族が判断に迷いやすいテーマを、公的情報と実務上の確認ポイントに沿って解説しています。

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